後悔しない!独身の方が一戸建てを買うときのポイント

元々は家族で住むのが一般的だった一戸建ても、住宅ローンの低金利化や優遇税制などの影響で、独身でも持ち家として購入し易くなっています。そこで、独身には賃貸と持ち家のどちらが良いのか、また、持ち家であれば、一戸建てとマンションのどちらが良いのかを解説します。

後悔しない!独身の方が一戸建てを買うときのポイント

独身でも家を買うことが増えている理由

独身でも家を買うことが増えている理由

独身でも家を買う人は増えつつあり、ある不動産会社の調査によると、東京都区部(東京23区)では1年間のマンション購入者のうち10%近くが独身という推定値もあります。

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【参考】総務省e-Stat:「住宅市場動向調査(2018年度)※p81,133」 ※詳しくはこちら

現在は生涯独身率も増加し、単身でいいという考えが広がりつつあります。また、女性の社会進出も加速し、経済力がある単身者も増えています。
従来、一戸建てやマンション購入といえば、夫婦や家族で住む目的が主流でした。しかし、賃貸では制約があってなかなか楽しめないペットや趣味のある暮らしを存分に楽しめる持ち家が、近年増加している経済力のある単身者から注目されています。

さらに、経済的な事情も後押しして独身でも家を買う人が増えています。アベノミクス開始以降、住宅ローンは1%前後という低金利が続き、家の購入に有利な状況となっています。また、優遇税制も用意され、住宅ローン減税や住民税控除を受けやすい状況です。

持ち家と賃貸のメリット・デメリット

持ち家と賃貸のメリット・デメリット

持ち家と賃貸について、独身者が選ぶ際のメリットやデメリットをそれぞれ紹介します。

持ち家のメリット・デメリット

持ち家のメリットとして、快適な暮らしが実現できる点があげられます。自分のライフスタイルに応じて間取りなどのアレンジが可能な点が魅力と言えるでしょう。

また、経済的に有利な点もメリットのひとつです。持ち家の場合、月々の住居費は掛け捨てにならず、資産が残ります。単身者の老後の生活費の目安は、賃貸の場合は月20万円ほどで、持ち家の場合は月14万円ほどになります。標準的な年金収入は月14.4万円ほどなので、賃貸の場合は月5万円ほどの赤字になってしまいます。しかし持ち家の場合は、収入と支出がほぼ同額になります。このように、家賃がかからないことで老後の負担が軽くなるのです。

65歳退職後の単身者の収支(単位:万円)

持ち家 賃貸
生活費 14.6 20.1
年金収入 14.4 14.4
月々過不足 ▲0.2 ▲5.7

【参考】「家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表(2017年)」 ※詳しくはこちら
【参考】全国賃貸管理ビジネス協会:「全国平均家賃による間取り別賃料の推移(2019年5月調査調査)」 ※詳しくはこちら
【参考】厚生労働省:「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ※詳しくはこちら

さらに、住宅ローンでは団体信用生命保険(いわゆる「団信」)に加入することで、病気などで返済が困難になった時のリスクに備えられます。また、住まなくなった際も売却や賃貸という選択肢があります。

一方、デメリットは住宅ローンの負担です。また、仮に結婚・出産や引越といった生活の変化があった際に、柔軟に対応できない場合もあります。

賃貸のメリット・デメリット

賃貸のメリットは、身軽に移住できて住宅ローンがないことです。

人生100年時代では、長いキャリアの間での転勤や転職、親の介護などで住まいを何度も変える可能性があります。老後は過ごしやすいバリアフリー住宅や高齢者住宅への入居もありえるでしょう。賃貸であれば移住に煩わしさがありません。また、金利負担がなく住宅ローンを気にせずにすむという長所もあります。

