年収500万円の手取りはいくら?!給与から天引きされる税金・保険料を解説

年収が500万円である場合、手取りは400万円前後が目安です。給与や賞与からは、税金や保険料などが引かれるため、支給額のすべてを得られる訳ではありません。この記事では、年収500万円の手取り額や天引きされる税金・保険料の種類、世帯構成ごとの生活水準を解説します。

年収500万円の手取りはいくら?!給与から天引きされる税金・保険料を解説

統計からみる「年収500万円」

統計からみる「年収500万円」

まずは、民間給与実態統計調査などの資料を参考に、年収500万円を受け取る人数やその男女比、年齢を確認してみましょう。

「年収500万円」の全体での構成比、 男女比、年齢構成など

国税庁の「令和3年度民間給与実態統計調査」によると、年収が500万円~600万円である人の数は、次の通りです。

・男性:422万1,000人
・女性:130万6,000人
・全体:552万7,000人

【参考】国税庁「令和3年度民間給与実態統計調査」詳しくはこちら

また、平均給与については男性が35歳から64歳まで500万円を超えているのに対し、女性はどの年代も500万円未満となっています。

【参考】国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年度)」詳しくはこちら
※「民間給与の実態調査結果(全データ)」のPDFリンクより

年収500万円の手取りは?

年収500万円の手取りは?

上記の結果から、年収500万円を受け取る人は、特に30~50代の男性に多いことがわかりました。それでは、年収500万円の場合、実際の手取りはいくらになるのでしょうか?

年収500万円代の手取り額早見表

年収が500万〜600万円である場合、年間と毎月の手取り額の目安は以下の通りです。

500万円代の年間所得・月間手取り額一覧

年収 年間手取り額 月間手取り額
500万円 約389万円 約32万円
520万円 約402万円 約33万円
540万円 約419万円 約35万円
560万円 約431万円 約36万円
580万円 約448万円 約37万円
600万円 約460万円 約38万円

※ボーナスは夏と冬に、1ヶ月分の収入×2回
※扶養家族のいない単身者で計算

この表から、500万円ではおよそ78%、600万円ではおよそ77%程度が実際の収入になることがわかります。
なお、今回のケースは扶養控除などがない単身者の方のケースで計算を行っていますが、配偶者や子供を扶養している場合には控除額が増えますので、所得税や住民税などの負担は少なくなります。

税金や保険など、何がいくら引かれるのか?

税金や保険など、何がいくら引かれるのか?

では、実際に収入からは何のためのお金がどのくらい引かれているのでしょうか?ここでは、具体的に課される税金や保険を紹介します。

所得税

所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。会社員や公務員などは「給与所得」が所得税の課税対象となります。
給与所得は「1年間の給与収入の総額−給与所得控除」で計算します。給与所得控除は、給与収入に応じて決まる一定金額を、必要経費とみなして差し引けるものです。

給与所得とほかの所得を合計した金額から、個人の事情に応じて控除できる金額(所得控除)を差し引いた残りに税率をかけて所得税を計算します。
課税の対象となる所得が大きくなればなるほど、所得税の税率は高くなっていきます。

住民税

住民税は、都道府県や市区町村に納める税金です。税額は「所得割」と「均等割」を合計して求めます。
所得割は、前年の課税対象となる所得に税率をかけて計算します。税率は、基本的に10%(道府県民税4%・市町村民税6%)です。

均等割の金額は、所得にかかわらず一定であり、5,000円(道府県民税1,500円・市町村民税3,500円)が目安となります。

社会保険料

社会保険料とは、健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の保険料のことです。このうち、労災保険料については事業者(勤務先)が全額負担するため、労働者が負担する必要はありません。

健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料については「標準報酬月額×保険料率」で毎月の給与から天引きされる金額が計算されます。標準報酬月額は、保険料を計算する時に基準となる報酬金額です。毎年4〜6月の3ヶ月間で支払われた報酬の平均額をもとに決まります。

賞与から天引きされる保険料は「標準賞与額×保険料率」で算出されます。標準賞与額は、税引き前の賞与額から1,000未満を切り捨てた金額です。

なお、健康保険料や厚生年金保険料、介護保険料は、労働者と事業者(勤務先)が半分ずつ負担します。また、介護保険料を負担するのは、40歳以上の人のみです。

雇用保険料は「給与額(または賞与額)×保険料率」で計算します。ほかの社会保険料とは異なり、労働者よりも事業主の方が、保険料率が高く設定されています。

年収500万円の人の生活水準はどのくらい?

