いずれくる「おひとりさまの老後」に備える4つの準備

生涯結婚しない人の数が増え、ひとりで老後を迎える人は多くなると予想されています。「おひとりさまの老後」が豊かに過ごせるかどうかは、若いうちからの準備や心構えが大切です。この記事では、おひとりさまの老後を快適に過ごすために考えておくべきことを紹介します。

いずれくる「おひとりさまの老後」に備える4つの準備

いつか来る「おひとりさまの老後」のために考えるべきこと

いつか来る「おひとりさまの老後」のために考えるべきこと

2021年に厚生労働省から発表された「50歳時点で一度も結婚をしたことのない人の割合」は、男性が26.7%、女性が17.5%と年々増加しており、今後もその数値は上がっていくのではないかと予想されています。

【参考】厚生労働省「令和3年版厚生労働白書」図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移 詳しくはこちら

結婚をしない人が増えるということは、ひとりで老後を迎える人が増えるということです。おひとりさまの老後に不安を感じ、何をしたらいいかわからない人も多いかと思います。おひとりさまでも老後を快適に過ごすために、4つの点に注目して解説していきます。

【資金】老後の備えは早めに

【資金】老後の備えは早めに

おひとりさまに限らずとも、生活する上で大切になるのが資金です。特に一人の場合は資金源が自分だけであるため、若いうちから資金繰りを上手に行うことが大事です。

貯蓄

2020年に総務省が発表した家計調査によると、60歳以上の高齢単身無職世帯の実収入月額は13万6,964円(うち社会保障給付は12万1,942円)、支出は14万4,687円(うち消費支出は13万3,146円)で、月7,723円のマイナスが生じるとの結果が出ています。 

【参考】総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年) 家計の概要」詳しくはこちら

つまり60歳で定年を迎え90歳まで生きると想定した場合、約360万円(月約1万円×12カ月×30年)の貯蓄が必要になるということです。これ以外にも病気や突然のケガなどによる通院、冠婚葬祭などの特別支出、さらに趣味や旅行などで少し余裕を持たせるために月平均1~3万円の支出超過があると仮定すれば、定年を迎えるまでに1,100万円近くの貯蓄があったほうが安心ということになります。

収支バランスをしっかりと把握しておかなければ、貯蓄を続けられなくなってしまうこともあります。まずは現在の支出をしっかりと把握し、無駄な支出を減らして、残った分を貯金に回すのもよいでしょう。それも難しければ500円貯金を始めるなど、できることからやっていきましょう。

近頃は定年後に再就職する人も増えています。長く仕事を続ければ収入が入る期間が増えます。定年を迎えたらすぐに年金暮らしをするのではなく、再就職することも視野に入れておくとよいでしょう。

資産運用

資金を増やすには資産運用をするのもおすすめです。初心者でもわかりやすい資産運用の方法を紹介します。

投資信託

投資家からお金を集め、それを投資のプロが株式・債券などに投資運用します。その運用で出た成果が分配金としてももらえるのが投資信託です。ただし、元本が保証されないなどのリスクや運用管理費用などのコストがかかるというデメリットがあります。

iDeCo

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は定期預金や投資信託などの金融商品を自分で選び、それに毎月一定金額積立をするという、自分で作る年金制度です。
月5,000円の少額からスタートでき、節税優遇などのメリットがあります。ただ60歳を過ぎなければお金を引き出すことができず、積立専用口座を開設するときや運用に少額ながら手数料がかかるなどのデメリットもあります。

【住まい】おひとりさまならではの選択も

【住まい】おひとりさまならではの選択も

老後は住まいをどうするかも重要な問題です。持ち家と賃貸、それぞれにメリットデメリットがあります。

持ち家

持ち家の場合、老後で収入がなくなったときでも、それまでにローンの支払いが完了していれば家賃を支払う必要がありません。住む場所があるという安心感はとても大きなものです。また必要に合わせてバリアフリーにするなどリフォームが自由にできる、というメリットもあります。
ただ持ち家には固定資産税がかかったり、定期的なメンテナンスをしたりする必要があります。マンションの場合は住宅ローンの支払いが終わっても、管理費や修繕積立金などを払い続ける必要があります。

