NISA(ニーサ)とは?種類別の特徴や新NISAとの違いを徹底解説

NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)とは、どのような制度でしょうか。投資初心者でもはじめやすい制度の仕組みや利用上のメリット・デメリットを解説しています。長期的な資産形成の手段の一つとして、iDeCoとの併用や新NISAの理解を深めましょう。

NISA(ニーサ)とは?種類別の特徴や新NISAとの違いを徹底解説

NISA(ニーサ)とは

NISA(ニーサ)とは

NISA(ニーサ)とは、正式には「少額投資非課税制度」といいます。毎年一定額の投資をおこなって得た利益を一定期間のうちは非課税で受け取ることができる資産形成の制度です。

そもそも「投資」とは、事業や資産価値の成長に期待して、資金を投じて経済の発展に貢献することです。その結果として運用成果を得ることができます。

預貯金や投資商品などから得られる利益については​​20.315%の税金がかかりますが、NISAでは、この20.315%の税金を支払わずに利益のすべてを得ることができます。
「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」と3種類があり、種類によって非課税になる期間をはじめ特徴が異なります。

一般NISAとつみたてNISAを利用できるのは、日本に住む20歳(※)以上の成人です。利用にあたり、銀行や証券会社、生命保険会社などの金融機関でNISA用の口座を開く必要があります。ジュニアNISAは未成年を対象とした制度なので、20歳(※)未満の日本国民であれば利用可能です。

(※)成年年齢の引下げに伴い、20歳以上が18歳以上に変更になります。ジュニアNISAは18歳未満が対象になります。

その他には以下のような制限があります。

・一人一口座まで
・金融機関の乗り換えは1年に1回のみ
・NISAの種類によって投資の上限額がある
・非課税対象はNISA口座で新規で購入した商品のみで、NISA口座外で購入したものをNISA口座に移管することはできない
・NISA口座内の資産を売却しても、その年の非課税枠が空くわけではない

出典 

NISAでもう一つ押さえておきたいのが「ロールオーバー」という言葉。これは、一般NISAとジュニアNISAで非課税期間(5年間)が終了した時に、翌年の非課税枠に資産を移管できるというもの。

ロールオーバーの他にも、新NISAの登場や細かい条件について、後述する内容で理解を深めていきましょう。

NISA(ニーサ)の種類

それでは、3つのNISAのそれぞれの制度の違いと特徴をみてみましょう。

一般NISA

一般NISAは、年間120万円までの投資により得られた利益(上場株式や投資信託などの配当金および運用益)が、最長5年間非課税になります。投資回数に制限はなく、一括でも定期的な積立でもよく、運用商品は株式や投資信託を組み合わせることもできます。

つみたてNISA

つみたてNISAは、年間40万円までの投資により得られた利益が、最長20年間非課税となります。一定金額を毎月1回など、定期的かつ継続的に積み立てる必要があります。投資対象の商品は、資産形成に適した一定の要件を満たす投資信託や上場投資信託(ETF)などに厳選されています。

ジュニアNISA

ジュニアNISAは、一般NISAの子ども版ともいえる制度で未成年のみを対象としているため口座の管理は父母や祖父母などが行います。年間80万円までの投資により得られた利益が、最長5年間非課税となります。投資対象は一般NISAと同様で株式・投資信託など幅広くなっています。

3つのNISAの概要

種類      一般NISA      つみたてNISA    ジュニアNISA   
対象者 日本に住む
20歳以上の成人※
日本に住む
20歳以上の成人※
日本に住む
0~19歳の未成年※
口座開設 1人1口座 1人1口座 1人1口座
非課税対象となるもの 株式・投資信託などの配当金および運用益 一定の要件を満たす投資信託や上場投資信託(ETF)の分配金および運用益 株式・投資信託などの配当金および運用益
非課税投資額 新規投資額で毎年120万円
非課税投資総額600万円
新規投資額で毎年40万円
非課税投資総額800万円
新規投資額で毎年80万円
非課税投資総額400万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
投資可能期間 2014年~2023年
12月末まで
2018年~2037年
12月末まで
2016年~2023年
12月末まで
払い出し制限 なし なし 18歳まで
払い出し制限あり
途中売却 自由 自由 自由
金融機関の変更 年単位で変更可能 年単位で変更可能 不可

