「貯蓄型保険」を全解説! メリットやデメリット、注意点なども

生命保険に加入する時にすすめられることがある「貯蓄型保険」。貯蓄型保険は、貯蓄と保険の2つの要素を兼ねており、満期保険金が出たり、解約返戻金が戻ってきたりする特徴があります。ここでは「貯蓄型」の生命保険である「貯蓄型保険」を選択する場合のメリットやデメリット、そして注意点を解説します。

「貯蓄型保険」を全解説! メリットやデメリット、注意点なども

貯蓄型保険とは

貯蓄型保険とは

万が一のことがあった時に備える手段の1つとして「貯蓄」があります。毎月積み立てるなど定期的に貯蓄をすれば、下の図のように貯める期間に応じて貯蓄額が徐々に増えていきます。しかし、例えば貯蓄を始めてすぐに万が一のことが起きてしまった、というような場合には、残念ながら十分な金額が準備できていないかもしれません。

それに対して「保険」は、契約をした直後から必要な保障額を備えられるのが特徴です。

■保険で備える

貯蓄型保険とは

■貯蓄で備える

貯蓄型保険とは

そして、いざという時のために備える「保険」でありながら、満期を迎えた時に「満期保険金」が出たり、途中で解約した時に「解約返戻金」が戻ってきたりするタイプの保険があります。いわば、貯蓄と保険の両方の機能を兼ね備えたもので、これを「貯蓄型保険」と呼んでいます。

○掛け捨て型との比較
保険には「貯蓄型保険」のほかに「掛け捨て型保険」があります。
「掛け捨て型保険」には満期保険金はなく、解約返戻金はあってもわずかです。その分、保険料は貯蓄型保険に比べると割安で、少ない保険料で必要な保障を備えることができるのが特徴です。

貯蓄型保険の特徴

貯蓄型保険の特徴

貯蓄型保険は、前述の通り、満期があるものは満期保険金があったり、途中で解約しても解約返戻金があるなど、保険料を掛け捨てることなく、保障を備えることができます。ただし、その分掛け捨て型保険に比べると同じ保障を備えるために支払う保険料は割高になります。

また、お金が貯まる仕組みなので、保険商品によっては下記のような「保険料の自動振替貸付」や「契約者貸付」という制度があります。

・保険料の自動振替貸付
保険料の支払いが滞ってしまった時に、その時点での解約返戻金の範囲で保険会社が保険料を立て替え、保険の継続ができる制度

・契約者貸付
その時点の解約返戻金の一定範囲内のお金を、保険会社から借りることができる制度

貯蓄型保険の種類

貯蓄型保険の種類

貯蓄型保険には次のような種類の商品があります。いずれも将来保険金や給付金を受け取れ、途中で解約した場合には解約返戻金が受け取れる商品です。

・終身保険
一生涯の死亡保障。保険期間中に解約をすると解約返戻金としてお金を受け取ることができます。解約の時期によっては払込保険料よりも解約返戻金のほうが多くなります。

・養老保険
30年、60歳までなど保険期間を決め、保険期間中に被保険者(保険金支払いの対象者)が死亡した場合に死亡保険金が受け取れます。満期を迎えた時に生存していれば、死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れます。

・学資保険(子供保険)
子供が一定の年齢になった時に祝い金や満期学資金を受け取ることができます。また、契約者(親など)に万が一のことが起きた場合の保障を付けることもできます。

・個人年金保険
60歳など一定の年齢に達すると給付金(年金または一時金)を受け取ることができます。
年金が支給される前に死亡した場合には、それまで払い込んだ保険料相当額が死亡給付金として支払われます。

貯蓄型保険のメリット

貯蓄型保険のメリット

貯蓄型保険は、貯蓄と保険の機能を兼ね備えているため、さまざまなメリットがあります。

保険料が掛け捨てにならない

貯蓄型保険は、お金が貯まる仕組みのため、将来満期保険金や給付金として受け取ることができます。また、途中で解約しても解約返戻金を受け取れるので、貯蓄としても活用することができます。

支払った保険料よりも受け取る保険金のほうが多くなることがある

貯蓄型保険は、契約内容や加入・解約のタイミングによりますが、支払った保険料よりも多い満期保険金や解約返戻金を受け取ることができる場合があります。預貯金に預けているよりも有利に貯めることができるケースもあります。

万が一の場合の保障になる

貯蓄型保険は、加入をした直後から必要な保障を得ることができます。はじめから十分な額が保障できていない貯蓄にはない利点です。

生命保険料控除が適用される

貯蓄型保険は、支払った保険料は生命保険料控除の対象になります。年末調整や確定申告をすることで、節税の効果が期待できます。

貯蓄型保険のデメリットと注意点

貯蓄型保険は、保障と貯蓄の両方の特徴をもつ魅力的な商品ですが、デメリットや注意点もあります。

掛け捨て型の保険に比べると保険料が割高になる

同じ保険金額の場合、掛け捨て型保険よりも貯蓄型保険のほうが保険料が高くなる傾向にあります。例えば、世帯主に万が一のことがあった時の遺族の生活費など大きな保障が必要な場合には、貯蓄型保険で備えると保険料負担が大きくなります。

解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ることもある

貯蓄型保険であっても、契約から一定年数が経過するまでは、解約返戻金が払い込んだ保険料よりも少なくなることがあります。
特に終身保険の1つである「低解約返戻金型終身保険」は、保険料払込期間中に解約すると、通常の終身保険に比べて解約返戻金が大幅に少なくなるため注意が必要です。

ほかの金融商品との組み合わせや掛け捨て型保険も検討すべき

ほかの金融商品との組み合わせや掛け捨て型保険も検討すべき

「貯蓄型保険」のメリット・デメリットを踏まえると、例えば、子供の大学進学のための資金のように、必要な時期に向けてお金を貯めつつ、貯めている途中で親に万が一のことがあった場合の保障も付けたいというようなケースで利用ができます。
また、保険料は、給与天引きや口座振替などで強制的に引き落としされるため、なかなか自分でお金を貯めることができない人にとっては、保障を得ながらお金を貯める手段としても活用できます。

このように「貯蓄」と「保険」を両立できることは魅力的ではありますが、保障に特化をした「掛け捨て型保険」のほうが保険料を抑えることができ、合理的な場合もあります。

例えば、子供の教育費や住宅取得など、現在のライフイベントを優先したいが、家族のことも考えて万が一に備えた手厚い保障も欲しい、という場合には保険料を抑えられる「掛け捨て型保険」も候補になります。保険料負担が大きいことが原因で、途中で解約せざるを得ない状況になってしまえば、せっかくの貯蓄型保険のメリットも減ってしまいます。

また、長期間かけてお金を貯めていくような老後資金については、iDeCoやNISAなどの非課税制度を利用しながら「運用」をして、増やしていくことも併せて考えたいところです。
万が一の保障は保険で、お金を貯める、ふやすことは預金や運用でと、使い分けも必要でしょう。

まとめ

貯蓄型保険とは、貯蓄と保険の両方の機能を兼ね備えたものです。いざという時のために備える「保険」でありながら、満期を迎えた時に「満期保険金」が出たり、途中で解約した時に「解約返戻金」が戻ってきたりするという特徴があります。
ご家庭にとって必要な保障とライフプランにあった資金計画を行ったうえで、ほかの金融商品との組み合わせもしながら「貯蓄型保険」を上手に活用していきましょう。

ご留意事項
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