分散投資とは?種類やメリット・デメリットを理解して運用をしよう

分散投資をご存知ですか。安定した資産形成をおこなうために、収益の振れ幅であるリスクを考えることが重要です。今回は、リスク分散ができる分散投資について解説します。種類やメリット・デメリットを理解して、自分に合ったポートフォリオを組んで運用しましょう。

分散投資とは?種類やメリット・デメリットを理解して運用をしよう

分散投資とは?

分散投資とは?

分散投資は、投資対象や投資先の地域、投資のタイミングなどを一極集中させず、いくつかにわける投資手法です。分散投資によって安定的な運用ができ、リスクを減らすことができるでしょう。

分散投資はなぜ必要?

分散投資は、安定的な運用を行い、投資リスクを減らすために必要です。債券や株式などの資産は、上がり下がりを繰り返しながら推移していきますが、資産ごとに変動要因や変動幅が異なります。一つの資産に偏った投資をおこなっていると、予想外の変動によって大きな損失がでてしまう可能性があります。

また、最安値で購入し、最高値で売却することができれば大きな利益を得ることができますが、いつが一番高いか、低いかを見極めるのは運用のプロでも難しいのが現実です。投資するタイミングを分けることで起こりうる損失も分散させることができるでしょう。

分散投資の種類

分散投資の種類

分散投資には、「資産の分散」や「地域の分散」「通貨の分散」のほか、投資する時間(時期)をずらす「時間(時期)の分散」という考え方があります。ここでは1つずつ解説してきます。

資産の分散

資産の分散とは、資金を1つの投資先に限定せず、複数の投資先に分けることです。一般的に景気の見通しがよくなると、債券から株式へお金が流れ、株価が上がります。一方で、債券の価格は下がってしまいます。

同じ経済環境下でも、株式と債券ではそれぞれ異なる値動きをします。異なる動きをする資産に分散することで互いの損失を利益で補い合うことができるでしょう。

地域の分散

地域の分散とは、投資先の地域を複数に分けることです。その時々によって景気のよい国、悪い国があるように、経済の状況は変動するため、どの国が成長するのか見極めるのは難しくもあります。そこで、投資対象を多くの国々に広げることで、リスクの低減が期待できます。

通貨の分散

通貨の分散とは、地域の分散により円通貨など単一の通貨だけでなく、米ドル、豪ドル、ユーロ、トルコリラ、南アフリカランドなど複数の通貨への分散を指します。それにより為替変動の影響を和らげ、資産全体の目減りを防ぐことが期待できるでしょう。

経済的な状況を踏まえて、為替の変動も目を見張りながらバランスよく通過の分散をおこなう必要があるのです。

時間の分散

時間の分散とは、投資するタイミングを複数回に分けることです。日々価格が変動する投資商品は、まとまった資金を一度に投資するのではなく、小口に分けて定期的に投資します。

そうすることで、価格が高い時には少ない数量を、価格が低い時には多くの数量を買うことができます。これを継続することにより、1回当たりの投資単価は平準化され、大きな変動により生じる損失の軽減が期待できます。

分散投資のメリットと効果

分散投資のメリットと効果

分散投資のメリットは、安定的な運用ができるという点です。異なる値動きの投資対象を複数保有し、購入するタイミングを分けることにより、値動きが相殺されるでしょう。
特定の経済状況により、すべての資産の価値が下落するような事態でも資産全体の下げ幅を抑える効果があります。また、一括購入により高値で買ってしまうリスクも減らすことができます。

分散投資のデメリットと注意点

分散投資のデメリットは、リターンも低くなってしまう点です。投資は、一般的に高いリターン(成果)を求めるにともなって、リスク(振れ幅)も高まります。裏を返せば、リスクを抑えればその分リターンが低くなるでしょう。

すなわち、分散によってリスクを抑制できますが、それはプラスのリターンも分散してしまっているのです。また、投資する時期やその時の相場環境によっては一括で投資した方が、値上がりのトレンドに乗り、大きな利益を得られることがあります。

