家族のための終活にはエンディングノートを!書き方やメリット

自分に万一のことが起こった時に備えて「エンディングノート」を書いておこうと考える人が増えています。遺言書のような法的効力はありませんが、その分、書き方が自由なので、自分の希望を気軽に家族に伝えることができます。早めに作っておいて、都度見直すことをおすすめします。

家族のための終活にはエンディングノートを!書き方やメリット

エンディングノートとは?

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自分が亡くなったときのために家族や大切な人に向けて、自分の思いを書いておいたり、様々な手続きや判断をするうえで必要な情報をまとめたノートです。
「遺言書」が、自分の財産をどのように残すかを民法の規定に従って書き残したものであるのに対して、エンディングノートに記載された内容には法的な効力はありません。その分、書き方にも決まりはないので、自分の思いを自由に書き込むことができます。

「エンディングノート」には、大きくふたつの役割があります。ひとつは、自分が亡くなった後に、遺された家族や看取ってくれた人に宛てて、携帯電話の処分方法やどの友人へ連絡すべきか、といった様々な手続きの判断をするうえで必要な情報を伝えることです。
もうひとつが、自分の終末期の対処方法について伝えておくことです。例えば認知症や事故、病気などで自分が意思決定できないような状況になった場合に備えて、延命治療や介護に関してあらかじめ自分の希望を書き表しておくことで、家族の意思決定に役立ちます。

エンディングノートを作成するメリット

エンディングノートを作成するメリット

エンディングノートを作成する事には3つのメリットがあります。

希望を書いておくことで、対応に関して家族が悩まずに済む

エンディングノートを用いて自分の意向をあらかじめ書き残しておくことによって、直接自分の口から意思を伝えられなくなった場合に家族の負担を減らせます。病気やケガで動けなくなったときや亡くなったときに、家族がさまざまな手続きをスムーズに進められるよう、必要な情報をエンディングノートにまとめて家族と共有できるようにしておきましょう。特に、介護のこと、葬儀のこと、相続のことなど、家族が思い悩んだり、もめたりする可能性が高いことについては、しっかりと意思表示しておくことが大事です。
そうすれば、自力で行動できない事態に陥った場合でも、家族はエンディングノートを確認しながら手続きを進められます。
大切な家族が亡くなったり、自分で意思決定できないような状況に置かれた際、どうしたらよいかで悩んだり、もめたりするのは残された家族にとってつらいことです。エンディングノートはこうした家族のつらさを和らげてくれるものでもあります。

人生を振り返ることで様々な気付きを得ることができる

エンディングノート作りは自分史を作成することでもあり、これまでの人生を振り返るよい機会になります。自分の人生を見つめ直すと、今の自分に自信が持てたり、以前は失敗だったと思っていたことが、実は成功につながっていたり、様々な発見があります。
自分が大切にしてきた人やものに対してさまざまな気づきが生まれ、これからの人生をより良く充実した人生を送れるようになります。

現在の生活の見直しに役に立つ

エンディングノートの作成作業では、自分自身の経済状況を整理して書き込むため、それを現在の生活見直しに役立てることができます。どの金融機関の口座に貯蓄がいくらあるか、借金はいくらあるか、どのような保険に入っているか、貴金属や宝石類をどれだけ所有しているかなどを明らかにしていけば、日々の生活で何を優先し、どのように過ごすのかを見直すことができます。残りの人生にしっかりと向き合うことができるようになるのです。
また、エンディングノートに日々の気づきを記録しておくと、物忘れが激しくなった際などの備忘録としても活用できます。

エンディングノートに書くべき事

エンディングノートに書くべき事

エンディングノートを作成する際に重要なのは、自分自身の情報と、お金のこと、介護・医療のこと、葬儀のことの4項目です。どの項目も、本人がもっともこだわりを持ちやすい項目であり、その分、家族が迷うことの多い部分です。家族や看取ってくれた人が判断に迷わないように、しっかりと意思表示しておきましょう。

お金(資産)について

エンディングノートに記載する内容のうち、もっとも重要なのが資産に関する項目です。
自分が亡くなった後に相続人が手続きに困らないように、資産を明らかにしておきましょう。プラスの資産だけではなく、借金やローン、クレジットカードのリボ払いなどマイナスの資産の有無も明確にしておくと、相続の手続きが楽になります。

ただし、資産額などを詳しく書きすぎると、万が一、他人にノートを見られたときにはトラブルの原因となりかねません。取引のある銀行や証券会社、保険会社など必要なときに問い合わせができるよう、相続の際のヒントとなる情報で十分でしょう。
また、通帳や証書・キャッシュカード、銀行印などの保管場所や暗証番号などは、ノートに書き込まないようにしてください。

