教育資金贈与の非課税制度の改正内容とは?特例の注意点もご紹介

2021年(令和3年)、教育資金の贈与についてどのような法改正が行われたのでしょう。本記事では法改正の内容と、相続税が発生しない特例が認められる要件について解説します。子供や孫へ教育資金を贈与したいと考えている方は、贈与税・相続税について理解を深めましょう。

教育資金贈与の非課税制度の改正内容とは?特例の注意点もご紹介

教育資金の贈与とは?

教育資金の贈与とは?

教育資金の贈与とは、祖父母や親といった直系尊属が、30歳に満たない孫や子どもへ教育のために使う資金を贈ることです。ここでいう「教育資金」には、下記のように幅広い使途が該当します。

【教育資金の代表例】
学校に直接支払うもの:入学に係る費用、教科書代、給食費、修学旅行の旅費など
学校以外の教育活動に必要なもの:学習塾、スポーツ、文化・芸術活動などの習い事に関する費用
その他:通学のための定期券代や留学する際の渡航費など

通常、扶養者である親が被扶養者である子供の教育費を払う場合は贈与税が発生しません。しかし、例えば祖父母が生前贈与の一環として、孫へ将来的に必要となる教育資金をまとめて贈りたいというニーズも存在するでしょう。この場合、通常の税制に則れば、多額の資金を贈与することで贈与税が発生してしまうため、子や孫への援助がしにくくなってしまうのです。

教育資金の一括贈与にかかる非課税措置

政府は、教育的意義や経済の活性化などを目的として、2013年度(平成25年度)に教育資金の贈与に関する法改正を実施しました。この法改正によって、金融機関との教育資金管理契約に基づいて資金を拠出する場合に限り、最大1,500万円(習い事などの場合は最大500万円)まで、贈与税を負担せずに多額の教育資金を授受することが可能になりました。これを「教育資金の一括贈与にかかる非課税措置」といいます。

教育資金贈与の特例適用期間が2年延長

教育資金贈与の特例適用期間が2年延長

教育資金贈与の非課税措置は、2013年度(平成25年度)の税制改正において導入された時限的な特例措置で、当初の適用期間は2021年(令和3年)3月31日までとなっていました。
しかし、2021年(令和3年)の法改正によって、この期限は2年延長され、2023年(令和5年)3月31日までが新たな適用期間となっています。

教育資金贈与の改正内容

教育資金贈与の改正内容

2021年(令和3年度)の法改正では、特例適応期間以外にもいくつか変更点があります。
ここで3つの変更内容についてそれぞれ説明していきます。

【贈与者死亡時の相続税について】

今回の改正では、贈与された資金が全部使われないうちに贈与者が死亡した場合の相続税の扱いが変更されました。例えば、祖父が孫へ教育資金として1,000万円を贈与したとします。贈与されてから3年間かけて孫が300万円を使用した時、祖父が他界してしまいました。この場合、残りの700万円には相続税がかかるのです。

2021年(令和3年)の改正前は、教育資金の贈与が3年以上経っている場合には、使わず残っている教育資金が課税対象になることはありませんでした。しかし、改正後は、教育資金の贈与から何十年と経っていようとも、贈与者が死亡した時点で残っている資金は相続金となり、相続税の対象になります。

ただし、受贈者が23歳未満である場合や在学中の身である場合など、相続税の対象とならないケースもあります。こちらの内容については、後述しますので、確認しておいてください。
このように、教育資金贈与の非課税措置については、受贈者の年齢や状況により相続税の対象となるケースも存在しますので、節税対策として活用する際には、十分な検討が必要になるでしょう。

【孫・ひ孫が受贈者の場合について】

これまで、孫やひ孫が受贈者の場合に贈与者が亡くなっても相続税が加算されることはありませんでした。しかし、2021年(令和3年)4月1日以降は、孫やひ孫が受贈者の場合に贈与者が亡くなった時は、教育資金の残額にかかる相続税額が2割加算されてしまいます。

単純計算をすると、孫やひ孫に教育資金を贈与し、その資金が残っている間に贈与者が死亡した場合、改正前と比較して相続税額が2割上がることになります。

【教育資金の範囲拡大】

今回の改正では、教育資金に該当する範囲も拡大されました。
都道府県知事などから一定の基準を満たしていることが認められた認可外保育施設に支払われる保育料などについても、教育資金の範囲に追加されています。

教育資金贈与の対象について

今回の改正により、相続税の非課税・課税対象が変更されています。教育資金の贈与を検討している場合は、それぞれがどのように規定されているのか押さえておくことをおすすめします。ここでは非課税・課税対象について説明していきます。

教育資金贈与の非課税対象

税制改正によって、贈与者が死亡すると贈与された教育資金の残額が相続税の課税対象となることについては既に触れました。一方、下記のいずれかの条件に当てはまる場合は非課税となり、相続税は発生しません。

・受贈者が23歳未満である
・受贈者が学校等に在学中
・受贈者が教育訓練給付金の支給対象に該当する教育訓練(職業訓練)を受けている

教育資金贈与の課税対象

以下に該当する場合、金融機関との教育資金管理契約が終了となり、贈与された教育資金の残額が課税対象になります。

・贈与資金が残っているうちに贈与者が死亡した時
・受贈者が30歳に達した時(受贈者が学校等に在籍している場合などは、最高40歳に達した時)
・受贈者が死亡した時

なお、30歳以上の受贈者は、教育資金管理契約を結んでいる銀行に学校等の在籍証明や、教育訓練給付金の支給対象である教育訓練を受けている証明を提出する必要があります。また、教育資金の管理口座の残高が0になった時点で銀行との教育資金管理契約が終了します。

改正後の教育資金贈与がおすすめな人

改正後の教育資金贈与がおすすめな人

法改正の内容を確認すると、「孫に教育資金の贈与をした方がよいのだろうか」や「後々相続税など負担を与えることになるのでは?」と不安に感じるかもしれません。ここでは教育資金の贈与をおすすめしたい人についてポイントを挙げます。

まず、子や孫といった受贈者が低年齢のうちに贈与できる人です。贈与資金の消化中に贈与者が死亡した場合でも、受贈者が23歳未満ならば相続税は発生しません。
また、贈与者が健在であり続けた場合であっても、受贈者が30歳に達した時(受贈者が学校等に在籍している場合などは、最高40歳に達した時)には教育資金は課税対象になります。それゆえ、長期間に渡って贈与資金を非課税対象とするには、受贈者が低年齢のうちの贈与が有効と考えられるでしょう。

そして、受贈者の入学や進級、留学のための費用など、短期間のうちにまとまった教育資金の消費が見込まれる時期に合わせて贈与が可能な場合もおすすめでしょう。
数年以内で贈与額を使い切れる算段がある場合、贈与者が途中で死亡し相続税を負担するリスクなどを減らすことができるためです。

まとめ

教育資金の贈与は、2021年(令和3年)に税制改正が行われ、贈与者の死亡によって相続税が課税される範囲が拡大しました。孫・ひ孫が受贈者である場合は、相続税が2割加算されることとなっています。

一括贈与による非課税制度を利用したいと考えている場合は、法改正の内容や起こり得る相続税負担の可能性も考慮しながら、なるべく受贈者が低年齢のうちに進めておいた方がよいでしょう。

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