【FP解説】私はするべき?住宅ローンの繰り上げ返済のメリットと注意点

住宅ローンの返済をしている方の中には、できるだけ早く完済するために、頑張って貯金をし、繰り上げ返済をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、繰り上げ返済のメリットや、繰り上げ返済をおこなう上での注意点を解説します。

【FP解説】私はするべき?住宅ローンの繰り上げ返済のメリットと注意点

住宅ローンの繰り上げ返済は、支払い予定の利息を軽減できる

住宅ローンの繰り上げ返済は、支払い予定の利息を軽減できる

繰り上げ返済は、毎月の返済額とは別に、まとまった金額を返済する方法です。通常の返済は元金と利息の合計額ですが、繰り上げ返済の場合は返済額すべてが元金部分に充てられます。繰り上げ返済をすることにより減った元金部分に対する利息がなくなるため、総支払額を減らすことができます。つまり、繰り上げ返済による最大のメリットは、本来支払うはずだった利息を軽減することができるということです。

繰り上げ返済には、次のふたつの方法があります。

期間短縮型

期間短縮型は、返済期間を短くする返済方法です。繰り上げ返済後も毎月返済額の金額は変わりません。繰り上げ返済によって、支払った元金部分に対する利息を軽減でき、下図のように、その分返済期間が短縮されます。返済期間を短縮し、早く返済を終わらせたい人に向いています。

期間短縮型

返済額軽減型

返済額軽減型は、返済期間はそのままで月々の返済額を減らす方法です。繰り上げ返済で支払った金額は、その後の元金部分に均等に充てられ、それに対しての利息が軽減されることで、毎月の返済額が減ります。そのため、月々の返済額を抑えたいという方に向いています。

返済額軽減型

実際にどれくらいの金額が抑えられるか?

実際にどれくらいの金額が抑えられるか?

では、実際に繰り上げ返済をおこなうことでどのくらいの金額を抑えられるのでしょうか?計算例で確認してみましょう。

(前提条件)
借入金額3,000万円、返済期間35年、金利1.5%、全期間固定金利
元利均等返済、ボーナス返済なし
100万円を繰り上げ返済(10年後の場合と20年後の場合)

■繰り上げ返済による効果(10年後100万円返済)

期間短縮型返済額軽減型
毎月の返済額91,855円91,855円
繰り上げ返済後の返済額91,855円87,844円
残りの返済期間23年9ヶ月25年0ヶ月
減少する利息額439,529円199,064円

■繰り上げ返済による効果(20年後100万円返済)

期間短縮型返済額軽減型
毎月の返済額91,855円91,855円
繰り上げ返済後の返済額91,855円85,616円
残りの返済期間13年11ヶ月15年0ヶ月
減少する利息額240,821円116,653円

上記の比較のとおり、期間短縮型の方が返済額軽減型よりも利息の軽減効果は高くなります。また、元利均等返済の場合では、返済額に占める利息の割合が大きい早い段階で繰り上げ返済をした方が、利息軽減効果は高くなります。

繰り上げ返済をした方がいいケース

繰り上げ返済をした方がいいケース

繰り上げ返済をおこなうことで、利息額が少なくなる、完済時期が早まる(期間短縮型)、毎月の返済額が少なくなる(返済額軽減型)などの効果があることがわかりました。

このような効果を活かし、次のような方は繰り上げ返済をおこなうことを検討するとよいでしょう。

・退職後も住宅ローンの返済が続くので、繰り上げ返済による期間短縮を活用して定年までに住宅ローンを完済したいと思っている方

・変動金利型で借り入れをしており、金利上昇により毎月の返済額が上がることで、負担が増えることを避けたいと思っている方

・今後子どもが増える予定があるなど、将来に備えて今のうちから毎月の返済額を抑えておきたい方

では、どのタイミングで繰り上げ返済をしたらよいのでしょうか。

繰り上げ返済は少額からでもコツコツと

昨今はネットで手続きをするなど、繰り上げ返済手数料がかからないケースが多く、その場合には、少額からでもコツコツと早めに繰り上げ返済をした方が利息軽減効果は高くなります。
そのため、教育費などの将来必要なお金や、いざという時に必要なお金が計画通りに準備できている方は、できるだけ早い段階から繰り上げ返済を検討していきましょう。

今後の繰り上げ返済計画を立てるのであれば、子供の進学タイミングなどのライフイベントや住宅ローン減税が終了するタイミングなどを目標として貯めておきましょう。その上で、家計と貯蓄状況を見て無理がないようでしたら繰り上げ返済をおこなうとよいでしょう。

繰り上げしない方がいい場合

繰り上げしない方がいい場合

反対に、繰り上げ返済をしない方がいいのはどのような場合でしょうか。
代表的な例では、「住宅ローン減税を利用している場合」です。住宅ローン減税は、最大10年間、年末時点の住宅ローン残高×1%を、所得税・住民税から直接減らすことができるという制度です。そのため、住宅ローンの金利水準が1%を下回っている場合は、繰り上げ返済しない方がいいといえるでしょう。

ほかにも、「当面は手元にお金を残しておいた方がいい場合」も繰り上げ返済しない方がいいでしょう。
例えば、子供がまだ小さく、今後教育費がかかってくるような場合、子供の希望によっては、想定以上の教育費がかかるケースがあります。繰り上げ返済してしまったことで資金が不足し、住宅ローンの金利よりも高い金利の教育ローン等を借りる必要が出てくるかもしれません。ですので教育費の目処がたつまでは、少し多めに手元に資金を置いておきましょう。

団信の保険特約があるなら無理に繰り上げをしなくても

また、団体信用生命保険に特約を手厚くつけているような場合も慎重に検討しましょう。特に昨今は病気などに対する特約が充実していますので、金利が低い状態で借り入れができているのであれば、無理に返済を優先しなくてもいいかもしれません。保険としての役割を維持しつつ、貯蓄を優先することもひとつの策です。

まとめ

まとめ

繰り上げ返済の利息の軽減効果を考えると、可能な限り早めに繰り上げ返済をしていきたいところです。しかし、今後のライフプランなどによっては、繰り上げ返済よりも貯蓄を優先した方がよいケースもあります。余裕資金ができたからと行き当たりばったりで繰り上げ返済をするのではなく、ライフプランをよく考慮した上で、計画的におこなうことが大切です。

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