一方で、賃貸のデメリットは家賃を払い続ける必要があることです。借家である以上は、毎月数万円を住居に支払っていても、手元に資産として残るものではありません。

先述の通り、賃貸に住む65歳退職後の単身者の生活費は、持ち家の場合よりも約5万円多くなります。持ち家であれば老後にローンを完済しているはずの時期でも、賃貸では必ず数万円の家賃を払い続けるため、家計を圧迫する可能性があるのです。

一戸建てかマンションどちらが良いか

一戸建てかマンションどちらが良いか

持ち家を検討するとき、一戸建てとマンションにはどのような特徴があるのでしょうか。独身者が購入する場合の、メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

一戸建ては気ままな暮らしや資産価値が魅力

一戸建てのメリットとして、近隣を気にせず暮らせることがあげられます。新築なら理想の家を実現でき、リフォームも自由です。隣室や下の階の部屋に対して気を使う必要もなく、管理組合もありません。独立していて、プライバシーも守られます。

また、マンションであれば月々数万円かかる管理費や修繕積立、駐車場代が、一戸建てでは不要です。さらに一戸建ての場合、築年数が経過しても土地の資産価値が残るという利点もあります。

一方で、デメリットは、基本的に土地代と新築費用(またはリフォーム費用)がかかるため、トータルコストがマンションよりもかかる傾向にあることです。また、将来的に災害などの影響により修繕が必要になった場合、個人で修理費を負担しなければなりません。

マンションは管理が楽で安価なのが魅力

マンションは、管理会社に清掃・管理を任せられるだけでなく、セキュリティ面の優位性もあります。同じ立地の場合、全て個人で負担する一戸建てとは違い、マンションの方が物件価格は安価になる傾向があります。

一方でデメリットは、土地が残る一戸建てよりも資産価値が不利になることです。周囲との付き合いや騒音などが負担になるという方もいらっしゃることでしょう。

一戸建てを買うときのポイント

一戸建てを買うときのポイント

一戸建てを買う際には、エリア条件や金銭面のほか、バリアフリーなど、老後を考慮することが大切です。

交通の利便性や周辺施設などの面で好条件のエリアは、生活に便利なだけでなく、資産価値が落ちづらいため、万が一将来売却するとしても有利です。

金銭面では、住宅ローンの金利や月々の返済額、頭金の有無によってコストが大きく変わることがあります。下の表は、3,000万円の物件を購入する際の住宅ローンの返済シミュレーションです。

返済シミュレーション例(単位:万円)

頭金300万円 頭金600万円
借入金額 2,700 2,400
月々返済額 7.6 6.7
総返済額 3,281 2,918
総支払利息 581 518

頭金の額により、総返済額に数十万円から百万円以上の差が出てしまいます。そのため、家計の状況に合わせて最適な方法をとりましょう。

結婚、転勤などをしたときはどうする?

結婚、転勤などをしたときはどうする?

独身者の場合、一戸建てを購入した後に、結婚・転勤などで生活環境が変化する可能性は否定できません。そのようなときは、売却するか賃貸に出すかを選ぶことになります。

売却する際は、住宅ローンの残債よりも高値になればいいのですが、返済残高を下回るときは差額を手元資金で補うことになります。

賃貸に出す際は、物件を手放さずに家賃収入を得られるので、検討する価値のある選択肢です。ただ、住宅ローンは本人が住み続けることが条件になっている場合が多く、賃貸に出してしまうと住宅ローン控除が途絶えるケースがあるので注意が必要です。

売却する場合でも賃貸に出す場合でも、資産価値が維持できる要素がそろっていれば、有利な条件で取引できる可能性が高くなります。物件購入時には、資産価値の維持についても意識するようにしましょう。

まとめ

今では住宅ローンの低金利化や優遇税制などによって、独身者が一戸建てを買いやすくなっています。一戸建てはマンションと比べて、望み通りの暮らしを実現しやすく、建物が老朽化しても土地の利用価値が残るというメリットがあります。良い環境が整っている今のうちに、物件探しや住宅ローンのシミュレーションなど検討してみてはいかがでしょうか。

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