普通の主婦でも1,000万円貯金できる?節約・貯蓄・運用テクニックをご紹介
一般的な家庭でも、アイデアと方法次第で貯金1,000万円は可能です。本記事では、実際に1,000万円を貯めた主婦の知恵とテクニックを紹介。貯金額を増やすコツや、現実的に目標を達成するために役立つ考え方を解説します。
主婦の知恵とテクニックで1,000万円の貯金
年収が1,000万円を超えるような高収入家庭ではなくても、方法次第で1,000万円の貯金は可能だとわかる事例があります。株式会社ベネッセコーポレーションが、生活情報誌「サンキュ!」の公式サイト上で2018年4月に発表した事例のデータを引用してご紹介します。
出典<家族構成>
夫:44歳
妻:34歳(主婦)
子:0歳から7歳まで4人
<収入>
月収(手取り):33万円
児童手当:5万円
<1000万円貯金までの道のり>
月の貯金額:13.6万
達成までの期間:9年間
【参考/データ引用】ベネッセコーポレーション「サンキュ!」:「1,000万円貯めちゃいましたコンテスト 大賞は子ども4人、月収33万円のフツーの主婦でした!」 ※詳しくはこちら
貯金のきっかけとコツは、見える化です。その主婦は、家計管理をする前は貯金が減っていくことに漠然と不安を感じているだけの状態でした。しかし、今あるお金と、将来に必要なお金を洗い出すと、今すべきことが明確になり、自然と固定費の節約などの行動につながったそうです。
一度目標が決まった後は、貯蓄に回す分はもともと無かったお金として一切触れず、お金を月に1度しかおろさない、月収内での出費を必ず守る、臨時収入は全額貯金といったシンプルなルールで貯蓄に成功しています。
また、この調査ではほかにも複数の家庭の貯蓄法を募集していますが、その中のほとんどのケースで、貯蓄を無理なく続ける知恵として「節約をするばかりではなく、日常生活ではそれなりに消費も楽しむ」という方法をとっていることがわかっています。
貯金1,000万円にはまだ遠い家庭にとっても、普通の生活の延長で実際に達成できたという点は心強く、参考になるケースです。
1,000万円で何に備えられるのか
1,000万円があれば、さまざまなライフイベントに対して備えられる範囲が広がります。
例えば、人生の大きな出費といえばこのようなものがあります。
- 結婚関連費用:484万円
- 出産費用:50万円
- 教育資金:800万円(幼稚園から大学まですべて公立の場合)
- 住宅購入費用:3,373万円(建売住宅の場合)
【参考】ブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査 2017」「結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用」 ※詳しくはこちら
【参考】公益社団法人 国民健康保険中央会:「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」 ※詳しくはこちら
【参考】文部科学省:「平成28年度子供の学習費調査の結果について」 ※詳しくはこちら
【参考】文部科学省:「国公私立大学の授業料等の推移」(2019年度) ※詳しくはこちら
【参考】住宅金融支援機構:「フラット35利用者調査」 ※詳しくはこちら
貯金1,000万円で全てをカバーできるわけではありませんが、月々の収入と合わせれば30歳~40歳前後で生活には心強い支えです。
ただし、もっと先に待つ老後を考えれば、十分とは言えない可能性があります。
【2人以上世帯】老後の家計収支(万円)
持ち家 | 賃貸 | |
---|---|---|
生活費(月) | 24.7 | 30.2 |
年金収入(月) | 19.9 | 19.9 |
月々過不足 | ▲4.8 | ▲10.3 |
20年間 過不足合計 ※注1 | ▲1,152 | ▲2,472 |
25年間 過不足合計 ※注2 | ▲1,440 | ▲3,090 |
※注1:65〜85歳
※注2:60〜85歳
【参考】厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ※詳しくはこちら
【参考】全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向(2019年5月調査)」 ※詳しくはこちら
【参考】総務省e-Stat:「家計調査-二人以上の世帯」 ※詳しくはこちら
総務省「家計調査」で老後にかかる平均的な生活費を調べると、2人以上世帯で持ち家があれば月々24.7万円、賃貸の場合はさらに家賃が上乗せされることになります。一方、年金収入は、夫婦のうちどちらかが会社勤めでもう片方が専業主婦(夫)の場合、厚生年金と国民年金を合わせて19.9万円が平均です。これでは月々4.8万円が不足することになります。
この月の不足金額で単純計算すると、65歳で定年退職を迎え85歳までの20年間の生活費を補うには少なくとも貯金が1,152万円、60歳で退職する場合は1,440万円が必要です。
貯金が1,000万円ある場合でも、老後への備えはさらに必要と考えておく方が無難と言えます。
毎月の貯金額を増やすアイデア