賃貸

賃貸の場合、そのときの収入に合わせて引っ越しすることで支出を減らすことができます。生活環境が変わったときにも、柔軟に対応できるのも賃貸のよいところです。また家のために貯蓄を減らす心配もありません。
しかし家の中が使いにくくなっても、リフォームをすることはできません。収入がなくなっても毎月一定の金額の支出が続いていくため、事前にその分としてある程度の貯蓄をしておく必要があります。さらに物件によっては高齢の方は賃貸の契約を断られるケースもあります。

老人ホーム

老人ホームに入るという選択肢も考えられます。
民間の介護付き有料老人ホームは、食事や清掃などスタッフのサービスが受けられ、介護の必要がない人でも入居することができます。部屋は原則個室です。入居金はかからないところもありますが、月額の費用はかかります。さらに毎月の生活費や医療費などは別途必要になってくるので、かなりの貯蓄が必要です。

【孤独感】積極的に外部とのコミュニケーションを

【孤独感】積極的に外部とのコミュニケーションを

老後に家の中にずっとひとりでいると、精神的に落ち込んでしまうことがあります。それを防ぐには、定期的に他者と交流したり、コミュニティに参加したりすることなどが考えられます。そのような場所はどうやって見つければよいのでしょうか。

趣味のコミュニティに入る

スポーツや絵画教室、音楽サークルなどのコミュニティには、自分と共通の趣味をもっている仲間が集まっています。活動すれば趣味を楽しみながら気の合う友達ができるでしょう。地域の公共施設や体育館などでは、定期教室やサークルの会合が頻繁に行われています。少しでも興味のある分野があれば、積極的に参加してみましょう。

地域の集まりやボランティア活動に参加する

地域のイベント、お祭りやボランティア活動などに参加することで、家の近くで自分の居場所を見つけることができます。全国各地にある福祉協議会などのボランティアセンターでは、ボランティアの受付や相談が頻繁に行われています。また地域に密接した情報交換も行われています。場所によってはボランティア体験プログラムを用意しているところもあります。また地域の行事では、幅広い年代の人たちと触れ合うこともできます。

副業を始める

定年を迎えてリタイアした後でも働きたいと思った時、現役の今から小さな副業を始めていれば、将来その仕事を本業にすることもできます。失敗しても学ぶ経験をたくさん積んでおけば、ノウハウも蓄積されます。今から少しの時間を見つけて副業について学んだり、成功事例を調べてみたり、実際に試してみたり、試行錯誤を続けてみましょう。

貯蓄額に大きく響かない程度の少額資金で行えば、気軽にスタートできるはずです。たとえ得られる収入が少なかったとしても、定期的に頭や体を動かしたり、目標を作ったりすることで、孤独とは無縁の生活を送れるでしょう。

【健康・介護】

【健康・介護】

おひとりさまでなくとも、若いうちからしっかりと健康管理をすることが大切です。お金があっても健康でなければ豊かな老後を送ることはできません。日ごろから栄養バランスの取れた食事を摂り、軽いジョギングなど適度な運動も行いながら、規則正しい生活を送れるように心掛けることが大事です。

介護問題は早めに相談を

また、おひとりさまで一番不安なのが老後の介護問題ではないでしょうか。介護や支援が必要になったときのために、介護資金も含めた貯蓄をすることが大切です。また民間の介護保険に入っておくのもよいでしょう。

その他にも、各自治体には「地域包括支援センター」という、介護予防支援や高齢者に必要なサービスの紹介などの相談ができる施設があります。特に、おひとりさまの場合、介護などの相談できる相手がいないという場合も多くあるので、積極的に利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

おひとりさまでも老後に不安なく生活するには、資金と健康管理が大事です。「おひとりさまの老後」に向けて今からしっかりと準備をするとともに、日々前向きな生活を送りましょう。

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