お金に関する主な項目

【預貯金】
・銀行名、特にネットバンクなどの取引がある場合は、利用会社名など
・公共料金やクレジットカードなどの自動引き落としの情報

【年金】
・加入した年金の種類などの公的年金に関すること
・企業年金や個人年金などの私的年金に関すること

【その他の金融資産等】
・証券会社の口座、有価証券やその他の金融資産
・骨とう品や貴金属などの資産価値があるもの
・貸金庫やトランクルームなどの有無
・貸しているお金の有無

【借入金・ローン】
・借入先名や返済方法、担保の有無など
・ローン利用先名など
・借金の保証人などの保証債務

【クレジットカード類】
・カード名称や紛失時の連絡先
・電子マネーやポイントカード

介護や医療への希望

突然倒れたときのために、持病や常用薬、かかりつけ医などの情報があると便利です。
介護や医療の情報が書かれていれば、普段は別々に暮らす家族でも、どの病院に相談すればよいかすぐにわかりますし、かかりつけ医以外に診てもらう際の参考になります。
また、回復が見込めず死期が迫ったときの延命措置についての希望も書いておきましょう。こうした決断は、どちらを選ぶにしても家族の心の負担を強いるつらい決断となります。本人の意思がわかっていれば、家族が迷ったり、後悔するような心理的負担を減らすことができます。

介護や医療に関する主な項目

【病院や薬】
・かかりつけの病院名、医師の氏名や電話番号
・常用している薬の名前、保管場所
・既往症(過去の病歴・入院歴)
・アレルギーの有無

【保険】
・加入している保険会社名と種類

【告知・延命措置】
・重病を患った際の治療方針の決定者
・病名の告知について
・回復が見込めず死期が迫った場合の延命措置についての希望
・臓器提供や献体についての希望

【介護】
・希望する介護施設や内容
・介護内容の方針の決定者

葬儀・お墓への希望

葬儀・お墓への希望

自分の葬儀はどのようにしたいか、お墓はどうしたいか、などのこだわりがある場合には、その希望を書いておきましょう。
葬儀に関しては、連絡すべき友人や仕事の関係者など、家族が把握していない人間関係についても、リスト化しておくと便利です。
また、お墓に関しては、どのお墓に入りたいのか、どこにお墓を立てたいのか、事前に手配が済んでいればそのお墓の情報、などを書いておきます。
お墓への納骨ではなく、樹木葬や海洋散骨など、希望する納骨方式がある場合には、それも記載しておきましょう。

葬儀・お墓への希望に関する主な項目

【葬儀】
・希望する葬儀内容
・菩提寺の名前や連絡先、宗派
・喪主になってほしい人
・遺影写真に使ってほしい写真の保管場所

【納骨・墓】
・入るお墓について
・希望する納骨方法
・お墓の所在地や連絡先、墓地の使用権者
・お墓を継承してほしい人

自分自身に関すること

自分自身に関すること

自分自身のことを書いておくことも重要です。家族でも案外知らないことは多いものです。大切な持ち物や、ペットなどのその後の世話について、自分なりの思いや対応の仕方を書いておきましょう。
また、人生の歩みと合わせて、大切な友人や仕事でお世話になった方など人間関係はどんどんと複雑化します。大切な家族であっても、その友人関係まですべて把握しているというのはとてもまれなことです。また、親族関係の中には疎遠になってしまった方や、連絡が取りにくく、家族がその関係を思い出せない方もいるかもしれません。
自身が亡くなった際に、これらの大切な方たちに礼を欠くことの無いように、大切な人間関係を明記しておく必要があります。

自分自身に関する主な項目

【個人情報について】
・自分の本籍地
・運転免許証、健康保険証、パスポート、年金手帳の保管場所

【家族・親族、友人・知人のこと】
・自身の親や兄弟・姉妹の連絡先、親戚の続柄と連絡先
・同居していない家族など
・万が一のときにすぐに連絡してほしい仕事関係、知人の連絡先

【携帯電話・スマホ・タブレット・パソコン】
・インターネットのプロバイダ名、メールアドレス
・携帯電話、スマホ、タブレットの電話番号、メールアドレス
・契約終了時のそれぞれの連絡先
・万が一のときの希望(「メールはすべて消去してください」など)

【ペット】
・かかりつけの動物病院名、連絡先
・万が一のときの希望(「○○さんに引き取ってもらう約束をしています」など)

エンディングノートの書き方

エンディングノートの書き方

実際にエンディングノートを作成しはじめると、どう書いたらよいかわからなくなる場面も多々出てくるでしょう。エンディングノートを書く際は以下を踏まえて書いてみてください。