分散投資で重要なポートフォリオとは

分散投資で重要なポートフォリオとは

分散投資をおこなう上でリスクとリターンのバランスをとりながら運用ができるようになる「ポートフォリオ」について解説します。
ポートフォリオとは、自身の金融資産の組み合わせとバランス(配分)をまとめたものです。

ポートフォリオは、投資する金融商品の安全性や収益性を考慮しながら作成します。
安全性とは元本や利子の支払いが確実かを示し、収益性とは期待できる収益の大きさを示します。自分のリスク許容度をはかり、それに合わせて金融商品を組み合わせることが必要です。

リスク許容度とは、どのくらいの価格変動であれば許容範囲なのかということです。
運用期間、保有金融資産、投資の理解度といった要素も考慮します。例えば、運用期間が長く、資金準備が進んでいて、投資経験もある方は、収益性の高い(同時にリスクも高い)株式などを中心に積極的な運用も考えられます。

ポートフォリオの作り方

ポートフォリオの作り方には次の2つがあります。自分で複数の金融資産を組み合わせる方法と、あらかじめ複数資産が組み合わされている商品を選ぶ方法です。前者はある程度投資経験があったり、金融リテラシーの高い方におすすめです。投資初心者の方は、金融機関がリスクやリターンを考慮してパッケージ化した商品を選ぶ、後者から運用してみるのも手でしょう。

自分で複数の金融資産を組み合わせる

国内債券、外国株式の商品など、それぞれの資産に投資する商品を自分で組み合わせます。ただし、市場環境の変化により、当初の資産の配分比率から変動した場合には、元の配分比率に戻す「リバランス」を適宜行うことも考えましょう。

あらかじめ複数資産が組み合わされている商品を保有する

あらかじめ1つの投資信託に複数の資産が組み入れられ、リバランスの機能もついたバランスファンドを保有します。バランスファンドには多くの種類があり、商品によって投資する資産や配分比率などは異なるため、自分の考えに合ったものを選ぶことが大切です。

【分散投資の例】おすすめのポートフォリオ

【分散投資の例】おすすめのポートフォリオ

以下、老後の資金準備を想定し、世代別ポートフォリオの例を見てみます。それぞれ運用期間の長さが変わってきます。

20〜30代の方である程度の金融リテラシーがあり、投資資金に余裕のある方は、リスク・リターンの高い積極型の運用を検討してはいかがでしょうか。

若く、長期で運用することが可能な年齢であれば、経済状況が変化し保有資産に大きな打撃があったとしても、投資環境の回復を待つ時間があるからです。
例えば国内外の株式等を80%、その他債券など安定的な資産を20%にするといった形です。債券に比べ、リスク・リターンの高い株式の比率を高くした組み合わせです。

金融リテラシーが高ければ、資産に損失があった場合はうまくリバランスをおこなうことができるでしょう。投資資金にも余裕があれば、損失の許容範囲の中で運用の方向性を変更することもできるはずです。

40〜50代の方は、この先の運用期間や資産形成の目的にもよりますが、リスクを減らして国内外の株式等を50%、国内外の債券を50%などとして、安定的な推移を期待するポートフォリオにするのが一案です。

仮に老後の生活資金のために資産運用をおこなっており、大きな損失がでてしまうと、老後の生活に影響がおよびます。いずれにせよ、自分のリスク許容度に合った投資を念頭に置いておきましょう。

まとめ

まとめ

分散投資は、投資先や投資のタイミングを分散させることでリスクを抑えつつ、収益機会を得られる投資方法のひとつです。資産形成の目的、運用期間、保有金融資産、投資の理解度を踏まえて、自分のリスク許容度をはかりましょう。

ポートフォリオは自分のリスク許容度に合わせて作成し、経済の状況や保有資産の状況にあわせて定期的に見直します。自分に合ったポートフォリオの中で分散投資をおこない、上手な資産形成を心掛けましょう。

ご留意事項
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