家を買うタイミングはいつ?購入者の年齢・年収や買い時の判断ポイント

家を買うタイミングは、年齢でみると30代後半〜40代前半が1つの基準です。世帯年収では、新築住宅が700万円台〜900万円台、中古住宅が600万円台です。ただし、人によって家を買うのに適切なタイミングは異なります。この記事では家を買う主なタイミングや、購入する前に考えておくべきポイントなどを解説します。

家を買うタイミングはいつ?購入者の年齢・年収や買い時の判断ポイント

家を買うタイミングは何歳の時?

家を買うタイミングは何歳の時?

まずは、年齢をもとに家を買うタイミングをみてみましょう。国土交通省の調査によると、家を初めて取得した世帯の世帯主の平均年齢は以下の通りです。

・注文住宅:39.5歳
・分譲戸建住宅:37.5歳
・分譲マンション:39.9歳
・既存(中古)戸建住宅:43.6歳
・既存(中古)マンション:43.7歳

【参考】国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」詳しくはこちら

調査結果をみると、家を購入した世帯の世帯主の年齢は、新築住宅が30代後半であるのに対し、中古住宅は40代前半という結果でした。
もっとも世帯主の年齢が若いのは分譲戸建住宅の37.5歳であり、もっとも年齢が高いのは既存(中古)マンションの43.7歳です。

ただし、30代後半〜40代前半が必ずしも家を買う最適なタイミングというわけではありません。

住宅は一般的に価格が高いため、家を買う人の多くが住宅ローンを組みます。住宅ローンの返済期間は最長35年ですが、近年では40年や50年の借り入れができる金融機関も増えてきました。
ほとんどの金融機関は「完済時の年齢が80歳以下」であることを、住宅ローンの申込条件としています。つまり、返済期間35年の住宅ローンを組めるのは、45歳までということになります。

しかし、45歳で返済期間が35年の住宅ローンを組むと、主な収入源が年金となって世帯収入が低下した老後生活においても、返済を続けなければなりません。
年齢を重ねれば重ねるほど、返済期間が長い住宅ローンを組みにくくなることも踏まえて、購入するタイミングを検討することが大切です。

家を買うタイミングは年収がいくらの時?

続いて、世帯年収から、家を購入するタイミングを考えてみましょう。国土交通省の調査によると、初めて住宅を取得した世帯の平均世帯年収は、次の通りです。

・注文住宅(全国):731万円
・注文住宅(三大都市圏):784万円
・分譲戸建住宅:722万円
・分譲マンション:923万円
・既存(中古)戸建住宅:682万円
・既存(中古)マンション:609万円

【参考】国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」詳しくはこちら

初めて家を買った世帯の世帯年収がもっとも高かったのは、分譲マンションを購入した平均年収923万円の世帯でした。これは、マンション価格の高騰が関係していると考えられます。

国土交通省の調査によると、2010年を基準とした不動産価格の推移は以下の通りです。

家を買うタイミングは年収がいくらの時?

【参考】国土交通省「不動産価格指数(令和5年8月・令和5年第2四半期分)」詳しくはこちら

マンションの価格は、2013年ごろから上昇傾向にあり、2023年8月には2010年平均の約1.9倍にまで上昇しました。一方、戸建住宅は2020年ごろから価格が上昇していますが、近ごろは落ち着いていることが見て取れます。

また、新築住宅を取得した世帯の方が、中古住宅を選んだ世帯よりも世帯年収は高い結果となりました。これについても、新築住宅の方が中古住宅よりも価格が高い傾向にあるためと考えられます。

家を買うタイミングとなるライフイベントは?

家を買うタイミングとなるライフイベントは?

結婚や出産、子供の独立といったライフイベントをきっかけに、家を買う人は少なくありません。

結婚を機に家を買う場合、夫婦共働きであれば二人分の収入を合わせて住宅ローンを申し込むことで、より多くの金額を借り入れられる可能性があります。購入時の年齢が20代後半や30代前半であれば、老後生活が始まる前にローンを完済することも可能でしょう。

出産後であれば、子供の人数に合った部屋数の家を選べます。また、子供が通う幼稚園や保育園、小学校などを先に決めて、家を買うエリアの候補を絞ることも可能です。

子供が独り立ちしたあとに家を買うのであれば、子供部屋が要らなくなった分、よりコンパクトで暮らしやすい間取りの家に住み替えができます。また、年齢を重ね足腰が弱ったあとでも生活がしやすいよう、段差や階段などが少ない家を選ぶこともできます。

家を買うタイミングは家族が何人の時?

