貯金は毎月いくらが理想?世帯や年代別貯金額や貯蓄の方法を解説
将来に備えるには毎月どのくらい貯金すべきなのか、そもそもみんなは毎月いくら貯金しているのか気になりませんか?これから発生するライフイベントや老後の生活費のことなどを考えて意識したい貯金。本記事では、貯金の平均額を世帯・年代・年収別などに紹介し、理想的な金額や貯金方法、有効活用したい制度についても併せて解説します。
みんな毎月いくらずつ貯金しているの?
いくら貯金すべきなのか目安を考えるとき、他の家庭はどの程度貯金しているのか、また、これから発生するであろうライフイベントや老後の生活費にいくら必要になるのかなど気になることはたくさんあります。そこで、データをもとに、貯金額の平均や理想的な貯金額について考えてみましょう。
【年代別】毎月の平均貯金額
毎月の貯金額は2万円~5万円台の範囲が多いようです。詳しく、年代や年収ごとに紹介します。
まず、年代別の平均は以下の通りです。
【年代別】毎月の平均貯金額(万円)
年代 | 2人以上世帯 | 単身世帯 |
---|---|---|
20歳代 | 5.6 | 2.5 |
30歳代 | 5.3 | 3.5 |
40歳代 | 5.0 | 3.5 |
50歳代 | 5.0 | 2.6 |
60歳代 | 2.8 | 1.5 |
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
これは、2018年「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、算出した推計額です。所得税や住民税を引いた年代別の手取金額に同じく年代別の貯蓄割合をかけた上、12ヶ月で割って算出しています。
表から、20代と比べると30代以降の貯金額が、年齢を重ねるごとに少なくなっていることがわかります。この理由として、30代以降は子供の教育費や住宅ローンの支払いで支出が増えることが考えられます。年齢を重ねるごとに貯金に回せる金額が少なくなってしまうので、できるだけ早い段階から貯金を始めることが重要だと言えるでしょう。
貯蓄の目安は「手取りの1割」と言われることもありますが、この調査によると20代は15%、30代は12~14%程度貯金に回していることが分かります。
【年代別】平均貯金総額
月々の貯蓄の次に、年代別の預金保有額は下の通りです。
【年代別】保有貯金額(万円)
年代 | 2人以上世帯 | 単身世帯 |
---|---|---|
20歳代 | 192 | 72 |
30歳代 | 367 | 172 |
40歳代 | 511 | 295 |
50歳代 | 687 | 416 |
60歳代 | 987 | 619 |
※非保有世帯を含む
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
月々の積立金額に比べるとやや少ないと感じるのは、途中のライフイベントなどで支出することがあるためです。
【年収別】毎月の平均貯金額
さらに、年収別に見た月々の貯金額はこの通りです。
【年収別】毎月の平均貯金額(万円)
年収 | 2人以上世帯 | 単身世帯 |
---|---|---|
300万円未満 | 0.7 | 1.1 |
300~500万円未満 | 2.2 | 4.5 |
500~750万円未満 | 4.8 | 9.1 |
750~1,000万円未満 | 7.6 | 15.9 |
1,000~1,200万円未満 | 11.8 | 16.4 |
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
前述の「【年代別】毎月の平均貯金額」表と同じく、2018年「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、同じ計算式で算出した推計額です。
同じ年収の場合、単身世帯の方が出費が抑えられるためか、毎月の貯金額は2人以上世帯の2倍程度になっています。
【年収別】平均貯金総額
年収別の貯金保有額は以下の通りです。
【年収別】保有貯金額(万円)
年収 | 2人以上世帯 | 単身世帯 |
---|---|---|
300万円未満 | 514 | 209 |
300~500万円未満 | 757 | 321 |
500~750万円未満 | 839 | 750 |
750~1,000万円未満 | 970 | 1,279 |
1,000~1,200万円未満 | 1,328 | 1,013 |
※非保有世帯を含む
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
【参考】金融広報中央委員会「知るぽると」:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成30年)」 ※詳しくはこちら
月々の貯金額とは対照的に、2人以上世帯の方がやや多い結果になっています。
理想的な貯金額はいくら?
