人生の三大資金とは?それぞれに必要な金額と具体的な貯め方、活用できる制度をご紹介

人生ではさまざまなライフイベントが発生しますが、中でも特にお金がかかるのが「子供の教育」「住宅購入」「老後生活」です。これらにかかるお金は「人生の三大資金」といわれています。 必要な金額は人それぞれですが、一般的に数百万〜数千万円と高額であり、準備に時間がかかりやすいため、計画的に積立をすることが大切です。

人生の三大資金とは?それぞれに必要な金額と具体的な貯め方、活用できる制度をご紹介

人生の三大資金とは?

人生の三大資金とは?

人生の三大資金とは「住宅資金(住宅購入資金)」「教育資金」「老後資金」を指します。

住宅資金は、マイホームの新築や購入の費用を賄うための資金です。マイホームの取得には、一般的に数千万ほどの資金が必要になるため、自己資金だけでなく住宅ローンも組むケースがほとんどです。

教育資金は、子供の授業料や入学金、習い事の月謝などを賄うために準備します。進学ルートによって金額は異なり、1,000万円程度で済む場合もあれば2,000万円を超える資金が必要になることもあります。

老後資金は、主に老後の生活費を賄うための資金です。「老後生活までに2,000万円の準備が必要」ともいわれますが、実際は家族構成や住宅ローンの有無などで異なるため、一概にいくらが必要とはいえません。

住宅資金はマイホームを取得する人が、教育資金は子供を育てている人が準備をします。一方で老後資金は、ゆとりある老後生活を送りたいと考えている人の全員が準備をすべき資金であるといえます。

住宅資金(住宅購入資金)

住宅資金(住宅購入資金)

まずは、住宅資金の目安や準備方法、活用できる制度をみていきましょう。

住宅資金の目安

国土交通省の調査によると、新築住宅や中古住宅の取得に必要であった資金額の平均は、以下のとおりです。

         購入資金    うち自己資金
カッコ内は自己資金の比率
うち住宅ローン
注文住宅(新築) 5,112万円 1,203万円
(23.5%)
3,909万円
分譲戸建住宅 4,250万円 886万円
(20.9%)
3,364万円
分譲マンション 4,929万円 1,929万円
(39.1%)
3,001万円
中古戸建住宅 2,959万円 1,301万円
(44.0%)
1,658万円
中古マンション 2,990万円 1,234万円
(41.3%)
1,756万円

【参考】国土交通省 住宅局「令和3年度住宅市場動向調査報告書」詳しくはこちら

調査結果をみると、注文住宅(新築)や分譲マンションを取得するためには、平均で5,000万円ほどの資金が必要であることがわかります。中古戸建住宅や中古マンションでも、平均で3,000万円弱の資金が必要です。

また、購入資金のすべてをローンで賄っているわけではなく、2〜4割ほどの自己資金を用意しているのが実態です。

住宅資金の準備方法

マイホームを購入する時の資金は、自己資金と住宅ローンで賄います。自己資金の目安は、頭金(物件価格の10〜20%程度)と税金や手数料などの諸費用(物件価格の5〜10%程度)が一般的です。

頭金を多く準備できると住宅ローンの借入額を減らせるため、毎月の返済負担が生活を圧迫しにくくなります。将来的にマイホームを購入したいのであれば、早めに準備を開始し、まとまった自己資金を用意するのが望ましいです。

住宅購入時の自己資金は、普通預貯金や定期預貯金などの元本確保型の商品を中心に準備するとよいでしょう。投資信託をはじめとした金融商品で資金を準備すると、マイホームを購入するタイミングになった時に元本割れしていることがあるためです。

マイホームを購入する時は、自己資金と住宅ローンの金額や割合を決める「資金計画」が重要です。今後のライフプランをもとに、現実的な資金計画を立てましょう。ファイナンシャル・プランナーに相談して資金計画を練るのも方法です。

住宅資金の準備に活用したい制度

住宅資金を準備する時は「財形住宅貯蓄」を利用する方法があります。預貯金口座で利子を受け取ると20.315%の税金が差し引かれますが、財形住宅貯蓄であれば財形年金貯蓄と合わせて、元利合計550万円までの利子が非課税となります。

また、給与やボーナスから天引きして所定の口座にお金を貯める仕組みであるのも財形住宅貯蓄の特徴です。貯蓄が苦手な人や口座にあるお金をついつい使ってしまう人でも、財形住宅貯蓄であれば資金を計画的に準備しやすいでしょう。