※1月1日時点。2023年1月以降は、18歳以上の成人。ジュニアNISAは、成年年齢の引下げにより、2023年は、0歳~17歳の未成年が対象。

3つのNISAの特徴

一般NISA         つみたてNISA       ジュニアNISA      
①投資方法や組合せが自由
・株式や投資信託など投資対象が幅広い。
・一括で120万円を投資することも、積立で利用することもできるなど投資方法が自由。
①定期的に積み立てる
・投資対象は一定の要件(※1)を満たす投資信託に限定される。
・一定金額を毎月1回など定期的かつ継続的に積み立てる。
①運用の管理は代理人が行う
口座の運用の管理は、親族(両親、祖父母等)が代理で行う。
②保有資産を移管できる
5年間の非課税期間終了時は、課税口座に移すか、翌年に設定される非課税枠に全額移すことができる。(※2)
②最長20年間、非課税で保有できる
毎年最大40万円を最長20年間投資することにより、長期的な資産形成ができる。
②保有資産を移管できる
・制度終了時に20歳(※3)になっていない場合は、2024年以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を「継続管理勘定」に移すことができる。
・20歳まで非課税で運用できる。(※2)

※1:長期・積立・分散投資として適しているものとして、次のとおりの一定の要件がある。
  ・販売手数料がかからない(0円)
  ・手数料(信託報酬)が低い(一定水準以下)
  ・運用期間の満期がなく無期限または20年以上である
  ・分配金の頻度が毎月ではないこと
※2:一般NISAとジュニアNISAは、非課税期間(5年)終了時、保有している商品を、翌年の非課税枠に移して(ロールオーバーという)保有を続けることができる。ロールオーバーの手続きを取らない場合は、時価で特定口座(課税口座)に移される。
※3:成年年齢の引下げに伴い、2023年1月以降は、18歳になる前にジュニアNISAが終了する場合は、継続管理勘定で18歳まで非課税で運用できる。

2024年からNISA(ニーサ)が改正!

ここまで3つのNISAの特徴を解説してきましたが、2024年からNISAの内容が見直され新しい制度になります。
ここでは、新しいNISAのポイントを解説していきます。

新NISAは2階建て

新NISAは、2階建てになり、1階の投資上限額は20万円、2階は102万円となります。原則として、1階で積み立て投資を行わなければ、2階の投資ができないという仕組みになっています。投資信託への積立投資から始めて、次に株式などへの投資にステップアップするというイメージです。

2階部分の投資先が一部変更

新NISAの1階はつみたてNISAと同様の積立・分散投資に適した投資信託や上場投資信託(ETF)、2階は現在の一般NISAと同じように上場株式や投資信託(ただし、株式・投資信託等のうち、監理銘柄および整理銘柄に指定されているものと、ヘッジ目的等以外でデリバティブ取引による運用を行っているものを除く)に投資できます。

一般NISAからロールオーバーする際は注意が必要

一般NISAからロールオーバーする場合は、新NISAの2階部分の非課税投資枠を利用することができます。この際、監理銘柄および整理銘柄に指定されているものと、ヘッジ目的等以外でデリバティブ取引による運用を行っているものは、ロールオーバーができません。

届け出があれば1階利用なしでも投資が可能

原則として、1階を利用している人のみが2階も利用できるのが新NISAですが、過去にNISA口座で投資の経験がある方は例外となります。届け出をすることで、1階部分を利用せずに、2階部分のみで投資をすることも可能です。その場合、投資対象は上場株式のみという制限が加わります。

1階部分はつみたてNISAへ移行可能

新NISAの非課税期間の5年間が終了した場合、1階部分の資産に関してはつみたてNISAへロールオーバーすることができます。

ジュニアNISAは2023年で終了

ジュニアNISAは2023年末で終了します。そのため、2024年以降は、18歳以下の人は新規でNISAを活用することはできなくなります。
現在ジュニアNISAを利用している人で、制度期間内に20歳になる人は、20歳である年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。この時に、一般NISAかつみたてNISAかを選択することができます。

2024年までに18歳に達しない人は、18歳まで非課税で資産を保有しておくことも可能です。18歳になった時点で新NISA口座にロールオーバーしたり、課税口座に移管することができます。

