投資信託とNISAとの違いをわかりやすく解説!資産形成に役立てよう

投資信託は「金融商品」の1種であるのに対し、NISAは一定金額までの新規投資で得られる利益が非課税となる「制度」である点が異なります。本記事では、毎月一定金額の投資信託を積み立てる「投信積立(積立投資信託)」とNISAの主な違いや、それぞれのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

投資信託とNISAとの違いをわかりやすく解説!資産形成に役立てよう

現行制度は、2024年1月以降に制度内容が大きく改正される予定です。
本ページは2022年12月16日(金)「令和5年度の税制改正大綱」で公表された情報をもとに作成しております。今後変更となる可能性もございますので、予めご了承ください。

投信積立(積立投資信託)とは?

投信積立(積立投資信託)とは?

「投資信託」「投信積立」「積立投資信託」「NISA」「つみたてNISA」などさまざまな用語が出てくるので、はじめに用語の意味を理解しましょう。

・「投資信託」…運用会社が運用する金融商品の一つ
・「投信積立」=「積立投資信託」…投資信託を毎月一定額積み立てる投資方法
・「NISA」…投資信託や株式などの金融商品から生じた運用益が非課税になる制度
・「つみたてNISA」=投信積立(積立投資信託)から生じた運用益が非課税になる制度

そもそも投資信託とは?

投資信託は、投資家から集めた資金を1つにまとめ、投資の専門家である運用会社が国内外の株式や債券などで運用する金融商品です。投資先から利益が出た場合は、出資金額に応じて投資家に分配されます。

投信積立(積立投資信託)は”積み立てる”投資信託

投信積立(積立投資信託)は、投資信託を毎月5,000円や1万円などの一定金額で積み立てる投資方法です。まとまった金額を投資して、短期間で大きなリターンを狙うのではなく、毎月少しずつ積み立てていき、長い時間をかけて資産を形成していきます。

投信積立(積立投資信託)が、投資信託という金融商品を用いた投資方法であるのに対し、NISAは投資で得た利益が非課税となる制度です。投資信託の運用で利益を得ると約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すると毎年一定金額の新規投資で得た利益は非課税となります。

投信積立(積立投資信託)のメリット

投信積立の主なメリットは、以下のとおりです。

・少額から始められる
・運用のプロに投資を任せられる
・商品を購入するタイミングをあまり気にしなくて良い
・投資リスクの軽減効果が期待できる

株式や債券、不動産などに投資をする場合、一般的にはまとまった資金が必要ですが、投信積立は毎月5,000円や1万円ほどで始められます。最初は少額から積み立てを始めて、慣れてきたら積立額を増やすことも可能です。
投資した資金の運用は、投資の経験やノウハウが豊富な運用会社に任せられるため、投信積立は初心者でも始めやすいでしょう。

毎月の積立額や積立のタイミングを設定したあとは、自動で取引が行われます。市場の動向や商品の価格変動などをチェックして購入するタイミングを判断する必要はありません。日中は本業が忙しく、商品の取引に時間を割くのが困難な人でも始めやすいです。

投資家から集められた資金は、商品の運用方針にしたがって、国内外の株式や債券などに分散投資されます。また、毎月一定金額を購入することで投資のタイミングも分散されることになるため、投資のリスクが軽減されて安定した運用成果が期待できます。

投信積立(積立投資信託)のデメリット

一方で、投信積立には以下のデメリットがあります。

・手数料がかかる
・元本保証がない
・売却益や分配金には税金がかかる

投資信託の中には、購入するときに販売手数料がかかる商品があります。また、投資信託を保有している間は、信託報酬という手数料を支払い続けるのが一般的です。
手数料は、商品によって異なります。積み立てる商品を選ぶ際は、手数料を確認・比較することが大切です。

また、投資のプロが代わりに運用するとはいえ、投資元本が保証されているわけではありません。ファンドの運用成果が振るわないときは、購入した価格よりも値下がりをして元本割れすることもあります。
投資した商品から分配金を受け取ったり、売却して利益を得たりした場合は、20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の税金を納めなければなりません。そのため、実際に手元に残るのは利益から税金を差し引いた残りとなります。

NISAとは?

NISAとは?