親や祖父母などの親族からマイホームを購入する時の資金を援助してもらう方法もありますが、1年間で110万円を超える資産を贈与されると贈与税がかかります。そこで活用したいのが「住宅取得資金贈与の非課税措置」です。

住宅取得資金贈与の非課税措置を利用すると、年間110万円に加えて以下の金額までの資金贈与について贈与税が非課税となります。

●耐震や省エネ性能などが所定の基準を満たす住宅:1,000万円
●上記以外の住宅:500万円
【参考】財務省「令和4年度税制改正の大綱」詳しくはこちら

教育資金

教育資金

続いて、教育資金の目安や準備方法、活用できる制度をみていきましょう。

教育資金の目安

文部科学省の調査によると、幼稚園の入園から高校卒業までにかかる授業料や入学金、給食費、学習塾の月謝などの総額は以下のとおりです。

         公立      私立     
幼稚園(3年間) 約64.9万円 約158.5万円
小学校(6年間) 約192.7万円 約959.2万円
中学校(3年間) 約146.2万円 約421.7万円
高等学校(3年間) 約137.2万円 約290.4万円
合計 約541.0万円 約1,829.8万円

【参考】文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」詳しくはこちら
※高等学校は全日制の金額

高校の卒業まですべて公立校に進学したとしても、500万円以上の教育費がかかります。すべて私立に進学した場合の教育費は、1,800万円を超える結果となりました。

また、学業以外にも習い事によって費用がかかるでしょう。子供の習い事にかかる費用に関しては以下の記事も参考にしてみてください。

次に、大学に進学する時の費用をみていきましょう。日本政策金融公庫の調査によると、大学に進学する場合の受験費用や入学金、授業料などの平均値は以下のとおりです。

     国公立    私立大学(文系) 私立大学(理系)
入学費用 67.2万円 81.8万円 88.8万円
在学費用 414.0万円 608.0万円 732.8万円
合計金額 481.2万円 689.8万円 821.6万円

【参考】日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果(2021年12月20日発表)」詳しくはこちら

調査結果をみると、国公立大学に進学した時の費用が約481万円であるのに対し、私立大学では文系が約690万円、理系が約822万円と高額であることがわかります。

また、上記の金額には下宿先のアパートの家賃や敷金、家具・家電の購入費用などが含まれていません。親元を離れて大学に通う場合は、さらに費用がかかる可能性があります。

教育資金の準備方法

教育資金の準備は、子供が生まれた時から始めるのが望ましいです。教育資金専用の預貯金口座を作り、毎月コツコツと積み立てていきましょう。

教育資金を準備する時に選ばれやすいのが「学資保険」です。学資保険に加入すると、子供が所定の年齢になった時に保険金やお祝い金を受け取れます。保険料払込免除特約(特則)が付いていれば、契約者が亡くなった時に保険料の払い込みが免除されますが、保険金やお祝い金などは予定通り支払われるため、親が万一の時も教育資金を子供に残せます。

また、投資信託を毎月一定金額ずつ購入する積立投資をするのも方法です。投資信託は、複数の投資家から集めた資金を、運用の専門家が株式や債券などに投資をして利益を狙う金融商品です。出産をきっかけに投資信託の購入を開始し、子供が高校を卒業するまでの18年ほど積み立てることで高いリターンが期待できます。

ただし、投資信託には元本保証がないため、子供が進学する時に元本割れしている可能性があります。必要になる時期が決まっている資金を準備する時は、預貯金や保険といった元本確保型の商品を中心とし、必要に応じて投資を組み合わせるとよいでしょう。

教育資金の準備に活用したい制度

教育資金を準備する時に活用したいのが「児童手当」です。児童手当は、子供が産まれてから中学校を卒業するまでに支給される手当です。子供の誕生月によって異なりますが、児童手当を使わずにすべて貯めると、200万円前後の資金を準備できます。

投資で教育資金を準備するのであれば「つみたてNISA」を活用するのも方法です。投資信託に投資をすると、利益に対して20.315%の税金がかかります。つみたてNISAであれば、毎年40万円までの投資で得た利益が、最長20年間にわたって非課税となります。

NISAは、2024年から新NISAとして制度の内容が大きく変わります。制度の恒久化、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠・非課税保有限度額の拡大など、より資産形成に活用しやすくなります。

