共有名義の相続はどうなる?不動産の相続トラブルになる前に

「相続した不動産は共有名義にしないほうが良い」という話をよく聞きます。しかし、それがどうしてなのか分からないという方も、少なからずいらっしゃることと思います。そこで今回は、不動産の共有名義とはどういうことで、どんな問題点があるのかをご説明していきます。

共有名義の相続はどうなる?不動産の相続トラブルになる前に

財産の共有名義とは?

財産の共有名義とは?

ひとつのモノを複数の人が持ち合うことを「共有」と言います。共有名義とは、建物や土地などに複数の持ち主がいて、その人たちの名前が一緒に登記された状態のことです。
とりわけ、共有名義の不動産はトラブルになりやすいと言われますが、それは次のような理由によるものです。

共有名義がトラブルの元に①抵当権の設定や改築で意思統一が図れない

事業資金などを用立てるために共有物件に抵当権を設定したり、物件を改築したりする場合は、共有名義人全員の同意が必要です。物件を賃貸に出すとか、賃貸借契約を解除したくても、持ち分の過半数の同意がなければ叶いません。
このように物件についての何らかの意思決定が求められる度、名義人全員で協議を行う必要が生じます。それぞれの考えが違うと意思の統一が図れず、事態が膠着してしまいかねません。

■共有名義の不動産で名義人の同意が必要な事項

名義人全員の同意が必要持ち分の過半数の同意が必要
売却賃貸借契約締結
大規模修繕・増改築賃貸借契約解除
担保権設定 など賃料減額 など

共有名義がトラブルの元に②独り占めを強制排除できない

共有名義人には、持ち分に応じて物件全体を使用する権利があります。ですから、名義人の一人が物件を単独使用していてほかの名義人が困惑している場合も、その一人を強制退去させることはできません。ほかの名義人は単独使用者に対して使用料を請求することができますが、その金額設定についてもひと悶着起きる可能性があります。

共有名義がトラブルの元に③固定資産税不払い

共有物件の固定資産税の支払いは、共有名義人の代表者が行う形です。名義人はそれぞれの持ち分の割合に応じた固定資産税を負担しなければなりませんが、なかなか連絡がつかない名義人や、固定資産税を払おうとしない名義人がいると、代表者が迷惑を被ることになります。

共有名義がトラブルの元に④勝手に売却ができない

共有名義人間の意思の疎通がうまくいかないと物件の運営に支障を来し、結果的に物件が放置されたままになってしまうリスクがあります。放置物件でも毎年、固定資産税はかかります。だからといって、売却するにも名義人全員の同意が必要で、反対する人が一人でもいると売りに出すことができません。

相続が発生したときの注意点

相続が発生したときの注意点

このような共有のトラブルを回避するためには、安易に共有資産を増やさないことです。実は、不動産の共有状態が生まれやすいのが相続です。不動産は相続人の頭数で分割することができませんから、誰か一人が単独で引き継ぐか、話し合いがまとまらないと複数の相続人が共有する形で相続します。しかし、後者の方法だと相続が発生する度に共有者の人数が増加し、事態を複雑化させていくことにつながりかねません。

相続前にしておきたい共有名義のトラブル対策

相続前にしておきたい共有名義のトラブル対策

次世代に引き継ぐ不動産が自分の兄弟姉妹などと共有になっている場合は、

①誰かがほかの兄弟姉妹の持ち分を買い取る
②不動産を売却してその代金を兄弟姉妹で持ち分に応じて分配する


といった方法で、相続が発生する前に共有状態を解消しておくと良いでしょう。
自分の相続で共有名義になるのを防ぐためには、遺言書を作成して不動産を引き継ぐ相続人を指定したうえで、そのほかの相続人とのバランスを取った財産分配を行ったり、不動産の売却を検討したりする必要があります。

まとめ

まとめ

共有名義の不動産にはトラブルが生じやすく、共有名義人の数が多いほど、そのリスクは高まります。被相続人となる親には次世代に共有財産を引き継がせないための対策が、相続人の子には親の不動産を安易に共有名義で相続してしまわない対応が求められます。

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