つみたてNISAのポートフォリオはどう組む?年代や目的に合わせた組み方も紹介!

長期的な資産形成に向いているとして人気の高い「つみたてNISA」ですが、リスクを抑えて運用するには、適切にポートフォリオを組む必要があります。この記事では、つみたてNISAでのポートフォリオの組み方を解説します。年代や目的に合わせたポートフォリオの組み方も紹介しているので参考にしてみてください。

つみたてNISAのポートフォリオはどう組む?年代や目的に合わせた組み方も紹介!

ポートフォリオは分散投資が基本

ポートフォリオは分散投資が基本

「ポートフォリオ」とは、資産運用で保有する金融商品の組み合わせのことです。
金融商品には、預貯金、株式、債券、不動産等の種類がありますが、それぞれリスクとリターンが異なります。

資産運用でリスクを抑えるには、複数の投資先に資産を分散させる「分散投資」が重要です。1つの商品に集中して投資してしまうと、その商品の市況が悪化した時、資産全体が目減りしてしまうことになるからです。
そこで、ポートフォリオを組む時には、この分散投資を意識して金融商品を選ぶことが基本です。

なお、ポートフォリオと混同しやすい言葉に、「アセットアロケーション」があります。
ポートフォリオが具体的な商品の組み合わせを表すのに対し、アセットアロケーションは、「資産配分」ともいい、資産(株式、債券、現金等の大枠)をどのような割合でもつかを決めることです。

資産運用においては、まず自分にとって最適なアセットアロケーションを考え、それに基づいてポートフォリオを組むことになります。最近では、手軽にポートフォリオが組める無料のスマホアプリもあり、運用方法のアドバイスや注目すべき情報を教えてくれる機能があるものもあります。

ポートフォリオを組む時のポイント

ポートフォリオを組む時のポイント

理想的なポートフォリオは、人によって異なります。また、同じ人でも年代や目的によって異なってきます。ポートフォリオを組む時のポイントをみていきましょう。

目的と目標を明確にする

まず大切なことは、資産運用の目的と目標額を決めることです。
なぜお金を増やしたいのか、いつまでにどのくらいの額を目指したいのかを明確にしておきましょう。

例えば、「住宅購入の頭金として35歳までに500万円を用意する」「老後資金として20年後に1,000万円を目指す」といった具合です。
目的や目標金額を明確にすると、そこから逆算することで、目標達成に必要な毎月の積立金額や運用期間、目指す利回り等が決まり、適切なポートフォリオを組むことができます。
ただし、利回り(リターン)が大きいほどリスクも大きくなるので、その点はシミュレーションをする等注意しましょう。

リスク許容度に合わせて金融商品を選ぶ

金融商品にはそれぞれ特徴があり、リスクとリターンの大きさが異なります。

例えば、債券は、国や地方公共団体、企業等が資金を借り入れるために発行するもので、定期的に利息を受け取ることができるうえ、満期まで持っていればあらかじめ約束した金額が払い戻されます。債券は、大きなリターンは望めませんが、リスクは小さいといえます。

一方、株式は、企業が事業に必要な資金を調達するために発行するもので、企業の業績等により価値(株価)が変動します。株式は、高いリターンが期待できる一方で、リスクも高い商品です。

ポートフォリオは、どの程度の損失であれば受け入れられるかという自分の「リスク許容度」に合わせて組むことが大切です。
リスク許容度は、収入や保有資産、年代、性格等により異なります。一般的には、年代が若い、または資産が多い方ほどリスク許容度が高い、すなわち積極的に高いリスクを取り、高いリターンを追求できると考えられます。

資産・地域・時間の分散をする

ポートフォリオを組む時は、分散投資を意識しましょう。分散投資には、「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」等の手法があります。

株式と債券、国内と海外(日本株と米国株、先進国だけでなく新興国)等、値動きが異なる投資商品や地域に投資先を分ける(「資産の分散」、「地域の分散」)ことで、1つの商品が大きく値下がりした場合でも資産全体の損失を抑えることができます。

また、一度に多額の投資を行うのではなく、複数回にわけて投資する「時間の分散」も有効です。積立投資のように、同じ商品を定期的に定額で購入し続けることで、価格が高い時は少なく、価格が安い時は多く買うことができ、購入単価を平準化することができます。

運用状況に合わせてリバランスする

自分のリスク許容度に合った最適なポートフォリオを組んでも、運用成績によってポートフォリオの比率は徐々に崩れてしまいます。
そこで、運用状況に応じて比率を再調整する必要があります。これを「リバランス」といいます。

例えば、株式50%、債券50%でポートフォリオを組んでいたとします。
株価が大きく値上がりして、ポートフォリオに占める株式の比率が上がった場合、株式は値動きが大きいため、当初の想定よりもリスクが高くなりすぎてしまいます。そのため、株式の一部を売却するか、債券を買い増すかして、当初の比率に戻す必要があります。

リバランスをすることで、リスクの取りすぎを防ぎ、最適なポートフォリオを保ち続けることができるのです。

つみたてNISAでのポートフォリオの組み方

つみたてNISAでのポートフォリオの組み方

つみたてNISAとは、毎年40万円まで投資でき、最長20年間は投資で得られた利益が非課税になる制度です。
つみたてNISAの対象商品は、長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されているため、投資初心者でも利用しやすいことが特徴です。

つみたてNISAを適切にポートフォリオを組んで運用することで、リスクを抑えて資産を増やすことができるかもしれません。

銘柄選びのポイント

つみたてNISAでポートフォリオを組む時、どのような銘柄を選べばよいのでしょうか。

つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた要件を満たす、比較的安定運用が可能な投資信託に限定されているというものの、その数は200本以上あり(2023年4月現在)、この中から自分に合った銘柄を選ぶのは容易ではありません。
銘柄の選び方はいろいろありますが、1つの考え方をご紹介しましょう。

