住民税の普通徴収と特別徴収はどう違う?切り替えの方法も

住民税は自分の住む(住民票を置く)地域に対して支払う税金です。住民税の支払い方法には2種類あります。「普通徴収」は納税通知書を受け取って役所や金融機関などに直接納める方法、「特別徴収」は会社員などの給与所得者が給与からの天引きで税金を納める方法です。本記事では、普通徴収の仕組みや納税方法の切り替えについて紹介します。

住民税の普通徴収と特別徴収はどう違う?切り替えの方法も

住民税の「普通徴収」って何?

住民税の「普通徴収」って何?

住民税を納める方法は、「普通徴収」か「特別徴収」のいずれかです。普通徴収について理解するためにまずは住民税の仕組みについて説明します。

住民税は、対象年の1月1日に自分が居住する(住民票を置く)地域に支払う税金です。都道府県が課税する「都道府県民税」と、市区町村が課税する「市区町村民税」の2つが合算されています。

税額は、所得に関わらず各自治体で定められた金額が設定されている「均等割」と、対象年の前年(1月〜12月)の所得に基づいて算出される「所得割」を合わせたものとなり、住む地域や所得額によって毎年変動するものです。

納税方法は「特別徴収」と「普通徴収」のふたつに分かれます。

■特別徴収
会社員などの給与所得者が、住民税が対象年の6月分給与から翌年5月まで12分割され、毎月の給与額から天引きされて納税する方法。給与所得者の住民税は、自分自身で手続き等をしなくても自動的に納税されます。

■普通徴収
受け取った納付通知書で自ら住民税を納める方法。納付書が同封されている場合と、事前の申し込みで口座振替される場合があります。

出典 

普通徴収で払わなければいけない人は?

住民税は、自動的に納税される特別徴収が一般的ですが、普通徴収で支払う必要があるのはどのような人でしょうか。

普通徴収は、給与所得ではない自営業者や個人事業主などが該当します。自営業者、個人事業主が行う確定申告は、住民税の「所得割」部分の税額を決定するために必要です。また、給与所得者の中で、給与とは別の所得がある場合、別の所得にかかる住民税については普通徴収で納めることも可能です。

所得税などとは異なり、住民税は収入の有無に関わらず「均等割」分の税額負担が発生します。税額は都道府県、市区町村によって異なるので、各自治体のホームページなどで確認してください。

普通徴収の仕組み

普通徴収の仕組み

前年の所得を確定申告した後、5〜6月頃になると住民税の税額を提示した納税通知書が送られてきます。納税通知書に同封されている納付書は、納付期限が「6月・8月・10月・翌1月」の四期に分かれています。納付期限内に、納付書を役所や金融機関、コンビニエンスストアに持っていき納税します。前述のように、口座振替で納税することもできます。一部の市区町村ではクレジットカードでの納税に対応しているところもあります。

普通徴収の場合の注意点

普通徴収の場合の注意点

普通徴収は、特別徴収と異なり自分自身で支払いをしなければなりません。うっかり忘れてそれぞれの納期を過ぎてしまった場合、税金を滞納したとみなされ延滞金が追加されてしまうことがあります。特に、会社を辞めて給与所得者でなくなったときなど、普通徴収に変わった場合は、納税を忘れないように注意しておきましょう。また、個人事業主として毎年普通徴収で納税する場合は、あらかじめ口座振替を申し込んでおくのもよいでしょう。

住民税は、基本的に減免などができません。納めずに放っておくと差し押さえの対象となることもありますので未納のままにしないように十分注意しましょう。

基本は特別徴収だが普通徴収に切り替えが必要な場合も

基本は特別徴収だが普通徴収に切り替えが必要な場合も

給与所得者は住民税を特別徴収で納税するのが一般的です。地方税法により、企業は社員の住民税を特別徴収しなければならないと定められているため、原則として、特別徴収から普通徴収に変更することはできません。

【参考】総務省行政管理局:地方税法 第321条の4 詳しくはこちら

ただし、退職・休職した場合、特別徴収から普通徴収に切り替える必要があります。反対に就職し給与所得者となった場合、住民税を納めている途中から特別徴収になることも考えられます。ここでは切り替えに必要な手続きについて説明します。

特別徴収から普通徴収への切り替え申請

特別徴収から普通徴収となるのは、給与所得者でなくなる=退職する、または休職により給与が支払われなくなったケースが当てはまります。切り替えに必要な手続きは、会社側が行うため基本的に自分で何かすることはありません。退職後に、残りの住民税を納めるための通知書が送付されてきますので、それに沿って納めてください。

ただ、会社によっては退職後の未納分の住民税を、普通徴収にするのか、あるいは最終の給与等から一括で納付するのか確認される場合があります。これは退職時期によっては選択できないこともあります。退職や休職のときには、未納分の取り扱いについてどうなるのか、会社側にきちんと確認しておいた方がよいでしょう。

普通徴収から特別徴収への切り替え申請

普通徴収から特別徴収への切り替えは、普通徴収で納めていた途中で就職し、給与所得者となった場合が当てはまります。切り替えるためには、各市町村の役所に「特別徴収切替届出書」の届出が必要です。ただし、これは会社側で行う手続きであるため、自分自身で申請する必要はありません。

この届出書とともに提出しなければならないのが、納付期限が未到来の納付書です。二重で納付することがないように添付します。就職した会社の担当者に渡すようにしましょう。

加えて注意しなければならないのが、普通徴収で納付期限が過ぎた分の住民税は切り替えが不可能だということです。たとえ未納であっても、自分自身で支払わなければなりません。

まとめ

まとめ

住民税は、自らの地域の行政サービスなどにかかる費用を、住民が負担する意味を持つ税金です。会社員などの給与所得者は、特別徴収で給与からの天引きで納めているため、納め忘れるということはありません。しかし、退職した人や個人事業主など普通徴収で納める必要のある人は、納付書の納付期限に注意が必要です。

また、住民税を特別徴収から普通徴収、普通徴収から特別徴収に切り替える場合は会社側の手続きが必要です。特に特別徴収に変わる場合は、納付期限が過ぎて納税されていない税金は対象外です。未納分は必ず自分自身で納める必要があります。

住民税や支払い方法について理解しておき、自身のライフイベントに合わせて適切な対応ができるように心がけておきましょう。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