投資信託の運用で分配金や売却益を得ると、利益の20.315%の税金がかかる分、手元に残る金額は少なくなります。そこで、活用したいのが毎年一定額の新規投資で得た利益が非課税となる「NISA(少額投資非課税制度)」です。

NISAの専用口座を開設し、非課税投資枠の範囲内で投資信託を取引して利益を得たのであれば、20.315%の税金を支払う必要はありません。
NISA口座は、銀行や証券会社、生命保険会社などの金融機関で開設できます。口座を開設できるのは、1月1日時点で日本に住んでいる18歳※以上の方です。※2022年12月以前は20歳。

NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、非課税投資枠や非課税期間などが異なります。
なお、現行NISAは2023年末で終了し、2024年1月からは新NISAが開始される予定です。

一般NISAとつみたてNISAの違い

一般NISAとつみたてNISAは、どちらか一方しか開設できないため、違いをよく理解したうえでご自身に合った方を選ぶことが大切です。両者の主な違いは、以下のとおりです。

        一般NISA   つみたてNISA
非課税の対象  株式や投資信託などの配当金や分配金、売却益 一定の要件を満たす投資信託への投資で得られる分配金・売却益
非課税投資枠  新規投資額で年間120万円
(5年間で最大600万円)
新規投資額で年間40万円
(20年間で最大800万円)
非課税期間   最長5年間 最長20年間
投資可能期間  2014年~2023年 2018年~2024年
ロールオーバー ×

【参考】金融庁:「一般NISAの概要」 詳しくはこちら
【参考】金融庁:「つみたてNISAの概要」 詳しくはこちら

一般NISAは、現物株式や投資信託など幅広い金融商品が対象です。非課税投資枠は年間120万円であるため、まとまった金額を投資したい人や現物の株式を取引したい人などに向いた制度であるといえるでしょう。
非課税期間は最長5年間ですが、非課税期間終了後に翌年の非課税枠に移すことで最長10年にわたって非課税で運用できる「ロールオーバー」という仕組みを利用できます。

つみたてNISAは、積立投資に特化した制度です。そのため、一般NISAよりも1年あたりの非課税投資額が40万円と少ない代わりに、非課税期間は20年間と長く設定されています。
また、投資の対象となっているのは、金融庁が定める基準をクリアした長期・分散・積立に適した投資信託です。投資信託を積み立てるのであれば、つみたてNISAを活用すると良いでしょう。

NISAのメリット

NISAの主なメリットは、以下のとおりです。
・運用益が非課税
・つみたてNISAは商品が選びやすい

NISA口座で投資信託を取引した場合、分配金を受け取ったり売却して利益を得たりしても、税金がかかりません。例えば、運用で20万円の利益を得た場合、通常の証券口座であれば約4万円の税金がかかりますが、NISA口座では0円となります。

つみたてNISAの対象商品は「販売手数料が0円」「信託報酬が一定水準以下」といった所定の基準を満たした投資信託です。2023年2月現在、つみたてNISAの対象である投資信託は221本です。

【参考】金融庁:「つみたてNISA対象の分類(2023年2月9日時点)」 詳しくはこちら

世の中には、数多くの投資信託が流通しているため、初めて積立投資をする人が、膨大な選択肢の中からご自身に合った商品を選ぶのは困難でしょう。その点、対象商品が厳選されているつみたてNISAであれば、投資先を選びやすいといえます。
金融機関によって、つみたてNISAの対象となっている商品の取り扱いが異なります。つみたてNISAの口座を開設する金融機関は、商品のラインナップを比較して選ぶのも方法の1つです。

NISAのデメリット

NISAの主なデメリットは、以下の2点です。
・1人につき1口座しか開設できない
・損失が発生しても他の口座と損益通算はできない

通常の証券口座は複数の金融機関で開設できますが、NISA口座については1人につき1口座に限られます。金融機関の変更は、年に1度しかできません。また、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方を選択する必要があります。

NISA口座で発生した損失を、他の証券口座の利益と相殺できない点もデメリットです。
通常の証券口座は、商品の取引で損失が発生した場合「損益通算」をすることで他の証券口座で発生した利益との相殺が可能です。損失の分だけ利益が減ることで、納める税金を少なくできます。
しかし、NISA口座での損失は損益通算ができないため、他の証券口座での利益と相殺して税負担を減らすことはできません。

2024年に開始される新NISAとは?

2024年1月1日から新NISAが開始され、年間投資枠や非課税期間などが拡充される予定です。新NISAの制度内容は、以下のとおりです。

つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化 無期限化
非課税保有限度額 1,800万円
(うち成長投資枠1,200万円)
1,800万円
(うち成長投資枠1,200万円)
口座開設期間 恒久化 恒久化
対象年齢 18歳以上 18歳以上
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等※

【参考】金融庁:「新しいNISAの概要」 詳しくはこちら
※①整理・管理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等は除外

新NISAでは、非課税保有期間が無期限となりました。また、非課税投資枠は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類となります。

つみたて投資枠は、現行のつみたてNISAと同様に、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象です。成長投資枠は、一般NISAと同様に上場株式や株式投資信託など、幅広い商品が対象となっています。

年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。また、つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、最大で年間360万円まで新規投資ができます。

非課税保有限度額は、商品を買い付けたときの金額ベースで1,800万円となります。ただし成長投資枠の非課税保有限度額については、そのうちの1,200万円が上限です。

なお、現行NISAで保有した商品は、非課税保有期間(一般NISA:5年、つみたてNISA:20年間)が満了するまで、引き続き非課税で保有できます。非課税保有期間の終了後は、自動的に課税口座(特定口座・一般口座)に払い出されます。

投信積立(積立投資信託)とつみたてNISAはどっちがいいの?

