【デジタル終活ガイド】スマホやパソコンのデータ情報を整理する方法

デジタル終活とは、デジタル遺品といわれるデータ情報を死後に備えて整理することです。この記事では、デジタル終活の方法やメリット、デジタル終活に特化したサービスを紹介します。他人に見られたくないデータやアカウントのパスワード・IDはエンディングノートやアプリで管理して、遺族に適切に処理してもらえるようにしましょう。

【デジタル終活ガイド】スマホやパソコンのデータ情報を整理する方法

デジタル終活とは?

普及率に比べて、デジタル終活の認知率は低い

デジタル終活とは、スマートフォンやパソコン、インターネット上に保管されているデータなどを生前に整理整頓しておくことです。これらのデジタルデータのことを「デジタル遺品」ともいいます。

自分の死後に遺族の知らないデジタル遺品が出てきたり、そのパスワードやIDが分からずトラブルになることもあります。そのようにならないためにも、デジタル遺品を整理してエンディングノートに残したり、不要なものは削除したりします。

日本でのデジタル終活の認知率は高まっている

2018年7月から放送されたドラマ『dele』(ディーリー・テレビ朝日系)は、「デジタル終活」をテーマにしたことで話題となりました。ドラマを通じて、自分の死後のデジタルデータのゆくえについて、深く考える機会となった視聴者の方も多いのではないでしょうか。

2020年下半期女性誌販売部数No.1の「ハルメク」が2021年に60~74歳の男女1008名を対象に「終活に関する意識調査」のWEBアンケートを行ったところ、「パソコン内やSNSなどのデータの整理・消去」を「終活」と見なす割合は24.9%で、「お墓の準備・用意」(21.1%)、「お葬式の準備」(20.6%)よりも「終活」として認識される割合が高いことが分かりました。また、必要だと思う終活に関しては、「生活面での利用サービスの情報整理」「インターネットやSNSなどデジタル関連の登録・加入サービスの情報整理」等、情報まわりの整理について「必要だと思う」割合が、前回調査から2.0ポイント以上増加しています。

生活様式やサービスのデジタル化が広がり、デジタル終活への認知が広がっていることが分かるでしょう。

【出典】株式会社ハルメクホールディングス『60~74歳男女に聞いた「終活に関する意識調査」』詳しくはこちら

デジタル終活の海外での考え方

日本でもようやく意識が高まってきたデジタル終活ですが、海外ではデジタル遺品に関する法律が整備されています。ブログやSNSアカウントだけでなく、メールやチャット、各種Webサービスへのアクセス履歴までを個人の資産として管理されるのです。

例えば、米国の大半の州は「デジタル遺品条例(UFADAA:Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act)」を施行しています。デジタルデータや暗号資産などのデジタル遺品を遺族や親族などの受託者が管理することができるという条例です。

また、エストニアは個人データ保護法により、「デジタル資産の持ち主の意志は没後30年後まで有効(第12条)」であり、「没後30年間は遺族が故人のデータを処理する権利を制限付きで保証(第13条)」するとしています。

今後も世界中で生活における個人情報やサービスのデジタル化が進むに伴って、デジタルデータの捉え方も統一され、デジタル遺品に関する法律も整備されていくでしょう。

普通の終活とデジタル終活の違いとは?

普通の終活とデジタル終活の違いは、自身の死後の取り扱いを考える対象がデジタルであるという点です。普通の終活では、不動産や遺品、現金のような実在する資産をどのように相続するか遺言を残します。また、葬儀や埋葬など自身の死をどのように扱って欲しいかという意向をエンディングノートに記すこともあるでしょう。

一方でデジタル終活では、スマートフォンやパソコン、インターネット上に保管されているデータなどのデジタル遺品をどのように取り扱って欲しいか整理します。インターネットの普及によりあらゆるものにIDやパスワードが設定されています。デジタル終活では、そのような故人しか知らないデジタル遺品の情報は生前に整理しておく必要があるでしょう。

デジタル終活のメリット

「伝えるデータ」と「処分するデータ」

デジタル終活の目的は、大きくふたつあります。

デジタル終活のメリット①デジタル遺品(デジタル資産)の所在を明らかにできる

最近は、ネットバンクやネット証券が増えており、金融機関に口座があることを家族が把握しにくい状況になっています。実際に、本人が亡くなった後に株式や為替相場が大きく動いて、大きな損失を出してしまったというケースもあるのです。

また、商品やサービス、アプリなど、月々の費用が発生する有料コンテンツを利用している人も多いでしょう。デジタル終活を行っていれば、こうしたサービスの利用停止の方法も伝えておくことができるでしょう。

