その解約ちょっと待った!つみたてNISAを解約する前に確認するべきポイントやデメリット
2021年3月末現在、つみたてNISA口座数は361万件に上り、2019年3月末から約3倍に増えています。一方、値動き不安、資金不足などの理由で解約を検討している人もいるのではないでしょうか?解約すると資金や口座はどうなるのでしょう?後悔しないよう、制度内容を確認した上で判断をしましょう。

まずは考えたい、つみたてNISAを解約するデメリット

「つみたてNISAの解約」は大きく3つに分かれます。ここでは、以下の「1.積立の解約」と「2.資産の解約」に触れます。
1.積立の解約
新規の資金積立をストップ
2.資産の解約
積み立ててきた資産を売却して現金化する
3.口座の解約
つみたてNISA口座自体の解約
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。短期で解約するということは、つみたてNISAの特長を損ないかねず、いくつかのデメリットが生じる可能性があります。
積立の解約をするデメリット
下記資料をみると、つみたてNISAで毎月1万円ずつ投資信託を購入した場合、基準価額が安いときには購入口数が多くなり、高いときには少なくなることがわかります。
短期的にみると、基準価額が下がり資産が減ってしまうことで不安になり、資産や積立の解約を考えてしまうかもしれません。
しかし、長期的に経済成長は持続するといった前提に立てば、積立を停止することは「基準価額が下がった時に多くの口数を購入する」という機会を逃してしまうことになります。
■資料:投資信託の基準価額と購入口数の推移の例

※毎月1万円ずつ投資信託を定額購入した場合の例です。
※図表は例であり、投資信託の定額積立購入による資産の増加を保証するものではありません。
資産の解約をするデメリット
つみたてNISAは年間40万円を上限に投資信託などを購入でき、その値上がり益と分配金は20年間課税されません。投資可能期間は2018年から2037年となっており、最大800万円の非課税枠を使うことができます。
ただし、この非課税枠は一度使ってしまうと復活させることはできません。
このため、非課税枠を有効に使うには、短期的な売買を繰り返すよりも長期保有による値上がり益と分配金に対して、この枠を使うことが大切になります。短期保有で資産の解約をすると、非課税枠を有効に使えなくなる可能性がある点にはご注意ください。
口座の解約以外の選択肢も考えるべき

資産価格が下落して不安になった場合
つみたてNISAの対象商品は、「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」とされています。その中から自分が選んだ商品ですから、下落時であっても、「口数を多く購入できるタイミング」と前向きにとらえて積立の継続を考えてもよいかもしれません。
また、積み立てている商品に不満があれば、別の商品を次回から購入することも可能です。
資金繰りが厳しくなった場合
どうしても今、手元資金が必要であれば、今まで積み立ててきた資産を売却はするが、毎月の積立は続ける、積立額を変更して少額でも積立を続ける、といったことも検討してみましょう。
また、今現在資金が必要ではないが、引き続き積立を続けるのが厳しい状況であれば、積み立ててきた資産は売却せず、まずはいったん積立をストップさせます。それにより資産の売却やNISA口座の解約をすることなく、運用継続の可能性を探れます。
実際の解約手続きの方法

売却に制限はないため、売却手続きをすれば4~5営業日で現金化されます。売却は全額ではなく、一部売却も可能です。ただし、資産の売却手続きだけでは、積立の設定はそのままで、新たな資金で同じ商品を購入し続けることになります。積立そのものをストップしたい場合、積立の設定を解除(削除)する必要があります。
つみたてNISA口座自体を解約したい、他の金融機関に変更したいなどの場合は書類での手続きが必要となります。
もう一度始めたい場合はどうする?
積立を解除しただけで、つみたてNISA口座自体を解約していなければ、すぐに再開が可能です。商品を選択し、金額と始める日を設定します。
口座を解約していた場合、再開設には1~2カ月かかります。一度でもつみたてNISA口座での買い付けがあった場合は、同年での解約・再開設はできません。買い付けがなかったとしても10月1日以降に解約した場合は、翌年1月以降の再開設となります。
まとめ

投資に値動きはつきものです。短期的な損益だけで判断せず、つみたてNISAの本来の趣旨である「長期・積立・分散投資」を思い出し、コツコツ継続できるような投資を心がけたいものです。
ご留意事項
- 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
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