NISA(ニーサ)比較表

NISA(ニーサ)比較表

種類      新NISA      一般NISA     つみたてNISA   ジュニアNISA  
対象者 日本に住む
18歳以上の人
日本に住む
20歳以上の成人(※1)
日本に住む
20歳以上の成人(※1)
日本に住む
0~19歳の未成年(※1)
口座開設 1人1口座 1人1口座 1人1口座 1人1口座
非課税対象となるもの 1階 :つみたてNISAと同様
2階:株式・投資信託などの配当金および運用益(※2)
株式・投資信託などの配当金および運用益 一定の要件を満たす投資信託や上場投資信託(ETF)の分配金および運用益 株式・投資信託などの配当金および運用益
非課税投資額 1階:新規投資額で毎年20万円
2階:新規投資額で毎年102万円
新規投資額で毎年120万円
非課税投資総額600万円
新規投資額で毎年40万円
非課税投資総額800万円
新規投資額で毎年80万円
非課税投資総額400万円
非課税期間 最長5年間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
投資可能期間 2024年~2028年
12月末まで
2014年~2023年
12月末まで
2018年~2037年
12月末まで
2016年~2023年
12月末まで
払い出し制限 なし なし なし 18歳まで払い出し制限あり
途中売却 自由 自由 自由 自由
金融機関の変更 年単位で変更可能 年単位で変更可能 年単位で変更可能 不可

(※1)1月1日時点。2023年1月以降は、18歳以上の成人。ジュニアNISAは、成年年齢の引下げにより、2023年は、0歳~17歳の未成年が対象。
(※2)監理銘柄および整理銘柄に指定されているものと、ヘッジ目的等以外でデリバティブ取引による運用を行っているものは対象外

NISA(ニーサ)のメリット

NISA(ニーサ)のメリット

投資により得られる利益が非課税で資産形成できることがNISAの魅力のひとつですが、さらにNISAのメリットに迫ってみましょう。

投資で得た利益は非課税

預貯金や投資商品などから得られる利益については、原則20.315%の税金がかかります。NISAでは購入した上場株式や投資信託などの配当金や売却益などがすべて非課税になります。それぞれのNISAには非課税期間が定められていますが、ロールオーバーすることで継続することもできます。

購入回数に制限なく投資リスクを分散できる

投資リスクを心配する人も多いかと思いますが、NISAには購入回数に制限がないので、運用の王道である長期・積立・分散投資による安定的な運用が期待できます。
特に、つみたてNISAでは毎月定額で最大20年間の運用ができるため、投資初心者の方でも投資額と投資商品を決めるだけで、手軽に長期的な資産形成に取り組みやすいといえるでしょう。

仮に、毎月3万円ずつ積み立て、年率3%で運用できたとし、その成果を運用期間が10年の場合と20年の場合で比較してみましょう。
20年間運用した場合、元本は10年の場合の2倍ですが、運用収益は4倍以上になります。
つまり投資を長期で継続する仕組みを作ることにより安定した資産形成がしやすくなるわけです。

毎月3万円を年率3%で運用できた場合

運用期間 運用結果
10年 419万円(元本360万円、運用収益59万円)
20年 984万円(元本720万円、運用収益264万円)

※毎月3万円ずつ積み立て、年率3%の場合

確定申告不要

NISAによって得られた利益が非課税ということは、税金の申告が不要ということ。確定申告をする必要はありません。
自分で確定申告をしたことがない人や税金の仕組みが煩わしいという理由で投資に抵抗があった人でも、取り組むハードルの低い制度だといえるでしょう。

ロールオーバーすれば非課税期間を延長できる

NISAの非課税期間が終了した際にNISA口座で保有している金融商品を、翌年の新たな非課税投資枠へ資産を移すことができます。そのことを「ロールオーバー」といいます。つみたてNISAでは利用できない制度ですが、一般NISAは最大5年の非課税期間ののちに、さらに5年間非課税で運用することができます。ロールオーバーの手続きを取らないと、課税口座に移管され、その後の売却益などには課税されることになります。

NISA(ニーサ)のデメリット・注意点

NISA(ニーサ)のデメリット・注意点

メリットの多いNISAですが、注意点もあります。投資初心者の方でもはじめやすい制度なだけに、十分に理解せずに始めてしまうのは危険です。デメリット・注意点を押さえた上で慎重に運用しましょう。

非課税枠の再利用は不可

NISAは、非課税投資枠は新規で投資した金額です。残高ではないので、資産を売却したとしても、非課税投資枠を再利用することはできません。

また、1年間に投資できる非課税枠には上限があります。が、上限まで投資をおこなわなかったとしても、翌年に非課税枠を繰り越すこともできません。

損益通算は不可

NISA口座で損失が生じても、特定口座など課税口座で生じた利益との損益通算(※)はできません。非課税の資産ということは、利益だけでなく損失にも税制度が関係しないということ。

※損益通算:利益と損失を相殺すること。その年の利益が20万円、損失が8万円だった場合、20万円から8万円を差し引いた12万円が課税の対象になり、税金を減らすことができます。NISAの場合、このような損益通算ができません。

