マイホーム購入前に確認すべき預貯金額と住宅ローン借入限度額の関係
国土交通省の調査によると、住宅を取得する多くの人が住宅ローンを利用しています。住宅ローンを利用する前に、必要な自己資金はいくらくらい必要で、どのくらいの返済が必要になるのか、また、住宅ローンを組む際の手続きはどうなっているのかをまとめてみました。

住宅ローンの利用状況

住宅は高額なため、現金一括で購入することは容易ではありません。
では、マイホームを取得する際に住宅ローンはどのくらいの割合で利用されているのでしょうか。
国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、物件を取得する際の住宅ローンの利用の有無は下記のようになっています。多くの人が住宅ローンを利用しています。
住宅区分 | ローンあり | ローンなし | 無回答 |
---|---|---|---|
注文住宅 (新築) | 56.9% | 9.4% | 33.6% |
注文住宅 (建て替え) | 31.1% | 29.2% | 39.6% |
分譲 戸建住宅 | 68.7% | 8.4% | 22.9% |
分譲 マンション | 63.5% | 18.8% | 17.7% |
中古 戸建住宅 | 52.5% | 25.5% | 22.0% |
中古 マンション | 50.3% | 36.0% | 13.6% |
【参考】国土交通省「平成29年度住宅市場動向調査」 詳しくはこちら
住宅ローンには、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供するローン(フラット 35)や民間金融機関、住宅金融支援機構からの直接融資、勤労者向けの公的融資である財形住宅融資、その他勤務先からの借入金などがあります。
また、金利もそれぞれで、フラット35は固定金利型ですが、民間金融機関では全期間固定金利型、固定金利選択型、変動金利型がそれぞれあり、財形住宅融資は5年固定金利型になっています。
自己資金=頭金はどの程度必要か

住宅ローンを利用する場合、物件を購入できる金額は、自己資金である頭金と住宅ローンの借入可能額で決まります。
頭金は多く準備できればそれだけ後の返済が楽になりますし、返済期間も短く設定できます。借入額自体を少なくできるので、支払総額も減らすことができます。
逆にいえば、頭金が少ないと総支払額が増え、返済期間も長くなり、場合によっては住宅ローンが生活を圧迫する一因となってしまいます。
住宅金融支援機構が行った「2018年フラット35利用者調査」によると、それぞれの物件の種類ごとにみた、ローン利用者の平均的な手持ち金(頭金)の額と物件価格に対しての比率は以下の通りとなっています。
物件の種類 | 手持ち金 (頭金) | 手持ち金 (頭金)比率 | 物件価格 |
---|---|---|---|
注文住宅 | 636.5万円 | 18.7% | 3,403.7万円 |
土地付き 注文住宅 | 447.0万円 | 11.1% | 4,100.9万円 |
建売住宅 | 293.2万円 | 8.5% | 3,449.4万円 |
マンション | 714.1万円 | 16.1% | 4,435.4万円 |
中古戸建 | 203.0万円 | 8.2% | 2,478.0万円 |
中古マンション | 310.5万円 | 10.4% | 2,985.5万円 |
【参考】独立行政法人住宅金融支援機構「2018年フラット35利用者調査 融資利用者の主要指標」 詳しくはこちら
購入した物件の種類によって差はあるものの、フラット35を利用した方々は、頭金を10%から20%用意していることがわかります。一般的に購入価格の1割から2割準備するのが基本とされていますが、こちらの統計でもその範囲内に収まっています。

住宅ローンは借入額だけをみるのではなく、具体的な返済額のイメージも重要です。その一つとして現在の家賃からイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。例えば、現在家賃15万円の物件に住んでいるとすると、その金額で毎月の返済額が収まれば、生活をほとんど変えることなく住み替えが可能だということになります。
ただし、マンションの場合はローン返済額以外に、管理費や修繕積立金を支払う必要がありますので、そのことは考慮しておかなければなりません。
ウェブサイトで借入額を自動計算
ローンの返済可能額に関しては、無理のない借入額と返済額の計算方法が、全国銀行協会のウェブサイトにも紹介されています。
定年退職までに住宅ローンの返済が終わるような設定などをして、返済シミュレーションができるようになっています。
また、借り入れ可能額に関しても、住宅金融支援機構のウェブサイトで、年収や融資金利、返済期間などを入力することで、容易に計算ができます。
こうした情報を、しっかりと頭に入れておくと物件探しも具体的になりますね。
【参考】 一般社団法人 全国銀行協会「しまった!とならないために住宅ローンの返済可能額を知ろう」 詳しくはこちら
【参考】 独立行政法人住宅金融支援機構「年収から借入可能額を計算」 詳しくはこちら
住宅ローンの手続き

さて、実際に購入希望の物件に巡り会えたら、購入の申込みをするタイミングで住宅ローンの事前審査を申し込むことになります。金融機関など住宅ローンを提供するところによりさまざまですが、最近では仮審査については、ウェブ上で簡単な情報を入力することで審査してくれるところも多くなっています。
審査から契約まで
本契約では、買い主が提出した書類に基づき金融機関と、そして民間の住宅ローンでは、信用保証会社の利用が必須のため、その審査も受けることになります。
審査する内容は年収に対するローンの返済負担率や、所属する会社の勤続年数、車やクレジットカードなどのローン状況などが調べられます。
また、住宅ローンの返済中にローン契約者に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される団体信用生命保険への加入もローン申込の資格条件として義務づけられているため、生命保険会社もローン契約者の健康状態などを調査します。
そこで問題がなければ金融機関から融資承諾書が発行され、待望の契約手続きとなるのです。
住宅ローンの審査が受けられなかった場合の注意点
住宅ローンの審査によっては、必要な金額が借りられないこともあります。そこで、物件購入時には「住宅ローン特約」の有無を確認しておきましょう。住宅ローン特約とは、住宅ローンの融資を予定通りに受けられなかったときに、売買契約を白紙にできる特約です。通常は売買契約書に盛り込まれるものですが、もしこの特約がないと契約解除ができず、違約金の発生や、手付金が戻ってこないということがあるので、売り主との間でローン特約の確認を忘れないでください。
まとめ
マイホームの購入の際に、多くの人が利用する住宅ローン。自己資金(預貯金)がいくら必要なのか、どれくらい借りられるのかだけでなく、実際の返済も想定して無理のない利用をしたいですね。
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