長期の資産形成を考えるなら「ドルコスト平均法」を知っておくべし!

「ドルコスト平均法」をご存知でしょうか。名称は知っていても、仕組みまではわからない、という方もいらっしゃるでしょう。この記事では「ドルコスト平均法」について詳しく解説します。また、その特徴やメリット・デメリット、活用事例などもあわせて紹介します。

長期の資産形成を考えるなら「ドルコスト平均法」を知っておくべし!

ドルコスト平均法とは?

ドルコスト平均法とは?

「ドルコスト平均法」とは投資信託や株などの価格変動する商品を、一定期間毎に同じ金額で定期的に購入する投資方法です。名前に「ドル」と付いていますがドルだけに限った投資方法ではなく、日本円で投資する場合でもこの名称が使用されます。

例えば、毎月1万円で投資信託という金融商品を購入したとします。始めた月の基準価額が1,000円だとすると購入口数は10口です。基準価額は変動するので翌月は1,500円に上がったとすると、約6.7口と少なくなります。また反対に500円に下がったときは、20口となります。
つまりドルコスト平均法では基準価額の変動に関わらず、自分が最初に決めた金額で商品を購入していきます。そのため基準価額が安い場合は購入口数が多くなり、反対に高い場合は少なくなります。
毎月決まった金額で投資時期を分散することで、価格変動リスクを低減しながら長期的に資産を増やしていくことができます。

ドルコスト平均法のメリット

ドルコスト平均法のメリット

それでは具体的なメリットを見ていきましょう。

まとまった資金がなくてもスタートできる

一括投資の場合、投資を始める時はある程度のまとまった額のお金が必要です。また同じ数量を購入していく定量購入の場合、基準価額が上がったらその月は投資金額が増えてしまいます。
しかし、ドルコスト平均法を使った投資方法は「毎月○円」と、自分の決めた金額で投資を始めることができます。月100円から購入できる商品もあるので「今は貯金がないけど、将来に向けて長期的に投資をしていきたい」という方や「毎月決まった金額だったら投資できる」という方に向いている投資方法です。さらに毎月投資に使う金額が決まっているので、家計の計画が立てやすいというメリットもあります。

購入価格を平準化し相場の変動に影響を受けにくくなる

この方法では、毎月の購入額が決まっています。つまり基準価額が低いときは購入できる口数が増え、反対に基準価額が高いときには購入できる口数が少なくなるので価格を平準化できます。また、毎月決まった金額なので、基準価額の変動に一喜一憂することがありません。

手間がかからない

一度始めてしまえば毎月一定の金額を投資すれば良いので、相場を読んで購入のタイミングに悩むこともありません。思い立った時にいつからでも始められます。気軽に投資を始めたいと思っている方に向いている投資法と言えるでしょう。

ドルコスト平均法のデメリット

ドルコスト平均法のデメリット

ドルコスト平均法には、デメリットもいくつかあります。

手数料がかさむ場合がある

ドルコスト平均法は基本的に長期にわたって運用を行う投資方法です。そのため、株式へ投資した場合などで手数料が高い場合は、長期的にみるとマイナスになってしまうことがあります。一般的に1回の取引額が小さいと、手数料が高くついてしまう傾向にあります。そのため、少額で何度も取引を行ってしまうと手数料率が割高になるため注意が必要です。投資信託の商品によってはノーロード(手数料なし)もあるので、商品を選ぶときには手数料も必ず確認しましょう。

損失のリスクもある

一括投資などに比べ、ドルコスト平均法は比較的リスクは少ない投資方法と言えますが、損失が出ないわけではありません。価格がずっと下落し続けてしまった場合などには、口数は多くなっても最終的には損失がでてしまいます。また投資が終了するタイミングによって、元本割れをおこすこともあります。投資が終了する少し前になったら、基準価額をチェックしたり、運用を安定資産へ切り替えたりするなど、終了後のこともあらかじめ考えていきましょう。

短期投資には不向き

長期的に一定金額で商品を購入することで、平均価格を抑え最終的に利益を出して行く投資方法のため、長期に投資を行うことができない場合はこの方法は不向きです。また毎月決まった金額を設定し投資していくので、タイミングを見ながら投資額を調整したり、短期間で大きな利益を得たいと考えている方にはあまり向いていないでしょう。

ドルコスト平均法を利用した投資例

ドルコスト平均法を利用した投資例

それではドルコスト平均法の投資例を見ていきましょう。実際には長期(10年以上など)に継続して投資を続けていきますが、わかりやすく5回の投資で定量購入法(毎月決まった数量の商品を購入する)との利益の違いを解説していきます。
なお、今回の例において各月の基準価額は1月1,000円、2月1,500円、3月1,000円、4月500円、5月1,200円とします。

■ドルコスト平均法(毎月1万円購入)の場合

購入口数 10+6.7+10+20+8.3=55口
購入金額 5万円
平均単価 5万円÷55口=909円
5ヶ月目に売った場合の利益 1,200円×55口=6万6,000円(利益1万6,000円)

出典 

■定量購入法(毎月10口購入)の場合

購入口数 10+10+10+10+10=50口
購入金額 5万2,000円(1万円+1万5,000円+1万円+5,000円+1万2,000円)
平均単価 5万2,000円÷50口=1,040円
5ヶ月目に売った場合の利益 1,200円×50口=6万円(利益8,000円)

出典 

この場合では、ドルコスト平均法の毎月決まった金額の投資で、平均単価が抑えられより多くの商品が購入できています。また利益も定量購入法より多く出ています。
今回の例は短い期間でしたが、実際の運用は10年以上などの長期間になるので、さらに利益も多くなる可能性はあります。値下がりしている時期には多くの口数を購入でき、たとえ商品が投資を始めたときの金額より低くなったとしても、長期的にみて一定の価格まで回復すれば大きく損失が生じることもありません。

ただし、ドルコスト平均法を用いても、長期的に投資先の価格が下がり続ければ、損失のリスクや元本割れのリスクがあることは他の投資方法と変わらないので注意が必要です。また、投資先の価格が上がり続ける場合には初期一括購入の方が利益が多くなる場合もあります。

まとめ

まとめ

リスクを軽減できるドルコスト平均法は、初心者にも始めやすい投資法です。ただ、どんなにリスクが少なくても、絶対に損をしないとは言えません。デメリットも理解したうえで、長期にわたって利益を増やしていきたい方は試してみてはいかがでしょうか。

ご留意事項
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