【10/19は相続税を考える日】相続税がいくらかかるか知っていますか?

遺産を相続したとしても、必ず相続税がかかるわけではありません。今回は、相続財産がいくらから相続税がかかるのかを知りたい方に向けて、基礎控除の計算方法や特例制度を分かりやすく解説します。遺産の総額が相続税の「基礎控除額」を下回る場合や特例制度や税額控除を適用することで相続税がかからなくなることもあります。

【10/19は相続税を考える日】相続税がいくらかかるか知っていますか?

相続税がかかる基準は基礎控除額の最低金額「3,600万円」

相続税がかかる基準は基礎控除額の最低金額「3,600万円」

各相続人が相続した遺産の評価額をすべて足し合わせた金額が「基礎控除額」を下回っていれば、相続税がかかりません。

基礎控除額は、最低3,600万円です。そのため、相続した遺産の合計金額が3,600万円を下回っていれば相続税の納税は不要ということです。遺産総額が基礎控除額を下回っていれば、相続税の申告手続きも必要ありません。

また、最低3,600万円の基礎控除額ですが、法定相続人の数が増えれば増えるほど高くなっていきます。法定相続人とは、亡くなった人の遺産を相続する権利があると民法で定められている人のことです。

基礎控除額の計算方法

相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人)」で計算をします。

例えば、法定相続人が配偶者、長男、長女、次女の四人である場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×四人)=5,400万円」です。

そのため、四人の法定相続人が相続した遺産の合計金額が5,400万円以下であれば、相続税の申告と納税手続きは不要です。

基礎控除以外の相続税の特例や税額控除

基礎控除以外の相続税の特例や税額控除

遺産の合計金額が基礎控除額を上回っていたとしても、特例制度や税額控除を適用することで、相続税の納税が不要となる場合があります。
相続税の負担を軽減できる代表的な特例制度や税額控除は、以下のとおりです。

・小規模宅地等の特例
・配偶者の税額軽減
・未成年者の税額控除
・障害者の税額控除
・相次相続控除
・相続税の外国税額控除
・相続時精算課税分の贈与税額控除

それぞれの制度をみていきましょう。

小規模宅地等の評価減の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた建物や事業用のマンション・アパート等が建っていた土地を相続した時に、所定の要件を満たすと利用できる制度のことです。
この特例を適用できると、相続税を計算する時の土地部分の評価額が一定の限度面積まで最大80%減額されます。土地部分の評価額が割り引かれることで、相続税の負担が軽減されます。

相続税評価額の減額割合と限度面積は、以下のとおりです。

減額割合 限度面積
特定居住用宅地等
(故人が居住用に使っていた土地)
80% 330㎡
特定事業用宅地等
(個人が事業用に使っていた土地)
80% 400㎡
特定同族会社事業用宅地等
(同族会社の事業用に使用されていた土地)
80% 400㎡
貸付事業用宅地等
(故人がアパートやマンション等を経営していた土地)
50% 200㎡

例えば、被相続人が住んでいた建物が建っている土地を相続したとしましょう。敷地面積は300㎡、評価額が5,000万円とします。この土地を相続した時に小規模宅地等の特例を適用できると、評価額が最大で80%減額されて「5,000万円×20%=1,000万円」となります。

小規模宅地等の特例を適用した結果、土地を含む遺産の評価額が基礎控除額を下回ったのであれば、相続税はかかりません。
小規模宅地等の特例を適用するためには、相続税の申告が必要です。特例を適用した結果、相続税額が0円となる場合でも、必ず申告をしなければなりません。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈(遺言で特定の誰かに財産を送ること)によって遺産を取得した時に相続税の負担を軽減する制度です。
配偶者の税額軽減を適用できると、配偶者が取得した正味の遺産額が以下のどちらか大きい金額まで、配偶者の相続税がかからなくなります。

・1億6,000万円
・法定相続分相当額
【参考】国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」詳しくはこちら

