30代で貯金ゼロは多い?!今後の人生で必要なお金や増やし方を学ぼう

30代で貯金がない……なかなか貯められず、焦りを感じている30代のみなさんに貯金のリアルと今後の人生で必要なお金について解説します。資金を増やすためのおすすめの方法も紹介しているので、参考にしながら将来に向けて貯金を始めましょう。

30代で貯金ゼロは多い?!今後の人生で必要なお金や増やし方を学ぼう

30代で貯金なしの人はどのくらいいる?

30代で貯金なしの人はどのくらいいる?

働き盛りの30代ですが、自分の生活や家族を養うために収入を使っていてなかなか貯金できない……という悩みを抱えている人もいるでしょう。将来を見据えてコツコツ貯金ができている人もいるかもしれませんが、貯金がない方がどのくらいいるのか気になるところです。

30代で貯金なしは単身32.4%、夫婦で23.9%

「30代で貯金なし」という人は、どのくらいいるのでしょうか? 金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、30代の金融資産非保有世帯の割合は、単身世帯で32.4%、二人以上世帯で23.9%となっています。

30代の金融資産非保有世帯の割合

世帯区分 金融資産非保有率
単身世帯 32.4%
二人以上世帯 23.9%

【参考】金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」詳しくはこちら

【参考】金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」詳しくはこちら

単身世帯では3割以上の人が貯金ゼロという結果を見て、安心した人もいるかもしれません。家族構成や生活レベルにもよりますが、30代で貯金がある人は多くないといえます。

30代独身・夫婦の平均貯金額

では、30代の平均貯金額はどのくらいなのでしょうか。同調査によると独身(単身世帯)では494万円、夫婦(二人以上世帯)では526万円が平均貯金額となっています。この数字は、金融資産を保有していない世帯を含んだ場合の平均貯金額です。
金融資産保有世帯を含んだ場合の平均貯金額では、単身世帯741万円、二人以上世帯では697万円となっています。

30代男女の平均貯金額

次に、30代男女別の平均貯金額を確認してみましょう。総務省「2019年全国家計構造調査:家計資産・負債に関する結果」によると、金融資産残高は、男性548.4万円、女性416.4万円となっています。
生活レベルや収入にもよりますが、30代では男性の方が多くの金融資産を保有していることが分かります。

【参考】総務省「2019年全国家計構造調査:家計資産・負債に関する結果」詳しくはこちら

30代で貯金が1,000万円の人はどのくらい?

平均貯金額を見てきましたが、1,000万円以上貯金をしている人はどのくらいいるのでしょうか?前出の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、単身世帯の13.6%、二人以上世帯では16.2%の世帯が1,000万円以上の金融資産を保有している結果となっています。

このように収入や生活環境の違いはあるでしょうが、同じ年代でも差が出ているのが現状です。1,000万円というのは1つの指標に過ぎませんが、30代のうちから保有資産に余裕があると安心でしょう。

今後の人生にいくらお金がかかるのか

今後の人生にいくらお金がかかるのか

では、貯蓄をするのであれば、いくら貯めればよいのでしょうか。30代といっても人によってこの先のライフプランはさまざま。今後の人生にかかるお金を項目ごとに確認していきましょう。

結婚費用

結婚にかかるお金の平均データによると、結納から新婚旅行までにかかった費用の平均総額は371.3万円。それに対して収入は、披露宴・ウェディングパーティのご祝儀額180.4万円、親・親族からの援助総額(結婚費用)178.4万円となっています。
また、新婚生活準備費用は59万円です。

入籍だけであれば多くの費用はかかりませんが、家族だけで行うちょっとしたお披露目会から盛大な結婚式まで、どのような結婚を望むのかによってかかる費用は変わってきます。

