老後資金の賢い貯め方5選!金融商品選びのポイントとは?

「人生100年」ともいわれる時代。長い老後生活を自分らしく心豊かに過ごすためには、ある程度の貯蓄が必要です。そこで、今回は効率的に老後資金を貯める方法を5つピックアップして紹介します。

老後資金の賢い貯め方5選!金融商品選びのポイントとは?

年金だけは不十分?高齢夫婦二人世帯の平均生活費は約24万円

年金だけは不十分?高齢夫婦二人世帯の平均生活費は約24万円

まずは、老後の生活にどのくらいの生活費がかかるのかをみていきましょう。総務省が発表した「家計調査年報2018年」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)の1ヶ月当たりの可処分所得は、19万3,743円。これに対して生活費(平均消費支出)は23万5,615円となっており、年金を受給しても毎月平均で約4万円が不足する計算になります。

高齢夫婦無職世帯の消費支出の内訳

支出項目平均支出額/月
食費6万5,319円
住居1万3,625円
光熱・水道1万9,905円
家具・家事用品9,385円
被服及び履物6,171円
保健医療1万5,181円
交通・通信2万8,071円
教育2円
教養娯楽2万4,239円
その他5万3,717円
23万5,615円

【参考】総務省「家計調査報告書(家計収支編)2018」 詳しくはこちら

一方、一人暮らしの高齢単身無職世帯(60歳以上)についても、1ヶ月当たりの可処分所得は11万933円、生活費(平均消費支出)は14万9,603円と、こちらも毎月平均で約4万の赤字が出ていることになります。

高齢単身無職世帯の消費支出の内訳

支出項目平均支出額/月
食費3万6,378円
住居1万8,268円
光熱・水道1万3,109円
家具・家事用品4,780円
被服及び履物3,766円
保健医療8,286円
交通・通信1万4,405円
教育0円
教養娯楽1万7,082円
その他3万3,528円
14万9,603円

【参考】総務省「家計調査報告書(家計収支編)2018」 詳しくはこちら

もちろん、上記は平均値なので高齢無職世帯がすべて赤字ということではありませんが、毎月の生活費が足りずに、貯金を切り崩して生活している世帯も多いことが伺い知れます。ゆとりある老後を楽しむには、公的年金のみを当てにせず、ある程度の老後資金を貯めておくことが不可欠といえるでしょう。

公的年金以外にどのくらいの資金があれば足りるのかは、持ち家の有無やローンの有無、扶養家族の有無、世帯主やその家族の健康状態等によって異なるので、一概にはいえません。上に示した高齢無職世帯の消費支出の内訳を参考に、自分の老後の収支を予測して必要な資金の目安を算出し、それに応じた貯蓄目標を立てましょう。

とはいえ、今のような低金利時代では、単に普通預金口座に貯金するだけでは、効率的ではありません。ここからは、より効率的に老後資金を貯める方法を5つ紹介します。

老後資金おすすめ貯蓄法①「iDeCo」

老後資金おすすめ貯蓄法①「iDeCo」

「iDeCo(イデコ)」は、確定拠出年金法に基づいて運営されている私的年金制度で、自分で決めた額を毎月積み立てながら、その掛金を運用することによって、老後のための資産形成を目指すものです。20歳以上60歳未満で一定の加入条件を満たせば、任意で加入することができ、月々の掛金は5,000円から。5,000円を超える分は1,000円単位で決めることができ、年に1回に限って掛金額の変更もできます。掛金を使って運用する商品は候補の商品の中から自分で選び、60~70歳の間に、自分の選んだ方式(一時金方式または年金方式)で老齢給付金を受け取ることができます。自分の意思で運用商品を決められる自由がある一方で、運用リスクについても自己責任となるので、ある程度、金融商品についての知識がある人、もしくは金融商品に興味をもって自主的に比較検討できるタイプの人に向いています。

<主なメリット>
・掛金が全額所得控除の対象になる
掛金が全額所得控除されるので課税所得が減り、所得税・住民税が軽減されます。

・運用益が非課税で再投資される
一般的に金融商品の運用益には源泉分離課税20.315%が課されますが、iDeCoの運用益については非課税とされています。なお、積立金には別途1.173%の特別法人税がかかることになっていますが、iDeCoの掛金については課税凍結処置がとられています(2019年12月現在)。

・受取時にも税制優遇を受けられる
60歳以降に老齢給付金を受け取る際に、一時金方式で受け取る場合は「退職所得控除」、年金方式で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、一定金額までは非課税となります。

