急増する50代・60代の定年後「シニア起業」とは?必要な準備や成功例なども紹介

定年後にシニアが起業する「シニア起業」。この記事では、シニア起業のメリットや成功例、注意点はもちろん、起業の際に役立つ助成金制度などを紹介します。シニア起業に興味のある方は、ぜひご一読ください。

急増する50代・60代の定年後「シニア起業」とは?必要な準備や成功例なども紹介

どうして増える?定年後の「シニア起業」とは

「人生100年時代」といわれる中、シニアの起業が増えてきています。その理由には、「働けるうちはいつまでも働きたい」と思うシニアが増えていることが挙げられます。内閣府の調査によると、60代以上の40%が働けるうちは働きたいと考えているそうです。また、国や自治体がシニアの起業を後押ししていることも理由として挙げられるでしょう。年金だけでは将来が不安だという気持ちから、起業を考える人もいるようです。

「シニア起業」でとくに有名な人といえば、「ケンタッキー・フライド・チキン」の「カーネル・サンダース」がいます。40歳の頃運営していたレストランが倒産し、65歳になってからそのレストランで人気だった「フライドチキン」の調理法をさまざまなお店に教えて、特許権使用料を得ながらフランチャイズ方式で店舗を増やし、有名企業となりました。このように、今まで働いて得た知識や経験、人脈を活かして新たな仕事を始めるのが、「シニア起業」といえます。

【参考】内閣府「平成30年版高齢社会白書」 詳しくはこちら

シニア起業のメリット

シニア起業には、さまざまなメリットがあります。ひとつは、今まで働いて得た知識や経験、人脈を活かせることです。これまでの働きを無駄にすることなく、今後に活かせます。シニアの再就職は難しいこともあるため、定年後に働きたくても再就職先がないときに起業が役立ちます。

さらに、やりたくても諦めてきたことなど、好きなことにチャレンジできます。起業すればすべての責任は自分にありますし、ストレスも大きいですが、企業に就職するよりも制限がなく、自由な働き方が選べます。大変な面もありますが、すべて自分で考えて行動することから生きがいややりがいを感じられ、生き生きとした第二の人生を歩めることでしょう。

また、起業する際に立ちはだかる壁に「資金調達」が挙げられますが、シニア起業の場合、国や自治体から助成金をもらえる制度が充実しています。資金調達については後ほど詳しく解説しますが、シニアならではの融資(返済が必要なものもあり)もあるため、資金が少ない人でも起業を目指せます。

シニア起業の成功例

シニア起業の成功例

では、実際にシニア起業をして成功した例をいくつか見てみましょう。

1.「愛犬のお散歩屋さん(株式会社JTL)」(古田弘二さん)
「ウチのワンちゃんも一緒に散歩に連れて行ってもらえませんか?」という声かけから、ペットシッターのビジネス始める。全国70店舗、年商3億円を達成。書籍出版後、FC加盟店増加。

2.「さとうさんちのピザ屋さん」(佐藤愼剛さん)
「若いころから大好きだったピザのお店を開きたい」との思いから自宅の1階をお店に。こだわりの焼き加減と地元野菜のトッピングが評判を生み、予約でいっぱいの人気石窯ピザ店となる。

3.「日本眠育普及協会」(橋爪あきさん)
自身が睡眠障害に悩んでいたことから、「睡眠改善インストラクター」の資格を取得し、睡眠教育と広報活動を行う一般社団法人「日本眠育普及協会」を発足。

上記の例は、すべて60歳以上で起業した方々です。このように、退職してからも自分ができることを模索し、新たなビジネスに挑戦する人が増えています。

国や自治体もシニアの起業を応援!補助金や優遇制度などを紹介

国や自治体もシニアの起業を応援!補助金や優遇制度などを紹介

起業するには多くの費用が必要になります。「日本政策金融公庫」の「2019年(令和元年)度新規開業実態調査」によると、開業費用の平均額は1,055万円です。そこでここでは、シニア起業を支援してくれる助成金や制度を詳しく紹介します。適用にはさまざまな条件が定められているため、支援を受ける際にはよく確認しておきましょう。

【参考】日本政策金融公庫「2019年(令和元年)度新規開業実態調査」 詳しくはこちら

地方自治体による助成金/制度

各地方自治体によって、実施している助成金や制度が異なります。ここでは、東京都が行っている「女性・若者・シニア創業サポート事業」を紹介します。

〇助成金額
融資限度額は1,500万円以内(運転資金のみは750万円以内)
固定金利1%以内、無担保、返済期間10年以内、据置期間3年以内(金融機関による)

〇条件(一部)
・シニア(55歳以上)で、都内における創業の計画がある人、もしくは創業後5年未満の人(NPO等も含む)
・地域の需要や雇用を支える事業であること

【参考】東京都産業労働局「女性・若者・シニア創業サポート事業」詳しくはこちら

国による助成金/制度

「厚生労働省」が実施している「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」は、中高年齢者(40歳以上)が、起業して中高年労働者などの雇い入れを行う際の費用の一部を助成する制度です。

〇助成金額
① 雇用創出措置助成分
計画期間内に行った雇い入れに要した費用の合計に、以下の助成率を乗じた額を支給。

年齢別雇用創出措置の助成率とその上限額

起業時の年齢助成率助成額の上限
60歳以上2/3200万円
40~59歳1/2150万円

② 生産性向上助成分
①で支給された助成金の1/4を別途支給。

〇条件(一部)
・計画期間内(12ヶ月以内)に、対象労働者を一定数以上(※)新たに雇い入れること。
・支給申請書提出日に、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと。

 ※60歳以上を1名以上、40歳以上60歳未満を2名以上または40歳未満を3名以上(40歳以上1名と40歳未満2名でも可)

【参考】厚生労働省「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」 詳しくはこちら

シニア起業の注意点

シニア起業がしやすくなっている環境とはいえ、簡単に起業が成功するとは限りません。軽い気持ちで起業し、うまく回らなくなって倒産するケースも大いに考えられます。それを防ぐには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

まずは、助成金の活用です。確実に融資を受けられるよう書類をきちんと用意しましょう。提出用だけでなく、自分の会社の今後を見据えるためとして、事業計画書を作っておくのもおすすめです。

また、融資を受けても受けなくても、なるべく初期投資を抑えることが大切です。無駄な支出は抑え、まずは少額でも売り上げを出すことを意識しましょう。さらに、起業すると自分で事務や経理もしなければなりません。あらかじめ企業を運営する際に必要な作業を確認し、確実にこなせるような体制を作っておきましょう。

まとめ

近年、シニア起業家が増加しています。「人生100年時代」において、シニアが活躍する機会はますます増えてきています。少しでも関心がある方は、今までの知識や経験、人脈を活かし、常に情報収集のアンテナを張っておきましょう。実際に起業する際は、助成金などをうまく活用することをおすすめします。

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