自分の年収ならどのくらいの一戸建てが購入できる?年収別・物件価格の目安

一戸建ての購入を検討する際、一般的に年収の5倍程度までが購入価格の目安と考えられていますが、実際はどの程度の物件価格が適正なのでしょうか。今回は、これから一戸建ての購入を考えている方向けに、年収別に物件の購入目安額をまとめてみました。

自分の年収ならどのくらいの一戸建てが購入できる?年収別・物件価格の目安

年収からみる物件価格の目安購入額

年収からみる物件価格の目安購入額

持ち家の購入は多くの人にとって、人生で最も大きな買い物といえるのではないでしょうか。子供を育て終の棲家にもなりうる一戸建ての購入は、大きなライフイベントでもあり、簡単には買い直しができないことから慎重に検討を重ねた上で購入する必要があります。

一戸建ての購入の大きな目安になるのは年収です。家を購入する場合に総額を現金で支払う人は極めてまれで、多くの場合は金融機関で住宅ローンを借り入れることになります。その住宅ローンを組むには一定の条件があり、年収などによって借り入れできる金額が大きく異なります。
一戸建ての価格や住む地域による土地の価格(地価)によって幅がありますが、一般的には土地つき新築物件で、土地と建物を合わせて2,000万円~5,000万円程度が一つの目安となります。
それでは、この価格帯の一戸建てを購入するためには、どの程度の年収が必要でしょうか。

代表的な住宅ローンに長期固定金利の商品「フラット35」があります。これは住宅金融支援機構が民間金融機関と共同で提供しているローンです。
このフラット35を参考に試算してみましょう。

30歳・年収400万円の場合

例えば、30歳で年収が400万円の方が、価格の1割以上を頭金として用意し、自動車ローンなどフラット35以外のローンの返済が毎月5万円あると仮定すると、融資金利は1.110%で(2019年11月水準)、返済期間が35年の元利金等返済であれば、借り入れ可能な概算額は2,319万円となります。これに頭金を入れた額が物件の購入資金です。

30歳で借りて35年後の65歳で返済が終了するとすれば、月々の返済額は約6.7万円なので、年収の約20.1%がローンの返済金額となります。一般に住宅ローンの返済額は年収の25%以内が理想と考えられているので、無理のない返済計画を組みやすいといえます。

フラット35での試算

年収 400万円
融資金利 1.110%(19年11月水準)
返済期間 35年
返済方法 元利均等
他の借入金 5万円/月(60万円/年)
借り入れ可能額(概算) 2,319万円

【参考】住宅金融支援機構「フラット35サイト」:「年収から借り入れ可能額を計算」 詳しくはこちら
【参考】住宅金融支援機構「フラット35サイト」:「金利情報」 詳しくはこちら

40歳・年収400万円の場合

それではフラット35の借入時に40歳で年収400万円の場合、どれくらいの額までローンを組むことができるでしょうか?
頭金1割以上、他の返済が月5万円、ボーナス時返済なしで返済期間を40歳から65歳までの25年とすると借り入れ可能な概算額は1,745万円となり、月々の返済額は約6.7万円です。

フラット35での試算

年収 400万円
融資金利 1.110%(19年11月水準)
返済期間 25年
返済方法 元利均等
他の借入金 5万円/月(60万円/年)
借り入れ可能額(概算) 1,745万円

この場合、一般的な住宅を購入するには少々不足してしまうかもしれません。
そこで、頭金を十分に用意するか、借入額を増やすのであれば、年収を上げる、または他の借入金を減らす必要があります。
返済期間25年の試算でも、他のローン返済額が毎月3万円なら借り入れ可能額は2,269万円です。あるいは年収が500万円ならば、他の返済額が毎月5万円であっても借り入れ可能額が2,509万円まで上がります。

購入可能な物件価格帯を年収から試算

これらの試算から、年収400万~500万円で自動車ローンなど住宅以外のローン支払いが月3万~5万円、返済期間25年~35年というあたりが、一般的な一戸建てを購入する場合の一つのモデルケースとみてよいでしょう。
もちろん、頭金を多めに用意しておくか、さらなる年収が見込めるのであれば、3,000万円~5,000万円の価格帯の一戸建ても購入できることになります。