【参考】株式会社リクルート『ゼクシィ』「結婚トレンド調査2022(PDF)」詳しくはこちら

【参考】株式会社リクルート『ブライダル総研』「新婚生活実態調査2020」詳しくはこちら

出産・子育て費用

出産費用の平均は、46.7万円(※)となっています。その他にマタニティ用品など出産準備の費用も必要となります。下記のように健康保険や自治体から出産時に給付金が支給されますので、それを踏まえたうえで予備費を準備しておきましょう。
※室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く出産費用の合計額。

【参考】厚生労働省保健局「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について(PDF)」詳しくはこちら

出産育児一時金

加入をしている健康保険より50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は48.8万円)が支給されます。(2023年4月より予定)

出産・子育て応援給付金

住んでいる自治体から給付金が支給されます。給付方法などは自治体に確認をしましょう。
・出産応援ギフト:妊娠届出時に妊婦一人あたり5万円相当
・子育て応援ギフト:出生届出後に子供一人あたり5万円相当

また、出産後の子育て費用については、下記の内閣府の調査結果を参考にすると年間どのくらいの費用がかかるのかがイメージできると思います。基本的には家計の中から捻出をしていきますが、ベビーカーの購入など、0歳児は生活用品費が高くなっていますので、出産費用と合わせて30万円程度を準備しておくと安心です。

第1子の子育て費用額(※)

項目 未就学児 保育所・幼稚園児 小学生 中学生
衣類服飾雑貨費 68,754 66,462 68,970 76,507
食費 166,387 224,627 224,627 356,663
生活用品費 149,425 92,522 83,419 97,139
医療費 11,867 13,462 21,791 22,624
保育費 62,790 379,407 19,268 -
子供の携帯電話料金 21 127 3,823 23,453
おこづかい 487 1,318 9,605 39,022
お祝い行事関係費 59,882 41,066 31,974 33,539
子供のため預貯金・保険 199,402 187,212 163,037 179,910
レジャー旅行費 97,127 136,383 167,044 146,710
子育て費用総額 816,142 1,142,586 793,558 975,567

※第1子一人当たりの年間費用、対象者全体平均、単位:円

【参考】内閣府「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査(PDF)」詳しくはこちら

子供の教育費用

子供の教育費に関しては、公立か私立か進路によって金額が大きく変わります。下記の各種平均データを参考にしたうえで、教育方針に合わせてどのくらいの費用がかかるのかを予測し貯蓄目標を決めます。

例えば、幼稚園から高等学校までの教育費は家計の中から捻出し、大学の費用は貯金するという計画があるとします。その場合は、私立大学理系の教育課程だと合計550万円の教育費用と受験代などの予備費用として150万円を合わせた700万円程度を子供の大学受験前(17歳頃)までに貯めるというイメージです。

【高校まで】教育課程別の学習費総額

公立 私立
幼稚園 472,746 924,636
小学校 2,112,022 9,999,660
中学校 1,616,317 4,303,805
高等学校 1,543,116 3,156,401

※幼稚園から高等学校までの学校教育費、学校給食費、学校外活動費の総額(単位:円)

【参考】文部科学省「子供の学習費調査 令和3年度(PDF)」詳しくはこちら

大学の授業料

入学料 授業料 施設設備費 教育課程合計
国立大学 282,000 535,800 - 2,425,200
私立文系 225,651 815,069 148,272 4,079,015
私立理系 251,029 1,136,074 179,159 5,511,961

※大学の入学料、授業料、施設設備費の総額(単位:円)

【参考】文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」詳しくはこちら

【参考】文部科学省「令和3年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」 詳しくはこちら

住宅購入資金

住宅購入資金は、購入する物件の形態や住む地域によって金額が異なります。購入時に必要な諸経費と頭金を合わせて、購入価格の20%程度は自己資金を準備しておくと安心です。マイホームを購入した人が自己資金としていくらくらい準備をしているのかは、国土交通省「住宅市場動向調査(2022年度)」が参考になります。

マイホーム購入の資金総額

物件形態 自己資金 借入金 購入資金
注文住宅 1,665 万円 3,772万円 5,436万円
分譲戸建住宅 1,160万円 3,054万円 4,214万円
分譲マンション 2,259万円 3,020万円 5,279万円
中古戸建住宅 1,432万円 1,908万円 3,340万円
中古マンション 1,450万円 1,492万円 2,941万円