<主なデメリット>
・原則60歳以降まで引き出せない
一定の条件を満たさない限り、60歳になるまでは掛金や運用益などを引き出すことができません。
 
・掛金の上限が決まっている
加入者の属性によって掛金の上限が決まっており、例えば自営業者は月額6万8,000円まで拠出できますが、専業主婦は月額2万3,000円、勤務先の企業型確定拠出年金に加入している人は月額2万円までしか拠出できません。

・元本割れのリスクがある
iDeCoは加入者本人が掛金を運用する金融商品を選びます。元本保証でない商品を選んだ場合は、その運用成績によっては、元本割れのリスクもあります。商品選びの際にはプロのアドバイスを受けることができますが、本人にも金融商品についてある程度の知識が必要です。

・誰でも加入できるわけではない
iDeCoの加入には一定の条件があり、下記に当てはまる人は加入できません。
 -20歳未満、60歳以上の人
 -国民年金保険料を支払っていない人(免除されている人を含む)
 -海外在住の人
 -勤務先で加入している企業型確定拠出年金の規約でiDeCo加入が禁じられている人
 -農業者年金に加入している人

【参考】iDeCo公式サイト 詳しくはこちら

老後資金おすすめ貯蓄法②「つみたてNISA」

「つみたてNISA(ニーサ)」は、長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために、2018年1月に創設された税制優遇制度です。満20歳以上の人なら、「つみたてNISA」の取り扱いがある金融機関で専用口座を開設すれば、原則として誰でも毎年40万円まで非課税で投資することが可能です。

月々の最低積立額は金融機関によって異なりますが、月額100円から積み立てられるものもあり、「投資がしてみたいけど、まとまった資金がない」という人にも始めやすいといえるでしょう。つみたてNISAの投資対象は金融庁の基準をクリアした一部の投資信託のみに限定されており、上場株式やREIT(不動産投資信託)は対象外ですが、それでもやはり運用リスクがあることには注意が必要です。

<主なメリット>
・年間40万円まで非課税で投資信託が購入可能
年間40万円の非課税枠で20年間、計800万円分の投資信託が非課税で購入できます。ただし、年間の非課税枠が残った場合、翌年以降に繰越はできません。

・投資信託の運用益が非課税
つみたてNISA口座で保有している投資信託による運用益(分配金や譲渡益)は、原則として非課税です。

・いつでも引き出すことができる
原則的に60歳になるまで引き出せないiDeCoと違い、つみたてNISAはいつでも運用資金を引き出すことができます。

<主なデメリット>
・元本割れのリスクがある
運用対象が投資信託なので運用リスクがあり、元本割れの可能性もあります。

・損益通算ができない
つみたてNISA口座で保有している投資信託が値下がりするなどして損失が出た場合でも、他の口座(一般口座や特定口座)で保有している金融商品によって得た利益との相殺(損益通算)はできません。

・投資対象の金融商品が限定的
つみたてNISAで投資できる投資信託は計166本に限られています(2019年10月1日現在)。種類が限定されている分、選びやすいというメリットもありますが、希望する投資信託に投資できないということもあります。

【参考】金融庁ホームページ「つみたてNISAの概要」 詳しくはこちら

老後資金おすすめ貯蓄法③「投資信託」

老後資金おすすめ貯蓄法③「投資信託」

投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を専門家が株式や債券などに投資・運用し、その運用益を投資額に応じて個々の投資家に分配する仕組みの金融商品です。株式や債券への投資と違い、1万円程度の少ない資金で始められること、投資対象の選定や運用を専門家に任せられることから、初心者にも始めやすい投資方法として人気があります。ただし、金融商品である以上、投資信託にも運用リスクがあり、中にはハイリスク・ハイリターンのものもあることに注意が必要です。

<主なメリット>
・少ない資金で購入できる
1万円程度の自己資金で気軽に始めることができます。

・分散投資ができる
投資信託は、集めた資金を株式や債券などさまざまな資産に分散投資しているので、その分、リスクも分散されます。

・専門家が運用を行ってくれる
金融市場や経済状況に精通した専門家が、投資家本人にかわって運用を行います。

・選択肢が広い
投資対象の投資信託が限定されているiDeCoや「つみたてNISA」よりも幅広い選択肢から、希望する投資信託を選ぶことができます。

<主なデメリット>
・元本割れリスクがある
投資対象が株式や債券なので、当然運用リスクがあり、元本割れリスクもゼロではありません。

・手数料がかかる
投資信託の売買には、「購入手数料」(購入時にかかる手数料)、「運用管理費用」(運用管理に必要な手数料)、「信託財産留保金(投資信託を換金する時にかかる費用)」が必要です。

