知っておきたい、マンション購入に必要な初期費用の内訳と相場

マンション購入をご検討中のみなさん、もしかして「初期費用は、頭金だけ用意していればいい」と思っていませんか。もしそうなら、それは大変な間違いです。マンション購入には、マンションの代金以外にも、さまざまな諸費用が初期費用として必要です。その内訳や相場、そして節約するコツまで、詳しくご紹介します。

知っておきたい、マンション購入に必要な初期費用の内訳と相場

マンション購入時に必ず必要な初期費用と相場

マンション購入時に必ず必要な初期費用と相場

マンション購入には、マンションの代金以外にも、税金や各種手数料などの「諸費用」も必要です。新築の場合で物件価格の「3~5%」、中古だと「6~8%」程度の諸費用を用意しておけば問題ないでしょう。主な内訳は、以下のようになります。

税金・登記にかかる費用と相場

印紙税

作成された売買契約書に貼られる印紙代という形で納める税金です。税額は契約書に記載されている金額によって、以下のようになります。

印紙税にかかる費用

不動産の購入額 印紙税
100万円を超え500万円以下 2,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円

【参考】国税庁:「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」詳しくはこちら

なお「2020年3月31日」までは軽減税率が適用され、上記の不動産の購入額においては記載の印紙税は半額になります。その他の購入額においては、必ずしも半額とはなりませんのでご注意ください。

不動産取得税

購入の際に都道府県から課税される地方税。税額は不動産の購入額ではなく、行政が定めた「課税標準額(評価額)」という金額が基準となります。不動産取得税は、【評価額×税率4%】という計算式で導き出されます。

軽減措置適用期間である「2021年3月31日まで」に不動産を取得した場合、軽減税率が適用され、建物部分にかかる税率が3%になります。さらに土地に関しては、同じく「2021年3月31日まで」に取得した場合は、評価額が半額になります。そのうえで、一定の要件を満たせば、申告することで受けられる軽減措置もあるので、ぜひ利用しましょう。

登録免許税

不動産を購入したら、土地や建物の権利関係を明らかにするために「登記」という手続きが必要になります。新築の場合は「所有権の保存登記」、土地や中古の場合は「所有権の移転登記」が必要です。登録免許税はこれら登記手続きにかかる税金のこと。また、不動産購入にローンを組んだ場合も「抵当権の設定登記」が必要です。所有権の保存登記・移転登記は評価額に税率をかけ、抵当権の設定登記は債権額に税率をかけて計算します。

登記にかかる費用

登記の種類 軽減措置適用期間以外 軽減措置適用期間
土地の所有権の移転登記 評価額×税率2.0% 評価額×税率1.5%
建物の所有権の保存登記 評価額×税率0.4% 評価額×税率0.15%
建物の所有権の移転登記 評価額×税率2.0% 評価額×税率0.3%
抵当権の設定登記 債権額×税率0.4% 債権額×税率0.1%

【参考】国税庁:「土地の売買や住宅家屋等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ(平成31年4月)」詳しくはこちら

これら登記免許税に関しても、軽減措置が用意されています。土地の所有権の移転登記については「2021年3月31日」まで軽減税率が適用されます。その他の登記に関しても、一定の要件を満たせば「2020年3月31日」まで軽減されます。

登記の手続きは司法書士など専門家に代行してもらうのが一般的です。司法書士によって料金は異なりますが、「4万~20万円」程度の費用が必要となるでしょう。

固定資産税・都市計画税

土地・家屋などの「固定資産」に対して、自治体から課税される税金です。これらは購入時だけでなく、毎年1月1日時点での不動産を所有している者に対して課せられ、年の途中から不動産を所有した場合、日割り金額を売り主に支払うケースがほとんどです。

固定資産税・都市計画税にかかる費用

税区分 税率
固定資産税 評価額×税率1.4%
都市計画税 評価額×税率0.3%

※税率は自治体によって、異なる場合があります。
【参考】東京都主税局:「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」詳しくはこちら