理想的な貯金額の例として、「老後は3,000万円必要」などと聞くことがあります。また、2019年は金融庁の「老後は貯金2,000万円が必要」との報告書が注目されました。40歳から65歳までに3,000万円を貯めるには、退職金が仮に2,000万円だとしても、別に毎月3.3万円の貯金が必要です。
「毎月3.3万円であれば貯めることができるのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、人生には費用のかかるライフイベントが多いため、貯めるのは簡単ではありません。具体的にどのくらいの費用がライフイベントにかかるか詳しく見ていきましょう。
ライフイベントにかかる具体的な出費
ライフイベントにかかる出費のうち、具体的に大きな項目を挙げると以下のとおりです。
【参考】住宅金融支援機構:「フラット35利用者調査」 ※詳しくはこちら
【参考】ブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査 2017」 ※詳しくはこちら
【参考】公益社団法人 国民健康保険中央会:「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」 ※詳しくはこちら
【参考】文部科学省:「平成28年度子供の学習費調査の結果について」 ※詳しくはこちら
【参考】文部科学省:「国公私立大学の授業料等の推移」(2019年度) ※詳しくはこちら
【参考】総務省「e-Stat」:「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 年報」(2018年) ※詳しくはこちら
ここで挙げた住宅購入費用は、マンションや注文住宅よりも安い建売住宅の全国平均値で、教育資金は1人の子供を幼保育園から大学まで国公立に通わせた場合のため、ケースによってはより多く必要でしょう。
老後の高齢無職夫婦世帯の支出は1ヶ月あたり約26万円です。例えば、夫の厚生年金と妻の国民年金の平均を加算すると受給額が約20万円となり、毎月6万円が不足します。65歳から85歳までの20年間を元気に過ごしたとすると約1,440万円足りません。
【参考】厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ※詳しくはこちら
【参考】日本FP協会「主なライフイベントにかかる費用の目安」 ※詳しくはこちら
他にも以下のようなケースには出費が増えるので、備えが必要です。
生活スタイルによって必要な貯金額は変わりますが、不測の出費にも備えつつ、40歳から65歳まで貯金1,000万円を目安と考えると、やはり月々約3万円以上の貯金は妥当と言えそうです。
貯金の方法を身につける
お金を貯めるには、正しい方法を身につけて、意識的に行動することが大切です。貯金のための具体的な方法やコツについて紹介します。
貯金の方法・現在の状況を理解する
貯金をするためには、まずは自分がどのような状況にあるのかを知ることが大切です。現在の貯金、あるいはローンなどの負債額と、月々の収支を整理してみましょう。
現在の家計状況は主にこのようなポイントに注目します。
この際、残高がある休眠口座が発見できたり、解約しても問題ない、昔に加入した保険に気づいたりするかもしれません。月々の出費管理は、自分の消費習慣を見つめ直す機会として大切です。貯金の計画を立てるときにも役立ちます。
貯金の方法・無駄遣いしない
貯金をするには、稼ぐことと同じように節約が大切です。無駄遣いは探せばひとつは見つかるものです。家計の現状を見つめ直す際には、項目ごとに注意してみましょう。
通信料金は安いキャリアを、電気はお得な「新電力」や「セット割」などを調べてみると年間数万円もの節約につながることがあります。日常的に外食や中食(コンビニ弁当の持ち帰りなど)をする習慣があると、1カ月で数万円にもなります。見えない無駄遣いを探してみましょう。
【参考】 J:COM:「電力セット割」 ※詳しくはこちら
貯金しなければならないシステム作り
確実に貯金をするには、強制的な仕組みを作ることも有効です。例えば、目標のために月々2万円の貯金が必要だとすれば、給料日に自動的にその分を専用口座に移動するようにし、無かったものとして生活します。
無理なく節約に成功できるかもしれませんし、仮に足りなくて困るような場合は、やりくりの方法を真剣に考えるため、収入アップなどこれまで思いつかなかったアイデアで貯金を増やすことにつながるかもしれません。
毎月の貯金額を増やすための有利な制度を使う
毎月の貯金額を増やすことに役立つ制度がいくつかあります。
ふるさと納税は、自治体に寄付を行った金額のうち、自己負担2,000円を超える分に関して所得税と住民税が控除され、返礼品を受け取れることもある制度です。所得額が大きい世帯ほど控除の上限が大きいため、利用するメリットが増えます。
【参考】総務省ふるさと納税ポータルサイト:「ふるさと納税のしくみ-税金の控除について」 ※詳しくはこちら
個人型確定拠出年金は、掛け金が所得控除、利息・運用益が非課税、受取時も税制優遇される制度です。支払うべき税額が抑えられ、毎月決まった金額を拠出するため、長期的な運用に適しています。
【参考】国民年金基金連合会イデコ公式サイト:「イデコってなに」 ※詳しくはこちら
その他、医療費は最大200万円、生命保険料は最大4万円、地震保険料は最大5万円まで所得控除を受けることが可能です。
【参考】国税庁:「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 ※詳しくはこちら
【参考】国税庁:「No.1140 生命保険料控除」 ※詳しくはこちら
【参考】国税庁:「No.1145 地震保険料控除」 ※詳しくはこちら
まとめ
老後の生活費は約3,000万円と言われていますが、退職金が2,000万円程度支払われることを考えると、実際に不足するのは1,000万円程度です。しかし、1,000万円あれば十分足りるというわけではなく、生活スタイルや世帯人数によってはさらに増えるケースもあるので注意が必要です。
将来に備えるためには、早いうちに貯金の習慣を作ることが大切です。これから始めるという方は、まずは自分が何のためにどれくらい貯めたいのか、貯金の目的を明確化することからスタートしてみてはいかがでしょうか。
ご留意事項
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