初心者でもわかる「積立投信」とは? メリット・デメリット・種類まで紹介

積立投信とは、投資信託を毎月一定額購入できるサービスのことです。主に長期の資産形成が目的の商品で、少額からコツコツと積立していく仕組みになっています。積立投信を利用するために必要な投資信託の基本と積立投信のメリット・デメリット、積立投信の種類まで解説します。

初心者でもわかる「積立投信」とは? メリット・デメリット・種類まで紹介

積立投信とは投資信託を積み立てること

積立投信とは投資信託を積み立てること

積立投信とは積立型の投資信託のことです。毎月指定した日に一定金額の投資信託を自動で購入する方法で、少額からでも手間をかけずに、積立投資を始められます。積立投信では、積立型ではない投資信託と同様に、専門家が選別した投資先に投資をするという特徴もあります。

投資信託とは

投資信託とは、不特定多数の投資家から資金を集めて、運用のプロが国内外の株式や債券、不動産等への投資をし、利益が出たらその分配を受ける仕組みです。百円からといった少額からの投資も可能です。プロが運用するとはいえ、ずっと利益を出し続けるわけではなく、運用期間中に投資元本を下回ることもあります。つまり元本保証ではないということは覚えておきましょう。

投資信託のことを「ファンド」ということがありますが、ファンドとは「多くの人から資金を募って投資や事業を行い、投資家に収益を還元する仕組み」のことをいいます。投資信託はファンドの一種であり、金融商品取引法で定められた金融商品取引業者が運用やサービスを提供する金融商品です。

投資信託の積み立て方

投資信託の買い方は、大きく「一括購入」と「積立購入」に分けられます。一括購入は一度にまとめて金融商品を購入する方法です。一方、積立購入は一定の金額で定期的に購入を続ける購入方法です。

一括投資の場合は、金融商品を一括で購入した価格がそのまま取得価額になります。金融商品の価格変動によって資産の価値が影響を受けやすくなります。積立投資は一度にまとめて購入する方法ではないため、価格変動の影響を抑えることになります。
購入方法によりそれぞれ特徴が異なるため、目的に応じた方法を選んで始めます。投資初心者には、積立購入の方が購入のタイミングを分散することでリスクを軽減することができるので始めやすい方法です。

リスクを抑えるドル・コスト平均法

「ドル・コスト平均法」とは、一定金額で金融商品を購入し続ける投資手法です。長期的な投資に適したリスク分散方法として知られています。
投資信託の価格は値動きにより上下します。5,000円、1万円等の定額で定期的に購入していくドル・コスト平均法は、価格が安い時に多くの口数を購入でき、高い時には少ない口数を購入する投資方法です。長い期間投資を続けるほど購入価格を平準化できることから、高い時期に高額の資金を使いまとめて購入してしまうリスクを防げます。

■ドルコスト平均法の例

積立投信とは投資信託を積み立てること

積立投信のメリット

積立投信のメリット

積立投信には、少額から投資が始められる、投資のプロに運用を任せられる等、手軽に始めやすいさまざまなメリットがあります。

少額から投資を始めることができる

株式等の投資はまとまった資金を貯めてから始める場合が多いですが、積立投信は、毎月少額からでも積立を始められます。積立金額は金融機関によって異なり、金融機関によって毎月100円や1,000円からでも積立が可能です。
投資を始めるために高額の資金を貯める必要がないため、いつでも開始できるところが大きなメリットです。

投資のプロに運用を任せることができる

積立投信には、運用をプロのファンドマネージャーに任せられるメリットがあります。ファンドマネージャーは、国内外の市場や経済状況、企業の情報等、さまざまな情報を収集、分析してから投資する銘柄を決定します。
自分に株式等の知識がない場合や、銘柄を選ぶための情報収集が難しい場合でも、専門家に選択を任せることができるため効率的な投資が可能です。プロが銘柄を選択・購入する積立投信は、個人では投資が難しい金融資産にも投資できる等の特徴もあります。

