2021年に再延長が決定!改めて知っておくべき住宅ローンの減税制度や注意すべき控除額など

住宅ローンを契約してマイホームを取得しようと考えている方の中には、住宅ローン減税制度の改正点が気になっているという方も多いでしょう。この記事では、期間の延長や控除額の変化など、2021年の住宅ローン減税制度の改正点を解説します。

2021年に再延長が決定!改めて知っておくべき住宅ローンの減税制度や注意すべき控除額など

そもそも住宅ローン減税とは?

そもそも住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税とは、マイホームを取得する際に住宅ローンを利用した場合、以下のような条件を満たしていれば、所得税から10年間住宅ローン控除を受けられるというものです。

①新築または取得日から6ヶ月以内に居住しているか
②適用を受ける各年の12月31日まで居住を継続しているか
③特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下か
④床面積が50平方メートル以上、床面積の2分の1を居住用としているか
⑤10年以上にわたって分割して返済する方法になっているか

出典 

条件の詳細は下記の国税庁のホームページをご確認ください。

条件は他にもありますが、今回の制度改正では控除を受けられる「10年間」という期間、①の入居開始日、④の床面積の条件などが見直されました。具体的な改正点について詳しく見ていきましょう。

【参考】国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合」 詳しくはこちら

1. 特例を受けられる期間が延長

1. 特例を受けられる期間が延長

住宅ローン減税制度によって所得税から控除を受けられるのは10年間と決まっていました。しかし、消費税が8%から10%に引き上げられたことを受け、住宅購入にかかる費用負担を少しでも軽減するために10年から13年に延長されています。

増税による影響を一時的にカバーするものだったため、期間が限られていましたが、今回の改正で契約期間の期限が以下のように変更されました。

・注文住宅:2020年9月末→2021年9月末
・分譲住宅:2020年11月末→2021年11月末

出典 

入居期限も増税時に2021年12月末までと期限が決まっていましたが、今回の改正により2022年12月末に延長されました。

住宅ローン減税制度が改正された背景として、コロナウイルスによる影響が挙げられます。コロナウイルスの影響を受けて経済が落ち込んでいるため、期間を延長することによって経済の持ち直しを図ることが目的です。

そのため、2020年9月(分譲住宅は11月)までに契約、翌年12月までに入居を完了するケースでは、コロナウイルスの影響を受けていないと判断された場合は従来通りの10年が適用されます。

今回の住宅ローン減税制度の改正によって、全てのケースで10年から13年に控除期間が延長されるわけではないという点に注意が必要です。

延長期間の詳細は下記の国土交通省のホームページをご確認ください。

【参考】国土交通省「住宅ローン減税等が延長されます!」 詳しくはこちら

2. 床面積の要件緩和

2. 床面積の要件緩和

従来の住宅ローン減税制度では、適用を受けるためには床面積が50平方メートル以上という条件を満たす必要がありました。今回の改正では、「床面積が40平方メートル以上」と適用対象が拡大されています。

注文住宅は床面積が50平方メートル以上になることが多いですが、マンションは物件価格が高くなりやすいため、50平方メートル未満の手頃なマンションも一定数見られました。

しかし、床面積の条件を満たしていなければ所得税から控除を受けられないため、床面積の条件が不動産の購入を妨げる足かせになっていたといえます。

今回の改正で控除を受けられる対象が広がったことは大きなメリットですが、従来と比べて所得上限が一部変更されているという点に注意が必要です。

50平方メートル以上はこれまで通り合計所得金額3,000万円以下であれば控除を受けられる一方、40平方メートル以上50平方メートル未満は合計所得金額1,000万円以下のみです。

50平方メートル以上から40平方メートル以上に引き下げられたことで住宅ローン減税制度の適用対象が拡大しました。しかし、40平方メートル以上50平方メートル未満の適用対象者は50平方メートル以上のマンションを購入できない、世帯収入が少ない人に限られている点を理解しておきましょう。

3. 住宅資金贈与の据え置き

3. 住宅資金贈与の据え置き

住宅資金贈与とは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅購入または増改築などに必要な資金を贈与してもらった場合に一定金額まで非課税になる制度です。

元々は2021年4月1日から非課税枠を引き下げる方向で調整が進んでいましたが、今回の法改正では2021年12月31日まで非課税枠を据え置くことが決定しました。具体的な住宅資金贈与の非課税枠は以下の通りです。

・質の高い住宅:1,500万円(据え置き前は1,200万円に変更予定)
・上記以外の住宅:1,000万円(据え置き前は700万円に変更予定)

出典 

質の高い住宅とは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性のいずれかを満たす住宅です。
節税効果が期待できる仕組みであるため、相続税対策を検討している人は専門家に早めに相談することをおすすめします。

すまい給付金も延長・拡充

すまい給付金も延長・拡充

住まい給付金とは、消費税が8%から10%に引き上げられたことをきっかけに費用負担を軽減する目的で創設された制度です。正確には住宅ローン減税ではありませんが、追加情報として記載しますので、参考にしてください。

住まい給付金は消費税の増税による影響を一時的にカバーすることが目的だったため、給付を受けられる期間は限られていましたが、以下のように延長されることになりました。

・注文住宅:2020年9月末→2021年9月末
・分譲住宅:2020年11月末→2021年11月末

出典 

また、入居期限も2021年12月末から2022年12月末に1年間延長されています。住宅の床面積の条件も50平方メートル以上から40平方メートル以上に拡充されたため、幅広い住宅購入者層が利用できるようになりました。

すまい給付金を受け取る条件

しかし、すまい給付金を受け取るには以下のような条件を満たさなくてはなりません。

【住宅ローンを利用する場合】

・施工中に検査を実施、一定の品質を確保する

【現金購入の場合の追加要件】

・省エネルギー性に優れているといった一定の性能を満たす住宅

【現存住宅を取得する場合】

・現行耐震基準を満たす
・検査を受けて品質が確認された住宅

現金購入の場合には、50歳以上で650万円以下の収入額(目安)の方が購入するケースに限られます。

すまい給付金制度の改正点の詳細は下記の国土交通省のホームページをご確認ください。
【参考】国土交通省「すまい給付金制度について対象期間の延長等がなされます」 詳しくはこちら

※すまい給付金について、詳しく知りたい方は最大50万円が受け取れる「すまい給付金」を徹底解説!の記事もチェック

まとめ

住宅ローン減税制度では消費税が8%から10%に増税されたことで、所得税から引かれる控除額が10%から13%に引き上げられていました。

しかし、増税による影響を一時的にカバーするものだったことから、控除額の引き上げには期限が設けられていました。

今回の住宅ローン減税制度改正では、コロナウイルスの影響を踏まえた上で控除の再延長、拡充が盛り込まれています。

全てのケースで再延長、拡充が受けられるわけではないので、適用条件をよく確認してから購入に移りましょう。

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