【参考】国土交通省「住宅市場動向調査※PDF」詳しくはこちら

老後資金

老後資金については、老後の生活費として毎月必要な金額から公的年金などの収入を引いた不足額で計算をすることができます。

仮に1ヶ月の不足額が5万円、老後の期間が30年とすると1,800万円が必要です。それに医療や介護などの予備費として1,000万円を計上すると2,800万円が老後資金として必要な金額となります。

老後の収入として年金に期待している方もいるかもしれません。自分の年金見込額はねんきんネットや公的年金シミュレーターで試算できます。老後の生活費として1ヶ月どのくらいのお金が必要かを見積もりして、不足額を計算してみましょう。

参考までに、総務省「家計調査 家計収支編(2022年)」によると、65歳以上二人以上の世帯の平均的な収入は1ヶ月455,469円、それに対して実支出が352,900円、収支の差はプラス102,569円という結果でした。
この数値だけでみると10万円以上も余裕があると思うかもしれませんが、老後生活は何年続くか分かりません。高齢になるにつれ、医療費や介護費用はかさみ、収支がマイナスになるだけでなく、貯蓄を切り崩していくうちに資金が底を尽きる可能性もあるでしょう。
老後資金に関しては、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。

【参考】総務省「家計調査 家計収支編(2022年)」詳しくはこちら

緊急時のための予備資金

病気や怪我で仕事を休まなくてはならなかったり、勤め先が休業・廃業して仕事を失ったりするなど、収入はいつ途絶えるかわかりません。
収入が途絶えた時に貯蓄がなければ、家賃や光熱費を支払うことすらできなくなります。そのため、毎月の生活費の半年から1年分に相当する金額を目安に貯金しておきましょう。

今から貯蓄したらどのくらいの貯蓄ができる?

今から貯蓄したらどのくらいの貯蓄ができる?

では、今から貯蓄をしたらどのくらいの貯蓄ができるのでしょうか?下記の表は、毎月一定額を一定期間貯蓄した場合に貯まる金額です。

今からの貯蓄/積立シミュレーション

達成年数 月5千円積立 月1万円積立 月2万円積立 月3万円積立
5年後 30万円 60万円 120万円 180万円
10年後 60万円 120万円 240万円 360万円
20年後 120万円 240万円 480万円 720万円
30年後 180万円 360万円 720万円 1,080万円

※運用利率は考慮していません。

例えば、月3万円の積立をスタートすると、30年後には1,080万円が貯まるという結果になります。月々の積立に加えてボーナス時に一定額の上乗せができるとさらに貯蓄スピードが上がります。月3万円の積立貯蓄に加え、年1回ボーナス時などに30万円を上乗せできれば、30年後には老後資金として約2,000万円が準備できるのです。

これが、10年後だと、月3万円、ボーナス時に30万円を積み立てても660万円です。期間を長く取れることの強みがわかります。

1,000万円貯めるためにはどのくらいかかる?

では、目標金額を1,000万円とした場合、毎月いくらずつ貯めていけばよいのでしょうか。毎月単純に積み立てた場合とボーナス時に年1回20万円を上乗せして積み立てた場合をシミュレーションしてみました。
1,000万円を無理なく貯めるためにも、できるだけ早く積立を始めることが大切です。

■1,000万円を貯蓄/積立シミュレーション

達成年数 毎月の積立額 ボーナス時に増額
5年 166,667 150,000
10年 83,333 66,667
20年 41,667 25,000
30年 27,778 11,111

