退職金はどこに預けるのがいい?定期預金と投資はどちらがおすすめ?
老後の資金に2,000万円が必要といわれる中、退職金をどのように使うべきかお悩みの人も多いことでしょう。そこで本記事では退職金の預け先として定期預金と投資のどちらがいいのか比較をしていきます。老後の資金を確保する上で自分にあった方法で、退職金を活用しましょう。

退職金はどこに預ける?定期預金VS運用

老後の大切な生活資金となる退職金ですが、どこに預けるのかで資金計画は大きく変わってきます。
代表的な預け先として、銀行の定期預金があげられるでしょう。定期預金には、普通預金よりも利息が多いというメリットがあるからです。
また、利回りを求めるのであれば、単純に銀行へ預金をするのではなく、株式などに投資するという選択肢もあります。しかし、資産運用に関心を持つ人が増えてきたとはいえ、「投資のことはよく分からない」「なんとなく忌避感がある」という人も多いのではないでしょうか。
そこで以下では、定期預金と運用のどちらがよいかを考えるための判断材料として、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく挙げていきます。
定期預金のメリット
定期預金の第一のメリットは、普通預金と比べて金利が高く設定されていることです。また、株式投資のような資産運用とは異なり、定期預金は元本割れのリスクを考える必要が殆どありません。
定期預金は銀行が破綻しない限りは元本が安全に守られています。仮に、預け先の銀行が破綻しても預金保険制度によって1,000万円までの元本と利息が保証されているのは預金の大きな強みでしょう。

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定期預金のデメリット
定期預金のデメリットは、資産運用に比べると利回りが低いことです。今日の銀行の金利は微々たる額に設定されているため、1,000万円を超える資金を10年銀行に預けても、数万円の利息しかつかない場合も珍しくありません。退職して収入手段が限られた中で、資金を増やすことを考えるならば、定期預金が最善とは言い難いでしょう。
また、定期預金は簡単にお金を引き出せないという欠点もあります。定期預金は中途解約しない限り、事前に定めた期間内はお金を引き出せないので注意が必要です。とはいえ、最近の定期預金は細かく期間を設定できます。さらに、「自由にお金を引き出せない」という欠点は、考えようによってはお金の無駄づかいを避けやすいというメリットにもつながります。
運用のメリット
株式投資などの運用のメリットは、資金を大きく増やせる可能性があることです。年金があるとしても、退職後は貯金を切り崩して生活していく人が多いでしょう。しかし、効果的な資産運用に成功すれば、資産の減少ペースを遅らせるどころか、資産を増やせる可能性もあります。
また、インフレや為替変動などに伴い、円の価値が現在より下落するリスクに備える意味でも、資金を増やすための策として、資産運用に取り組むメリットは大いにあります。さらに、投資を通して世の中の出来事に関心を持ち続け、気持ちや生活にメリハリがつくことも期待できるでしょう。
銀行に預けた場合は、1,000万円とその利息の保証しかありませんが、運用を行う場合で証券会社が破綻しても金額の上限はなく、その時点の評価額が保証されます。
運用のデメリット
運用のデメリットは、定期預金に比べて元本割れなどのリスクがある点です。投資は、一般的に元本保証がついていないため、失敗すると老後資金が大きく目減りする恐れがあります。また、自分自身で投資を行う場合には、利益を出すためのノウハウを身に着けるために、多くの時間と労力がかかります。
それゆえ、退職金を資産運用に回す場合は、全額を使うのではなく、元本割れのリスクも考えて、余剰資金を充てるのがおすすめです。
退職金専用の定期預金とは

