【FP解説】30代で貯金ゼロでも安心!今からでも間に合う貯蓄プランとは?

「貯金をしなくては」と思っていてもなかなか貯められず、焦りを感じている人も多いでしょう。でも、たとえ今は貯金なしでも、すぐに行動を起こせばまだ間に合います。30代の「貯金ゼロから始める貯蓄プラン」を考えていきましょう。

【FP解説】30代で貯金ゼロでも安心!今からでも間に合う貯蓄プランとは?

30代で貯金なしの人はどのくらいいる?

30代で貯金なしの人はどのくらいいる?

「30代で貯金なし」という人は、どのくらいいるのでしょうか? 金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)」によると、30代の金融資産非保有世帯の割合は、単身世帯で36.5%、二人以上世帯で15.8%となっています。

単身世帯では3割以上の人が貯金ゼロという結果を見て、安心した人もいるかもしれません。しかし、同じ単身世帯の12.6%の人は、30代で1,000万円以上金融資産があると回答しています。収入や生活環境の違いはありますが、同じ年代でも差が出ているのが現状です。

30代の金融資産非保有世帯の割合

世帯区分金融資産非保有率
単身世帯36.50%
二人以上世帯15.80%

※「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)」[単身世帯調査]各種分類別データ 詳しくはこちら

※「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)[二人世帯以上調査]各種分類別データ 詳しくはこちら

なぜ貯蓄が必要なのか?

「貯蓄がなくても、現在の収入で生活ができていればよいのでは」と思われる人もいるかもしれません。しかし、それは「継続して収入がある」ことが前提です。

病気や怪我で仕事を休まなくてはならなかったり、自然災害により勤め先が休業・廃業して仕事を失ったりするなど、収入はいつ途絶えるかわかりません。
収入が途絶えた時に貯蓄がなければ、家賃や光熱費を支払うことすらできなくなります。そのため、最低でも数ヶ月は生活ができるだけの備えとして貯蓄が必要です。

また、30代は結婚や出産などのライフイベントが集中し、支出が多くなりがちです。
そのため、今は貯蓄ができないという人もいるかもしれません。しかし、今できなければ、今後はさらに教育費などの支出が増え、貯蓄できないまま、あっという間に定年退職を迎えることになってしまいます。定年の直前になって老後資金を準備しようとしても数年では間に合いません。30代は定年までにまだ20年以上の時間があり、それは大きな強みなのです。

大切なのは、今後の人生設計上でいついくら必要なのかを考えて、少額からでもよいので、今から貯蓄をスタートすることです。

今から貯蓄したらどのくらいの貯蓄ができる?

今から貯蓄したらどのくらいの貯蓄ができる?

では、今から貯蓄をしたらどのくらいの貯蓄ができるのでしょうか?
下記の表は、毎月一定額を一定期間貯蓄した場合に貯まる金額です。

積立シミュレーション

→積立金額
↓経過年数
月5,000円月1万円月2万円月3万円
5年後30万円60万円120万円180万円
10年後60万円120万円240万円360万円
20年後120万円240万円480万円720万円
30年後180万円360万円720万円1080
万円

※運用利率は考慮していません。

月3万円の積立をスタートすると、30年後には1,080万円が貯まるという結果になります。
月々の積立に加えてボーナス時に一定額の上乗せができるとさらに貯蓄スピードが上がります。例えば、月3万円の積立貯蓄にボーナス時に30万円上乗せできれば、30年後には老後資金として約2,000万円が準備できるのです。

これが、10年後だと、月3万円、ボーナス時に30万円を積み立てても、660万円です。期間が長く取れることの強みがわかります。

今からできる!FPおすすめの貯蓄体質をつくる4つの方法

今からできる!FPおすすめの貯蓄体質をつくる4つの方法

少額からでもよいので、できるだけ早く貯蓄をスタートしましょう。
では、貯蓄ができる「貯蓄体質」をつくるために何から行えばよいのでしょうか?4つの方法を紹介しましょう。

目標設定をする

ひとつめが、いつまでにいくら貯めるのか目標を決めることです。
目標は、いきなり大きな金額を設定するのではなく、モチベーションを維持するためにもスモールステップで決めていきます。
例えば、月の生活費が20万円の人は、その3ヶ月分にあたる60万円をまず目指します。達成したら半年分、1年分と目標金額を大きくしていきます。また、子供がいるのであれば、児童手当分は大学資金用として今から貯め始めましょう。

貯蓄専用口座を作って目的別に分ける

ふたつめは、生活費に使っている口座とは別に、貯蓄専用口座を作ることが重要です。
貯蓄専用口座は貯める目的別に分けると、目標金額に対しての達成状況がよく分かります。いざという時用、子供の大学資金用というように、目的別に最初は2口座程度からスタートすると管理がしやすいです。

先取りで自動的に貯める仕組み作りをする

みっつめは、生活費を使う前に先取りで自動的に貯める仕組みづくりです。
支出をしたあとに余ったお金を貯めようと思っても、なかなか貯まらないものです。そこで、毎月いくら貯蓄すると決めて、給与が振り込まれたらすぐ貯蓄専用口座へと移動します。
ここでのポイントは、自動的に移動していつの間にか貯まっている状態を目指すことです。給与から天引きされる財形貯蓄や自動積立定期預金など、手をかけずに貯まる仕組みを活用しましょう。

増やすための制度を活用する

よっつめは、小さなステップを積み重ねてお金が貯まっていくことを経験した後は、積極的に増やすことも検討していくことです。
いざという時の備えや直近で使う予定があるお金は、流動性がある預貯金を活用します。しかし、老後資金など10年以上先に使う予定の貯蓄は、少しでも増やす工夫をしたいところです。
下記の表は、前出の積立をした場合の金額を、年利2%で運用した場合のシミュレーションです。積立の年数が長いほど運用の効果が大きくなります。月3万円積立した場合の30年後は、運用利率ゼロの場合1080万円、運用利率が年利2%の場合約1478万円なので、その差は約398万円もの違いになります。

運用利率2%の積立シミュレーション

→積立金額
↓経過年数
月5,000円月1万円月2万円月3万円
5年後約32万円約63万円約126万円約189万円
10年後約66万円約133万円約265万円約398万円
20年後約147万円約295万円約590万円約887万円
30年後約246万円約493万円約985万円約1478万円

運用をしながら積立をする場合は、少額からコツコツと積み立てることができる投資信託などを利用しますが、運用するにあたって有利な制度は活用していきましょう。

通常は、金融商品から得られる利益には20.315%の税金がかかります。その税金が非課税となる制度がNISAやつみたてNISA、iDeCoです。iDeCoについては、さらに掛金が全額所得控除になったり、退職後に受け取る時にもメリットがあったりするため、老後資金を貯める目的の場合は活用を検討したいところです。
ただし、投資をする場合は、当然リスクも伴いますので、無理のない範囲で少額からスタートすることが大切です。

まとめ

まとめ

貯金なしからスタートしてお金を貯める4つの方法についてお伝えしてきましたが、何よりも大切なのは、すぐに行動を起こすことです。できない理由を探すのではなく、まずは貯蓄用の口座を作って積立をスタートしましょう。

ご留意事項
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