改めて知りたい「長期投資」のメリット・デメリットを全解説!
資産運用を上手に進めていくためには、「長期投資」が有効な手段のひとつと言われています。ただ、単に長期間、投資をすれば万全というわけではありません。自分の目的に向けて準備する金額を定め、金融商品と運用期間を決めていきます。長期投資のメリットやデメリットを踏まえた上で長期投資を有効に活かす方法を押さえておきましょう。

そもそも長期投資って?

長期投資とは、一般的に10年以上の期間を目安に投資をすることで、安定した資産形成を目指す投資スタイルを意味します。短期投資により収益を狙うスタイルと何が違うのでしょうか。それぞれの特徴を整理してみましょう。
長期投資と短期投資の違い
長期投資は、将来の目的に合わせてお金をじっくり増やしていく考え方です。時間の余裕があるため価格の変動にも余裕をもって構えることができます。一方、短期間で収益を出そうとする場合は、目先の価格変動を常に注視する必要があり、刻々と変化する投資環境、一時的な変動にも目配りが必要です。
長期投資 | 短期投資 | |
---|---|---|
投資期間 | 10年以上~ | 1日~数週間など |
目的 | 企業・社会経済の長期的な成長と自分の資産が増えることへの期待。 主に配当金・株主優待といった形で企業から還元されることがある。 | 1日または数週間のうちに取引を完結する。目先の値上がりを予測して収益を狙う。 |
価格変動に対する構え | 短期的な変動に一喜一憂せず、余裕をもって構えることができる。 | 刻々と変化する価格に注視する必要がある。一時的な変動にも機動的に取引する。 |
ご覧のように、長期投資は将来の社会や企業の成長を期待して投資する点で、短期投資と目的が大きく異なることがわかります。
長期投資のメリット

では、長期投資のメリットをみていきましょう。
複利効果で増やせる
長期投資は「複利」の効果によりお金が増えていきます。複利は、運用で得た収益が更に元本に足され、新しい元本として運用されることで増えていきます。複利は「雪だるま式」と表現されることもあり、最初は小さい金額でも運用期間が長くなればなるほど効果が大きくなります。

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精神的な負担が小さい
長期投資は10年以上先をゴールとして値上がりを待つことができるため、一時的な価格の変動に一喜一憂する必要はありません。短期間で収益を獲得しようとすると、株式等の売買の動きにも敏感に対応する機動性が必要ですが、長期投資は心の余裕を持って生活や仕事に集中することができます。
積立投資と相性が良い
長期にわたり、定期的に一定金額を投資する積立投資は、長期投資との相性が良く大きな金額を準備しなくても始められます。積立投資は「価格が安いときはたくさんの数量を購入し、高いときは少しだけ」という買い方ができるため、高値で買ってしまうことを防ぐこともできます。

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初心者でも始めやすい
投資に関する知識が少ない投資初心者の方でも、時間的余裕があるため落ち着いて投資を実践から学べます。時間をかけてお金を育てると共に投資経験を積むことで、知識が生きた知恵となり投資判断力が養われます。
長期投資のデメリット

長期投資をしておけば、万全かというとそうではありません。デメリットも確認しておきましょう。
すぐには利益を出しにくい
長期投資で成果を確定するのは、10年以上先にその投資対象の商品を売却したときです。時間をかけ気長に収益の結果を待つ必要があります。短期間で結果を出したいという方には向いていないかもしれません。
将来の不確実性がある
投資期間が長ければ、投資環境に大きな影響を与える世界経済危機、金融危機、自然災害など様々な出来事に遭遇します。過去30年で高い値上がりを示している企業がある一方で1989年のバブル崩壊から株価が戻っていない企業も存在しています。
長期投資に向いている投資方法

積立と分散投資により長期投資のデメリットを補いながら、メリットを活かせる投資方法を利用していきましょう。
投信積立
投信積立は「少額投資」「分散投資」「専門家による運用」が特徴で、金融機関によっては100円から投資信託に積立投資ができます。投資初心者の方でもプロの運用による資産形成ができます。

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つみたてNISA
少額からの長期・積立・分散投資を後押しする非課税制度です。毎年40万円を上限として一定の投資信託を定期購入できます。投資している間に得た分配金と値上がり益は20年間課税されません。非課税で保有できる投資総額は最大800万円となります。

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個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)
リタイア後のための資産形成の制度です。日本在住の20歳以上60歳未満の国民年金被保険者の方であれば、原則誰でも始めることができます(2022年5月以降は条件付きで65歳未満の方まで加入できるようになります)。加入者が毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された預金・保険・投資信託で運用し、60歳以降に一時金または年金で受け取る仕組みです。
【税制優遇メリット】
・積立金額はすべて所得控除の対象となり、所得税・住民税が節税できる。
・運用で得た定期預金利息や投資信託運用益が非課税になる。
・受け取るとき「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象となる。

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まとめ

将来の予想が100%確実なものはひとつもありません。長期投資は複利の効果により大きく資産を増やすことが期待できますが、万能ではありません。長期・積立・分散投資により、将来の不確実性のリスクを低減することが大切です。時間をかけてお金と投資経験を積み上げ、気長に投資と付き合っていきましょう。
ご留意事項
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