住宅ローンの完済後にやるべきこと!抵当権抹消登記の手続きを解説

住宅ローンを完済したときに購入者がしなければならない手続きをご存知ですか?今回は、住宅ローンを完済後に行う手続きや必要書類を解説します。売却や新たな借り入れを行うときに不都合となるので、法務局や金融機関への対応をスムーズに行っておきましょう。

住宅ローンの完済後にやるべきこと!抵当権抹消登記の手続きを解説

住宅ローンの平均的な返済期間は?

住宅ローンの平均的な返済期間は?

住宅金融支援機構が発表した2020年度住宅ローン貸出動向調査によれば、住宅ローンの平均的な返済期間は15年から16年程度となっています。

住宅ローンの返済期間は最長35年まで設定できることから、定年・引退するまでずっと返済していくイメージがあるかもしれません。しかし実際は借り入れ時に20年から30年と短めの返済期間を設定したり、ボーナス時の繰上返済によって残債を減らしたりして、完済までの期間を短くすることも多いのです。

また、自宅を売却することによってローンを返済し、住み替えた場合も完済に含まれますので、平均としてみると短くなっているということもあります。

【参考】住宅金融支援機構 2020年度 住宅ローン貸出動向調査 詳しくはこちら

住宅ローンを完済したら何をすべき?

住宅ローンを完済したら何をすべき?

住宅ローンを完済した際、購入者側が行わなくてはならない手続きがいくつかあります。住宅ローンを完済する時には金融機関で手続きを行うことが多いですが、その時にローン完済に関するすべての手続きをしてもらえるわけではありません。ここからは、購入者側で手配しなければならない手続きについて解説します。

抵当権の抹消登記

住宅ローンを完済したときには、抵当権の抹消登記が必要です。
抵当権とは、住宅ローンの借り入れ時に土地や建物に設定された担保権です。購入者のローン返済が滞った場合は、抵当権の設定された土地や建物を競売にかけるなどして返済に充てることができるものです。

住宅ローンの完済に伴い抵当権は解除されますが、登記簿謄本上には抵当権の記載がそのまま残ります。登記を放置しておくと、不動産の売却時や新たな借り入れ時の手続きに時間を要したり、相続申告など期限が定まっている手続きを行う場合に登記が間に合わなくなったりするなどの不都合が生じることがあるでしょう。


取扱の金融機関に依頼できる場合もありますが、基本的には購入者側にて行わなければならないのです。抹消に必要な書類を法務局に提出して早めに手続きを行いましょう。

火災保険質権の解除手続き

住宅ローン完済時には、火災保険に設定された質権の解除を行う必要があります。
質権とは、抵当権と同じく担保の一種です。住宅が火災や風災などによって損傷したときに保険金を住宅ローンの返済に充てるため、借り入れ時に金融機関が設定します。設定時には、保険証券を金融機関が預かることになっており、解除とともに証券は返還されるでしょう。

この質権設定の解除についても、火災保険会社に指定の書類を提出して自分で手続きしなければなりません。

抵当権抹消登記手続きのプロセスとは

抵当権抹消登記手続きのプロセスとは

抵当権抹消登記は公的な手続きであり、法務局に提出する書類を自ら作成・収集しなくてはいけません。司法書士に依頼すればすべての手続きを代行してくれますが、費用がかかる上に手続き自体はそれほど複雑ではないので、自ら手続きをする人も多いようです。具体的な必要書類と手続きの方法を解説するので、間違った登記請求の内容にならないよう細心の注意を払いましょう。

法務局のHPから抵当権抹消登記申請書をダウンロード

まず、法務局のHPから申請書をダウンロードします。併せて記載例も入手して、記載しなければならない項目と、どのように記載したらよいかを確認しましょう。見慣れない法律用語が並んでいますが、例に従って入力していけば問題ありません。

また、登記事項の設定・変更・抹消には登録免許税がかかるため、申請書にその金額を記載します。抵当権抹消登記の場合は不動産1つにつき1,000円です。土地一筆と建物の抹消登記の場合は2,000円、土地が分筆されていて複数の場合には、土地の筆数分の登録免許税を納めなければなりません。

【参考】法務局ホームページ 詳しくはこちら

抵当権抹消登記に必要な書類の収集

次に、抵当権抹消登記に必要な書類を収集します。登記申請書の他に、申請された登記事項が真正で正確か、また正当な権限のある者によって申請されているかを証明するための書類も添付しなければなりません。

これらは住宅ローンの返済完了後に、借り入れ先の金融機関から送付されます。受け取った際には、今一度書類に漏れはないか確認しましょう。

登記識別情報(登記済証)

登記を設定したときに法務局から金融機関に交付されるもので、登記を抹消・変更するときに必要になる書類です。現在はオンライン化されているため、パスワードなどが設定されていて、パスワード保護シールが貼ってあるでしょう。オンライン化される前に登記を設定した場合には、登記済証が交付されています。

弁済証書・抵当権解除証書(さまざまな名称があります)

住宅ローンを完済したことを証明するための証書です。

委任状

抵当権者は金融機関であるため、申請人は金融機関となります。このとき、購入者は申請を委任されて代理で手続きを行うという形式となるため、委任状が発行されます。代理人欄には手続きをおこなう人(購入者や司法書士)の署名捺印が必要です。

資格証明書

金融機関の法人としての登記簿謄本や代表者事項証明書がこれにあたる書類です。これらは法務局で取得できる書類ですが、借り入れ先である金融機関が用意します。

法務局に申請して「登記完了証」を受け取る

提出書類に不備はないか、記載内容に誤りはないか、押印漏れはないかなどについてもう一度確認して、管轄の法務局に提出します。登録免許税は一般的には収入印紙を申請書に貼り付けることによって納付します。

申請書類一式を法務局に持ち込んだあとは、登記の完了を待つのみです。
提出書類に不備や不明点があれば法務局から連絡がありますので、不備内容を補完します。スムーズに手続きが進めば、1週間ほどで抹消登記が完了するでしょう。

登記完了証は法務局に訪問して受け取るか、申請時に手続きをすれば郵送を依頼することも可能です。

まとめ

まとめ

住宅ローンを組む時には金融機関に任せていれば安心ですが、返済が完了した時には、抵当権抹消登記申請と火災保険質権解除の手続きを自分で行わなければなりません。
手続きに不安がある時には、金融機関を訪問して担当者からアドバイスを受けながら進めるとよいでしょう。

実態と異なる登記を放置しておくと、売却や新たな借り入れを行うときに必要以上の時間がかかったり、相続など法的な手続きの期限に登記が間に合わなかったりとさまざまな不都合が生じます。
事前に手続きを調べたうえで書類を揃えられれば、手続き自体はそれほど難しいものではありません。住宅ローンを完済次第、すみやかに終わらせることをおすすめします。

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