・節税効果が低い
投資信託で得られた運用益(分配金、譲渡益)には、年20.315%の所得税が課されます。つみたてNISAのような非課税枠はありません。

【参考】一般社団法人投資信託協会ホームページ 詳しくはこちら

老後資金おすすめ貯蓄法④「個人向け国債」

「国債」とは国が発行している債券のことで、「個人向け国債」は個人でも購入しやすい形にした国債のことを指します。国債を購入するということは、つまり、国に一定期間、貸付するということです。

国債の種類は、金利変動型・1種類と固定金利型・2種類の計3種類で、いずれも銀行や証券会社などの金融機関で購入することができます。金利変動型・固定金利型に関わらず、年率0.05%の最低金利が保証されている上、満期時には最初に投資したお金が目減りすることなく戻ってくる元本保証があるので、「なるべくリスクを取らずに、着実にお金を増やしたい」というタイプの人に人気があります。

<主なメリット>
・元本が保証されている
経済環境等により実勢金利が変動しても、元本部分の価格は変動しません。満期時には元本が満額返還されます。

・普通預金より金利が高い
実勢金利が下落した場合でも、0.05%(年率)の最低金利が保証されています。

<主なデメリット>
・途中で引き出しにくい
個人向け国債は、発行後1年間は換金できません。1年経過後は1万円単位での中途換金ができるようになります。

・投資商品としては金利が低い
個人向け国債に保証されている最低金利0.05%は、投資商品としては低金利で、投資信託等に比べると投資効率は低くなります。

【参考】財務省ホームページ「個人向け国債」 詳しくはこちら

老後資金おすすめ貯蓄法⑤「財形年金貯蓄」

財形貯蓄は、毎月の給与やボーナスからの天引きで行う貯蓄制度で、「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があります。天引きされた給与やボーナスは、提携先の財形貯蓄取り扱い金融機関で積み立てられます。

財形貯蓄のうち「財形年金貯蓄」は、老後資金を目的とした財形貯蓄で、積み立てた貯蓄は、60歳以降に年金として受け取ることができます。天引きなので着実に貯めることができる上、非課税措置が受けられるメリットもあるので、公的年金とは別の「自分年金」を確保したい人におすすめです。ただし、利用できるのは勤務先の企業が財形年金制度を採用している場合のみです。

<主なメリット>
・着実に貯めることができる
給与から天引きされるので、特に何もしなくても着実に積み立てることができます。

・利子等に非課税措置を受けることができる
預貯金などは、元本(預入額+元加利息)550万円まで利子等非課税、生命保険の保険料などは、払込額385万円まで利子差益非課税になります。

<主なデメリット>
・年金以外の目的で払い出すと制限が課される
年金以外の払い出しを行うと、要件違反で非課税措置がなくなり、残額は「財形年金貯蓄」と認められなくなります。

・年齢制限がある
財形年金貯蓄を利用できるのは、満55歳未満の勤労者で他に財形年金契約をしていない人に限られています(「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」との併用は可能)。

【参考】独立行政法人勤労者退職金共済機構 勤労者財形事業本部 詳しくはこちら

貯蓄+αでより豊かな老後を

貯蓄+αでより豊かな老後を

効率よく老後資金を貯めるのにおすすめの方法を5つ、紹介しました。「これならできそう」「やってみたい」と思うものがあったら、まずは金融機関の担当者や金融の専門家に相談してみましょう。
また、貯蓄だけでは不安な人は、公的年金以外に老後の収入源を確保しておくと安心です。特技を活かした起業や定年後再雇用なども視野に入れて、現役時代から準備しておきましょう。

まとめ

高齢夫婦の二人暮らしでは1ヶ月に平均して約24万円、一人暮らしでも平均約15万円が必要です。ゆとりある老後を過ごすためには、若いうちから貯蓄をし、老後資金を貯めておくことが大切です。今回は効率よく貯蓄をする方法としてiDeCo、つみたてNISA、投資信託、個人向け国債、財形年金貯蓄の5つを紹介しましたが、どの方法にもメリット・デメリットがあります。ファイナンシャル・プランナーなどの意見も参考にしつつ、どの方法が一番自分のライフステージやライフスタイルに適しているのかを見極めましょう。

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