分散投資でリスクを抑えることができる

積立投信で購入する投資信託は、さまざまな金融商品のなかから複数の商品に投資を行う投資商品です。積立投信では、投資資産を分けて購入する分散投資により、大幅な損失が生じるリスクが抑えられます。
一方、特定の銘柄に投資する株式等の場合、投資資産の値上がりによる利益が大きくなる反面、値下がりした際の損失も大きくなります。

積立投信では、複数の銘柄を所有している場合、特定の銘柄が値崩れしたとしてもほかの銘柄の利益により損失が補てんされる等のリスク回避が期待できます。
さらに、月々一定金額の金融資産を購入する投資方法は、購入のタイミングをずらした時間的な分散投資です。前述の「ドル・コスト平均法」により、リスクが抑えられています。

自動積立でコツコツと長期投資の仕組みができる

積立投信は、積み立てる内容に応じて毎月指定した銀行口座から投資資産を買う資金が引き落とされ、自動で購入までが完了する仕組みです。最初に投資商品を決めて申し込みをするだけで、自分で投資のさまざまな判断を行う必要がなく、長期間続けられる積立を始められます。

株式等に投資する場合、購入のために資金をまとめて投資商品の情報を収集、タイミングを確認しながら銘柄を購入します。投資初心者の方や運用に手間をかけられない方には、積立投信がおすすめです。

積立投信のデメリット

積立投信のデメリット

積立投信は、比較的デメリットの少ない投資方法です。ただし、短期で大きい利益を出すことができない、積立投信に限らず投資信託を購入する場合には、手数料がかかる等の点には注意しなければなりません。

短期で大きな利益は期待できない

積立投信は短期的な価格の増減ではなく、長期投資による価格の上昇を期待する投資方法です。株式等と比べると、短期間の大きな利益は期待できません。株式等の短期売買や投資信託の一括購入では、価格が安い時にまとめて投資資産を購入すると、価格が上がった際に大きな運用利益を得られます。

個別の銘柄を120万円購入して3年後に資産価値が30%上昇した場合、投資資産は156万円になります。ところが積立投信の場合には、分散投資により銘柄ごとに値上がりや値下がりが生じることから、3年間40万円ずつ合計で約100万円の投資資産を購入しても、1年目の40万円が3年後に30%上昇すると52万円ですが、2年目と3年目に購入したものが僅かに増えていたり減っていたりと、単純に36万円の運用利益にはつながりにくいところがデメリットと考えられます。

投資信託には手数料がかかる

投資信託の場合、専門家に購入や運用を任せる特徴から、一括購入・積立購入のどちらでも手数料等がかかります。主にかかる手数料は、申し込みの際に必要な「販売手数料」、運用中の管理にかかる「信託報酬」、売却時の「信託財産留保額」等です。
投資信託のなかには、購入時に手数料がかからない「ノーロード投信」もありますが、購入時以外の信託報酬等の手数料は発生します。
また、手数料ではありませんが、運用利益が出た場合には利益の約20%の税金が発生します。運用利益がそのまま手元に残るわけではなく、負担しなくてはいけない費用もあるため事前に注意点として確認しましょう。

元本の保証はされていない

投資資産全般に当てはまることですが、積立投信は元本保証がされていません。預金とは異なり、株式や債券等の価格は常に変動します。専門家による運用、分散投資等安全性の高い投資方法でも、元本割れすることもあります。

積立投信を行う時に使いたい制度やサービス

積立投信を行う時に使いたい制度やサービス

積立投信を行う時に活用できる制度やサービスを紹介します。どれも投資初心者向きで、少額から長期にわたって投資ができ、将来の資産形成にも役立つでしょう。

NISA(少額投資非課税制度)

「NISA」とは、「NISA口座」を利用して毎年定められた金額まで運用利益が非課税になる制度です。成年向けの「一般NISA」と「つみたてNISA」、未成年向けの「ジュニアNISA」があります。少ない金額から投資でき、期間内ではいつでも解約できる便利さも魅力です。

