50代の終活は断捨離から!老後の暮らしや死後のために準備をしよう

終活や断捨離は、自分の死後に備えるだけでなく、長い老後の人生の準備としても役立ちます。本記事では50代から終活を始めるメリットをはじめ、断捨離や遺言書作成のポイント、注意点を解説します。豊かなセカンドライフに向けて終活や断捨離を進めましょう。

50代の終活は断捨離から!老後の暮らしや死後のために準備をしよう

50代から終活をはじめるメリット

50代から終活をはじめるメリット

世界的にみても平均寿命が長い日本では、「人生100年時代」が現実のものになりつつあります。厚生労働省の調査によると、2021年(令和3年)時点で女性の平均寿命は87.57歳、男性は81.47歳となっており、2000年と比べて男女ともに3歳ほど平均寿命が伸びています。

そのようななか、50代は仕事に打ち込む一方で定年退職後の人生をどのように過ごすかを考える時期であり、終活するのに適した頃合いです。ここでは50代で終活を始めるメリットをいくつか挙げてみます。

【参考】厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」詳しくはこちら

体力がある

定年退職後の60代後半から70代に突入後に終活を始めるのと比べ、現役世代である50代は体力・気力ともにまだ十分に残っている時期です。そのため、家の片付けといった体力を要する作業や、遺言書作成および相続に関する専門家への相談などの頭を使う作業にも、前向きに取り組めます。
また一般的に、年齢を重ねるほど大病を患うリスクも高くなるため、健康なうちに終活を進めておけば、安心だといえるでしょう。

必要な貯蓄ができる

終活を進めていくと、ローン完済はいつ頃なのか、老後の生活資金はどの程度必要なのかなどお金について考える機会が得られます。収入を得ている50代であれば、貯蓄する・運用を始めるなどの対策ができます。
60代の年金受給前から必要なお金について把握し、終活と今後の人生について無理のない長期的な見通しを立てられるでしょう。

定年退職後のプランが立てられる

定年退職後にゆっくりと終活しようと考えている方もいるかもしれません。しかし定年退職後のセカンドライフを充実させるためには、前もってある程度のプランを練っておく必要があります。

セカンドライフのプランを立てていくのと同時に終活を行えば、今後の人生に必要なもの・ことが見えてきて、定年退職後の生活にも希望を見出せるでしょう。

断捨離をうまく進めるコツ

断捨離をうまく進めるコツ

50代の終活としておすすめしたい取り組みのひとつが断捨離です。断捨離とは物への執着を手放し、本当に必要な物や気に入った物だけに囲まれて生きようという考え方を指します。このような生き方を実現するための手段が、「不要な物は捨てる」「余計な物は買わない」といった具体的な行動です。断捨離をうまく進めるためには、いくつかのコツがあります。

(1)断捨離を楽しむこと

断捨離のコツは、前向きな気持ちで楽しむことです。断捨離の目的は、物への執着を捨てて豊かな精神生活を手に入れることです。「とにかく物を捨てなければ」という焦燥感に駆られて疲れてしまうのでは、本末転倒になってしまいます。無理して行うようでは、途中で疲れて挫折してしまう可能性も高まるでしょう。

断捨離は年末の大掃除のように期限を定めて慌てて行う必要はありません。休日や空いている時間を使って、徐々に進めていくだけで十分です。断捨離を進めていくなかでは、思い出の品が出てくることもあるでしょう。そうした物が出てきたときには、それを手に取って懐かしむ時間を取るのもおすすめです。効率性を追求しすぎず、ゆとりをもって楽しむことで断捨離を成功させやすくなります。

(2)整理整頓も同時にすること

断捨離は物を捨てるだけでなく、整理整頓することも含まれます。普段からよく使う物、特定の時期だけ使う物、通帳や年金・保険関係の書類といった重要な物を用途や性質にあわせて分類し、適切な場所へ保管しましょう。

例えば、日常使いする物なら手近で取り出しやすい場所、貴重品なら他の物とごちゃごちゃにならないように保管できる場所といった具合です。

断捨離で捨てようかどうか迷った物も、選り分けて整理しておくことをおすすめします。例えば「一年間着なかった洋服は捨てる」のように事前に決めておけば、実際にそれが必要なのかどうか見極めやすくなるでしょう。整理整頓が済んだ後、どこに何をしまったか家族に伝えておくことで、もしも自分が病気にかかったときも家族が必要な物を調達しやすくなります。

(3)家族の理解を得ること

家族と暮らしている方は、断捨離をする際に理解を得ておくことも大切です。平均寿命から考えて、50代は終活を始めるには早すぎると思う方もいると考えられます。

したがって、身辺整理をするように断捨離をいきなり始めると、家族に余計な心配をかけてしまうかもしれません。そうでなくても、断捨離によって生活環境が変わることに抵抗感を覚える方もいるでしょう。

家族から理解を得る際には、「断捨離は老後を充実して生きるための準備である」というように、前向きな取り組みであることを強調するのがおすすめです。断捨離が家族のためにもなる取り組みであると説得できれば、家族も協力してくれるかもしれません。

50代の断捨離の注意点

50代の断捨離の注意点

断捨離は年齢にかかわらず誰もが取り組めることですが、50代ならではの注意点もあります。

(1)必要な物まで捨てないこと

まず重要なのは、必要な物まで捨てないことです。50代は平均寿命を迎えるまで30年近くあります。「30年間この環境で生活して不便はないか」という観点から断捨離を行わないと、後で結局買い直す羽目になるかもしれません。

