【最新】国民年金の満額は79.5万円!満額の条件と今から受給額を増やす方法

老後の年金のベースとなる国民年金の満額は年額795,000円です(※2023年時点)。年金が満額で受け取れる基準や、受け取れないケースを解説します。また、満額に近づける方法や年金以外で老後資金を賄う方法、NISAやiDeCoなどの制度も参考にしてみてください。

【最新】国民年金の満額は79.5万円!満額の条件と今から受給額を増やす方法

満額の年金額(国民年金・厚生年金)はいくら?

満額の年金額(国民年金・厚生年金)はいくら?

年金額を満額受け取るためには、原則として20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を全額納めなければなりません。ここでは日本の年金制度の仕組みと、国民年金と厚生年金における満額の年金額をそれぞれ解説します。

日本の年金制度の仕組み

日本の年金制度は、下図のように3階建ての構造となっています。

満額の年金額(国民年金・厚生年金)はいくら?

1階部分は20歳以上の国民が全員加入する「国民年金」2階部分は職業に応じて加入する「厚生年金」となっています。厚生年金の加入者は、国民年金にも加入しているため、国民年金しか加入していない人よりも手厚い年金の給付を受け取ることができます。

この1階部分、2階部分のことをあわせて「公的年金」といい「世代間扶養」の考え方で成り立っているのが特徴です。具体的には、国庫負担とあわせ、働き盛りの現役世代に保険料を負担してもらうことにより、年金給付を支える仕組みとなっています。

年金制度の3階部分は「私的年金」といい、公的年金の上乗せの給付を保障する制度です。私的年金にもいくつか種類があり、ニーズに合った制度を選択することができます。

なお、被保険者の区分は3つあり、第2号被保険者のみが厚生年金に加入することができます。被保険者の区分は以下の通りです。

被保険者区分 主な対象者 年齢要件 居住地要件
第1号被保険者 自営業者、学生
無職の人
20歳以上60歳未満 国内
第2号被保険者 会社員、公務員
教職員
下限なし、
原則70歳未満
なし(海外可)
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者 20歳以上60歳未満 国内

国民年金(満額)の計算方法

国民年金の年金額は毎年改定され、2023年(令和5年)時点での満額は795,000円(月額66,250円)です。

また、国民年金は「年金額×(保険料の納付月数÷480ヶ月)」といった計算式によって求められます。

そのため、令和5年現在で国民年金の受け取り金額は「79.5万円×(保険料の納付月数÷480ヶ月)」で求めることができます。

なお、夫婦の厚生年金加入期間によっては国民年金に「振替加算」が付く場合があり、その分を加算すると満額を超えることもあります(生年月日により異なる)。

厚生年金(満額)の計算方法

厚生年金は国民年金と異なり、年収や加入期間によって受給額が増える仕組みになっているため、厚生年金に「満額」という概念は存在しません。厚生年金の保険料には上限があるほか、厚生年金の加入年齢は上限が70歳であることもあわせて覚えておきましょう。

なお、老齢厚生年金の受給額は以下の計算式によって求められます。

老齢厚生年金=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額

厚生年金は「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金額」を計算し、少し複雑な工程となるので、以下の記事も参考にしてみてください。

国民年金を満額受け取るための条件

国民年金を満額受け取るための条件

国民年金の老齢基礎年金(以下、国民年金)は、20歳から60歳までの保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。
また、納付期間が足りない場合には60歳以降も納付でき、65歳までに受給資格期間が10年に達すれば65歳から国民年金を受給可能です。(65歳以降も納付し続けることができ、10年の納付期間に達した時点から受給できる)

老齢基礎年基金を満額受け取るための条件は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を全額納めていることです。会社員や公務員(以下、会社員など)が加入している厚生年金には国民年金も含まれています。
そのため、20歳~60歳まで勤めて厚生年金に加入していると、国民年金を満額受け取る条件を自動的に満たすことになります。

なお、会社員などの扶養となっている配偶者など「第3号被保険者」は、国民年金のみに加入していますが、保険料は配偶者の保険料と一緒に給与から天引きされて納付していることになります。
そのため、結婚を機に第3号被保険者となっても、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を納付していれば、国民年金を満額受け取ることができます。

国民年金を満額受け取ることができないケース

国民年金を満額受け取ることができないケース

国民年金を満額を受け取るには、原則として保険料納付月数が480ヶ月必要です。しかし、就職や結婚、退職、自営業への変更、転職など、働き方を変えた時は健康保険とともに年金の手続きが必要です。その手続きが遅れて保険料納付期間が少なくなると、国民年金を満額受け取ることができません。
ここでは、国民年金を満額受け取ることができないケースを解説します。

免除期間や猶予期間があるケース

保険料免除制度や保険料納付猶予制度を利用した場合、免除種類および免除期間に応じた計算方法によって、国民年金支給額が減額されます。しかし、年金保険料を納付しなかった時期から10年以内に「追納」をすることで、減額される分の年金支給額を増やすことができます。

昭和61年3月以前に第3号被保険者だったケース

昭和61年3月31日まで、第3号被保険者の国民年金は任意加入となっていました。そのため、国民年金保険料を支払っていなかった場合には国民年金の未加入者として扱われ、その期間分の国民年金支給額が減額されます。

昭和61年以降の国民年金加入期間が少ない第3号被保険者のなかには、10年の年金加入期間を満たしていない人も少なくありません。そこで、政府は昭和36年4月から昭和61年3月までの期間を「合算対象期間(カラ期間)」とみなし、年金額には反映しない一方で年金加入期間の計算には反映することとしました。

とはいえ、その場合には国民年金保険料は満額とならず、むしろかなり少ない金額しか受け取ることができない点に注意が必要です。

学生時代に国民年金保険料を払っていないケース

学生時代に「学生納付特例制度」を利用し、20歳になっても国民年金保険料を支払っていない場合には、国民年金保険料を満額受け取ることはできません。
しかし、将来受け取る国民年金を満額に近づけるために「追納制度」を利用したり「任意加入制度」で60歳以降も国民年金に加入したりすることは可能です。

65歳前に前倒しで年金を受け取ったケース

65歳より前に国民年金を前倒しで受け取った場合「繰上げ受給」とみなされます。繰り上げて国民年金を受給すると、1ヶ月あたり0.4%~0.5%が減額されてしまうため、満額の国民年金を受け取ることはできません。(※0.4%の対象となるのは、1962年4月2日以降に生まれた人となります)

国民年金の平均受給額はどのくらい?