法定相続分とは、民法で定められた遺産の相続割合です。例えば、相続人が配偶者と子供であった場合、法定相続分は配偶者1/2、子供1/2となります。遺産の総額が2億円であれば、配偶者の法定相続分は1億円です。
この場合「1億6,000万円」の方が「法定相続分相当額」よりも大きいです。そのため、配偶者が相続する遺産の総額が1億6,000万円を下回っているのであれば、相続税はかかりません。

配偶者の税額軽減を利用できるのは、被相続人と婚姻関係にあった配偶者です。内縁関係にあった人は、配偶者の税額軽減を利用できません。
また、配偶者の税額軽減を適用するためには、相続税の申告手続きが必須です。

未成年者の税額控除

未成年者控除とは、相続人が未成年である場合、所定の要件を満たすと相続税から一定金額を控除できる制度のことです。
相続税から控除できる金額は「未成年の相続人が18歳になるまでの年数×10万円」で計算します。年数を計算する時、1年未満の部分は切り上げて1年とします。

例えば、相続人の年齢が15歳9ヶ月であるとしましょう。未成年の相続人が18歳になるまでの年数は「18歳−14歳8ヶ月=3年4ヶ月」ですが、4ヶ月の部分は切りあげるため4年となります。よって、相続税から控除できる金額は「4年×10万円=40万円」です。

未成年である相続人の相続税額が控除額よりも少ない時は、余りの金額を扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

障害者の税額控除

障害者の税額控除とは、相続人が85歳未満の障害者である場合、所定の要件を満たすと相続税から一定金額を控除できる制度のことです。
相続税から控除される金額は「障害者の相続人が満85歳になるまでの年数×10万円」です。85歳になるまでの期間のうち、1年未満の部分は切り上げて1年として計算します。

例えば、相続人の中に障害者である66歳2ヶ月の人がいたとしましょう。この相続人が85歳になるまでの年数は「85歳−66歳2ヶ月=18年10ヶ月」です。
10ヶ月の部分は切り上げるため、85歳までの年数は19年となり、控除額は「19年 × 10万円 = 190万円」です。

相続人の障害の程度が重く「特別障害者」である場合は、1年あたりの控除額は20万円となります。特別障害者は「身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級または二級と記載されている」「重度の知的障害者と判定されている」等の要件に該当すると認定されます。

障害者の税額控除では、未成年者の税額控除と同様に、相続税額から差し引きれなかった残りは、扶養義務者の相続税額から控除することが可能です。

相次相続控除

相次相続控除とは、短期間に相次いで相続が発生した時、所定の要件を満たすと相続税の負担を軽減できる制度のことです。

例えば、祖父が亡くなった4年後に父親が相次いで亡くなり、息子が遺産を相続したとしましょう。祖父が亡くなった時の一次相続と、父親が亡くなった時の二次相続のそれぞれで相続税が課せられると、税負担が重くなってしまうかもしれません。
そこで、短期間で相続が相次いだ時に相続税の負担が重くならないように、相次相続控除によって税負担を軽減することが可能です。

相次相続控除を適用できると、前回の相続で納められた相続税額のうちの一定金額を、今回の相続税額から控除できます。控除できる金額は、前回の相続から1年が経過するごとに10%ずつ減少していきます。

相次相続控除を受けられるのは、以下の要件をすべて満たす人です。

・被相続人の相続人であること
・その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得している
・その相続の開始前10年以内に開始した相続により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されている
【参考】国税庁「No.4168 相次相続控除」詳しくはこちら

相似相続控除を利用するためには、今回の相続における被相続人が、前回の相続の時に相続税を負担していなければなりません。
相次相続控除は、控除金額の計算方法がやや複雑です。そのため、短期間で相次いで相続が発生した時は、相続税専門の税理士や最寄りの税務署に相談をするとよいでしょう。

相続税の外国税額控除

被相続人が海外で所有していた資産を相続した時、現地で相続税に相当する税金が課せられることがあります。海外で相続税を支払っているにもかかわらず、日本でも同じ財産に相続税が課せられてしまうと、二重課税になってしまいかねません。