※単位:円
※ボーナス時に増額は、年1回20万円を上乗せした場合の毎月の積立額

今からできる!FPおすすめの貯蓄体質を作る4つの方法

今からできる!FPおすすめの貯蓄体質を作る4つの方法

少額からでもよいので、できるだけ早く貯蓄をスタートしましょう。
ここでは貯蓄ができる「貯蓄体質」を作るために何から行えばよいか紹介します。

目標設定をする

1つ目が、いつまでにいくら貯めるのか目標を決めることです。
今後の人生にかかるお金を参考にして、いつまでにいくら貯めるのか、目標を決めましょう。
ただし、目標はいきなり大きな金額を設定するのではなく、モチベーションを維持するためにもスモールステップで決めていきます。
例えば、月の生活費が20万円の人は、まずはその3ヶ月分にあたる60万円を目指してみましょう。達成したら半年分、1年分と目標金額を大きくしていきます。また、子供がいるのであれば、児童手当分は大学資金用として今から貯め始めましょう。

貯蓄専用口座を作って目的別に分ける

2つ目は、生活費に使っている口座とは別に、貯蓄専用口座を作ることです。
貯蓄専用口座は、それぞれ目的別に分けて管理することで、目標金額に対しての達成状況がよく分かります。緊急時のための予備資金用、子供の大学資金用というように、目的別に最初は2口座程度からスタートすると管理がしやすいです。

先取りで自動的に貯める仕組み作りをする

3つ目は、生活費を使う前に先取りで自動的に貯める仕組み作りです。
支出をした後に余ったお金を貯めようと思っても、なかなか貯まらないものです。そこで、毎月いくら貯蓄すると決めておいて、給与が振り込まれたらすぐ貯蓄専用口座へと移動します。
ここでのポイントは、自動的に移動させていつの間にか貯まっている状態を目指すことです。給与から天引きされる財形貯蓄や自動積立定期預金など、手をかけずに貯まる仕組みを活用しましょう。

増やすための制度を活用する

4つ目は、小さなステップを積み重ねてお金が貯まっていくことを経験した後は、積極的に増やすことも検討していくことです。
緊急時の備えや直近で使う予定があるお金は、流動性がある預貯金を活用します。しかし、老後資金など10年以上先に使う予定の貯蓄は、少しでも増やす工夫をしたいところです。

下記の表は、前出の「今からの貯蓄/積立シミュレーション」の金額を、年利2%で運用した場合です。積立の年数が長いほど運用の効果が大きくなります。月3万円積立をした場合の30年後は 1,080万円と約1,478万円で400万円近い差が出ます。

■今からの貯蓄/運用利率2%の積立シミュレーション

達成年数 月5千円積立 月1万円積立 月2万円積立 月3万円積立
5年後 約32万円 約63万円 約126万円 約189万円
10年後 約66万円 約133万円 約265万円 約398万円
20年後 約147万円 約295万円 約590万円 約884万円
30年後 約246万円 約493万円 約985万円 約1,478万円

運用をしながら積立をする場合は、少額からコツコツと積み立てることができる投資信託などを利用しますが、運用するにあたって有利な制度も活用していきましょう。

通常、金融商品から得られる利益には20.315%の税金がかかります。その税金が非課税となる制度がNISAやつみたてNISA、iDeCoです。

iDeCoについては、さらに掛金が全額所得控除になったり、退職後に受け取る時にもメリットがあったりするため、老後資金を貯める目的の場合は活用を検討したいところです。
ただし、投資をする場合は当然リスクも伴いますので、無理のない範囲で貯蓄金額の一部を少額からスタートすることが大切です。

NISA制度は2024年から内容が新しくなります。投資可能枠の拡大や制度の恒久化など、これまで以上に資産形成しやすい制度となっているので、以下の記事でも確認してみてください。

まとめ

30代で貯金がない人は少なくありません。しかし、人生にかかるお金を確認すると、ある程度の貯金をしておく必要がありそうです。どのようなライフスタイルを望んでいるのかによって異なってきますが、自分の今後の人生設計をしてみましょう。

貯金なしからスタートしてお金を貯める4つの方法についてお伝えしましたが、何よりも大切なのは、すぐに行動を起こすことです。できない理由を探すのではなく、まずは、貯蓄用の口座を作り積立をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

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