50代から始める終活のポイントとは?断捨離や整理の注意点も
終活は、亡くなった時のことを考え身辺整理を行う意味だけではなく、長い人生におけるセカンドライフの準備としても役立ちます。本記事では50代から終活を始めるメリットや、断捨離や遺言書作成など具体的な活動で、それぞれ押さえておくべきポイントを解説します。

50代から終活をはじめるメリット

「人生100年時代」とも呼ばれ、長生きする方が多い日本。厚生労働省の調査によると、2020年(令和2年)時点で女性の平均寿命は87.74歳、男性は81.64歳と伸び続けています。
そのような中、50代は仕事に打ち込む一方で定年退職後の人生や残りの暮らしをどのように組み立てていくかを考える時期であり、終活するには適しているといえるでしょう。
ここでは50代で終活を始めるメリットについていくつか挙げてみます。
【参考】厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況(pdf)」詳しくはこちら
体力がある
定年退職後の60代後半から70代に突入後に終活を始めるのと比べ、現役世代である50代は体力・気力ともにまだ十分に残っている時期です。そのため、家の片付けといった体力を要する作業や、遺言書作成や相続関係の整理を専門家に相談するなど、頭を使う作業にも前向きに取り組めます。また一般的に、年齢を重ねるほど大病を患うリスクも高くなるため、健康なうちに終活を進めておけば、安心だとも捉えられるでしょう。
必要な貯蓄ができる
終活を進めていくと、たとえばローン完済はいつ頃なのか、老後の生活資金はどの程度を見ておくべきかなどご自身のお金について考える機会が得られます。60代の年金受給前から必要なお金について把握し、収入を得ている50代のうちから貯蓄するなどの対策ができるため、終活と今後の人生について無理のない長期的な見通しを立てられます。
定年退職後のプランが立てられる
定年退職後にゆっくりと終活しようと考えている方もいるかもしれません。しかし定年退職後からセカンドライフを充実させるためには、前もってある程度のプランを練っておく必要があります。
セカンドプランを立てていくのと同時に終活を行えば、今後の人生に必要なもの・ことが見えてきて、定年退職後の生活にも希望を見出せるでしょう。

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50代からはじめる終活① 断捨離

終活をすると言っても、具体的にどこから手をつければ良いのか検討がつかないといった方も多いのではないでしょうか。終活の第一歩として始められるのが「断捨離」です。
何年もしまい込んで使わない日用品や、今後の生活には要らないだろうと思うものを思い切って処分することで、人生に必要なものの取捨選択を進められます。
さらに、ものがきちんと整理されていることは、将来家族が遺品整理する際の負担を減らすことにもつながります。

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断捨離をうまく進めるコツ
断捨離を上手に進めるコツは、楽しむことです。「処分しなければならない」といった義務感に駆られて断捨離すると気持ちの面でも疲弊してしまうため、時には懐かしんだり会話の種にしたりしながら徐々に要るものと不要なものとに区別していくことです。
また、断捨離するのは捨てることだけでなくより生活しやすいように整理整頓することも含まれます。日常的に使うものは取り出しやすく、家族がものの場所を把握できるように収納しておけば、万が一体調を崩して家を空けることがあっても安心です。
もう1つ押さえておくべきコツは、重要な書類や契約書などは誤って捨ててしまわないように注意することです。相続に関わる部分でもあるため慎重に取り扱うようにしましょう。
50代からはじめる終活② 財産整理
まず、不動産や預貯金など、どのくらいの資産を持っているかを把握します。その上で退職金や年金など将来受け取れるお金について計算していくと、今後のセカンドライフに向けてどのくらい貯蓄すべきかが明確になるはずです。住宅ローンなどマイナス資産がある場合には、返済計画についても無理がないか確認しておいてください。
次に、不必要な保険や銀行口座、持ったままの株式や投資信託などがないかもチェックします。今後必要ないと判断すればそれらを売却するのも終活の1つです。亡くなった後だと手続きが煩雑になる可能性もあるため、家族のためにもあらかじめ整理しておくことをおすすめします。

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50代からはじめる終活③ 遺言書

終活の一環としてエンディングノートを作成する方もいるでしょう。ご自身の延命に関する希望や亡くなった後にどのような葬儀にしてほしいかなどを家族に伝えるために役立ちます。ただし法的拘束力はありません。相続について家族に相続で迷惑をかけたくない、相続の配分をご自身で設定したいといった思いがある場合には、取り決めておくための遺言書作成も必要です。
財産情報を洗い出し、誰にどのぐらい相続するかを明記します。最近では、遺言書案文を作成した上で専門のスタッフに相談できるサービスなども登場しています。上手に活用して漏れのない遺言書作りを進めてください。さらに50代で作成したものは、年数が経つにつれ、当初と状況が変化することも考えられます。状況に応じて適宜更新することも忘れないようにしましょう。

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50代からの終活の注意点

50代から終活した場合、平均寿命までは約30年もの月日があります。そのためエンディングノートや遺言書、財産管理は環境の変化に応じて見直しをした方が良いでしょう。また、年金など社会保障制度そのものが変更されることもあります。それらの情報にも目を向け、セカンドライフの計画に影響がないかにも目配りしておいてください。
さらに、あまりにも早く終活を始めると、家族から「まだしなくても良いのでは?」と理解を得られないケースがあります。50代の終活はあくまでも今の生活環境を整理し、定年退職などを迎えた時により充実して過ごせるための前向きな準備であることを強調し、ゆくゆくは家族のためになると説明するように心がけましょう。
まとめ
50代は体力もあり、相続に関することなどしっかりと検討し判断できる年代であるため、終活を始めるのに適しています。加えて、年金を受給する前に老後の資金や生活についてプランを立てられるため、貯蓄したり財産整理したりするのにも向いている時期であるといえます。終活は具体的に自宅の持ち物で必要なものだけを残すように仕分ける断捨離や、退職金を含めた財産状況の把握、そして遺言書の作成があります。残りの人生を充実したものにするためにも、ぜひ終活に取り組んでみてください。
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