投信積立(積立投資信託)とつみたてNISAはどっちがいいの?

投資信託で積立投資をする場合、基本的にはつみたてNISAを利用することをおすすめします。つみたてNISAの非課税投資枠を超える金額を投資するときや、つみたてNISAの対象外である商品を選びたいときは、通常の投信積立をすると良いでしょう。

ここでは、積立投資信託とつみたてNISAの違いや、それぞれが向いている人の特徴を解説します。

投信積立(積立投資信託)とNISAの違い

投信積立とNISAには、以下の違いがあります。

・売却益や分配金への課税
・商品の選択枝
・積立金額

投信積立で売却益や分配金を得た場合は、利益の20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で取引していたのであれば課税されません。

また、投信積立では、投資する商品に制限はないため、幅広い選択肢の中から自分自身が好きな銘柄に投資できます。一方、つみたてNISAについては、投資できる商品が一定の要件を満たす「公募株式投資信託」と「上場株式投資信託(ETF)」に限られます。

毎月の積立金額は、投信積立の場合、金融機関が定める範囲内であれば、好きな金額を積み立てることが可能です。

NISAの場合、一般NISAが年間120万円(月額10万円)、つみたてNISAは年間40万円(月額約33,333円)の範囲内で積立額を設定しなければなりません。

それぞれが向いている人の特徴

これから投資信託の積立を始める人は、 まず、つみたてNISAを利用すると良いでしょう。金融機関によっては、毎月1,000円程度から積み立てられるため、投資の経験があまりない方でも気軽に始められるでしょう。

また、選択できる商品は、すべて金融庁の定める厳しい基準をクリアしているものに厳選されているため、投資の初心者でも投資期を比較的選びやすいでしょう。

一般NISAでも投資信託の積立はできますが、つみたてNISAよりも非課税期間は短く、最大の非課税投資枠も少ないです。長期間にわたって積立投資をするのであればつみたてNISAを利用することをおすすめします。

一方で、毎月の積立額がつみたてNISAの非課税投資枠を超える場合、超過した部分は通常の積み立てをすることになるでしょう。例えば、毎月5万円を積み立てる場合、33,333円はつみたてNISAを利用し、残りの16,667円は通常の積み立てをしていきます。

また、つみたてNISAの対象外となっている商品に投資をしたい方は、一般NISAや通常の投信積立が向いているといえます。

資産形成において大切なこと

資産形成において大切なこと

資産形成を始める際は、以下の点を意識することが大切です。

・将来的に起こりうるライフイベントと必要資金を考える
・資金が必要になるまでの期間を考えて準備方法を選ぶ

将来的に起こりうるライフイベントと必要資金を考える

人生では、結婚や住宅購入、子供の進学、老後生活などさまざまなライフイベントが訪れます。中でも、子供の教育や住宅購入、老後生活は特にお金がかかりやすく、これらのイベントに必要な資金は「人生の三大資金」といわれています。

ライフイベントによっては、数百万〜数千万円の資金が必要となり、準備に時間がかかることがあります。ライフイベントの発生時に資金不足とならないようにするためには、計画的に準備することが大切です。

まずは、将来的に起こりうるライフイベントや発生する時期、必要となる資金額を考えてみましょう。

資金が必要になるまでの期間を考えて準備方法を選ぶ

資産形成をするときは、資金の準備期間をもとに「リスク許容度」を考えて手段を選ぶことが大切です。
リスク許容度は、どれほどのマイナスを受けられるかを表すものです。資金が必要になるまでの時間が長いと、損失が発生しても挽回しやすいため、リスク許容度は高くなります。

例えば、5年後までに住宅購入の頭金を準備するとしましょう。準備期間が短く、リスク許容度は低いため、預貯金などの元本保証がある商品や低リスクの投資信託を積み立てて準備するのが良いと考えられます。
30年後までに老後の生活資金を準備する場合、資金が必要になるまでの期間が長く、大きなリスクを許容しやすいため、リスクが高い商品で準備することも可能です。

単純に余剰資金が多い人もリスク許容度が高いといえるでしょう。

まとめ

投資信託は「金融商品」の1種であるのに対し、NISAは一定金額までの新規投資で得られる利益が非課税となる「制度」である点が異なります。
投資信託を積み立てるときは、つみたてNISAを利用することで、一定金額までの投資で得た利益に税金がかからなくなります。預貯金でしか資産を保有していない方は、少額からでも良いので、つみたてNISAを利用して投資信託の積み立てを始めてはいかがでしょうか。

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