国土交通省の調査によると、住宅を購入した世帯の平均居住人数は、以下の通りです。

・注文住宅:3.2人
・分譲戸建住宅:3.5人
・分譲マンション:2.7人
・既存(中古)戸建住宅:3.3人
・既存(中古)マンション:2.5人
・民間賃貸住宅:2.0人
・リフォーム住宅:2.0人

【参考】国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」 詳しくはこちら

平均居住人数は、注文住宅や分譲戸建住宅、既存(中古)戸建住宅が3人を超えているのに対し、分譲マンションと中古マンションは3人未満となりました。

一般的に、戸建住宅は子育て世帯に人気があるのに対し、マンションは夫婦2人世帯や単身世帯にも選ばれやすいです。そのため、戸建住宅の方がマンションよりも平均居住人数が多い結果になったと考えられます。

家を買うタイミングは貯蓄がいくらになったら?

家を買う人はいくらの貯蓄をしていたのでしょうか。国土交通省の調査によると、住宅を購入した世帯が準備した自己資金の金額と、購入資金全体に占める割合は次の通りです。

・注文住宅:941万円(20.0%)
・分譲戸建住宅:869万円(21.3%)
・分譲マンション:1,438万円(28.5%)
・既存(中古)戸建住宅:955万円(31.6%)
・既存(中古)マンション:1,302万円(44.2%)

【参考】国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」詳しくはこちら
※注文住宅は土地を購入した新築世帯(土地購入資金も含む)

調査結果をみると、戸建住宅を購入した世帯は自己資金が1,000万円未満ですが、マンションを購入した世帯は1,300万円を超えています。マンションを購入する時の方が多くの自己資金が必要な傾向にあるようです。

一方で、この金額はあくまで平均に過ぎないため、貯金額が1,000万円前後でなければ家を買えないというわけではありません。

ひと昔前は、住宅購入資金の2割程度の頭金が必要といわれていましたが、昨今は購入資金のすべてを住宅ローンで賄うことも可能です。月々の返済に問題がなく、住宅ローンの完済が見込めるのであれば、あえて自己資金を少なくして家を買うのも1つの方法です。

後悔しないために!家を買う前に考えるべきこと

後悔しないために!家を買う前に考えるべきこと

一般的に、家を購入するためには多額のお金が必要であるため、購入後に後悔することのないよう慎重に計画・検討することが大切です。ここでは、家を買う前に考えておきたいことを紹介します。

住宅購入の資金計画

家を買う時は、まず予算を決めましょう。予算を決めていなければ、物件を選ぶ際にあれもこれもと欲が出てしまい、購入金額が膨らんでしまいかねません。

特に、住宅ローンの返済は一般的に20年や30年などの長期にわたります。マイホーム購入後に住宅ローンの返済が負担となり、生活が苦しくならないよう、入念に資金計画を立てましょう。
家を買う時は、土地や建物を取得するための金額だけでなく、登記費用や仲介手数料、住宅ローンの融資事務手数料などの諸費用もかかります。

資金計画を立てることで、エリアや間取りなどの条件に優先順位を付けやすくなり、予算の範囲内で希望に合った家を探すことができるでしょう。
資金計画を立てる時は、不動産会社や金融機関、ファイナンシャル・プランナーに相談することをおすすめします。

一戸建てにするか、マンションにするか

マイホームを購入する際、戸建住宅とマンションのどちらにすべきか悩む人は少なくありません。どちらを買うか迷う時は、それぞれのメリットとデメリットをよく比較して決めるとよいでしょう。

戸建住宅 マンション
メリット ・独立性が高く生活音が隣の住居に伝わりにくい
・リフォームやリノベーションをする時に制約を受けにくい
・駐車場代や駐輪場代が不要なケースが多い
・利便性が高い傾向にある
・セキュリティが高い傾向にある
・突発的な支出が生じにくい
デメリット ・建物の維持・管理費用をすべて負担する必要がある
・セキュリティについても個別で対策が必要
・駅から遠い場所に建っているケースも多い
・管理費や修繕積立金がかかる
・上下左右の住民と生活音などのトラブルになりやすい
・ペットを飼えないマンションも少なくない

