50歳で早期リタイアするにはいくら必要?アーリーリタイアするためのライフプランとは

アーリーリタイアとは、生活の糧となっている仕事を定年退職を待たずに引退することを指します。引退後は悠々自適な第二の人生を…という憧れを持っている人も少なくないでしょう。そのためには、どのような準備をすればよいのでしょうか。

50歳で早期リタイアするにはいくら必要?アーリーリタイアするためのライフプランとは

アーリーリタイアとは?

アーリーリタイアとは?

アーリーリタイア(早期リタイア)とは、定年退職を迎える前に退職することを意味します。
リタイア後に仕事を全くしない「完全リタイア」や、アルバイトやフリーランスで収入を得る「セミリタイア」などの種類があります。

他にも、支出を可能な限り抑えて、貯蓄率を上げ、早期に資産形成して定年前に経済的自立を達成し、その資産を運用しながら自由に好きなことをする「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という生き方にも近年では注目が集まっています。

アーリーリタイアのメリット

アーリーリタイアのメリット

今まで多くの時間を費やしていた仕事から解放され、自分の時間を確保することができます。時間に追われる生活から、自分の趣味や家族のための時間、今まで仕事を優先して断念していた新しいことにチャレンジする時間をつくりだすことができます。仕事上の人間関係が煩わしいと感じている人は、そのストレスから解放されるでしょう。

アーリーリタイアのデメリット

アーリーリタイアのデメリット

アーリーリタイアを検討する際には、デメリットも把握する必要があります。

アーリーリタイアをした後、特に公的年金の受給開始までは、それまでに形成した金融資産を取り崩しながらの生活になります。アーリーリタイア時の金融資産の額が少なければ、金融資産ゼロまでの期間が短くなり、生活が破綻することになります。
アーリーリタイア後の生活が厳しくなって正規雇用で再就職を検討しても、実際には実現が困難な状況が考えられます。

50歳を過ぎた人のねんきん定期便に掲載されている年金額の数字は、公的年金に60歳まで継続加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込み額となっています。アーリーリタイアによって厚生年金の被保険者資格を喪失すると、実際に受け取る老齢厚生年金の金額は減少します。

老後の生活設計の基盤となるものが少なくなるのは老齢厚生年金だけではありません。定年より早く退職することで、退職一時金や企業年金の金額も減少します。

さらに、定期的な収入がないということで信用力が低下し、老後に備えた住まいの建て替え・買い換えに必要な住宅ローンが組めなくなったり、新たにクレジットカードが作れなくなったりする可能性があります。そのため、基本的に、ご自身が保有する資産でやりくりする必要が出てきます。

アーリーリタイアに必要な貯蓄額

アーリーリタイアに必要な貯蓄額

アーリーリタイアする時期にどの程度の金融資産を保有していればよいのでしょうか。
それを明確にするためには、アーリーリタイア後のライフプランを立てることが必要です。ここでは、同じ年齢の夫婦2人世帯が55歳でアーリーリタイアし、ともに90歳で死亡する場合で、日常生活に必要な資金に加えて、趣味などの楽しみのために必要な資金も見積もったものを例にします。

日常生活に必要な資金については、総務省が毎年発表している「家計調査報告」が参考になります。この調査では、過去10年、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出は月額約30万円です。

※総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2020年平均結果の概要」詳しくはこちら

楽しみのために必要な資金を月額5万円とし、日常生活に必要な資金と合計して月額35万円を64歳まで継続的に支出するとします。65歳以降は同調査の65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出約22万円、同様に楽しみのために必要な資金を月額5万円、合計27万円を支出するとします。

一方、アーリーリタイア以降の収入については、65歳以降の夫婦世帯の公的年金の金額の合計21万円とします。

※厚生労働省「令和3年度の年金額改定についてお知らせします」詳しくはこちら

したがって、アーリーリタイアした場合に必要な55歳以降に必要な資金の合計は、以下のようになります。

・55歳から64歳まで
35万円×12ヵ月×10年=4,200万円・・・(1)

・65歳から90歳まで(公的年金による収入が見込める)
(27万円-21万円)×12ヵ月×25年=1,800万円・・・(2)

(1)+(2)=6,000万円

アーリーリタイア時に保有する各種金融資産に、退職金を加えてこの金額を目安に準備すればよいと考えられます。

ただし、この6,000万円は、90歳で金融資産がゼロになるシミュレーションですので、実際にはもう少し余裕を持っていた方がよいかもしれません。また、日常生活資金や楽しみのための資金をもう少し多く見積もりたい場合は、準備すべき資金はさらに多くなります。

アーリーリタイアするためのライフプランの立て方

アーリーリタイアするためのライフプランの立て方

日常生活や楽しみのための資金の額、アーリーリタイアまでに準備できる金融資産など、諸条件は人によって異なります。そのため、アーリーリタイアのための計画を立てる際には、「キャッシュフロー表」を作成してみると、「見える化」されたプランニングが可能になります。様々な状況の変化でプランニングを変更する際にも、計画が立てやすくなります。

以下のキャッシュフロー表は、50歳と48歳の夫婦がアーリーリタイアを検討するために作成したものです。

※ファイナンシャルプランナーが実際に作成したキャッシュフロー表を一部改変しております。

■現在の計画におけるキャッシュフロー表

現在の計画におけるキャッシュフロー表

【注目ポイント】
※1:夫のアーリーリタイア
※2:住宅ローン全額繰上げ返済
※3:アーリーリタイア後、年間収支はマイナスに転じる
※4:65歳で金融資産がマイナスに転じる
※5:試算の結果、80歳時点で金融資産が約1,000万円不足することがわかる

現状の計画では、55歳でアーリーリタイアし、受給した退職一時金で住宅ローンを全額繰り上げ返済する場合、66歳以降金融資産がなくなってしまい、80歳時点で約1,000万円不足することが試算の結果からわかります。

■夫がセミリタイアをした場合のキャッシュフロー表

夫がセミリタイアをした場合のキャッシュフロー表

【注目ポイント】
※1:夫のセミリタイア
※2:住宅ローン全額繰上げ返済
※3:夫のセミリタイア後、年間収支はマイナスに転じる
※4:セミリタイア後、夫は年収100万円の仕事に就業
※5:試算の結果、80歳時点で金融資産が残っていることがわかる

そこで、完全にリタイアするのではなく、就業時間を減らして非常勤で勤務する、アルバイトによる就業を行うなど、「セミリタイア」をするという方法があります。55歳から65歳まで、年収100万円程度の仕事に10年間就業することにより、1,000万円の改善が期待でき、先程の試算で80歳時点で不足していた金融資産を賄うことができる想定となります。

現状では金融資産について運用収益を見込んではいませんが、セミリタイアのプランに加えて、仮に金融資産の一部を投資信託などで運用し、金融資産全体の運用収益を年平均1%で継続できたとした場合、80歳時点で約500万円の金融資産を確保することができます。当初非常に困難であった計画が、少し実現に近づいてきた印象があるのではないでしょうか。

キャッシュフロー表を作成することにより、現状の問題点がよく見えるようになり、広い視野でライフプランの実現に向けた具体的な対策が立てやすくなります。

まとめ

まとめ

人生100年時代だからこそ、人生の後半を長く楽しむことができるアーリーリタイアという選択肢があるのかもしれません。
しかし、一般的にはアーリーリタイアは急に思い立ってできるものではありません。具体的な資産形成プランを実践して始めて実現するものです。長期的な視点で今後のご自身の人生を見つめてみてはいかがでしょうか。

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