相続で困ったらどの専門家に相談する?弁護士、税理士、信託銀行など

相続は法律や税金などについて専門知識が必要な分野なので、専門家に相談しながら手続きを進めるケースが多いでしょう。とはいえ、相続という非日常的な事柄に関しては、どこに頼ったらいいか分からないという人も多くいます。そこで、相談できる専門家の種類について詳しく説明します。

相続で困ったらどの専門家に相談する?弁護士、税理士、信託銀行など

相続には様々な専門家がいる

相続には様々な専門家がいる

相続と一言でいっても、その相談内容はさまざまです。「今のうちに遺言を作成しておきたい」「相続税を申告したい」「遺産の相続でもめている」など、要望や悩みは多岐にわたります。

相談先を決めるうえで大切なのは、依頼内容に合わせてそれを得意分野としている専門家に相談することです。相談先を間違えると、追加のお金を払って新たに別の専門家に依頼し、事情を再度話さなければならなくなります。余分に費用や時間を費やしてしまうことになるので、依頼先は慎重に検討しましょう。

相談先として代表的なのは、税理士・弁護士・司法書士・信託銀行です。では、それぞれについて、どんな場合に相談するのが良いのかを詳しく見てみましょう。

税理士

税理士

相続というと税金対策が必要であるというイメージから、相談先として税理士を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。確かに税理士は税金のスペシャリストなので、相続税に関して頼りたい時におすすめです。

特に、相続税の申告は、相続人本人以外の場合、税理士しか行うことができません。遺産が多数ある場合などは、相続税の計算は非常に複雑になることがあります。控除制度をしっかり適用してきちんと申告するためには、税理士の助けを借りる必要があるでしょう。相続税の申告には10ヶ月という期限が定められているため、初めから税金のプロである税理士に依頼しておくと時間的な面でも安心です。

相続税が発生しなければ税理士への相談も必要ない

とはいえ、覚えておきたいのは、相続をしたからといってすべてのケースで相続税を納める義務が発生するわけではないという点です。遺産が基礎控除額以下(3,000万円+600万円×相続人の数)であれば申告の必要はなく納税義務も発生しないため、そもそも税理士の助けを必要としないケースも往々にしてあります。

相続税に関すること以外では、生前贈与をしたい時も税理士に相談できます。生前贈与は税金対策として行われることが多く、税理士と相性の良い分野です。贈与税の控除など、税務に関する知識を活かした有益なアドバイスを受けられます。

このほか、相続財産の評価を確認したい時や事業を継承したい時なども、税理士に依頼することができます。

弁護士

弁護士

弁護士は、簡単に言うと法律や訴訟のスペシャリストです。相続に関しては、相続人の代理人として交渉したり訴訟を進めたりします。

弁護士への相談が向いているのは、遺産分割について争いが発生している場合や、裁判にまで発展しそうな場合です。このようなケースでは、遺産分割の代理人に関する法律的な相談や、遺産をめぐる争いごとの解決のために弁護士に相談するのが良いでしょう。

特に、遺産分割調停や審判などに関して裁判所での手続きが必要になった時には、正式に代理人となれるのは弁護士だけです。裁判にまで発展する可能性が高い場合は、初めから弁護士に相談しておくことで費用や時間を無駄に使うことを避けられます。

一方、争いごとにまで発展していないケースでは、弁護士ではなく別の依頼先を検討するのがおすすめです。弁護士への依頼は他の専門家よりも費用が高額になることが多いためです。相手となる相続人との交渉が必要ではなく、単に書類を作成したい時などは他の専門家を選ぶことで出費を抑えられます。

司法書士

司法書士は不動産登記のプロフェッショナルであり、不動産の名義変更が必要な時に頼れるスペシャリストです。司法書士は土地や建物などの登記申請の代理権を有しているので、スムーズに名義変更をしてもらえます。

相続手続きにおいて司法書士が行う手続きは、相続税申告と紛争の場合の代理人等以外のほぼすべての業務になります。相続税がかかるかどうかわからない方なども名義変更は必要になるので、不動産の名義変更や預金解約等の名義変更手続きの相談をして、税理士が必要な場合に相続税申告の部分を税理士に依頼する流れになるのが一般的です。
不動産の名義変更は、やろうと思えば自分で行うことも可能です。ただし、膨大な量の書類を自分で集め、漏れがないかどうかチェックし、法務局へ何度も足を運ばなければなりません。平日に時間が取れない人や、慣れない手続きに不安がある人や煩わしく感じる人は、初めから司法書士に頼むと良いでしょう。

相続登記や遺言書の作成の依頼も可能

司法書士には相続登記、銀行口座や証券などの継承手続きのほか、遺言書の作成・遺言書の検認、遺産に負債が含まれる際の相続放棄手続きなども依頼できます。
また、任意後見や成年後見手続きについても、司法書士に相談するケースが多い内容です。
司法書士を選ぶメリットは、相続について基本的には相続税申告以外のすべてを任せることができるので、スムーズに手続きが進むことです。反対にデメリットは、すべての手続きを自分で行うケースに比べて費用がかかることです。

司法書士と名前が似ている専門家に行政書士があります。行政書士は主に営業許可や自動車の登録、各種届出や遺言書、離婚協議書の作成も行います。司法書士との大きな違いは、作成した書類の提出先です。司法書士は法務局や検察局、裁判所などへ提出する書類を作成します。一方行政書士は各行政機関(都道府県、市町村など)へ提出する書類を作成します。

信託銀行

信託銀行

信託銀行も相続に関する相談を受け付けており、候補のひとつとして挙げることができます。信託銀行では、亡くなってしまってからの遺産整理業務サービスだけでなく、事前対策としての遺言信託などもあります。相続のコンサルティングを行うとともに、それぞれの内容に合わせて信頼できる専門家を紹介しています。

大手の信託銀行なら、これまでの実績も多く安心感があることや、税理士・司法書士の手配も含めワンストップで対応できる点もメリットです。すでに取引のある信託銀行で親身に話を聞いてくれる担当者がいる場合などは、安心して任せやすいでしょう。

一方で、他と比べて料金が高くなりやすい可能性があります。銀行へのコンサルティング料と、専門家への依頼費用のそれぞれを支払うことになるからです。場合によっては、書類の収集などを自分で行わなければならないケースもあります。

信託銀行について、詳しくは「信託銀行って何ができるの?」の記事をご覧ください。

まとめ

相続はほとんどの人が経験するものでありながら、生涯に何度も起こるものではないため、手続きに不安を感じる人が多くいます。大切なのは、依頼したい内容を得意分野としている専門家を選ぶことです。この記事を参考にして依頼先を選択し、手続きを進めてみてください。

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