つみたてNISAの銘柄は、大きくわけると「株式100%型」と「バランス型」の2つにわかれます。

「株式100%型」とは、資金をすべて株式に投資する投資信託のことです。
「バランス型」とは、株式や債券、REIT(リート)(不動産)等、さまざまな資産に投資する投資信託のことです。

「バランス型」は、分散投資の効果でリスクを抑えた運用が期待できます。安定的な運用を望むのであれば、「バランス型」を選んでみましょう。
反対に、多少リスクを取ってもハイリターンを狙いたいというのであれば、「株式100%型」を選ぶとよいでしょう。

なお、同じ「株式100%型」でも、どの国の株式に投資するかによってリスクが異なります。一般的に、「国内株式」→「先進国株式」→「新興国株式」の順にリスクが高くなりますので、自分のリスク許容度に合わせて銘柄を選ぶようにしましょう。
ちなみに、世界中の株に分散投資する「全世界型」というタイプもあります。

「バランス型」も銘柄によって資産配分が異なり、リスクの大きさが異なります。株式の割合が大きいほどリスクが高くなりますので、こちらも自分のリスク許容度に合わせて検討するようにしましょう。

NISA制度は2024年から新制度へ

なお、現行のNISA制度は2023年で終了し、2024年からは「新NISA」へと移行します。新NISAの変更点について、現行のNISAとの違いを簡単にみておきましょう。

現行NISAは「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらか1つしか利用することができませんが、新NISAでは、一般NISAに相当する「成長投資枠」とつみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」の併用が可能になります。

また、非課税保有期間の無期限化、非課税枠の大幅拡大、投資枠の再利用が可能等、これまでより使い勝手がよくなることが見込まれます。まだNISA制度を活用していない方は、銀行や証券会社等の金融機関で口座開設をして、活用することをおすすめします。

新NISAの投資対象

新NISAでは、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円、合計すると年間360万円まで投資が可能ですが、それぞれどのような商品に投資することができるのでしょうか。

つみたて投資枠は投資信託

つみたて投資枠の投資対象商品は、現行のつみたてNISAと同様です。長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されています。

成長投資枠は上場株式や投資信託

成長投資枠では、上場株式や投資信託等に投資できます。ただし、整理・監理銘柄、信託期間20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託等は投資対象から除外されます。

年代別・つみたてNISAのおすすめのポートフォリオ

年代別・つみたてNISAのおすすめのポートフォリオ

ここからは、つみたてNISAでのポートフォリオの組み方の一例として、年代や目的別に考え方を解説するので参考にしてみてください。

まず大切なことは、つみたてNISAにおけるポートフォリオは、既に保有している資産も含めた全体のバランスの中で考えるということです。
例えば、保有資産が預貯金に偏っているという場合には、つみたてNISAでは多少のリスクを取って、株式100%型の投資信託を選んでみるといったイメージです。

20代〜30代:子供の教育資金やマイホーム購入資金を準備したい

子供の教育資金やマイホーム購入資金の準備を目的としている場合には、使用時期が決まっているため、できるだけ減らさずに運用したいところです。あまり高いリスクは取らないほうが賢明でしょう。

8つの資産(国内株式・先進国株式・新興国株式、国内債券・先進国債券・新興国債券、国内REIT・先進国REIT)に分散投資するバランス型の投資信託等で、できるだけリスクを抑えながら増やす方法を選択するのが一案です。

20代〜30代:老後の資金を準備したい

20代〜30代の方で老後資金の準備を目的とする場合は、老後まで時間的に余裕があるため、積極的な投資を行なってもよいかもしれません。
現金等の安定資産をある程度保有している方は、株式・全世界型の投資信託を100%のように、リスクを高めに取り、高いリターンを期待することもできます。

投資資金に余裕がない方は少額からでもコツコツと長期投資をしましょう。金融リテラシーが高く運用リスクをコントロールできるかという観点も必要なため、不安な方は元本割れする可能性が低い商品を選んだり、非課税制度の1つであるiDeCoのような私的年金も活用するとよいでしょう。

40代:老後を見据えて資産を増やしたい

一般的に、年代が上がるにつれ安定的な運用にシフトしていきます。通常40代の方は、20〜30代より年収や資産が増える一方、住宅購入や子供の教育費で支出も増える傾向にあります。

資産を守ることを意識しながらも、老後まではまだある程度時間がありますので、安全性と収益性のバランスを考慮して運用しましょう。
株式50%債券50%の配分としたバランス型等、中長期的に増やすことを目的とした商品がおすすめです。

資金的に余裕があり、もう少し積極的に増やしたいという場合は、株式の割合を多めにして高い運用成果を目指してもよいでしょう。

50代〜:ゆとりある老後生活を送りたい

仕事をいつまで続けるか、年金を何歳から受け取るかによって、毎月の必要生活資金を把握し、安全性や収益性を考慮することが重要な50代。

定年退職を見据え、資産を減らさないことに重点をおきます。複数の銘柄分散によりリスクを抑えた安定的な投資を心掛けてください。
株式30%債券70%等、債券の割合を大きくしたバランス型により安定的な運用を目指します。

保有資産が多い方、投資経験が豊富で運用リスクをコントロールできる方は、積極的な投資を行うことも可能です。

まとめ

つみたてNISAは、長期・積立・分散投資により効率的に資産形成ができます。保有する資産全体のバランスを考慮したうえで、ご自身のリスク許容度と目的に合わせ、自分にとって最適なポートフォリオをみつけてみましょう。

ご留意事項
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