定年後こそしっかりしたライフプランを!今から考えるべき定年後の生活とお金のハナシ

公的年金だけで定年後の生活は賄えないといわれています。退職後の生活に備え、現役の時からライフプランを考えておくことが大切です。この記事では、定年後に変わる点や定年後に要する生活資金を説明し、老後の資金を減らさない方法を解説します。資産運用の参考にしてみてください。

定年後こそしっかりしたライフプランを!今から考えるべき定年後の生活とお金のハナシ

そもそも定年後の生活は何年続く?

そもそも定年後の生活は何年続く?

人生100年時代といわれるように、日本人の平均寿命は年々長くなってきています。
厚生労働省の発表の「令和2年簡易生命表」では、日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳となっています。平均寿命とは0歳児が平均で何歳まで生きるのかという数字ですが、これは読み替えるならば0歳児の平均余命です。

平均寿命ではなく、平均余命で老後のライフプランを考える

定年後の人生においては、平均寿命ではなく平均余命を考える必要があります。65歳定年であれば、65歳の平均余命を考えなくてはいけません。上述の統計では、65歳男性の平均余命は20.05歳、女性では24.91歳となり、男性なら85歳、女性ならほぼ90歳まで生きることになります。

【参考】厚生労働省:「令和2年簡易生命表」詳しくはこちら

定年後で変わる3つのポイント

定年後で変わる3つのポイント

長年の会社勤めを経て定年退職すると、生活にも大きな変化があります。

収入が減少する

これまでは会社からの給与が安定した収入につながっていたでしょう。しかし60歳に定年退職をした場合は、65歳になるまで公的年金を受け取れないため、私的年金などがなければ収入がほぼなくなってしまいます。
また、65歳から公的な年金を受け取ったとしても、現役時代に匹敵する収入にはなりません。

令和元年度の老齢厚生年金の平均年金月額は14万6,162円、老齢基礎年金の平均年金月額は5万6,049円で、合計で20万2,211円となっています。

【参考】厚生労働省:「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況P.8/P.20」詳しくはこちら

時間が増える

収入の減少に反して増えるのが、自由になる時間です。これまでは出社して帰宅するまでは自分の時間が取れませんでしたが、退職後には1日のうち多くの時間が自分の自由になります。そのため趣味や今までやりたかったことにも時間を費やせるようになるのです。

健康リスクが高まる

これまでは通勤などで歩く機会もありましたが、定年後は外出せず家でのんびりする日が続くことも考えられます。運動不足となり、筋力の低下や生活習慣病のリスクも生じてくるでしょう。さらには年齢による体力の衰えも無視できません。日本では平均寿命は延びていますが、健康で生活できる健康寿命は平均寿命より短く、2021年の健康寿命は男性で72.14歳、女性で74.79歳となっています。

【参考】厚生労働省:「平均寿命と健康寿命の推移」詳しくはこちら

定年後に必要な生活資金

定年後は現役時代と比べ生活費は少なくなりがちですが、ゆとりある生活を送りたいものです。
総務省が調べた令和2年の「家計調査年報」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は22万4,390円になっています。

【令和2年 65歳以上の無職世帯の消費支出】

令和2年 65歳以上の無職世帯の消費支出

しかし、支出の内訳からすると、決して贅沢をしているようにはみえません。
また、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」では、ゆとりある老後生活費は平均で36万1,000円となっています。
ゆとりある老後生活を送れるように備えをしておきたいものです。

【参考】総務省:「令和2年家計調査年報 家計収支編」詳しくはこちら

【参考】生命保険文化センター:「令和元年 生活保障に関する調査」詳しくはこちら

老後の資金を減らさないポイント

老後の資金を減らさないポイント

最近、資産寿命という言葉が広まってきています。長寿化に伴い、資産を取り崩すにも工夫が必要な時代になりつつあるといえるでしょう。

定年後の生活費や固定費の定期的な見直し

これまで日中は仕事に行き、家に居なかったことで光熱費などが少なく抑えられていた面もあるはずです。また、10時や15時に間食を取るようになることもあるでしょう。そうした分も固定費や生活費の増加として見ておかねばなりません。

現役時代と同じような生活を送ると毎月赤字となる可能性があるため、定年後にはさまざまな支出の見直しをしてみることも大切です。携帯料金や保険の見直しなど、現在の支払いが適切か確認しながら削れる部分は思い切って削りましょう。支出の内容を定期的に確認していくのも無駄の削減に効果的です。

年金の繰り下げ

年金の繰り下げ受給も生活費を増やす手段のひとつといえます。
年金の受給は66歳0カ月目から1カ月単位で繰り下げられ、現在の制度では70歳まで繰り下げできますが、2022年4月からは繰り下げ可能年齢が75歳まで引き上げられます。

繰り下げる期間に応じて受給額が1カ月当たり0.7%増えていきます。70歳まで繰り下げた場合は42%、2022年4月以降から75歳まで繰り下げた場合は84%、受給額を増やせるのです。
長寿化が進む中で、健康状態を考えながら年金の繰り下げ受給で収入を増やすことも考えてみましょう。

退職金の活用

退職金も活用方法によっては資産寿命を延ばしながら収入を増やせる元手となります。
退職金を受け取って単に取り崩したり、住宅ローンの返済やリフォームを考えたりする人もいるでしょう。
しかし、ある程度まとまった資金を直ちに取り崩すのではなく、運用しながら取り崩すことで資産寿命を延ばす方法も、検討の余地があります。

再就職

定年退職をした後も働いて収入を得ることが考えられます。現在は65歳未満の定年を定めている場合、「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を実施する必要があり、希望する場合には再雇用や雇用延長が可能です。

65歳となり再雇用や雇用延長ができない場合には、他の会社に再就職する方法もあります。年金の繰り下げ受給と合わせて考えることもできますし、年金を受け取りながら働くこともできます。年金の基本月額と働いて得る総報酬月額相当額が47万円以下であれば、在職老齢年金の減額はないので、働き方も考えることが大切です。

セカンドライフの充実も考える必要がある

セカンドライフの充実も考える必要がある

現役時代には仕事に追われていた人も、定年後は自由な時間が増えることで、やりたいことや趣味を始めてみようと思うかもしれません。好きなことに打ち込み、セカンドライフを健康的に過ごすことで、健康寿命も延ばせます。
これまでと違った人間関係を築いて、日々の目標を立ててみるなど、楽しいセカンドライフを過ごすことも考えましょう。

まとめ

定年後は自由になる時間が増えるため、自分自身で計画的に行動していくことが大切になります。
また、ゆとりある老後生活を送るためには、現役時代からセカンドライフに向けた計画を立てておく必要もあります。
お金のことだけではなく、健康的に充実した生活を送るためにも、定年後にやりたいことなどを考えながら計画的に準備を始めましょう。

ご留意事項
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