戸建住宅は独立性が高く、上下左右の住人がいるマンションと比較して、生活音のトラブルが生じにくいといえます。子供やペットなどがいれば、自由に走り回れる広さの庭がある戸建物件も魅力的でしょう。

また、管理規約での制限が多いマンションと比較して、リフォームやリノベーションによる改修がしやすい点も戸建住宅の主な魅力です。

マンションの場合、戸建住宅と比較して駅から徒歩圏内に建っていることも多く、利便性は高い傾向にあります。また、オートロックや常駐管理人など、セキュリティ性が高い物件も多いため、女性や幼い子供なども安心して暮らしやすいでしょう。

外壁や廊下などの共用部分の修繕費用は、マンションの住民(区分所有者)が毎月支払う管理費や修繕積立金で賄われます。戸建住宅よりも、まとまった金額の修繕費用は発生しにくいといえます。

戸建住宅とマンションのどちらが優れているとは一概にはいえません。それぞれの特徴を理解し、自分自身や家族のライフスタイルにあった方を選ぶことが大切です。

新築にするか、中古にするか

新築住宅と中古住宅のどちらにすべきかも、家を買う人にとっては悩ましい問題でしょう。これについても、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが重要です。

新築住宅 中古住宅
メリット ・当面のあいだは修繕費がかからない
・建物や設備が新しい
・価格が割安
・リフォームで価値や性能を高めることが可能
デメリット ・価格が高い傾向にある
・前に住んだ人がいないため生活をイメージしにくい可能性がある
・ほかの人が使用した形跡や経年劣化がある
・購入したあとすぐに修繕・メンテナンス費用がかかりやすい

新築住宅は、床・壁や設備、外観など目に見えるところだけでなく、水回りや配管、基礎や躯体についても新しいため、当面は老朽化による不具合の心配はありません。
また、間取りや外観などの設計はトレンドが反映されたものが多く、設備についても最新の機能が搭載される傾向にあります。

中古物件は、手ごろな価格で購入でき、マンション・戸建ともに物件数の選択肢が多い傾向にあります。中古物件を選択肢に含めることで、予算内で希望に合う物件が見つかりやすくなるでしょう。
加えて中古物件であれば、リフォームやリノベーションをして、間取りを変更したり外装や内装、設備などを刷新したりすることも可能です。

住環境が整っているか

家を選ぶうえでは、周辺施設や公共交通機関などの住環境も考慮することが大切です。

例えば、スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアなどが近くにあれば、食料品や日用品などを購入しやすくなります。
通勤や通学のストレスを軽減するのを目的に家を買うのであれば、最寄り駅がバス停が徒歩圏内にあるエリアを選ぶのがよいでしょう。

子育て世帯の場合は、学校や公園、病院などの施設が近くにあると便利です。
世帯のなかに、女性や幼い子供がいるのであれば、治安の良さも考慮して家を選ぶと、より安心した生活を送ることができます。

住環境というのは、家を購入したあとに変更するのが難しい要素です。家を買う目的や家族構成、年齢、ライフステージなどを踏まえ、自分自身や家族にもっとも合っている周辺環境を考えるとよいでしょう。

住宅ローンの返済計画

住宅ローンの借り入れ金額は、数千万円になるのが一般的です。途中で返済負担で生活が苦しくならないよう、住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合は、無理のない返済計画を立てることが大切です。

では、マイホームを購入した人はどのように住宅ローンを組んでいるのでしょうか。国土交通省の調査によると住宅ローンの返済期間と年間返済額の平均は、以下の通りです。

年間返済額
(カッコ内は返済負担率)
返済期間
注文住宅 174.0万円(16.4%) 32.8年
分譲戸建住宅 126.6万円(18.8%) 32.7年
分譲マンション 148.1万円(17.4%) 29.7年
既存(中古)戸建住宅 106.7万円(16.6%) 28.4年
既存(中古)マンション 101.3万円(16.6%) 28.5年

【参考】国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」 詳しくはこちら

返済負担率とは、年収に占める年間返済額のことです。一般的には、返済負担率が25%以下である借り入れが望ましいといわれていますが、調査結果をみると住宅の種類に関わらず10%台となっています。