祖父母から教育資金を援助してもらうのも、有効な手段です。
「教育資金の一括贈与にかかる非課税措置」といって、祖父母や親などから30歳未満の子供や孫などに資金を贈与する時に利用できる制度です。資金の贈与を受ける人(受贈者)一人につき、最大1,500万円(習い事などの場合は最大500万円)までの贈与が非課税となります。

将来的に必要となる教育資金を援助してもらうと贈与税の課税対象になりますが、必要なタイミングで教育費を援助してもらったのであれば、贈与税はかかりません。例えば、小学校の進学時にランドセルや制服を買うための資金を援助してもらうと贈与税は非課税です。

老後資金

老後資金

最後に、老後資金の目安や準備する方法、活用したい制度をみていきましょう。

老後資金の目安

老後資金の目安

総務省統計局の調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における毎月の消費支出(食費や住居費、水道光熱費など)は224,436円です。一方、年金をはじめとした収入のすべてから、社会保険料や税金などを差し引いた可処分所得は、毎月205,911円であるため、ひと月あたり18,525円の赤字が発生しています。

65歳以上の単身無職世帯については、消費支出が132,476円、可処分所得が123,074円であり、赤字額は毎月9,402円となっています。

【参考】総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」詳しくはこちら

仮に老後生活が30年であるとするなら、赤字を補うために必要な資金額は夫婦世帯が約667万円、単身世帯が約338万円となります。ただし、これらはあくまで平均値をもとに計算した金額に過ぎません。

自助努力で準備する目標額は、老後の生活費や国からの年金受給額、退職金額などをもとに考えましょう。また、介護費用や持ち家のリフォーム費用、子供・孫への援助資金なども考慮するとより現実的な必要資金の目安を算出しやすくなります。

老後資金の準備方法

老後資金の準備は、日常生活に支障がない範囲で早めに始めることをおすすめします。長い時間をかけて老後資金を準備すると、毎月の積立額が少なく済むためです。

仮に1,000万円の老後資金を準備するとしましょう。積立期間が30年であれば毎月の積立額は約2.8万円ですが、積立期間が10年しかない場合は約8.3万円となり、家計を圧迫しやすくなります。

老後資金を準備する時は、生命保険に加入する方法があります。例えば、個人年金保険に加入すると60歳や65歳などの年齢になった時、一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れます。

一方で、昨今の歴史的な低金利の影響もあり、預貯金や保険商品の利率はひと昔前よりも低下してしまいました。そのため、投資信託を毎月一定金額ずつ購入する積立投資をするのも選択肢の1つです。投資信託に元本保証はありませんが、20年や30年など長期間にわたって積立投資をすることで効率よく老後資金を準備できる可能性があります。

持ち家がある人は「リバースモーゲージ」を利用して資金を調達する方法があります。リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関からお金を借りられる商品です。借り入れをしたあとは基本的に利息だけを支払っていき、亡くなった時に担保である自宅を売却して借入金を返済します。

老後資金の準備に活用したい制度

積立投資で老後資金を準備する際は「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」といった運用益が非課税となる制度を利用するとよいでしょう。

iDeCoは、毎月支払った掛金を投資信託や保険などで運用し、老後の年金を準備する制度です。掛金の全額が所得控除の対象である点が、iDeCoの主なメリットです。1年間で支払った掛金と同額が所得から差し引かれたうえで所得税や住民税が計算されるため、税負担の軽減効果が期待できます。

掛金は、毎月5,000円から1,000円単位で設定できます。日常生活や子供の教育、住宅ローンの返済などに支障がない範囲で掛金を設定し、老後資金の準備を少しずつはじめるとよいでしょう。ただし、iDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せない点には注意が必要です。

ほかにも、勤務先の「財形年金貯蓄」を利用して給与やボーナスからの天引きで資金を積み立てる方法があります。積み立てたお金は、60歳以降に年金として受け取れます。また、財形住宅貯蓄と合わせて貯蓄残高550万円までの元本と利子が非課税となるのも特徴です。

まとめ

まとめ

人生の三大資金とは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」のことであり、いずれも高額です。特に老後資金は、すべての人が準備すべきといっても過言ではありません。預貯金や生命保険、投資信託など資金の種類に応じた方法を選び、計画的に準備していきましょう。

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