「退職金なし」でも安心して老後を迎えるためのライフプランとは?

働き方が多様化する中、退職金の支給がない企業も増えています。退職金がない人は、どうすれば安心して老後を迎えることができるのでしょうか?退職金がない人に向けたライフプランの立て方をご紹介します。

「退職金なし」でも安心して老後を迎えるためのライフプランとは?

退職金がない会社は珍しくない

気になるお金のアレコレ:三菱UFJ信託銀行の画像

「企業に正社員で勤めていれば、退職金はもらえるもの」と、思い込んでいませんか?実は、そうとも限りません。というのも、退職金は企業に支給が義務付けられているものではなく、支給するかどうかは企業ごとの判断に委ねられているからです。したがって、企業に勤めていても、会社の方針によっては、退職金がもらえないケースも珍しくありません。
厚生労働省の調査では、退職金を支給している企業の割合は以下のとおりです。

・従業員数1000人以上 :92.3%
・従業員数300~999人 :91.8%
・従業員数100~299人 :84.9%
・従業員数30~99人  :77.6%

企業規模に関わらず、退職金を支給しない企業が必ずしも珍しくないことがよくわかります。

【参考】厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 退職給付の支給実態」 詳しくはこちら

なお、退職金制度を採用している企業でも、企業が倒産してしまった場合や勤務期間が所定の期間を満たさない場合、退職の理由(解雇された場合など)によっては、退職金が支払われないことがあります。さらに企業の業績によっては、支給額が大幅に減額されてしまうおそれも。また、正社員ではなくアルバイトや派遣社員、契約社員として働いている場合は、契約内容にもよりますが、退職金が支払われないケースが多いようです。
老後の生活資金として退職金に期待できない人は、早めにライフプランを見直し、老後の生活に備える必要があります。

退職金がない場合のライフプランニング

気になるお金のアレコレ:三菱UFJ信託銀行の画像

では、退職金がない人は、どのようにしてライフプランを立てればよいのでしょうか?ここではライフプランニングを立てるための4つのSTEPをご紹介します。

STEP1 生活費を知る

まず、今現在の自分の生活費を明確にすることから始めましょう。家計簿や家計簿アプリを活用して、毎月の支出の「見える化」に取り組んでください。そして、書き出した支出の中から、無駄な支出・退職後には減らせる支出を削除し、大まかで構わないので、老後に必要な生活費の額を割り出してください。ここで注意したいのは、趣味やレジャーにかかる費用をすべて削除しないこと。「最低限の生活費」ではなく、あくまでも「自分らしい老後」を送れる金額を想定しておくことが大切です。

参考までに、総務省の「家計調査年報2018年」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)の1か月あたりの生活費の平均(平均消費支出)は23万5,615円、一人暮らしの高齢単身無職世帯(60歳以上)は14万9,603円となっています。

【参考】総務省「家計調査報告書(家計収支編)2018」 詳しくはこちら

STEP2 収入を知る

次に、退職後にどのくらいの収入があるのかを算出します。老後資金といえば、まず頭に浮かぶのは公的年金ですが、国民年金か厚生年金かによって、あるいは保険料を支払った期間によって個人差が大きく、すべての人が同じ金額をもらえるわけではありません。
参考までに厚生労働省の調査によると、2018年度末現在、国民年金の平均月額は1人あたり5万6千円、厚生年金の平均月額は14万6千円です。退職金がなく、しかも老後の収入が公的年金しかない場合は、経済的に厳しい状況に陥ってしまう可能性があると言わざるをえません。

【参考】厚生労働省「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 詳しくはこちら

STEP3 老後資金を増やす

では、老後資金を増やすには、具体的にどのような方法があるのでしょうか?ここでは、老後資金を増やすために退職前から始められる方法をご紹介します。

① 「退職金口座」を作る

勤務先から退職金が支給されない場合は、「自分で退職金を作ろう!」という気持ちで貯蓄に取り組みましょう。その場合におすすめなのが、専用口座を作ること。給与やボーナスをもらったら、まず一定額を先取りしてこの口座に振り込み、退職まで手をつけないようにしてください。臨時収入や投資による収入があったときも、できる限りこの口座に貯蓄するようにします。この口座はあくまでも「預け入れ専用」とし、キャッシュカードを作らない・近くに店舗やATMがない銀行を選ぶなど、あえて引き出しにくくする工夫をすると良いでしょう。

② 副業をする

貯蓄を増やすには、支出を抑えるだけでなく、収入を増やす努力も欠かせません。最近では副業を解禁する企業も増えています。勤務先の規則で禁じられていないのであれば、就業後や休日の時間を使って、副業を始め、副収入を得る方法も検討してみてください。週末限定のアルバイトや自宅での請負作業、プチ起業など、さまざまな方法があります。