返済期間については、新築住宅の方が中古住宅よりも長い傾向にあります。これは、新築住宅の価格が中古住宅よりも割高であることが要因の1つでしょう。

返済期間を長くすると毎月の返済負担を減らせますが、その一方で支払う利息額は高くなります。また、主な収入源が年金となったセカンドライフでも返済が必要になり、老後の家計は圧迫するかもしれません。

住宅ローンを組む場合は、家計の収支だけでなくマイホーム購入後のライフスタイルも踏まえて年間返済額や返済期間を検討し、慎重に資金計画を立てましょう。

不動産市況や経済の動向

不動産市況や景気が好調な時は、不動産価格が上昇する傾向にあります。特に、人口の増加が期待できる都市部や再開発が予定されているエリアでは、将来的に不動産価格が上昇しやすいです。

価格上昇が続くと予想されるのであれば、資産価値が上がった数年後よりも、今の方が安価で家を購入できるでしょう。家の購入を検討する時は、不動産市場や経済の動向などをチェックし、購入時期を考えることが重要です。

また、住宅ローン金利の動向によっても家の買い時は変わります。
近年の住宅ローン金利は、非常に低水準です。特に、変動金利であれば年0.3%〜年0.4%台での借り入れが可能です。固定金利については、一昨年までと比較して上昇したものの、借り入れ金利はおおむね年1.0%台後半であり、歴史的にみれば低金利といえます。

とはいえ、不動産価格や住宅ローンが今後どのように推移するのかを予測するのは簡単ではありません。また実際の住宅価格は、エリアや間取りなどさまざまな要素で異なります。
家を買うべきか判断する時は、不動産市況や経済の動向などに詳しい不動産会社や金融機関に相談するとよいでしょう。

【体験談】私が家を購入したタイミングはここ!

【体験談】私が家を購入したタイミングはここ!

マイホームは、人生でもっとも高いといわれる買い物です。家を買いたいと考えていても、なかなか決断できないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは実際にマイホームを購入した人の体験談を紹介します。

体験談①:30代前半の子育て世帯

私がマイホームの購入を決めたのは、31歳のころです。当時は賃貸マンションに家族三人で住んでいましたが、家賃の支払いがもったいないと感じており、また全国転勤の会社から転勤のない会社に転職したこともあり、持ち家を買いたいと思い探し始めました。

いくつかの物件を検討しましたが、幼い子供がいたこともあり、最終的には子育て世帯が多く住むマンションを選びました。妻の実家が車で20分の距離にあり、子育てのサポートを受けやすかったのも主な決め手です。

転職して間もなかったため、住宅ローンの審査に通るかとても不安でしたが、不動産会社が提携している地方銀行で申し込みをしたこともあり、無事承認されました。

現在では、子供がさらに一人増えて四人家族で暮らしています。今の生活にはとても満足しており本当に買ってよかったと思っていますが、間取りが3LDKですので、家族四人がより快適に暮らせるよう、将来的に住み替えをするかもしれません。

体験談②:40代後半の夫婦世帯

私たち夫婦は、40代後半でマンションを購入しました。長らく妻の両親と同居していたのですが、二人いる子供のうち長男は大学に進学し、次男も大学進学が近づいていましたので、夫婦二人で暮らすためのマンションを探すことにしました。

いろいろ探した結果、駅近にあるマンションを購入しました。間取りは3LDKであり、夫婦二人で暮らす分には十分な広さがあります。また、週末に夫婦で飲みに行くのが趣味なので、よく飲みに行くエリアに歩いていける距離にあるマンションを探しました。

マンションの購入時に住宅ローンを組みましたが、返済が始まってから10年が経ち、住宅ローン控除を受け終わったタイミングで一括返済しました。ですので、ローンの返済で老後生活が苦しくなる心配はありません。

暮らし始めてから15年ほど経ちましたが、改めて我々夫婦のライフスタイルにぴったりなマンションだなと感じています。

まとめ

家を買うタイミングに正解はありません。年齢や世帯収入、世帯の人数、貯蓄額などをもとに、自分自身や家族に合ったタイミングを考えることが重要です。

家を買う時は、住宅の種類や住環境や不動産市況など複数の項目を検討しなければなりません。また、資金計画や返済計画も慎重に立てる必要があるため、家を購入したいと思った時は、不動産会社や金融機関に相談することをおすすめします。

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