株式投資とどう違う?「J-REIT」のメリット・デメリット

J-REITとは、不動産の運用をプロに任せることができる金融商品の一種です。これからJ-REITへの投資をお考えなら、まずは基本的な仕組みやメリット・デメリットを知っておきましょう。さらに、株式投資や実物の不動産投資との違いも理解することで、資産運用の選択肢を増やすこともできます。

株式投資とどう違う?「J-REIT」のメリット・デメリット

J-REITとは?

REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略称です。もともと米国で誕生し、日本では2001年9月に取引市場が創設されました。J-REITの「J」は、Japan(日本)の頭文字です。仕組みが米国のREITとは異なるため、J-REITと呼ばれています。

J-REITとは?

J-REITの仕組み

J-REITは、現在62銘柄が証券取引所に上場しており、誰でも売買が可能です(2020年11月30日時点)。J-REITに投資された資金は、運用の専門家によって不動産物件の取得や運営に使われます。そこから得た賃料収入や売買収益からコストが差し引かれ、残りを分配金として投資家に分配します。

J-REITの仕組み

株式投資との違い

J-REITの場合、投資先は株式会社ではなく投資法人になります。投資法人というのは、不動産への投資や運用だけを目的とした法人です(しかし実際は、不動産への投資や運用を直接行わずに、資産運用会社などの外部へ委託することが義務付けられています)。
そのため、投資家が購入するのは株式ではなく、投資口といいます。投資口を取得した投資家のことを投資主といい、その投資口の価格を投資口価格といいます。一方、株式会社と同様に、投資主総会(株主総会に相当)や役員会は設置されています。

株式投資との違い

J-REITのメリット

J-REITのメリット

株式投資や実物の不動産投資より、J-REITに投資するメリットはどこにあるのでしょうか?いくつかのメリットを紹介します。

比較的少ない金額から購入できる

実物の不動産投資には数千万円〜数億円という多額の資金が必要になりますが、J-REITなら1万円〜100万円程度から投資ができます。そのため、投資初心者の方にも、比較的はじめやすくなっています。

複数の不動産への分散投資ができる

分散投資とは、複数の投資先に資金を分散する投資手法で、万が一のときのリスクを低減する効果があります。実物の不動産投資の場合には多額の資金が必要となるため、相当な資金がない限り複数の不動産投資は困難です。その点、J-REITなら1口でも複数の不動産に投資が行われるため、分散効果を得ることができます。

専門家により運用される

実物の不動産投資では管理などの煩わしい業務がありますが、J-REITなら不動産の管理・運営から売買まで、運用全般をプロが行ってくれます。さらに、運用不動産の稼働状況や収支状況は定期的に開示されるので、投資家は簡単に運用不動産の状況を知ることができます。

換金性が高い

実物の不動産は売りたくても買い手が見つからなければ、すぐには売却できません。買い手が見つかったとしても、売買契約の締結などの手続きを要するため、現金化までに時間がかかります。しかし、J-REITは証券市場に上場しているため、売却したい時には市場の取引価格ですぐに売ることができます。

収益のほとんどが分配される

株式会社などでは、税制上の所得に対して所得税がかかります。しかし、J-REITでは、配当可能利益の90%超を分配するなどの要件を満たせば、法人税が課税されない仕組みになっています。そのため、税引き前利益のほとんどを配当金として分配します。分配金を望む人にはメリットが大きいと言えるでしょう。

J-REIT、どうやってはじめるの?

J-REIT、どうやってはじめるの?

J-REITは証券市場に上場しているため、証券会社を通じて誰でも買うことができます。その方法や必要書類について確認しましょう。

J-REITの取引を行う証券会社に口座を開設

株式投資の取引が可能な証券会社であれば、基本的にはどこの証券会社でもJ-REITを買うことができます。ご自身の使いやすい証券会社に証券口座を開設しましょう。
証券会社によって、金融商品を買う際の手数料に違いがあるため、口座開設前に確認するようにしてください。
例えば、対面での対応が可能なコースなら、担当者から色々なアドバイスがもらえる代わりに手数料がかかります。一方でネット手続きだけのコースなら、担当者がいない分手数料は安くなりますが、情報収集や発注操作などを自分で行う必要があります。

証券口座の開設に必要なものを用意する

口座開設には、マイナンバー確認書類、本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)、印鑑、金融機関口座などが必要になります。証券会社によって異なりますので、口座開設予定の証券会社でご確認ください。

証券口座に投資資金を入金する

金融商品を買うには、原則として事前入金が必要です。証券会社ごとにその入金方法はさまざまで、指定口座への振り込みや口座振替、連携銀行からの自動入金サービスなどが利用できます。そのため、証券口座開設後は入金方法を確認するようにしてください。入金額については、価格の変動や手数料が加わるため、あらかじめ余裕をもって入金しておくことがおすすめです。

J-REITをはじめるうえでの注意点

J-REITをはじめるうえでの注意点

J-REITをはじめる前に、注意点を確認しておきましょう。

注意点① 相場の変動が大きい

J-REITの投資口価格は日々変動します。市場で売買されているため需給関係によって投資口価格が上下することや、〇〇ショックなど市場環境の変化によって投資口価格が大きく下落することもあります。そのため実物の不動産投資より、価格変動幅が大きくなります。

注意点② 上場廃止や倒産の可能性がある

株式と同様、投資法人が証券取引所の上場廃止基準に該当した場合、上場廃止のリスクがあります。さらに投資法人の収益状況の悪化などから、倒産に陥るリスクもあります。ただし、倒産となった場合でも不動産の価値がただちに「0」になるわけではありません。保有不動産を売却すれば、投資資金が戻る可能性はあります。

注意点③ 不動産が被災するリスクがある

実物の不動産投資と同様、物理的な毀損リスクがあります。地震や台風などの自然災害や暴動、テロなどは、建物の崩落など不動産の物理的毀損の要因となります。この場合、不動産の価値が下落したり賃料収入が減ったりなどで、投資家が損失を被る可能性があります。

まとめ

まとめ

個別のJ-REITでどの銘柄を買えばいいか分からない方は、東証REIT指数に連動するETF(上場投資信託)や投資信託を買うという方法もあります。これなら東証REIT指数に組み入れられている全62銘柄に、一括で投資をすることが可能です。

どんな投資にもメリット・デメリットはあります。大切なのは、ご自身のリスク許容度に合わせた投資手法を選ぶことです。知識を身につけて、分からないことを少しでも減らし、納得したうえで資産運用を検討してみてください。

ご留意事項
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