非課税期間終了時の留意点

NISA口座で非課税期間が終了し、ロールオーバーしたり、他の課税口座へ移管する際は、移管した時点での時価が取得価格となります。

そのため、損失が生じている場合は取得価格が本来購入した価格より低くなってしまいます。それにより、課税口座で売却する際に価格の状況によっては、利益が大きくなり税金負担が増える可能性があります。

例えば、NISA口座で100万円を運用し非課税期間が終了した時点で40万円まで値下がりしていたとします。課税口座に移し、100万円まで価格が戻り売却したとしても、課税口座に移管した時点での取得価格は40万円と見なされるため、60万円の利益に対して20.315%の税金がかかってしまいます。

一方、非課税期間終了時にNISA口座で含み益が出ていた場合、さらに価格が上昇すると見込めれば、さらなる非課税メリットを享受するために、ロールオーバーする策もあります。利益が出ていて課税口座に移す場合は、移管時からさらに値上がりした利益に対して税金がかかります。 

NISAをはじめるならどこに相談する?

5.NISAをはじめるならどこに相談する?

NISAと並んで資産形成の一つとして「iDeCo(個人型確定拠出年金)」についても、気になるという方は多いのではないでしょうか。
が、NISAやiDeCoにはそれぞれ特徴があり利用目的が異なります。資金に余裕がある方は、は併用して目的別に将来の資産形成をおこなうとよいでしょう。

NISAもiDeCoも運用益が非課税になるという点では共通しています。また、長期にわたり毎月定額でコツコツ投資をおこなう仕組みも似ています。
iDeCoの特徴としては、掛け金が全額所得控除の対象になり、所得税と住民税の節税効果が期待できます。ただ、一点留意点としては、iDeCo「個人型確定拠出年金」は、退職後のための資産形成の制度であるため、60歳になるまで引き出すことができません。
現役時代に使う予定がある資金は、一般NISAやつみたてNISAを利用し、時間をかけられる場合は、つみたてNISAで長期・積立・分散投資をするとよいでしょう。そして老後の資産形成にはiDeCoで備えるというイメージです。

NISA口座を開設する方法は?

NISAを利用するには、まずは金融機関に取引口座を開設する必要があります。あらかじめ、どの商品を購入したいのかを決め、それを取り扱っている金融機関を選びます。金融機関のサイトから取引口座の開設を行いますが、予め本人確認書類やマイナンバーカードなどを用意する必要があります。

また、どのような商品を購入するかを決めかねている方は、ファイナンシャルプランナーや信託銀行などの専門家に相談しましょう。

つみたてNISAの出口戦略!いつ売るのがベスト?

投資初心者の方でも投資による資産形成がしやすい制度と言われるつみたてNISA。ただ、「投資により損をしたくない、でもなるべく大きな利益を得たい」という声も聞きます。

では、どのようにしたらそのお悩みは解決できるでしょうか。
つみたてNISAでは、運用の王道と言われる「長期・積立・分散投資」により価格の変動を抑え、長期的に安定的な資産形成をすることが期待できます。短期的な価格の変動により一喜一憂せず、落ち着いて長期で投資を継続していくことをお勧めします。

ただし、投資環境が大きく変わったり、ご自身の考え方が変わった場合には、つみたて投資する運用商品の見直しを検討することも必要です。つみたてNISAの場合は非課税期間が終了したのちはロールオーバーすることができず、現金化するか課税口座へ移管することになります。

使う目的のために積立てをしているのですから、目標額を達成し資金を利用するときが売却のときと考えてもよいでしょう。課税口座に移した後に値下がりし、回復までに時間がかかりそうだという状況になった場合にはタイミングをみて売却し利益を確定、あるいは損失が膨らむ前に早期売却も選択肢の一つかもしれません。

目的に合わせて資産形成することを念頭に、iDeCoやその他の資産形成方法とバランスを考えることが大切でしょう。

まとめ

まとめ

ここでは、NISAの概要や特徴、メリット・デメリットをご紹介しました。NISAの種類により投資できる投資商品がある程度決まっているため、株式投資をしたい方は一般NISAを選ぶとよいでしょう。つみたてNISAは運用の王道である長期・積立・分散投資を後押しする制度になっており、投資初心者の方でも資産形成がしやすいでしょう。iDeCoを組み合わせながら資産形成の手段として取り組んでみましょう。

【参考】金融庁 つみたてNISAの対象商品 詳しくはこちら

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