1,000万円を目指し、さらに貯金額を増やすには、家計の状況を確認することや節約意識が欠かせません。月々の貯金が進む簡単な方法や、資産運用という選択肢も紹介します。
家計簿を見て無駄を減らす
貯金を増やすには家計簿をつけることが第一歩です。メリットは、出費や資産状況を見える化できる、生活の変化を確認できる、目標の振り返りができるなど、きりがありません。家計簿をつけていない方は1度でも試してみましょう。
毎日、仕事や家事・育児などで忙しく生活していると、1つは無駄が見つかるもの。自覚がある浪費もありますが、家計簿ではむしろ意外な無駄を洗い出せる可能性があります。
- 過剰に高額な通信料
- オプションが多すぎる保険
- 利用していない定額制サービス
これらはどれも簡単に節約できる固定費です。
自分に合った方法を見つける
節約方法は貯金の目的に応じて数多くありますが、自分に合う方法を選びましょう。
まずは家庭で将来必要なお金を整理し、具体的に、「35歳までに住宅購入頭金100万円」、「4年後までに長男の大学進学費に300万円」というように将来のイベントから逆算して、月々の貯金額を決めていく方法が現実的です。
貯金を続けるには、貯め方も工夫することが効果的です。例えば、専用口座を用意する、貯金用の財布を分けるなどすると管理が楽で、強い意識づけにもなります。あるいは、すぐにコツコツ貯金する癖をつけるには、小銭は無条件に貯金する方法が手軽です。
貯金だけではなく資産運用することが重要
収入と将来の出費を比べると、どうしても貯金だけでは不安な家庭もあるでしょう。そのような場合は、資産運用が有効です。
資産運用には株、投資信託や保険など多くの方法があります。共通しているのは、早く始めるほど大きな差がつき、わずかな利回りでも効果が期待できる点です。
例として、20年間の積立を想定し、2019年8月15日現在の普通預金平均年利率である0.001%(複利)で貯金のみ行った場合と、仮に利回り1%で運用した場合とを比べたときでは、最終的に10%ほどの差がつきます。
20年間積立した場合の推移(万円)
月々積立額 | 貯金のみ ※1 | 運用した場合 ※2 |
---|---|---|
1 | 240.0 | 265.5 |
2 | 480.0 | 531.1 |
3 | 720.0 | 796.6 |
4 | 960.0 | 1,062.2 |
5 | 1,200.0 | 1,327.8 |
※注1:年利0.001%で貯金(複利計算年1回)、小数点以下は四捨五入
※注2:利回り年1%で運用(複利計算年1回)、小数点以下は四捨五入
【参考】金融庁:資産運用シミュレーション ※詳しくはこちら
金融広報中央委員会「知るぽると」:資金プランしっかりシミュレーション ※詳しくはこちら
日本銀行:預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について ※詳しくはこちら
資産運用における注意点
資産運用は、資産を増やす有効な選択肢のひとつですが、注意点もあります。
- 元本割れのリスク
- 運用コスト
価値が変動する株や不動産のような商品を扱う以上、値下がりのリスクはつきものです。できる限りこのリスクを減らすためには、分散投資を行うのもよい方法だといえるでしょう。分散投資とは、1つの投資に絞るのではなく、複数の投資に分散することによってリスクを抑えることです。
長期的に安定した利益を得られるもしくは元本保証のある国債や預金などを組み合わせることで安全度がより高まります。
【参考】三菱UFJ信託銀行:「投資の本質とは-なぜ分散投資が王道なのかを知る-」 ※詳しくはこちら
コストには、購入時の手数料や、投資信託であれば毎年定率で運用会社に支払うもの、利益への課税など様々な負担があります。高利回りの商品でも、コストが高ければ手取りが相殺されてしまうため注意が必要です。そのため、売却益や配当金、運用益などが非課税になるNISAや確定拠出年金(iDeCo)を活用するのが有効です。
【参考】三菱UFJ信託銀行:「投資信託のコストについて考えよう」 ※詳しくはこちら
家族で話し合うことは大切
資産形成は、まず家族でどのような生活を希望するのか、将来のビジョンを明確にすることが大切です。住宅、趣味、子どもの教育費など出費の項目は数多くありますが、優先順位を決めて必要な金額を明確化すると、現実的な計画作りがしやすくなります。
資産運用についてはお金のプロに相談することも重要です。家族が思い描く姿を達成するために、具体的な知恵やテクニックを補う存在として頼るのが理想的といえます。
貯金や資産運用を継続していくには、家族でお金への意識を共有するのが近道です。
まとめ
貯金をするには、まず目標を決めて、節約や運用を習慣化することが大切です。貯金1,000万円という大きな額でも、家族で意識を共有しながら、毎月コツコツと行動を積み重ねていきましょう。
ご留意事項
- 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
- 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
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