2020年度の制度改正によって、ジュニアNISAの新規口座開設は2023年までとなり、2024年からは新しく購入することができなくなりました。また、2023年度の税制改正により、2024年から成年向けのNISA制度も変更になっています。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は、総保有限度額1,800万円まで(成長投資枠は内1,200万円まで)で併用も可能です。

【一般NISA(成長投資枠)】
2023年まで:株式・投資信託等を年間120万円まで、最長5年間非課税で保有可能
2024年から:株式・投資信託等を年間240万円まで、無期限で非課税保有が可能

【つみたてNISA(つみたて投資枠)】
2023年まで:定められた投資信託を年間40万円まで、最長20年間非課税で保有可能
2024年から:定められた投資信託を年間120万円まで、無期限で非課税保有が可能

【ジュニアNISA】
2023年まで:株式・投資信託を年間80万円まで、最長5年間非課税で保有可能
2024年から:購入不可

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、確定拠出年金法に基づいた、任意で加入できる私的年金制度です。制度への申し込みから、掛金の決定・積立による投資資金の拠出、投資資産の購入・運用まで、すべて自分で行います。運用益を含めた資産の引き出しは、原則として60歳になるまでできません。
基本的に、20歳以上60歳未満のすべての人と一部の65歳未満の人が加入できる制度で、拠出限度額は加入している公的年金の種類等により異なります。運用商品は、運用管理機関が提示する「保険商品・投資信託・預貯金等」から本人が複数選択します。
iDeCoの拠出金額は所得税控除の対象です。運用期間中の運用益は非課税、給付時にも税金の優遇制度が受けられる等、税制面でのメリットもある投資方法です。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、自分の性格や目的に合ったプランで、投資先をロボットが判断して助言、もしくは購入し運用してくれるサービスです。世界中の株や債券等値動きの異なる複数の銘柄に幅広く分散投資する投資方法で、投資リスクを軽減しながら長期的な運用を行えます。
投資対象は、過去の統計データ、相場状況等から選択されます。投資の助言を受けて自分で運用する形式と、銘柄の購入から資産運用まですべてを任せられる形式のどちらかを選べるため、投資初心者でも無理なく始められる投資方法です。

いくら貯まる? 積立投信をシミュレーション

いくら貯まる? 積立投信をシミュレーション

積立投資で資産形成をした場合、どれくらいお金を増やせるのかを実際の積立投信の実績で確認していきます。

例えば、つみたてNISA専用商品の「フィデリティ・欧州株・ファンド」で毎月1万円、5年間積み立てた成果をシミュレーションすると、積立総額が60万円に対して時価評価額が約80万円まで増加しています。

いくら貯まる? 積立投信をシミュレーション

【出典】三菱UFJ信託銀行Webサイトのファンド情報 2023年6月9日現在 詳しくはこちら

日経平均株価(日経225)に連動する投資信託「インデックスファンド225(三菱UFJ国際投信)」で毎月1万円、10年間積み立てた成果は、積立総額120万円に対して時価評価額が約195万円です。約75万円の利益が出ています。

いくら貯まる? 積立投信をシミュレーション

【出典】三菱UFJ信託銀行Webサイトのファンド情報 2023年6月9日現在 詳しくはこちら

積立投信の成果は将来も保証されるわけではありません。ただし、少額からでも長期的に運用を継続する投資方法から、これだけの運用成果が期待できるとわかります。

まとめ

まとめ

積立投信とは、毎月一定金額の投資信託を自動で購入していく投資方法です。積立投信は、専門家が銘柄を選択・運用してくれる投資方法のため、投資商品の知識に自信がなくても運用を始められます。サービスの選択に迷った場合、人気商品やリターン率等のランキングから投資対象を選ぶことも可能です。
毎月少額の掛金からでも開始できることから、多額の資金を準備する必要もありません。手軽に将来のための積立として開始し、長期的な資産形成が行えます。「iDeCo」や毎年定められた投資額に対する運用利益が非課税になる「NISA」「つみたてNISA」等、メリットの多い制度を利用することもおすすめです。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
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