NISA初心者必見!NISAのロールオーバー(非課税期間延長)とは?
NISAは、株式や投資信託から得られる利益が最長5年間非課税になる制度です。5年間の非課税期間が終了しても、さらに非課税で運用を続けるロールオーバーという方法があります。ロールオーバーについて、条件や手続き方法を見てみましょう。

目次
NISAの非課税期間を過ぎたときに必要なロールオーバー

一般NISA口座で購入した株式や投資信託を非課税で運用できるのは最長5年間です。その非課税期間が終了した場合には、次の3つの選択肢があります。
1.非課税期間終了前に売却する(非課税)
2.そのまま課税口座に移す
3.翌年の非課税投資枠に移す
この3つ目の方法をロールオーバーといいます。新たな一般NISAの投資枠に移行することで、引き続き5年間、つまり通算で10年間は非課税で保有することが可能になります。
■一般NISA ロールオーバーの仕組み

できる?できない?ロールオーバーの条件

ロールオーバーをするためには、非課税期間が終了する翌年分のNISA口座(一般NISA)が開設されている必要があります。なお、ロールオーバーできるのは一般NISAのみで、つみたてNISAのロールオーバーはありません。
翌年分の非課税枠も年間120万円ですが、たとえ値上がりしていて(※)評価額が120万円を超えていても全てをロールオーバーすることが可能です。また、NISA口座内の全ての資産を移行するだけでなく、一部だけを移行することもできます。
※その年の最終営業日の時価で翌年の非課税枠に移行されます。
ロールオーバーの手続きをするタイミングは?

非課税期間が終了する年の10月頃から手続きが可能になります。取引をしている金融機関から案内が届きます。11月後半から12月上旬頃を締め切りとしている金融機関が多いようです。金融機関ごとに締切日は異なりますので、見落とさないように注意し、早めに手続きをしましょう。
ロールオーバーを希望する場合には、手続き期間内に「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を提出します。金融機関によっては、オンラインで手続きが可能な場合もあります。この際に、移行する銘柄と数量を指定します。
ロールオーバーのメリット・デメリット

ロールオーバーのメリット
ではロールオーバーすることにより、どのような効果が期待できるでしょうか?
例えば、株価が値上がりし、今後も値上がりが見込めるというものであれば、ロールオーバーすれば非課税で運用する期間を延ばすことができます。そして、次の5年間のうちに売却すれば、非課税で利益を得ることが可能です。評価額が120万円を超えていても全額ロールオーバーできることも魅力です。
また、高配当の銘柄をロールオーバーすれば、あと5年間は配当金を非課税で受け取ることができます。
ロールオーバーのデメリット・注意点
ロールオーバーするということは、翌年の非課税枠を利用するということになります。そのため、例えば、値上がりしていて、評価額が120万円を超える金額を移行した場合には、翌年にNISA口座で新たな投資をすることができません。
120万円に満たない場合には、差額の分だけ新たな投資をすることが可能です。
また、NISA口座では、売却時に損失が出たとしても、他の口座で生じた利益と損益通算をすることはできません。値下がりしている銘柄の移行については、今後値上がりしそうかどうかなど、慎重に検討しましょう。
なお、ロールオーバーできるのは、同一の金融機関内で翌年のNISA口座が開設されている場合ですので、途中で金融機関を変更した場合には注意が必要です。
例えば、当初A証券でNISA口座を開設し、途中でB証券に変更した場合には、A証券で購入していた分については、B証券にロールオーバーすることはできません。
ロールオーバー後の新規投資イメージ
■12月末の時価が120万円未満の場合

■12月末の時価が120万円以上の場合

ロールオーバーしないとどうなる?
ロールオーバーの手続きをしない場合には、課税口座(特定口座があれば特定口座、特定口座がない場合には一般口座)に移行されます。この場合、12月末の時価が課税口座における取得価額となります。
そのため、取得時よりも値下がりしているものについては売却時に注意が必要です。例えば120万円で取得したものが、90万円に値下がりしていた場合、課税口座へ移行することで取得価額は90万円になります。その後、100万円で売却したとすると、実際には、20万円の損失ですが、新しい取得価額が90万円のため、10万円は利益として課税されてしまいます。
ロールオーバーするかどうかの判断ポイントは?

5年間の非課税期間が終了する際、ロールオーバーすべきかどうかは、どのように判断したらいいでしょうか? 簡単にいえば、今ある資産を今後もNISA口座で運用する価値があるかどうかを銘柄ごとに考えてみましょう。
今後もさらに成長が期待されるなどで、引き続きNISA口座の非課税の恩恵が望めるのなら、ロールオーバーするといいでしょう。逆に今後はあまり大きな成長は見込めないという銘柄であれば、売却して新たな銘柄をNISA口座で購入する方が効率的だと考えられます。
まとめ
ロールオーバーするかしないかで、翌年にどのくらい新たな投資ができるかが変わってきます。ロールオーバーするか、課税口座に移すかだけでなく、持ち続けるのか売却するのかという選択も必要です。5年間の非課税期間が終了するタイミングは、資産を見直す良いタイミングと捉えてはいかがでしょうか。
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