年収500万円の人の生活水準はどのくらい?

年収が同じ500万円であっても、世帯人数によって生活水準は異なります。ここでは、年収が500万円である独身や夫婦世帯の生活水準をご紹介します。

独身で年収500万円

独身の場合、実家暮らしと一人暮らしでは、金銭的な余裕が異なるので、生活レベルは変わるのが一般的です。

実家暮らしをする場合、家賃や水道光熱費などを直接支払う必要はありません。食費や日用品の購入費なども、一人暮らしより少なくて済むでしょう。家にお金を入れたとしても、金銭的に余裕のある暮らしを送りやすい傾向にあります。

一人暮らしは、実家暮らしよりも毎月の生活費がかかりやすいですが、家賃相場や物価が比較的安価なエリアに住んでいるのでれば、金銭的に余裕のある暮らしは可能でしょう。
また「勤務先から家賃補助が出ている」「社宅に住んでいる」などの理由で毎月の住居費が抑えられるのであれば、ゆとりのある生活が送りやすくなります。

年収500万円で子なしの夫婦(世帯年収1000万円)

子供がいない家庭で夫婦ともに500万円の年収があり、世帯年収が1,000万円に達するのであれば、金銭的に余裕のある暮らしを送りやすいと考えられます。

食費や交際費、住居費などの出費が過剰にならないよう注意してお金を使えば、マイホーム購入や子供の出産などに備えた資金も貯まりやすいといえます。一方で、お金に余裕があるからといって好き放題に使ってしまうと、お金は貯まっていかないでしょう。

特に夫婦共働き世帯では、お互いの財布が別であるというケースが少なくありません。「パートナーが貯めてくれているだろう」と考えていると、いざお金が必要になった時に、夫婦のどちらも貯蓄ができていないという状況になる可能性があります。

そのため共働き世帯は「夫婦共有の財布を作って毎月一定金額を貯蓄する」「夫は食費や家賃などの支出、妻は貯蓄のように役割分担を決める」などの方法で管理するのが望ましいといえます。ライフスタイルやお互いの希望などをもとに、夫婦に合った方法でお金を管理することが大切です。

年収500万円で子供は育てられる?

居住するエリアや家族構成によっては、年収500万円で子供を育てていくことは十分可能です。ただし、子育てには食費や日用品代などが必要なだけでなく、衣服代やおもちゃの購入費などもかかるため、節約が必要になる可能性があります。

また、入学金や授業料などの教育費、子供が進学する時に発生する費用を支払うための資金も、計画的に準備していかなければなりません。進学資金だけでなく、家電の買い替え資金やマイホームの購入資金などもあわせて準備することになるでしょう。

そのため、子供がいる世帯は、独身世帯や子供がいない夫婦世帯(DINKS世帯)よりも家計をやりくりする能力が求められます。居住するエリアの家賃相場や物価が高ければ高いほど、家計管理の難易度は上がっていくと考えられます。

年収500万円で資産形成するには?

年収500万円で資産形成するには?

年収500万円の方が資産形成をする場合、以下の方法や制度を活用するとよいでしょう。

・先取り貯蓄
・NISAを活用した投資信託
・iDeCoなどの私的年金(財形貯蓄制度)
・収入を増やす

1つずつ解説していきます。

先取り貯蓄

先取り貯蓄とは、収入を得た時に貯金する分を先に口座に移す方法です。
人は、お金があればある分だけ使ってしまうものです。収入から生活費などを差し引いて残った余りを貯蓄しようとしても、給料日の前日には残高がほぼない状況になってしまいかねません。

その点、先取り貯蓄であれば貯蓄分を先に確保し、残りで生活をしていくため、貯蓄が苦手な人でもお金が貯まりやすいというメリットがあります。

先取り貯蓄をする時は「自動つみたて定期預金」を利用する方法があります。自動つみたて定期預金であれば、あらかじめ決めた金額が決まったタイミングで普通預金口座から定期預金口座に移されるため、自分自身で貯蓄分を別の口座に移す手間を省くことが可能です。