さらに、自分の遺影として使ってほしい写真がある場合には、その画像の保存場所を伝えておくこともできます。

デジタル終活のメリット②デジタル遺品(デジタル資産)の処分を依頼できる

デジタル終活のメリットは、自分の死後に処分して欲しいデジタル遺品を伝えることもできます。残された人が判断しかねる遺品も多くあるので、遺言やエンディングノートなどで意思表示しておくといいでしょう。

あなたのスマートフォンやパソコンを家族が見ることになりますので、見られたくないデジタル遺品や後世に残す必要のない情報は削除依頼をします。常日頃から整理整頓しておくことをおすすめします。

デジタル終活は何をすればいい?簡単な3ステップ

デジタル終活は3ステップで行う

スマートフォンやパソコンなどの本体内はもちろん、SNSやクラウドなどのインターネット上のデータなど、デジタル遺品は広範囲に存在しています。デジタル終活では、これらの膨大なデータを、家族に「残したいデータ」と「残したくないデータ」に分けたうえで、エンディングノートに記したり、あらかじめ削除しておくなど、適切に処理していきます。

具体的には、デジタル終活は、以下の3ステップで行うといいでしょう。

ステップ①どんなデジタル遺品があるかを把握する

スマートフォン、タブレット、パソコンのデータ

・画像、動画、メール、住所録、アプリ内の記録など
・仕事の資料、個人の日記など

インターネット上のデータ

・SNS、ブログ、会員制のウェブサービスのアカウント情報
・クラウドストレージ(iCloud Drive、Googleドライブ、OneDrive、Dropboxなど)に保存されたデータとアカウント情報
・ウェブメール(Gmail、Yahoo!メールなど)のアカウント情報とやりとりの記録

お金にかかわるデータ

・銀行、証券会社、暗号資産(仮想通貨)などのオンライン口座へのログイン情報
・ネットでの有料会員サイト(動画、音楽、雑誌の定額サービスなど)のアカウント情報

ステップ②デジタルデータを「残す・処分する」に分類する

ステップ①のデータを、残すものと処分するものに分類していきます。
処分することに決めた画像・映像、メールのやりとりなどは、ためらわずに削除していきます。家族に見られたくないが、どうしても削除したくないものは、専用フォルダにまとめて、パスワードでロックして隠しておいてもいいでしょう。

処分するデータのうち、意外と見落としがちなのが、USBメモリやSDカード、CDやDVD、BDなどの光学ディスク、外付けHDDなどの記録メディア、古い携帯電話・スマートフォンなどです。見られたくないデータが入っていないか、よく確認してください。

ステップ③エンディングノートなどで伝える

家族に残したいデジタル遺品のうち、特に重要なのがお金にかかわるデータです。オンライン口座や有料会員サイトのアカウント情報は、エンディングノートに記しておきましょう。ただし、悪用を防ぐためにも、IDやパスワードなどはノートに直接書かず、貸金庫にメモを保管するなど、セキュリティとしてワンクッション入れることをおすすめします。

デジタル終活は3ステップで行う

SNSについては、本人の死により更新が途絶えても運営会社が勝手に削除してくれるわけではありません。「自分が死んだことをSNSにも伝えてほしい」などの希望がある場合には、その旨をエンディングノートに記しておくといいでしょう。FacebookやInstagramでは、遺族からの連絡で、削除やアカウントの凍結を行ってくれます。死亡を証明する書類が必要な場合もあるので、詳しくは運営会社に問い合わせてください。

デジタル終活に関するサービス

デジタル終活の普及にともなって、様々なサービスが出ています。自身でエンディングノートにデジタル遺産の情報や対応して欲しいことを残してもよいですが、デジタル終活に関するサービスも活用するとよいでしょう。

デジタル終活アプリ

デジタル遺産の情報や自分の死後に伝えたいことを記載するエンディングノート代わりのアプリがあります。スマホやパソコンやネットサービスのID・パスワードを保存することができます。また、葬儀やお墓、財産をどのように扱って欲しいかという希望も残すことができるでしょう。

自身の死後、アプリの開示に料金がかかりますが、音声で入力ができたり、文字のサイズが大きかったり、ご高齢の方が使いやすい機能が備わっています。

デジタル終活アドバイザリーサービス

デジタル遺品に関する対策やデジタル終活のすすめなどを教えてくれるサービスもあります。デジタル終活のアドバイザーの方がセミナーを運営しています。実際に、エンディングノートの作成も手伝ってもらえます。

作成したエンディングノートを保管してくれる機関もあるので、紛失や改ざんなどの心配もないでしょう。

まとめ

スマートフォンやパソコンの普及するにつれ、個人で持つデジタルデータも増え「デジタル終活」の重要性も増しています。資産や身の回りのことはもちろん、自身の死後のデジタルデータの管理についても考えてみましょう。

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