定年退職前に知っておくべき「役職定年制度」とは?

定年退職より前に役職を解任する「役職定年制度」というものがあります。実は、役職定年制度により、給料や老齢厚生年金の減額などを受けることもあります。この記事では、役職定年制度の概要、対象者や注意点を紹介します。

定年退職前に知っておくべき「役職定年制度」とは?

役職定年制度とは?

役職定年制度とは、部長や課長などの役職者が、ある一定年齢を超えるとその役職から外される制度です。「管理職定年制度」とも呼ばれます。この役職定年制度は、すべての企業で採用されてはいませんが、規模の大きな企業ほど導入している傾向にあります。2017年の人事院の報告によると、従業員500人以上の企業で、約3割が導入しています。国家公務員も、2021年(令和3年)から役職定年制度の導入が決まっています。

類似する制度に「役職任期制」がありますが、こちらは予め役職の任期を定めておき、その期間中、従業員を役職に登用する制度です。年齢に応じてポストの変化を受けるかどうかという点が、役職定年制度と異なります。

【参考】人事院「平成30年民間企業の勤務条件制度等調査の実施及び平成29年の調査結果について 詳しくはこちら

自分は対象となる?

役職定年制度とは、役職者が一定年齢を超えたとき役職から外される制度と説明しました。では「役職者」とは、どのような人のことを指すのでしょうか?

一般的には、部長、課長、係長、主任、所長などが対象となることが多いようです。しかし、企業によって対象となる役職者はまちまちです。また、役職定年を迎えたあとのポストもさまざまです。同格の専門職、格下のライン職などが挙げられます。

役職定年制度の役割

役職定年制度の役割

そもそも役職定年制度は、1980年頃から行われた、55歳から60歳への定年制の移行で導入したケースが多いとされています。企業からすると高いポストの役職者を5年間同じ給料で雇い続けることが難しいため、役職を解任して雇用を続けられるようにしたのです。つまり役職定年制度の主な目的は、「人件費の削減」です。

もうひとつの理由として、役職定年で管理職のポストが空くことにより、若手が管理職に就くチャンスが生まれます。日本では役職者の「降格」が少なく、一度役職に就いた人が長らくポストを独占してしまう傾向にあります。しかし役職定年により強制的にポストに空きが出ることで、若手が役職に就くことができ、「組織の活性化」や「若手の育成」を促進できます。

「元管理職の従業員が、若手を育成する環境が生まれる」という面も、役職定年制度に期待されている役割といえます。会社や業務への理解が深い元役職者であれば、現場で若手と知識を共有することができるでしょう。これらの点から「役職定年制度」は、企業や若手従業員にとっては大きなメリットがある制度です。

定年間近の人は役職定年制度に要注意!

企業にとってさまざまなメリットのある役職定年制度ですが、役職定年を迎える側にとってはデメリットもあります。ここでは、役職定年にまつわる注意点を解説します。

給与が下がる

役職定年を迎える人にとって、大きなデメリットとなるのが、給料の減額です。「基本給」「賞与」「管理職手当」などで減額を受け、元の年収より2割程度少なくなることが多いといわれています。例えば、年収600万円の人が役職定年を迎え2割減となると、480万円まで給料が下がります。給料の減額は、家計にも大きな影響を与えかねません。ただし退職金については勤続年数によって金額が定められていることが多く、退職金が減額されることはほとんどありません。

やりがいなど

給与が下がることや役職がなくなることから、仕事に対するモチベーションが下がる人も多くいます。また、給与が下がっても仕事内容は以前と大きく変わらないこともあり、企業に対する不満を抱える人も少なくありません。中には、「役職ではなくなり、プレッシャーがなくなった」などのポジティブな考えを持つ人もいますが、やはり今までの自分の頑張りを示す「役職」がなくなることは、仕事へのやりがいが薄れることにも繋がるでしょう。自分にはどんな役割が求められているのかわからなくなったり、新しい仕事に挑戦しなくなるというマイナス面も出てきてしまいかねません。

新たな職場環境でのストレス

役職定年を迎えても同じ部署に残る場合、かつて部下だった人が上司になるため、お互いやりづらさを感じてしまい、心の負担にもつながります。また、全く新しい職場に異動となる場合も、今までの知識や経験が活かせず、一から勉強し直さなければなりません。50代になってから新しい職場環境で再スタートをしなければならないことに、不安を感じる人も多いようです。このように役職定年を迎えると、どうしても職場環境に変化が起きるため、それによるストレスを感じてしまいます。

役職定年を控えたあなたが今からできること!

役職定年制を採用している会社に現在役職者として働いている人は、将来役職定年を避けられません。
では、今からそれに備えてできることにはどんなものがあるでしょうか。

まずは、自社の規則を調べ、将来自分がどう働くことになるのかをイメージすることが大切です。今から役職定年のことを考えたくないという人もいるかもしれませんが、「事前準備」をしておくことで、ネガティブな考えをポジティブに変えやすくなります。キャリアプランを見直し、役職定年以降の働き方を今一度考えてみましょう。どうしてもキャリアを追求したい場合は、今のうちに転職をするのもひとつの手です。

また、給料の減額を受けることから、役職定年後も同じ生活を続けるのは難しくなります。家のローンや生活費、貯蓄などの見直しを図る必要があるでしょう。さらに年収が減ることから、老齢厚生年金の減額も受けます。役職定年後の給料や年金を今のうちから計算して、今後の貯蓄の計画を立てておきましょう。

まとめ

役職定年制度は「人件費の削減」「若手の育成」などを目的に、一定年齢を超えると役職を退任される制度です。役職解任後は専門職やライン職など、企業によってさまざまな現場に振り分けられます。業務の変更に伴い、給料の減額やモチベーションの低下、ストレスの増加などネガティブな影響も大いに考えられます。ただしこれらの影響は、事前の心づもりでいくらかは低減されるでしょう。役職定年制度の対象になると考えられる人は、あらかじめ老後のライフプランを練っておきましょう。

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