書きやすい項目から書く

エンディングノートには、遺言書のような書き方の決まりがなく、どのようなものに書いても問題はありません。学生時代に使っていたような大学ノートでも、エンディングノート専用に作られた市販のノートでも、好みのものを自由に用意して書きやすい項目から書き込んでいきましょう。
エンディングノートに記入すべき項目のなかには、延命措置を望むか、脳死に至った場合に臓器提供を望むかなど簡単には決断できないものが混じっています。気分がのらないときには無理に書こうとせず、空欄が目立っていても焦らず気楽に、書きたい項目から書くように心がけるとよいでしょう。

家族の意見を取り入れる

家族の意見を取り入れたエンディングノートを作成できれば、エンディングノートに書かれた判断に従う家族も、納得してその判断を受け入れることができます。例えば持ち物の処分でも、思い出のために処分したくない、という家族の意思があるのなら、「一年のうちに気持ちの整理をつけながら少しずつ処分する」と書くだけで、大切な家族の持ち物を処分しなければいけないつらさを和らげることができます。
元気なうちに家族と相談して、書き残してほしい項目についての意見を求め、その意見をエンディングノートに反映することが大切です。

定期的に見直しをする

ここまでに紹介したすべての項目をエンディングノートに書く必要はありません。自分がこだわりを持っていることや、葬儀・相続などで役に立つ情報などはきちんと記載しておきましょう。これらの項目は、時間の経過により考え方が変わることもあるので、毎年誕生日などに定期的に見直しをするとよいでしょう。

書くことがまとまらない場合は専用のノートやアプリを活用する

書くことがまとまらない場合は専用のノートやアプリを活用する

どうしても書くことがまとまらない、どう書き進めたらいいかわからない、という場合は市販のエンディングノートを活用したり、エンディングノートが作れるアプリなどを利用するのもお勧めです。実際のノートはコクヨなどのノートの有名メーカーや、宝島社などの出版社など、様々な会社が手掛けています。
アプリにも様々な種類があり、アプリによって機能も異なるので、自分に合ったアプリを選びましょう。

エンディングノートも気軽に記録できる終活アプリ「わが家ノート」

わが家ノート」は、スマートフォンで簡単にエンディングノートの作成ができるとても便利な終活アプリです。
紙のエンディングノートでは、手書きの文字や絵など残せるメッセージの種類がどうしても限られてしまいます。しかし「わが家ノート」を使えば、スマートフォンで撮影した動画や録音した音声など、データの形で多種多様なメッセージを残せるので表現の幅が広がり、より家族に自分の思いを伝えやすくなるでしょう。

エンディングノートを家族に公開する時期は選択が可能です。「今すぐ」を選べばすぐに家族とエンディングノートを共有でき、「認知症診断後」や「死亡後」を選べば、指定したタイミングで家族にエンディングノートが公開されます。指定したタイミングで家族に通知がいくので、エンディングノートを見てもらえないかもしれないという不安から解放されるでしょう。
また、手書きのエンディングノートの場合には、書き間違えたときや気が変わったときの修正が面倒ですが、「わが家ノート」なら簡単に修正できます。「わが家ノート」は全機能無料で利用可能です。

書いた後は厳重に保管する

エンディングノートには重要な個人情報が記載されているので、エンディングノートを書いた後は他人に情報を盗まれないように厳重に保管しましょう。また、せっかく書いたエンディングノートの存在に家族が気づいてくれないと、書いた意味がなくなってしまいます。保管場所を家族に知らせておくことを忘れてはなりません。

情報共有をできるアプリなら保管の心配は不要

終活アプリの場合、事前に家族や大切な方と情報を共有できる機能を備えたものもあり、そうしたアプリの場合、家族が見つけられなかった、ということがありません。
例えば、包括的に終活をサポートする「わが家ノート」には、エンディングノートの作成以外にも、便利な機能が数多く付属しています。
「歩数管理」「脳トレ」「食事管理」といった健康管理機能がついており、無料で利用できます。普段から、健康管理機能の利用状況を家族が確認できるように設定すれば、大事な家族にエンディングノートの存在を知っておいてもらえますし、普段の生活の様子を知って安心してもらうことができます。
なお、アプリ内のデータは、本人とデータ共有を設定した家族だけが見られる仕様になっているので、端末とパスワードを適切に管理することで、他人の目を気にせずに安心して利用できます。

まとめ

エンディングノートに介護の方針や終末期の医療、葬儀やどの墓に入りたいか、などの希望を書いておけば、家族や看取ってくれた人が判断に迷うことがないので、精神的な負担も軽減できます。ただし、自分の死後や意思が表明できなくなったときに家族に見てもらい、自分の気持ちを知ってもらうことが前提です。信頼できる人にエンディングノートの存在を伝えておくとよいでしょう。
また、エンディングノートはアプリを利用して手軽に作成することもできます。終活アプリの「わが家ノート」でエンディングノートを作成しておけば、もしものときには家族に通知されるのでとても安心です。

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