国民年金の平均受給額はどのくらい?

国民年金の満額は年額79万5,000円(月額約6万6,250円)ですが、ここでは国民年金の平均受給額についてみてみましょう。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金(国民年金)を受給している人の平均受給額は、月額5万6,479円となっています。満額より月額1万円程度少なく、保険料納付月数に換算すると約66ヶ月(5~6年)分少ない計算です。

また、同調査で老齢厚生年金を受給している人の平均受給額は、月額14万5,665円(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計)となっています。

【参考】厚労労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 詳しくはこちら

国民年金を満額に近づける方法

国民年金を満額に近づける方法

今のままでは国民年金を満額を受け取れないという場合に、何かできることはあるのでしょうか。ここでは、国民年金を満額に近づける方法を4つ紹介します。

60歳以降も国民年金に任意加入する

60歳から65歳までの間、国民年金に任意加入して国民年金保険料を支払うことができます。注意点として、年金の繰上げ受給をしている場合や、厚生年金、共済組合などに加入している場合は、国民年金の任意加入ができません。また、納付月数が480ヶ月に達したら任意加入は終了となります。

免除・猶予期間分を追納する

保険料の免除、猶予期間などがある場合、年金保険料の追納が可能です。ただし、追納するためには以下いずれかの要件を満たす必要があります。

・学生時代に「学生納付特例制度」によって国民年金保険料の納付を猶予している
・失業後、国民年金保険料の納付を「申請免除」または「若年者猶予」している

なお、免除されていた期間の国民年金保険料については厚生労働大臣の承認を受け、その承認がされた月の前10年以内の期間のものに限り追納が認められています。

付加年金の保険料を納付する

毎月の国民年金保険料に付加保険料(月額400円)を上乗せして支払うことで、年金受給額を増やすことができます。
付加保険料の納付による付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付月数」で求められます。
ただし、第一号被保険者のための公的な年金制度である「国民年金基金」に加入している場合は、付加保険料の納付ができない点に注意が必要です。

年金の繰下げ受給をする

原則として65歳から年金を受け取ることができますが、本人が希望すれば年金の支給開始を66歳以降、好きなタイミングに遅らせることができます。これを「繰下げ受給」といい、1ヶ月単位で受け取り始期を後ろにずらすことが可能です。(※繰下げ受給の上限は75歳)

繰下げ受給をすると、65歳から年金を受け取る場合と比較し、1ヶ月ごとに0.7%の年金受給額が増額されます。結果として、生涯で受け取れる国民年金の額を増やすことができるでしょう。

年金以外で老後資金を賄う方法

年金以外で老後資金を賄う方法

老後2,000万円問題や人生100年時代といった話題をよく耳にする昨今では、年金だけで老後資金を賄えるのかと不安に感じる人も少なくありません。

また、低金利時代ということもあって、普通預金口座に貯金しているだけでは、効率的にお金を貯めることは難しいでしょう。そこで、若いうちから資産形成に取り組むことをおすすめします。ここでは、公的年金以外で老後資金を賄うことのできる、リスクの低い資産運用を3つご紹介します。

NISAを利用した投資信託

NISAを活用して、投資信託で老後資金を増やすのもおすすめです、NISAは少額投資非課税制度のことで、投資商品の運用や売却で得られた利益に対して税金が課税されません。

投資信託は、少額から分散投資が可能で、長期投資や積立投資によってリスクを軽減することができます。2023年現在は「一般NISA」と「つみたてNISA」がありますが、2024年度からは「新NISA」がスタートすることが決まっています。

投資初心者の方でも始めやすい制度なので、この機会に始めてみることをおすすめします。

iDeCoなどの私的年金

iDeCoは、公的年金に上乗せする私的年金のことを指します。確定拠出年金といって、毎月の掛金を自分で決め、それを運用することによって老後に向けた資産形成を行う仕組みです。

iDeCoのメリットとして、掛金が所得控除の対象となるほか、運用で得た利益は非課税となるなどの税制上の優遇を受けられる点があげられます。また、受け取る際は退職所得控除や公的年金等控除の対象となることも利点といえるでしょう。

定期預金(退職金専用定期預金)

老後資金を増やす手段として、定期預金による運用があります。投資ほど大きなリターンは見込めませんが、普通預金に預けているより金利が高く、収益性があります。定期預金は元本割れのリスクがないことに加え、身近な銀行に預けられることから安心感があるでしょう。

大手銀行のなかには退職金専用の定期預金があり、一般の定期預金よりも高い金利が設定されているのが特徴です。退職金専用の定期預金を活用して、老後資金を確保することも選択肢の1つです。

まとめ

国民年金の満額は、795,000円です。国民年金を満額受け取るには条件がありますが、条件に満たない場合でも、満額に近づける方法があります。

年金以外にも老後の資金を確保する方法があるため、自分にあった資産形成を行っていくことをおすすめします。
まずは、自分の年金記録や年金額を年金事務所などで確認し、ご自身の働き方やご家族の希望を踏まえた今後のマネープランニングを行いましょう。

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