また、勤務先が実施する「財形貯蓄制度」を利用し、給与天引きを用いて先取り貯蓄をするという方法もあります。

これまでお金が貯まらずに悩んでいた方は、まずは1万円や2万円ほどの金額を先に貯蓄口座に移し、コツコツと先取り貯蓄を始めてはいかがでしょうか。

NISAを活用した投資信託

投資信託とは、投資から集めた資金を1つにまとめて、運用方針にしたがって株式や債券などで運用される金融商品のことです。

投資信託であれば、資金の運用先である投資対象の選定を、運用のプロであるファンドマネジャーに任せることができるため、投資の初心者でも始めやすいといえます。

投資対象から得られた利益は、出資金額に応じて投資家に分配される仕組みです。

受け取った分配金や、投資信託を売却して得た利益には20.315%の税金がかかります。そこで活用したいのが「NISA」です。NISAの1種であるつみたてNISAであれば、年間40万円までの新規投資で得た利益が、最長20年にわたって非課税となります。

また、2024年1月からは新しいNISAが開始される予定です。新しいNISAでは、1年間で投資できる金額が現行のNISAよりも増えるだけでなく、非課税で運用できる期間が無期限に延長されます。

iDeCoなどの私的年金

投資信託を用いて、老後のための資産形成をする場合は「iDeCo」を利用する方法があります。iDeCoとは、掛金を支払って投資信託や保険商品などで運用し、自分自身で老後の年金を準備する私的年金制度のことです。

iDeCoでは、掛金の運用先から得られた分配金や利息などの利益が非課税となります。また、掛金の全額が所得控除の対象です。1年間で支払った掛金と同じ金額を所得から差し引くことができるため、所得税や住民税の負担を軽減する効果が期待できます。

勤務先が「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を実施しているのであれば、それを活用するのも方法です。企業型DCであれば、企業が拠出した掛金を自分自身が指定した方法で運用していきます。

昇給して収入を増やす

毎月の積立額を増やし、さらに効率的に資産形成をしていきたいのであれば、収入を増やすことも重要です。
現職の仕事で成果を挙げて、上長や人事からの評価を得られれば、昇進や昇格によって収入を上げることができるかもしれません。

転職して収入を増やす

現在とは違う企業に転職をするのも1つの方法です。業界や求められるスキルなどが同じであっても、企業によって給与体系が異なるため、転職をするだけで500万円以上の年収を得られる可能性があります。転職エージェントや転職サイトなどの転職サービスに登録すると、年収アップが見込める求人が見つかるかもしれません。

特に転職エージェントでは、転職のノウハウや業界の知識が豊富な担当者(キャリアアドバイザー)のサポートを受けられます。

履歴書や職務経歴書のチェックや面接対策を依頼できるだけでなく、求人情報には掲載されていない内部事情などの情報を事前に教えてもらえるかもしれません。

また、非公開求人の取り扱いもあり、豊富な求人の中から相談者の経験やスキルなどにあった業種や職種を提案してもらうことも可能です。

転職サービスによって、求人数や得意としている業界、担当者の実力などが異なります。転職活動をする際は、大手だけでなく業界特化型など、さまざまな転職サービスを利用してみるとよいでしょう。

副業で収入を増やす

勤務先で副業が認められているのであれば、副業を始めて収入アップするという方法もあります。2023年9月現在では、インターネット上で企業や個人が業務を発注する「クラウドソーシング」を利用することで、手軽に副業を始めることが可能です。

収入を増やす方法にはさまざまな種類があるため、スキルや働き方などをもとに自分自身にあったものを選択することが大切です。

まとめ

年収500万円の方は、所得税や住民税、社会保険料で年間100万円前後が天引きされますが、世帯人数や住むエリアなどによっては金銭的に余裕のある暮らしができるでしょう。

とはいえ、よく考えることなくお金を使ってしまうと、不測の事態やライフイベントを迎えた時に資金不足となってしまいかねません。

充実した老後を過ごすためにも、将来のライフプランを考え、手取り収入のいくらを使い、いくらを貯蓄に回すのか、よく計画を立てることが重要です。

ご留意事項
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