こちらも、土地・家屋それぞれに特例や減額措置があります。

ローン契約でかかる費用と相場

ローン契約でかかる費用と相場

〈事務手数料〉
ローンを組む際、請求される費用です。借入額に応じて決まる「定率型」と、借入額によらず一定の「定額型」に分かれます。一般に、定率型のほうが手数料自体は高くなりますが、金利やほかの金額が安くなるケースが多く、トータルで支払う額としては、定額型のほうが高くなる傾向が見られます。

〈ローン保証料〉
「契約者が返済できなくなった場合に、保証会社が代わりに支払う」というローンの保証制度を利用するための費用です。こちらも「一括払い」と「分割払い」に分かれています。一括払いは、借入額に応じた金額を最初に一括で支払います。分割払いにおいては、返済期間が35年の場合で、「借入額1,000万につき、20万円」程度が相場で、毎月の支払いに上乗せする形で支払います。分割払いは、金利が必要になる分、最終的には一括払いより高額になります。

〈印紙税〉
売買契約書の作成時に必要だった印紙税ですが、ローンを組む際にも必要になります。税額や支払い方法に関しては同じですが、軽減税率の適用はありません。

〈現金で購入する場合〉
ローンを利用せず、現金で一括購入するという場合は、当然これらの費用はかかりません。ただし、ローンを利用すると適用される所得税や住民税の控除が受けられないというデメリットがあります。また、多額の現金が一度に動くため、税務署から税務調査が入る可能性もあります。

そのほか諸費用と相場

〈引越し代〉
意外と忘れがちですが、当然、新居への引越し代も必要です。

〈家具などの購入費〉
家具や電化製品などを買い換えたり、新たに購入したりする場合は、そちらの費用も見積もっておく必要があります。

購入するマンションによって発生する初期費用もあるので注意

購入するマンションによって発生する初期費用もあるので注意

このほかにも、新築・中古それぞれに必要な諸費用があります。

新築マンション購入時のみかかる費用と相場

〈申込証拠金〉
新築マンションを申込む際、購入意思を示すために支払い、契約に至らなかった場合には返却されます。一般的には「2万~10万円」程度が相場です。物件によっては、不要な場合もあります。購入に至った場合には、購入代金に充当されます。

〈修繕積立基金〉
将来必要になる、共用部の大規模修繕工事の費用を前もって支払うものです。通常、部屋の面積が広くなるにしたがい高額になります。一般に「数十万円」というケースが多いようです。

中古マンション購入時のみかかる費用と相場

〈仲介手数料〉
仲介業者を通じて購入した場合に必要です。金額は法律で上限が決まっており、400万以上の物件を購入した際は、【仲介手数料=(物件価格×3%)+6万円+消費税】の式で計算された額を上限として仲介業者へ支払います。

初期費用は抑えられる?節約のコツとは

初期費用は抑えられる?節約のコツとは

「できれば、初期費用を安く済ませたい」というみなさんのために、最後に少しでも安くするコツをご紹介します。

自分で登記を行う

前述のように、登記の手続きは専門家に依頼するのが一般的ですが、自分で行うことも可能です。ただ、内容は初心者には難しい部分も多いので、自分で登記手続きを行うには時間と労力が必要です。

ローン保証料の交渉をする


ローン保証料は、あくまで「貸す側が、万一の際の損害を避ける」ための費用です。そういう意味では、なくても問題ないものなので、減額や免除の交渉をしてみるのも一つの方法です。

仲介手数料の交渉をする

これも前述のように、仲介手数料は上限が決まっているだけで、規定の金額があるわけではありません。「ダメ元」で交渉してみるのも良いでしょう。

まとめ

紹介してきたように、マンションを購入する際には、初期費用としてマンション自体の代金以外にも、いろいろと諸費用が必要になります。諸費用の合計が百万単位の金額になることも珍しくありませんので、あとで「困った」とならないよう、これらも含めたうえで資金計画を立てるようにしましょう。

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