貯金・保険・積立…あなたに合った教育資金の貯め方は?

子供が誕生すると親としての喜びにあふれ、わが子の表情やしぐさ、日々の成長に心を奪われる毎日が続くことでしょう。同時に、ライフプランにおいては、その先にかかってくる子供の教育資金を準備することが必要になります。本稿では、あなたに合った教育資金の貯め方・金融商品の選び方について考えてみます。

貯金・保険・積立…あなたに合った教育資金の貯め方は?

まずはここから!教育資金はどれくらい必要になる?

まずはここから!教育資金はどれくらい必要になる?

以下の2つの表は、教育資金の総額を示したものです。教育費は通う教育機関が公立か私立かで費用が大きく異なります。

表1:大学のみ私立に通学

通学する教育機関費用
公立幼稚園(3年)30.9万円(※1)
公立小学校(6年)192.8万円
公立中学校(3年)146.5万円
公立高校(3年)137.2万円
私立大学(4年)461.6万円
合 計(19年)968.7万円

表2:すべて私立に通学

通学する教育機関費用
私立幼稚園(3年)59.0万円(※1)
私立小学校(6年)959.2万円
私立中学校(3年)421.9万円
私立高校(3年)225.6万円(※2)
私立大学(4年)461.6万円
合 計(19年)2,127.3万円

※文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」、「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査」をもとに作成
(※1)幼稚園については、学校外活動費・学校給食費を有償、学校教育費を無償として3年保育で試算。
(※2)高校については、2020年4月からの高等学校等就学支援金の引き上げ額が最も大きい場合で試算。


表にはありませんが、保育園に通わせる世帯では、その資金の準備が必要です。費用の平均は、3歳未満は年間25.4万円、3歳以上は無償化により0万円(認可外保育園は月3.7万円まで無償)で、6年間の合計は76.2万円です(厚生労働省「平成27年 地域児童福祉事業等調査結果の概況」)。

※住民税非課税世帯の3歳未満については、認可保育園は無償、認可外保育園は月4.2万円まで無償。

ここで、ライフプランにおける教育資金の特徴について考えてみましょう。教育資金は、教育機関に通うことになったら都度納付時期が指定され、長期間継続してかかります。計画的な準備が必要な資金です。

教育資金を準備する時期には、住宅ローンの返済や老後資金の準備、親の介護などのいずれかと重複します。教育資金の準備が遅れると、他の資金の準備にも支障をきたします。無理なく目標となる教育資金を準備するためには、1回あたりの積立額ができるだけ少なくなるよう、早めに開始しておきましょう。

前述のように、教育資金はケースによって金額が大きく異なります。公立への進学を希望していても私立に進学する、部活動で高額な用具代がかかる、自宅外からの通学で住居費などの仕送りが発生するなど、想定外の費用がかかることもあります。

教育費の総額は大きいですが、小学校に入学するまでにすべて準備する必要はありません。例えば、小学校入学までに中学までの資金、高校入学までに高校の資金、大学入学までに大学の資金、などのようなスケジュールで準備すると少し気が楽になります。

教育資金を貯める選択肢

教育資金を貯める選択肢

子供の教育資金を貯める方法としては、「預貯金」「保険」「投資」などがあります。それぞれ見ていきましょう。

預貯金

金融機関が経営破綻した場合でも元本1,000万円とその利息までは保護される安全性が高い商品です。また、普通預金口座から教育機関に直接振り込みをできるので便利です。「普通預金口座に入れておくと、つい使ってしまう」という人は、定期預金を合わせた総合口座とし、毎月定期預金に振り替えるサービスを活用するとよいでしょう。
勤務先に財形貯蓄の制度があれば、給与天引きで着実に積み立てることができます。

預貯金は、元本割れをしたくない、着実に積み立てたいという人には向いています。ただし現状の超低金利の状況では、運用収益を期待することはできないため、将来の教育資金の値上がりへの対応は難しいかもしれません。

保険

保険

「学資保険」「こども保険」が代表的です。入学時期に合わせて祝金、満期時に満期保険金が支払われます。親などの契約者が死亡したときに以降の保険料が免除となるほか、契約者が死亡したときに保険金が支払われる特約を付けることができるのが特徴です。

昨今の低金利で利回りが低く、支払った保険料に対して祝金・満期保険金が上回る金額は小さくなりつつあります。そのため、最近では外貨建ての終身保険や個人年金を活用して積み立て、将来解約返戻金を利用して学資に充当するなどの使い方もされています。

外貨を活用した商品では、円と外貨の為替レートの変動により、円ベースでの解約返戻金が増減するリスクがあります。

保険は、契約する生命保険会社が経営破綻した場合、原則として責任準備金(将来の保険金等の支払いのための財源として積み立てる準備金)の90%保護される安全性の高い金融商品です。
しかし、預金のように元本が保証されているものではありません。親が死亡したときでも教育資金が準備でき、資産の安全性を確保しながら教育資金の準備をしたい人に向いた商品です。

保険商品を活用するメリットとして、支払った保険料により所得から一定額が差し引かれ、所得税・住民税の軽減が可能となります(生命保険料控除)。

投資

生後間もなく、その子が大学に進学・卒業することを想定して資金の準備を始める場合、運用期間は22年あります。投資系の金融商品を活用して、長期の運用でリターンを狙うことを選択肢のひとつと考える人もいるのではないでしょうか。

価格変動リスク、為替リスクなどさまざまなリスクがありますが、活用する金融商品によっては、将来教育資金が上昇するインフレリスクに対応することができます。NISA関連の制度を活用すれば、運用収益に課税されないメリットもあります。

積極的に運用する志向がある人のうち、共働き世帯や、その時点で一定の金融資産を持っているなど資金に余裕のある人に向いた方法です。

教育資金を貯める際の留意点

3. 教育資金を貯める際の留意点

教育資金を貯める際の注意点を紹介します。

流動性を確保する

学費などを教育機関に支払う場合、通常期限が定められています。したがって、流動性のある、つまり現金化しやすい金融商品である必要があります。保険や投資信託を活用する場合でも、直近で支払うべき教育資金は普通預金に準備しておきましょう。

投資商品を検討する場合

前述のように投資による教育資金の準備を行う場合、個別の株式ではなく投資信託を活用する、投資する資産が異なる複数の投資信託を組み合わせる、購入する時期を集中させず毎月積み立てる、などのように、「分散」をキーワードにリスクを回避したいところです。
また、金融商品の安全性・流動性を十分に確保しながら、投資商品を活用することも肝要です。

まとめ

子供が誕生した直後に明確に教育のコースや進学先を決定することはできません。しかし、親としてできることは、支払の直前になってあわてたり、進路の変更が生じても影響が生じたりしないように、教育資金をしっかり準備することです。1日でも早く準備を始めましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
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