③ 退職後も働けるように準備する

今の勤務先を退職した後も、働き続けることができれば、一定の収入を確保できます。給与は低くなってしまうケースが多いですが、同じ勤務先に「定年後再雇用」の仕組みを使って働き続ける人もいますし、全く別の企業に再就職する人もいます。あるいは、現役時代に取得した資格やスキルを生かしてビジネスを始める人も珍しくありません。労働人口が減り続け、高齢者の労働力がますます注目されている時代、その気になれば退職後も働き続けることは可能です。
しかし、より良い条件で働き続けるには、社会から必要とされるスキルや能力、人脈を持っているほうが有利なのは間違いありません。現役時代から常に向上心をもって、自分自身のブラッシュアップや人脈の構築に励みましょう。また、適切な食生活や運動を心がけ、心身の健康を維持することも大切です。

④「自分年金」を作る

「自分年金」を作る

前述のとおり、公的年金の受給額は決して多いとは言えないのが現状です。そこで、公的年金に加えて、「自分年金」を作る人が増えています。自分年金を作るには、以下のような方法が考えられます。

・財形貯蓄を始める
勤務先に財形貯蓄の制度が整備されていれば、ぜひ活用しましょう。月々の給与や賞与から専用口座に天引き貯金され、退職後に一時金もしくは年金方式で払い戻されます。自動的に天引きされるので、うっかり使い込んでしまうリスクが低く、着実に貯めることができます。

・iDecoに加入する
iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて運営されている私的年金制度で、自分で決めた額を毎月積み立て、その掛金を運用することによって、老後のための資産形成を目指す方法です。20歳以上60歳未満で一定の加入条件を満たせば、任意で加入することができます(掛け金は月々5,000円~)。運用する商品は候補の商品の中から自分で選び、60~70歳の間に、一時金方式または年金方式で受け取ることができます。一時金方式で受け取る場合は「退職所得控除」、年金方式で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、一定金額までは非課税となるなど、税制上の優遇を受けられるメリットもあります。

⑤投資を始める
もっと効率的にお金を増やしたい場合は、貯蓄と同時に投資を始めるのも一案です。ただし、投資商品の多くは元本が保証されているものではなく、「ハイリスク・ハイリターン」が原則であることを理解した上で始める必要があります。投資初心者は、利回りよりもリスクの低さを重視して投資商品を選ぶようにしましょう。

初心者にも始めやすい投資商品としては、「つみたてNISA」が注目を集めています。つみたてNISAは、長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために、2018年1月に創設された税制優遇制度で、満20歳以上の人なら、原則として誰でも毎年40万円まで非課税で投資することが可能です。月々の最低積立額は金融機関によって異なりますが、ネット証券などは月額100円から積み立てられるところもあり、「投資に興味はあるけど資金が足りなくて……」という人にも始めやすい仕組みになっています。つみたてNISAの投資対象は金融庁の基準をクリアした一部の投資信託のみに限定されていますが、それでもやはり運用リスクがゼロではないことに注意が必要です。

最悪の状況に備える

「自分年金」を作る

退職金がない場合も、若いうちから備えることで、安心して老後の生活を迎えることは決して不可能ではありません。しかし、健康を害してしまったり、不慮の事故やトラブルに巻き込まれたりして、計画が頓挫してしまう場合も考えられます。万が一、退職後に自力で生活を維持できなくなったときには、迷わず公的機関の支援を受けましょう。

厚生労働省では、2015年4月から、「生活困窮者自立支援制度」を整備し、相談窓口を全国に設置しています。窓口では専門の職員が一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成し、専門の支援員が相談者に寄り添いながら、たとえば家賃相当額を支給する「住宅確保給付金の支給」、住居のない人に衣食住を提供する「一時生活支援事業」など様々な支援を行います。もちろん、こういった支援に頼らずに自立した生活を送ることが大前提ではありますが、切羽詰まって最悪の自体に陥ってしまいそうな場合は、こういった公的支援に頼る選択肢があることも頭に入れておきましょう。

まとめ

退職金のない企業は珍しくありません。退職金がない場合も安心して老後の生活を送ることができるよう、若いうちから退職後もできる限り長く働く・自分年金を作る・貯蓄をするなどの準備を始め、ライフプランを立てておくことが大切です。ただし、病気や事故で自立した生活を送れなくなる場合も、十分想定できます。万が一自立した生活が送れなくなったときに、どんな公的支援を受けることができるのかについても、予め調べておくことをおすすめします。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