失敗しない老人ホームの選び方は?最適な「老後の住まい」を探すポイント!

老人ホームとひと言でいっても実にさまざまです。公的施設・民間施設の違い、入居時に介護認定が必要なもの、介護が必要になった時点で別の施設への転居が必要になるものなど、施設のタイプによって大きな差があります。この記事では、「老人ホーム・介護施設」の基本的な知識について解説します。

失敗しない老人ホームの選び方は?最適な「老後の住まい」を探すポイント!

自分に合った老後の住まいを選ぶには

自分に合った老後の住まいを選ぶには

多くの人は、年を取っても住み慣れた家で暮らし続けたいと考えていることでしょう。
しかし、段差が多い家に住んでいる、冬場は浴室やトイレが寒くて心臓病や脳卒中が心配、老後のひとり暮らしは孤独死が心配など、若いころには思いも寄らなかった悩みを抱えることがあります。
こうした理由から、介護が必要な人はもとより、体に大きな不自由を感じなくても、バリアフリーで見守りサービスが受けられる施設への入居を希望する人もいます。

ところがいざ、老人ホーム・介護施設について調べてみると数多くのタイプがあり、どれを選べばよいのか迷ってしまう人も多いでしょう。そこで、この記事では、ある程度、自立して生活ができている時点で入居するか、介護が必要になってからの入居かという施設への入居タイミングの観点から、老人ホーム・介護施設選びについて解説していきましょう。

まだまだ元気なシニアには「住宅系住まい」がおすすめ

まだまだ元気なシニアに向けた「住宅系住まい」

高齢者向け住宅は、「住宅系住まい」と「施設系住まい」の大きく二つに分けられます。
このうち、元気で自立して生活できるシニアには、住宅系住まいが適しています。日常生活の制約が少なく、これまでとほぼ同様の生活が可能ですが、入居には高額な費用が必要なことがあります。また、施設の中には、介護が必要になると退去を求められるものもあり、入居前によく確認しておくことが肝心です。

自立状態で入居する高齢者施設(住宅系住まい)

高齢者施設のうち「住宅系住まい」には主に以下のような種類があります。

民間

施設区分 内容
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 最近急増しており、略して「サ高住」とも呼ばれる。バリアフリーの設備と安否確認、生活相談が義務づけられている施設で、国は2025年までに100万戸のサ高住の提供を目標にしている。要介護度が重くなると退去を求められることもあるが、介護保険の特定施設に認定されている一部のサ高住では、手厚い介護や終末期ケアが受けられるケースもある。
高齢者向け地域優良賃貸住宅 地域優良賃貸住宅制度に基づいて、一部の自治体が実施。60歳以上の人を対象にした賃貸住宅で、暮らしのサポートや家賃補助が受けられる。
シルバーハウジング(シルバーピア) バリアフリー化され、緊急通報装置が設置されている公営住宅のこと。一般住宅と同様の生活ができ、安否確認・生活相談サービスも受けられる。
シニア向け分譲マンション 民間業者による高齢者向けのマンション。設備がバリアフリーで、フロントサービス、安否確認、緊急時対応などが受けられる。介護サービスや生活支援サービスは別途契約。
住宅型有料老人ホーム 民間が運営する、高齢者に配慮した住宅のこと。介護サービスの利用のしかたの違いにより「介護つき」「住宅型」「健康型」の3タイプに分かれる。
高齢者向けシェアハウス(グループリビング) 比較的元気な高齢者どうしが共同生活を送る施設。独立した居室があり、共用部で食事や歓談など、他の入居者と交流する。

公共施設

施設区分 内容
ケアハウス一般型(自立型) 地方自治体などの公的機関が運営。老人福祉法で定められた軽費老人ホームの一種で、自立型では食事・生活支援サービスが受けられる。

介護が必要になったら「施設系住まい」がおすすめ

介護が必要になったら「施設系住まい」

施設系の住まいでは、原則として、24時間体制で介護サービスが受けられます。そのため、門限があったり、外出や宿泊に届け出が必要だったりと、生活に制限を設けた施設も多く、窮屈に感じる入居者もいるようです。
その一方で、終末期の医療・介護・看取りを行う施設もあり、体の自由が利かなくなったときの「終の棲家(ついのすみか)」としての快適さを求める人もいます。

介護が必要な人向けの高齢者施設(施設系住まい)

高齢者施設のうち「施設系住まい」には主に以下のような種類があります。

民間

施設区分 内容
介護付有料老人ホーム 「特定施設入居者生活介護」と呼ばれるサービスを提供する認可を受けている施設のこと。ホームのスタッフが介護サービスを行う「一般型」と、外部に委託する「外部サービス利用型」がある。

公的施設

施設区分 内容
ケアハウス(介護型) 介護保険法の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設。ホームのスタッフによる介護サービスを受けられる。要介護度が高くても入居でき、看取りを行ってくれる施設もある。
特別養護老人ホーム(特養) 要介護の認定を受けた人が、介護保険サービスで利用できる施設。費用が安いため入居希望者が多く待機期間が長い。
介護老人保健施設(老健) 在宅復帰を目的としたリハビリテーションなどを行う施設。医師が常勤し、医療体制が充実。入居期間は原則3ヶ月。
介護療養型老人保健施設(新型老健) 介護老人保健施設の一種で、医療の必要な要介護の高齢者の長期療養施設。
介護医療院 2017年度末で廃止となった「介護療養型医療施設」(6年間の猶予あり)に代わり、長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者を対象に、医学管理や看取りなどの医療機能と、生活施設としての機能を提供。
認知症高齢者グループホーム 身の回りのことができる認知症の高齢者が少人数で共同生活を行う施設。医療的ケアには対応してないため、認知症が進むと退去しなくてはならない場合もある。

施設などに迷ったら「地域包括支援センター」に相談を!

介護が必要になったら「施設系住まい」

ここで紹介したように、老人ホームや介護施設は種類が多く、自分に合った施設を見つけるのもひと苦労です。また、実際に自分が介護が必要になった場合なども想像しづらいものです。
そこで、地域住民の相談・支援窓口である「地域包括支援センター」に相談してみるのも良いかもしれません。地域包括支援センターは、介護・福祉分野の専門職である主任ケアマネージャー、社会福祉士、保健師が駐在する地域の相談窓口です。介護施設以外にも、介護保険の申請方法や身の回りの困ったことなど、さまざまな相談を受け付けているので、非常に頼りになる存在です。
市町村ごとに複数の地域包括センターがあるので、気になる人は市区町村の福祉課などにたずねてみると良いでしょう。

まとめ

まとめ

老人ホーム・介護施設は、似たような名称のものも多く、公的施設と民間施設で費用が大きく異なります。また、サービス内容も施設によって大きく異なります。介護が必要になってから探し始めるのではなく、元気で動けるうちに複数の施設を見学し、自分の目で確かめて希望する施設を絞り込んでおくといいでしょう。

最後に、施設に入居されるような場合、自宅の管理・場合により処分なども不動産業者や信託銀行など専門家と検討することも大切な点です。

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