老後の田舎暮らし、費用の目安は?田舎に移り住むメリット・デメリット

老後を豊かに暮らす方法として、田舎への移住を検討している方もいらっしゃるかと思いますが、老後の田舎暮らしは都会暮らしに比べてリーズナブルなのでしょうか? この記事では、田舎暮らしは都会暮らしに比べて費用が安いのか高いのか、実際の費用の例、田舎暮らしのメリット・デメリット、田舎暮らしを始める前の準備について紹介します。

老後の田舎暮らし、費用の目安は?田舎に移り住むメリット・デメリット

田舎暮らしの生活費はいくらかかる?

田舎暮らしの生活費はいくらかかる?

都会よりも田舎暮らしの方が生活費を安く抑えられると思っている人が多いかと思いますが、実際はどうなのでしょうか?田舎といってもさまざまあります。ここでは「コンビニやスーパーまで徒歩30分以上かかる」というエリアを想定して「田舎暮らしの生活費」を出してみました。田舎暮らしにかかる1ヶ月の生活費の目安は以下の通りです。

田舎暮らしの生活費の目安(1ヶ月)

項目 費用
家賃(駐車場有) 2~3万円
食費 2~3万円
水道光熱費 2~3万円
携帯電話 1万円
通信費 1万円
自動車費 3~5万円
町内会費 500~1,000円
諸費用 2~4万円
合計 15~20万円

上記はあくまでも1つの目安ですが、おおよその1ヶ月の生活費は15~20万円程度です。自動車を所有しない場合は自動車費分の費用負担がなくなるので、10~17万円程度となります。

初期費用については、賃貸ではなく持ち家の場合は、田舎の方が都会よりも地価が安いため、費用を大きく抑えることが期待できるでしょう。

老後の田舎暮らしに必要な費用は安い?高い?

老後の田舎暮らしに必要な費用は安い?高い?

老後の田舎暮らしの1ヶ月あたりの生活費は15~20万程度と全体では都会で暮らすよりも安いと言えますが、項目別でみると、都会の方が安い場合もあります。

都会の方が多くかかる費用・田舎の方が多くかかる費用について見ていきましょう。

都会の方が多くかかる費用

都会の方が多くかかる費用の代表的な項目は以下の2つです。

・住居費
・駐車場代

都会は田舎よりも地価が高いため、どうしても住居費も高くなります。そのため、駐車場のない住居が多く、駐車場を借りる費用が別途かかります。不動産住宅情報サイト「スマイティ」の全国の地価ランキングTOP100で、地価の高い/低い地域の上位5つを比べると以下のとおりです。

地価の㎡単価ランキング

地価の高い上位5地域 地価の低い上位5地域
1 東京 中央区(5,466,980円/㎡) 北海道 上川郡下川町(2,425円/㎡)
2 東京 千代田区(5,091,717円/㎡) 北海道 紋別郡滝上町(2,450円/㎡)
3 東京 港区(2,733,283円/㎡) 北海道 中川郡美深町(3,025円/㎡)
4 東京 渋谷区(2,712,307円/㎡) 北海道 歌志内市(3,150円/㎡)
5 東京 新宿区(2,479,953円/㎡) 北海道 枝幸郡浜頓別町(4,800円/㎡)