「定期預金の金利では物足りないけれど、投資のリスクも怖い」と感じた人も多いのではないしょうか。そこでおすすめしたいのが、退職した人または退職予定の人を対象にした定期預金です。この退職金専用の定期預金について解説していきます。
高金利が期待できる
退職金専用の定期預金の大きな特徴は、高金利が期待できることです。退職金専用の定期預金では、最低数百万円の高額な預金を行うことを条件に、3ヶ月程度の期間限定で通常の定期預金・普通預金よりも高い金利が付きます。金利は銀行によってさまざまですが、年利に換算して1%を超える場合もあります。3ヶ月を超えた場合は、通常の定期預金にシフトしますので、不要な手間はかかりません。高い利率があるにもかかわらず、退職金専用の定期預金も通常の預金と同じく元本割れの心配はないので、一般的な定期預金に預けることに比べ人気があります。
シミュレーションしてみよう
退職金専用定期預金のイメージを分かりやすくするために、シミュレーションをしてみましょう。例えば、2,000万円の退職金を年利0.001%の普通預金に預けた場合、1年後の利息は200円にすぎません。他方、年利換算で1%の金利が付く退職金専用定期預金に同額を預けた場合、3か月で利息を5万円も受け取れることになります。
投資信託とのセットプランには注意
退職金専用定期預金を利用する場合の注意点として、投資信託とセットのプランになっていることが挙げられます。投資信託とのセットプランは通常のプランよりもさらに金利が高く設定されていますが、信託手数料を取られたり、ハイリスクな場合もあったりするので、慎重に検討しましょう。
退職金の運用方法4選

続いては、退職金を運用するのに適したおすすめの運用方法を4つ紹介していきます。

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投資信託
投資信託とは、投資の専門家に運用を任せる運用方法です。何をいつ売買するかといった、投資の難しい判断を専門家が行ってくれる上、金融機関によっては100円という少額からでも始められるため、投資初心者にも向いています。投資信託には購入手数料や信託報酬、信託財産留保額という手数料がかかります。投資信託の種類や運用方法によって手数料率は違います。投資信託で運用をする場合に、株式投資やFX投資のように短期的に大きく増えるという期待はできませんが、長期的な運用でコツコツと資産を増やすことが期待できます。

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ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、株式をはじめ、債券、不動産など多種多様なものに投資をして、相場が上がっても下がっても利益を狙っていく商品です。一般的な投資信託は広く投資家を募りますが、ヘッジファンドは私募形式で投資家を募ります。私募形式で投資家を募りますので、人数も限られ最低1,000万円以上と投資額も高額となることや、手数料も投資信託より高額です。投資額が高額となりますので、退職金などまとまった資金がある人には投資先の選択肢となります。

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個人向け国債
個人向け国債とは、国の発行する債券を購入する投資方法です。簡単に言うと、個人向け国債では、国にお金を貸し付け、一定期間後に利率を上乗せした額を返還してもらいます。利率は国や国債のタイプによって異なりますが、現状の日本国債だと、10年満期の変動金利制で0.11%(令和4年8月3日時点)、3年および5年満期の固定金利制で0.05%(令和4年8月3日時点)と設定されています。通常の社債と比べると金利は低いですが、定期預金よりも高い利率で安全性の高い運用をしたい人にはおすすめです。

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株式
株式投資とは、証券(株)を購入し、株主総会での議決権など株主としての権利や配当金を受け取る投資方法です。自分が保有する株は売ることもできるので、安く株を買い、高く株を売ることでその差益を得ることもできます。その反面、保有する株の価値が落ちることもあるので、一定のリスクが伴う投資方法です。株取引は証券会社を通して行いますが、一定額以下の取引の場合は取引手数料を取らない証券会社もあります。リスクを許容できる範囲で多くのリターンを求める人、あるいは応援したい企業がある人や、株主優待を求める人におすすめの投資方法です。

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老後に必要な資金を考えて預け先を決めよう

退職金は老後の生活を豊かにするための大事な資金です。超低金利の普通預金・定期預金に預けるのはもったいない一方で、失敗したときに今後の生活が立ち行かなくなってしまうようなハイリスクな投資も避けなければなりません。そのためには、必要な資金は定期預金に預け、一部のお金を複数の投資先に分けて運用するなど、リスク管理が重要になります。目安としては、退職金のうち10年以上使わない可能性があるお金を投資に回すのが無難でしょう。安心して老後を送るために、さまざまな選択肢を検討した上で今後の資金計画を立ててみてください。

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