働き盛りの30代、40代なら多少の出費は問題ないかもしれませんが、50代はすでに定年退職が視野に入ってくる頃です。今後収入が減っていくと考えられるなか、老後の生活資金を確保するには無駄遣いを避けなければなりません。とくに高価な物に関しては、「いま処分したら今後はもう買えないかもしれない」と認識した上で判断しましょう。

また、年金や保険関係の証書・契約書など、重要な書類を捨てないように注意が必要です。こうした書類を誤って捨ててしまうと、後々相続関係のトラブルなどに発展する恐れもあります。重要書類は貴重品入れなどに入れて厳重に保管してください。

(2)家族の物を勝手に捨てないこと

家族の物まで勝手に捨てないことも大切です。例えば、配偶者が自分と同年代であれば、相手が大事にしている物が古びた物であることも考えられます。自分から見ると、こうした物品は捨てて当然の対象に思えるかもしれません。しかし、相手にとっては思い入れのある品であることはしばしばあります。

こうした物を勝手に捨ててしまうと、家族との人間関係がこじれてしまう恐れがあります。そのため、他の家族が個人で所有している物や家族間で共有している物に関しては、処分する前に必ず本人へ確認しましょう。

断捨離の目的でもある充実した精神生活を送るには、家族との良好な関係も欠かせません。断捨離に熱心になるあまり、自分の価値観を相手にまで押し付けすぎないように注意することが大切です。

50代からはじめる終活

50代からはじめる終活

50代から終活をはじめるにあたっては、断捨離だけでなく、財産管理や遺言書の作成なども行うのがおすすめです。

①整理整頓

50代の終活その1は、整理整頓です。50代になると、長年使ってきた物が古くなったり、子どもが独立して家を出たり、家の中に不要な物が増えてきます。不要な物が多くなると、家の中が雑然として見た目が悪くなるだけでなく、物につまずいて転倒するなどの危険もあります。

こうした危険を排除するためにも、体力や判断力のある50代のうちから少しずつ断捨離や整理整頓を始めるのがおすすめです。物が少なく、整理された状態での生活に慣れておくことで、後年になってより本格的に身辺整理をする際にも作業が楽になります。

②財産管理

50代の終活その2は財産管理です。50代では、自分自身の老後資金の確保はもちろん、相続に備えた財産管理も必要になってきます。
まずは預金や不動産、金融商品など、自分が保有している財産の全体像を正確に把握しましょう。その後、将来的に受け取れるであろう退職金や年金などをそこに上乗せします。同時に、住宅ローンや自宅の補修、車の買い替えなど、今後の出費が確実に見込まれる分についてもマイナス計上しておきます。

自分の財産状況を可視化したら、続いて不要な資産を処分あるいは売却しましょう。自分の老後資金に余裕がある場合は、家族に生前贈与するのもおすすめです。年間110万円以下なら贈与税はかからず、税務署への申告も不要のため、相続の時に税負担を軽減させることができるでしょう。

このように早い時期から財産管理をしたり生前贈与したりすることは、認知症への備えにもなります。認知症になってしまうと、自分で適切に財産管理することはおろか、銀行で預金を引き出すことすら困難になってしまいます。その点、早いうちから財産管理に着手し、必要に応じて財産を贈与したり、管理を任せたりすることで、自分が認知症にかかってしまったとき、介護費用や施設への入居費用などの必要な資金を家族が使いやすくなるでしょう。

③遺言書

50代の終活その3は遺言書の作成です。歳を取るにつれて、大病にかかるリスクはどうしても高くなっていきます。脳卒中や心筋梗塞などで突然倒れてしまう恐れもあるでしょう。

遺言書がないまま亡くなってしまうと、家族は誰が何を相続すべきか分からず、相続トラブルに発展してしまうこともあります。自分の死後に家族へ負担がかからないようにするためには、遺言書の作成がおすすめです。遺言書の内容は法的拘束力があり、遺産の処分などに関して、自分自身の意思を正確に反映するためにも役立ちます。遺言書の作成にあたっては、信託銀行や弁護士などの専門家に相談するとより安心でしょう。

また、エンディングノートを書くのもおすすめです。エンディングノートには、自分の資産状況、家族へのメッセージ、延命措置やお葬式の希望、自分の人生などについて自由に書けます。遺言書と違って法的拘束力はありませんが、家族に自分の意向を伝える手段として活用できます。

単身者の場合の終活

単身者の場合の終活

未婚であったり、家族と離れて暮らしていたりと、単身で暮らしている方にも終活は大切です。

相続人がいない状態で亡くなった場合、遺産は国庫に入ることになります。しかし遺言書を作成しておけば、生前お世話になった方や、特定の団体・施設などに遺贈することが可能です。遺言書やエンディングノートを預かってくれるサービス、葬儀を生前予約できるサービスなどもあります。病気や認知症になった場合の備えとして、親族や弁護士などと財産管理契約や任意後見契約などを結んでおくのもおすすめです。

また、財産なども含めて、身辺整理をすることも大切です。すっきり片付いた状態であれば、生活がしやすく、自分が亡くなった後も残された方にかかる負担が少なくなります。親族や職場、大家さんなどには緊急連絡先を事前に知らせておきましょう。
自分自身で動けない・意思疎通できない場面を想定して終活を行ってください。

まとめ

体力も判断力もまだ残っている50代は、終活をはじめるのに適した年齢です。終活の一環として断捨離や財産管理を行うことは、定年後の生活を充実させることにもつながります。断捨離、整理整頓、財産管理、遺言書の作成など、終活で行うべきことはさまざまありますが、50代のうちから少しずつ進めて、残りの人生を安心かつ充実して過ごせるようにしましょう。

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