そこで、相続人が海外で相続税を支払った時は、日本で支払う相続税から一定金額を控除することができます。日本の相続税から控除できる金額は、海外で支払った相続税に相当する税金の額が上限です。

相続時精算課税分の贈与税額控除

相続時精算課税制度は、60歳以上の親や祖父母が、18歳※以上の子供や孫に財産を贈与する際に選択できる制度です。※2022年(令和4年)3月31日以前に贈与については20歳

1月1日から12月31日までに贈与された財産が、110万円を超えると贈与税がかかります。しかし、相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円の特別控除額に達するまで何度でも非課税で贈与することが可能です。
その代わり、特別控除額の範囲内で贈与された財産は、相続税の課税対象となります。

特別控除額の2,500万円を超える贈与については、一律20%の贈与税がかかります。相続時精算課税制度を選択したことで課せられた贈与税は、相続税から控除することが可能です。相続税額が贈与税額を上回っていた場合、差額を還付してもらえます。

相続税を計算するまでの流れ

相続税を計算するまでの流れ

相続税がかかるかどうかを判断するためには、各相続人が取得した遺産の合計金額(課税価格の合計額)がいくらであるかを計算しなければなりません。

課税価格の合計額を計算する時の流れは、以下のとおりです。

1.相続財産を正しく把握する
2.相続財産の価値を評価する
3.法定相続人を確定させる
4.相続人が相続する財産を決める
5.各相続人の課税価格を合計する

1.相続財産を正しく把握する

まずは、相続税の課税対象となる財産を調査しましょう。相続税を計算する際に把握するべき財産の例は、次のとおりです。

該当する財産の例
相続財産 ・現金・預貯金
・土地や建物等の不動産
・株式や債券、投資信託等の有価証券
・自動車・船舶
・骨董品・宝石・貴金属
・著作権や特許権等の管理
みなし相続財産 ・生命保険の死亡保険金
※被相続人が保険料を負担していた場合
・死亡退職金
生前に贈与された財産 ・相続または遺贈で財産を取得する人が相続の開始3年前までに被相続人から贈与された財産
・相続時精算課税制度を適用して贈与された財産
債務 ・借入金
・未払金
・クレジットカードの未決済分
・事業での買掛金

仏壇や仏具、墓等の祭祀財産や、通夜・葬儀で支払われる香典、遺族が受け取る遺族年金等は、相続税の課税対象外です。
また、相続開始前3年以内の贈与加算は令和5年度税制によって、2024年以降の相続に関しては7年以内の贈与が対象に変更されました。特別措置や相続時精算課税制度の内容変更もあるので、以下の記事も参考にしてください。

2.相続税評価額を算出する

相続税を計算する時は、相続財産の価値を評価して「相続税評価額」を算出しなければなりません。相続税評価額の算出方法は、財産の種類ごとに定められています。

例えば、預貯金の場合は、相続が開始された時点の残高が相続税評価額となるため、比較的分かりやすいでしょう。
一方で、土地の相続税評価額は基本的には「路線価」を用いて算出します。路線価とは、国税庁が定める1㎡あたりの土地価格のことです。土地は時価がそのまま相続税評価額になるわけではないため、預貯金と比較して算出方法が分かりにくいです。

死亡保険金や死亡退職金を相続人が受け取った場合、受取額のうち「500万円×法定相続人の数」まで相続税はかかりません。非課税となる金額(非課税限度額)を超える部分が、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

相続税評価額を正確に算出するためには、専門的な知識が必要となるため、相続税専門の税理士や最寄りの税務署等に相談をするとよいでしょう。

3.法定相続人を確定させる

亡くなった人の配偶者は、常に法定相続人となります。配偶者以外の親族は、民法で定められた順位の上位にいる人が優先して相続します。法定相続人の順位は、以下のとおりです。

・第1順位(直系卑属):子供や代襲相続人である孫等
・第2順位(直系尊属):父母・祖父母等
・第3順位(傍系血族):兄弟姉妹

例えば、被相続人が亡くなった時、配偶者と子供が存命であれば、その二人が相続人となります。被相続人の両親や兄弟姉妹は、相続人になれません。
被相続人に子供がおらず、父母が健在である場合は、第2順位の父母が相続人となります。