【参照】スマイティ「全国の地価ランキングTOP100」 ※詳しくはこちら

それぞれのトップを比べると、地価が約2,250倍も違っています。これを見れば、都会の住宅費が高い理由や駐車場がない理由も分かるでしょう。

田舎の方が多くかかる費用

田舎の方が多くかかる費用

田舎の方が多くかかる費用の代表的な項目は以下の3つです。

・ガソリン代
・自治会費/町内会費
・光熱費

それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

ガソリン代

田舎は歩いて行ける範囲にスーパーやコンビニがないことが多いため、基本的に自動車が必要です。そのため、ガソリン代が多くかかります。

自治会費/町内会費

田舎では自治会や町内会などに加入するのが一般的です。加入すると、会費を支払う必要があります。

光熱費

田舎は都市ガスではなくプロパンガスを使用していることが多く、ガス代が高くなりやすいという特徴があります。

さらに、古民家などに住むと建物の気密性が低く、冷暖房費が膨らみやすいので注意しましょう。

田舎暮らしのメリットとデメリット

田舎暮らしのメリットとデメリット

田舎に移住してから、利便性の悪さなどに後悔しても手遅れです。そのような失敗をしないためにも、田舎暮らしのメリットとデメリットについて把握しておくことが重要です。

田舎暮らしの主なメリットは以下の4つです。

・周囲の騒音などを気にせず生活できる
・遊行費を抑えられる
・比較的広い家に居住できる
・趣味を満喫できる

田舎に行くと、住宅同士の間隔が広いので、騒音などを気にせずにのんびり過ごせます。また、周りに娯楽施設などがないので散財しなくて済みます。資金が少ない方でも比較的安く広い家に居住できるほか、家庭菜園といった趣味を満喫しながら自然の中でゆったりと暮らせるでしょう。

一方、田舎暮らしのデメリットは以下の5つです。

・自動車が必須になる
・職がなかなか見つからない
・給料が比較的安い
・医療施設が不足している
・子供や孫などの家族と離れて過ごすことになる

それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

自動車が必須になる

田舎は、都会のように徒歩で行ける範囲にコンビニやスーパーなどがあることはほとんどありません。電車等の交通網も都会に比べて少ないので、車が必須です。

元気なうちは問題ありませんが、歳を重ね、運転が不安になってからが大変です。

職がなかなか見つからない

年金だけでは生活費が不足する場合があります。

そのような場合は職を探す必要がありますが、職を探そうとしても田舎では見つかりにくいので注意が必要です。

給料が比較的安い

仮に職が見つかっても都会と比べると給料が安いのが一般的です。思っていた以上にお金を得られない可能性があります。

医療施設が不足している

田舎は都会と比べると医療施設が不足している傾向があります。そのため、万が一の事態が起きても、満足いく治療が受けられない、遠く離れた医療施設に通わなくてはならないので注意が必要です。

子供や孫などの家族と離れて過ごすことになる

老後には、孫の成長を見ることが楽しみという方も多いと思います。しかし、田舎暮らしになると、基本的に子供や孫などの家族と離れて過ごすことに。なかなか会えなくなるため、寂しく感じることになるでしょう。

老後の田舎暮らしを成功させるには

老後の田舎暮らしを成功させるには

「田舎暮らしをしたい」と思ってもすぐに始められるものではありません。安心して老後の田舎暮らしを始めるには、移住前の準備をしっかり行う必要があります。事前準備に必要な項目は以下の4つです。

・移住目的を明確にする
・移住場所の情報を収集する
・移住について現地をよく知る人に相談する
・実際に現地に足を運んでみる

移住目的が明確になっていない状態で移住しても、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性が高いと言えます。そのため、移住前には「空気や水のおいしい田舎に移住したい」「併設の畑で農業をしながらゆっくり暮らしたい」など、移住目的を明確にすることが重要です。

移住場所の情報は、不動産会社に聞くとスムーズに話が進む可能性があります。移住場所の候補が決まっている場合には、自治体に直接問い合わせてみると、移住支援に関する情報といった有益な情報を得られるでしょう。

移住先が明確に決まってからは、移住先で本当にやっていけるのか相談することをおすすめします。相談先に適しているのは、各地の自治体や地域情報を提供しているNPO法人などです。また、実際にその地域に足を運んで移住後の生活を想像してみることも重要です。

生活費を抑えることを目的として田舎暮らしを検討する場合、住宅費は抑えられてもガソリン代やガス代などが家計を圧迫する可能性があります。そのため、生活費を抑えたいだけでなく、田舎で農業をしながらゆっくり老後生活を送りたいなどの明確な目的がある方に、田舎暮らしがおすすめと言えるでしょう。

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