そこでつぎに、年収を「400万円未満」「500万円~800万円」「1,000万円以上」の3通りのパターンに分けた上で、それぞれのケースで具体的にどのような一戸建てが購入可能か試算しました。(※)

※試算条件:変動金利、返済期間30年、その他の返済が月3万円、ボーナス払いなし。金利は2020年1月時点。
※価格、返済額等はあくまで一例です。条件により借用可能な金額は変動します。

【参考】三菱UFJ銀行「住宅ローン新規お借り入れシミュレーション」 詳しくはこちら

年収400万円未満の場合の一戸建て購入

年収400万円未満の場合の一戸建て購入

年収400万円未満であれば2,000万円~2,500万円の価格帯の物件が一つの目安となります。地方や東京都心から離れた場所であれば新築4LDKの一戸建ても十分視野に入ってきますが、頭金を用意し無理のない返済額にすることが重要です。
このケースで頭金を500万円~1,000万円程度用意して購入するのであれば、ローン借入額も1,000万円~1,500万円程度に抑えられます。たとえば、年収350万円で1,500万円を新規借り入れした場合、ボーナス時返済なしでも月々の返済額を約4万5千円に抑えることができます。

年収400万円の場合

購入価格帯 借入金額 月々返済額
2,000~2,500万円 1,000~1,500万円 3万470円〜
4万5,706円

年収500~800万円の場合の一戸建て購入

年収500~800万円の場合の一戸建て購入

年収が500万円以上あれば、3,000万円~4,000万円、700万円以上あれば4,000~5,000万円の価格帯の一戸建ても視野に入ってくるでしょう。この価格帯であれば東京都でも区部を除いた地域なら4人家族がゆったり暮らせる広さの4LDKが購入可能です。
3,000万~4,000万円の価格帯の物件に対し、頭金が1,000万円程度用意できれば借入額は2,000万円~3,000万円です。年収500万円の方が3,000万円借り入れた場合だと、月の返済額が約9万1千円、年間の返済額は約109万7千円、年収700万円の方が4,000万円借り入れた場合だと、月の返済額が約12万2千円、年間の返済額は約146万3千円となり、それぞれ年収の20%程度に抑えることができます。

年収500~800万円の場合

購入価格帯 借入金額 月々返済額
3,000~4,000万円 2,000~3,000万円 6万941円〜
9万1,411円
4,000~5,000万円 3,000~4,000万円 9万1,4111円〜
12万1,882円

年収1,000万円以上の場合の一戸建て購入

年収1,000万円以上の場合の一戸建て購入

年収が1,000万円以上であれば、5,000万円以上の価格帯の物件も視野に入ってきます。この価格帯なら東京23区内の新築一戸建て購入も可能です。
頭金を1,000万円程度用意できれば、借入額は4,000万円が目安です。この場合、月々の返済額は約12万2千円、年間で146万3千円となり、返済額を年収の15%弱に抑えることができます。

年収1,000万円以上の場合

購入価格帯 借入金額 月々返済額
4,000~5,000万円 4,000万円 12万1,882円

適正な住宅ローンの目安

適正な住宅ローンの目安

一戸建ての購入で心得ておきたいのが適正な住宅ローンの目安です。

適正な住宅ローンの借入額は年収の5倍程度と考えられていますが、借入総額を決める場合には熟考が必要です。
ローンの借入総額を抑えるためには、頭金をある程度の額の用意しておくことは大切ですが、借入額を減らしたいために手持ちの資金を全額頭金にするとリスクが上がります。
人生の大きな買い物は住宅だけではないので、家族のライフプランを考えてローンを検討することが大切です。教育費や介護費もかかりますし、不慮の事故に遭ったり病気になったりすれば、収入が途絶えたりまとまった出費が発生する可能性があります。借入時の年齢と、人生に起こりうる様々な事象を想定した上で、無理なく払えるローンの借入総額と頭金の額を決めるとよいでしょう。

まとめ

一生のうち最も高額の買い物は持ち家だといわれています。人生の一つの区切りとして、一戸建ての購入に憧れている方も多いでしょう。一戸建ての購入プランを検討する場合は、自身の年収に合った価格の一戸建てを見極め、無理のない額でローンを組みましょう。

ご留意事項
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