ただし、被相続人の子供が相続の開始時点でなくなっており、その子供(被相続人の孫)が存命である場合は、孫が代襲相続人となります。代襲相続人となる孫が存命であれば、被相続人の父母は健在であっても相続人にはなれません。

法定相続人によって、法定相続分や相続税の基礎控除額が変わってきます。そのため、法定相続人の把握を誤ると相続税の計算や申告も誤ってしまう恐れがあります。また、相続人が分からないと、遺産の引き継ぎ方も決められません。相続が発生した時は、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を速やかに取得して、法定相続人を正確に把握しましょう。

4.それぞれの相続分を確定させる

被相続人が遺言を残していなかった場合、相続人が全員で話し合いをして遺産の引き継ぎ方を決めます。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
民法では、相続する遺産の割合である「法定相続分」が定められていますが、この通りに遺産を相続する必要はありません。遺産分割協議によって、法定相続分とは異なる割合で相続することが可能です。

遺産の引き継ぎ方に悩む時は、法定相続分を参考にするとよいでしょう。法定相続分の例は、以下のとおりです。

法定相続人 法定相続分
配偶者のみ 配偶者:1
配偶者+子供 配偶者:1/2
子供:1/2
配偶者+父母 配偶者:2/3
父母:1/3
配偶者+兄弟姉妹 配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4

遺産分割協議の内容に相続人全員が合意したあとは、遺産分割協議書を作成します。

5.各相続人の課税価格を合計する

遺産の分け方がまとまったら、相続人ごとに遺産の課税価格を計算します。計算方法は、以下のとおりです。

各相続人の課税価格を合計する

【参考】国税庁「No.4152 相続税の計算」詳しくはこちら

各相続人の課税価格の算出後は、それらを合計すると課税価格の合計額を求めることができます。算出された課税価格の合計額が、相続税の基礎控除額を下回っていれば、相続税はかかりません。

この相続時に課税対象となる贈与財産に関して、令和5年度税制改正において変更があります。変更が適用されるのは2024年以降の相続からですが、内容を理解して今後の相続に注意してください。

相続税がいくらかかるか分かる!早見表

相続税がいくらかかるか分かる!早見表

では、各相続人の課税価格や法定相続人に応じて相続税はどのように変わるのでしょうか。
以下は、遺産を法定相続分と同じ割合に分割した時の相続税額の目安です。

相続人に配偶者が含まれる場合

課税価格の合計額 配偶者

子供一人
配偶者

子供二人
配偶者

子供三人
配偶者

子供四人
4,000万円 0円 0円 0円 0円
5,000万円 40万円 10万円 0円 0円
6,000万円 90万円 60万円 30万円 0円
7,000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1億5,000万円 920万円 748万円 665万円 588万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円 1,125万円
2億5,000万円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円

相続人に配偶者が含まれない場合

課税価格の合計額 子供一人 子供二人 子供三人 子供四人
4,000万円 40万円 0円 0円 0円
5,000万円 160万円 80万円 20万円 0円
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1億5,000万円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2億5,000万円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円

相続人に配偶者が含まれる場合、配偶者の税額軽減を適用できるため、全体的に相続税額が少なくなります。なお、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割した時は、本記事でご紹介している早見表とは異なる相続税額となります。

相続税を計算する時は、国税庁ホームページ内の「相続税のあらまし」に掲載されている資料をご確認ください。税額の計算を依頼したい時は、税理士に相談をするとよいでしょう。

相続税に関わる注意点

相続税に関わる注意点

遺産を相続した時は、相続税の申告が必要となるケースや申告期限を理解することが大切です。また、適切に申告するためには、基礎控除額の計算に含められる相続人を把握しておかなければなりません。

相続税がかからなくても申告が必要な場合がある

遺産の総額が、基礎控除額を下回っているのであれば相続税はかからず申告も不要です。しかし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減等を適用したことで相続税額が0円になったのであれば申告が必要となります。

