相続税評価額とは?財産ごとの計算方法や相続税を抑える方法を解説

相続税評価額とは、どのように相続税の計算に用いるのでしょう。この記事では、財産ごとに相続税の対象になるのかとそれぞれの財産価値の評価方法を説明していきます。死後、残された家族にできる限り財産を残すためにも相続税の知識を身に着けましょう。

相続税評価額とは?財産ごとの計算方法や相続税を抑える方法を解説

相続税評価額とは?

相続税評価額とは?

「相続税評価額」とは、相続税を計算する際に用いる財産の価値を評価するものです。個人が被相続人から財産を相続するときは、相続税が発生します。国税庁が定めた「財産評価基本通達」により「相続税評価額」を用いて相続税を計算するのです。

相続税評価額の計算においては、特別な評価方法が定められているものを除くと、一般的に相続が発生した日におけるその財産の価値(換金したときの価格)を基準とすることになっています。

相続税評価額の計算方法

相続税評価額とは?

相続税の計算を行うためには、建物や土地といった各財産の財産評価基本通達に基づいて相続税評価額を求めることになります。相続税の課税対象となるのは、遺産の相続税評価額の総額から基礎控除額を控除した金額です。

財産評価基本通達の具体的な内容を把握するには、専門的な税金の知識が必要になるでしょう。また、前述の建物や土地といった不動産などの財産は、特別な評価方式で評価を行う点に注意が必要です。

1.建物における相続税評価額計算

建物の相続税評価額は、その建物の固定資産税評価額と同じです。
建物を賃貸している場合は、その建物の相続税評価額は「固定資産評価額×70%」で計算されることになり、自分や家族で使用している場合よりも相続税評価額が低くなります。

ただし、親族に無償で貸している場合や、著しく低い家賃で賃貸していた場合などは、国税庁に賃貸物件と認められず、相続税評価額が減額されない場合がある点に注意が必要でしょう。

2.土地における相続税評価額計算

土地における相続税評価額計算

土地の相続税評価額は、「路線価方式」又は「倍率方式」の二つの方法があります。

2-1.路線価方式

国税庁が定めた路線価により土地の相続税評価額を求める方法です。路線価とは、路線ごとに付けられた、その路線に面した1平方メートル辺りの土地の金額を定めたもので、国税庁によって年に一度定められています。

ただし、同じ路線に面した土地であっても、奥まった場所にある、使いにくい形状であるなど、必ずしも同じ条件下にあるとは限りません。そこで、別途定められた補正率を利用して、評価を行うことになります。そのため実際の計算方法は次のとおりになります。

1㎡あたりの路線価×補正率×相続する土地の面積(㎡)

2-2.倍率方式

田畑や山林といった路線価がない土地の場合、倍率方式によって相続税評価額を算出します。毎年送られてくる固定資産税納税通知書に土地の固定資産税評価額が記載されています。国税庁が毎年発表している「財産評価基準」に記載の評価倍率を土地の固定資産税評価額に乗算することによって、相続税評価額が求められます。

このように土地は、財産評価基本通達の中でも、複雑な補正や計算に基づいて評価を行う財産となっています。もし、相続が発生したときに土地を相続する場合は、税理士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。

3.株式における相続税評価額計算

株式の価格は日々変動するため、相続日の価格が必ずしも適切な評価額であるとは限りません。そこで株式の相続税評価額は、次の4つの評価額の中から最も低い価格を選択することができます。

1.相続開始日の終値
2.相続開始月の全終値の平均額
3.相続開始月の前月の全終値の平均額
4.相続開始月の前々月の全終値の平均額

また、貸付信託受益証券や投資信託の相続税評価額の計算方法については次の通りです。

1.貸付信託受益証券の相続税評価額
元本の額+既経過収益の額-源泉所得税相当額-買取割引料

2.投資信託の相続税評価額
相続開始日の1口当たりの基準価額×口数-相続開始日に解約した場合に源泉徴収される所得税の額-信託財産留保額及び解約手数料

計算方法がやや難しいですが、どちらの場合も「相続開始日に投資証券をただちに換金した場合の価格」とイメージすると分かりやすいと思われます。

4.生命保険金の相続税評価額計算

生命保険金には「残された家族の生活を守るための資金」という大きな役割があります。そこで、相続人が受け取る生命保険に関しては、一定の控除枠が設けられています。
控除される金額は、「500万円×法定相続人の数」の計算式で求められます。この控除額を、受け取る保険金から差し引いた金額が最終的な課税対象になります。

なお、生命保険金の被保険者と受取人が違う場合は贈与税の対象となるなど、生命保険金であっても相続税の控除の対象にはならない場合があるため、注意が必要でしょう。

5.自動車の相続税評価額計算

自動車の相続税評価額は買ったときの値段のまま評価するのではなく、使っているうちに価値が減っていると想定して評価することになります。
そこで次のいずれかを選んで相続税評価額を求めます。

1.減価償却によって計算した残存価額
2.中古市場で下取りした場合の価格

6.普通預金の相続税評価額計算

相続開始日の残高が、そのまま相続税評価額になります。

相続税評価額を抑える方法

相続税評価額を抑える方法

相続税の知識があれば、遺産の相続税評価額を抑えることができます。
例えば、建物は用途により相続税評価額の計算方法が変わります。また、上場株式のように遺産の中には複数の評価方法が存在するものもあり、低く評価される方式を選択して計算することで、その資産の評価額を抑えることが可能な場合もあります。

相続の時期によっては、事業に供している不動産に関しての特例など、遺産の相続税評価額を減額できる特例が出されている場合もあります。相続の際は、国税庁の情報をチェックするようにしてください。

そもそも相続税がかからない場合

相続税は、相続される遺産の総額が、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の基礎控除額の範囲内に収まる限り、申告は必要ありません。
また、亡くなられた方の配偶者が遺産を相続する場合、「配偶者控除」の対象となります。配偶者控除においては、配偶者が相続する財産の評価額が1億6,000万円以下の場合には、相続税が非課税となります。

配偶者が相続する財産の評価額が1億6,000万円を超えた場合でも、配偶者の法定相続分の範囲内であれば、同様に相続税を納める必要がありません。
このような制度はありますが、家族に相続される財産をなるべく多く残すためには、最終的な相続税評価額の総額を抑えるに越したことはないかと思われます。

まとめ

まとめ

相続した財産の相続税評価額は、それぞれの財産について評価方法を知っておく必要があるほか、どの評価方法を選ぶかによっても最終的に納める税額が変わる点に注意が必要です。

また、時期によっては特例が出されていて税額の控除を受けられる場合があります。
相続が発生したときは、相続税に関して専門の知識を持った税理士や税理士法人に相談することをおすすめいたします。

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