一方で、未成年の税額控除や障害者の税額控除等、相続税の申告が必須でない制度もあります。そのため、相続税を計算する時は、特例制度や税額控除を適用するために申告が必須かどうかをよく確認することが大切です。

なお、遺産の総額が相続税の基礎控除額を下回るか判断が難しい時は、申告の準備をすることをおすすめします。遺産の総額が基礎控除額を下回っていたと思っていても、厳密に計算するとわずかに上回るケースも想定されるためです。

相続税の申告が必要かどうかを判断するためには、相続税の専門知識が不可欠です。判断に迷う場合は、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

相続税の申告期限は10ヶ月

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。相続の開始があった日とは、一般的には被相続人が亡くなったことを知った日です。

例えば、2023年(令和5年)6月24日に被相続人が亡くなった場合、相続税の申告・納税期限は、その翌日の10ヶ月後である2024年(令和6年)4月24日です。相続税の申告期限を迎えるまでに、相続財産や法定相続人を調査して遺産の引き継ぎ方を決め、相続税を計算して申告をしなければなりません。
また、葬儀や法事等の行事を済ませながら、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書等の必要書類を準備する必要もあります。

期限を過ぎてから申告をすると「延滞税」がかかります。加えて、申告が必要であるにもかかわらず申告をしなかった時は「無申告加算税」、税額を本来よりも少なく申告した時は「過少申告加算税」といったペナルティが課せられてしまうかもしれません。
そのため、被相続人が亡くなって相続が発生した時は、速やかに相続の準備を始めることが大切です。

相続放棄した人も基礎控除の法定相続人に含む

相続放棄とは、被相続人の遺産に対する相続権の一切を放棄することです。相続放棄を選択した人は、預貯金や不動産等のプラスの財産だけでなく、借入金や未払金等のマイナスの財産も一切相続しません。相続税の基礎控除額を計算する時は、相続放棄をした人も含めます。

例えば、相続人が配偶者、長男、長女の三人であったとしましょう。長女は相続放棄を選択しました。被相続人は遺言書を残していなかったため、遺産は配偶者と長男の二人が相続することになります。
一方で、相続税の基礎控除額には相続放棄をした人も含むため「3,000万円+(600万円×三人)=4,800万円」となります。

代襲相続人も基礎控除の法定相続人に含む

相続開始の時点で相続人となる子供や兄弟姉妹等が亡くなっており、孫や甥、姪が代襲相続をした場合、基礎控除額を計算する時は代襲相続人も含めます。

例えば、本来の相続人が配偶者と長男の二人であるとしましょう。相続が開始された時点で長男がすでに亡くなっていたため、長男の二人の子供(被相続人の孫)が代襲相続をすることになりました。

この場合、相続人は配偶者と代襲相続人である二人の孫の合計三人です。そのため、相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×三人)=4,800万円」となります。

養子の法定相続人には人数制限がある

相続税の基礎控除額を計算する時の法定相続人には、養子も含めることができます。ただし、基礎控除額を計算する時の用紙の人数には以下の制限があります。

・被相続人に実子がいる場合:一人
・被相続人に実子がいない場合:二人

例えば、 遺産を一人の実子と三人の養子が相続するとしましょう。この場合、被相続人に実子がいるため、基礎控除額を計算する際に含められる養子は一人となります。よって、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×二人)=4,200万円」です。

まとめ

まとめ

相続した遺産が、基礎控除額である「3,000万円+(600万円×法定相続人)」を下回っている場合、相続税はかからず申告も不要です。また、基礎控除額を上回っていたとしても、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、未成年者控除等の制度を適用することで、相続税が0円となるケースもあります。

とはいえ、税金に関する専門知識がなければ、相続税がかかるかかからないかを正確に判断するのは困難でしょう。相続が発生した時は、速やかに相続税申告の準備を始めるとともに税理士や税務署等相続税の専門家に相談することをおすすめします。

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