年収でこんなに違う!年収別「所得税」の税率と計算方法

給与や報酬、年金などから所得税が源泉徴収されている場合、税金をいくら支払っているのか意識していないケースもあるでしょう。ここでは、所得税にかかわる用語の説明や年収によって異なる税率、2020年の税制改正での変更点、所得税の計算方法などについて解説します。

年収でこんなに違う!年収別「所得税」の税率と計算方法

そもそも所得税とは?

そもそも所得税とは?

国民の三大義務の1つに納税があります。働いて収入を得たら、所得に応じて国や自治体に税金を納めなければなりません。日本に居住する外国人も同様です。所得税は、個人が働いて得た収入から、経費を差し引いた所得に対してかかる税金です。

会社員の場合、給与から毎月所得税が源泉徴収されるため、社員から預かった所得税を会社が税務署を通して国に納めています。個人事業主で源泉徴収されていない収入がある場合は、確定申告で所得税を納めます。所得税は、所得金額の段階別に所得が多いほど高い税率を適用する累進税率によって、納税の公平性を担保しています。

所得税の対象となる10種類の所得

収入を得られるのは給与や事業の売上だけではありません。家賃収入、株の配当金、年金などさまざまな種類の収入があり、国税庁ではそれらを大きく以下の10種類に分類しています。

・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得

これらの10種類の所得は、それぞれ課税方法が異なります。

【最新】所得税率一覧表

【最新】所得税率一覧表

所得税率一覧表

課税される所得金額税率  控除額  
1,000円から
1,949,000円まで
5%0円
1,950,000円から
3,299,000円まで
10%97,500円
3,300,000円から
6,949,000円まで
20%427,500円
6,950,000円から
8,999,000円まで
23%636,000円
9,000,000円から
17,999,000円まで
33%1,536,000円
18,000,000円から
39,999,000円まで
40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

所得税の税率は、所得金額により7段階に分け、5%から45%までの税率を適用しています。(退職金などにかかる分離課税を除きます。)以下の一覧表で所得金額に該当する税率を乗じたあとに、控除額を差し引くと、自分が納めるべき所得税額が計算できます。

2020年に改正!控除額や条件などが変更に

2020年に改正!控除額や条件などが変更に

国は、社会情勢や経済状況、家計調査などのデータに鑑み、適時、税制を見直し増税や減税の改正を行っています。直近では、2018年(平成30年)に、所得税の基礎控除の引き上げ、および、給与所得控除の引き下げが行われました。改正が実際に適用されたのは2020年1月からですが、この改正により税制改正前とどのような変化があったのか解説します。

基礎控除

基礎控除とは、所得控除の1つとして、納税者全員に一律で適用されるものです。所得控除には、扶養控除や障害者控除、ひとり親控除などがあり、納税者それぞれの事情を考慮して、必要経費や生活保障的な意味合いで、定められた金額を収入から差し引いた残額(課税対象額)を基準に所得税が課されます。

しかし、納税者それぞれの事情に関係なく、人が誰でも最低限生きていくのに必要な経費として定めたものが基礎控除です。税制改正前は一律38万円でしたが、現在は48万円です。ただし、所得が2,400万円以下の場合に限られ、2,400万円を超え2,450万円以下は基礎控除が32万円、2,450万円を超え2,500万円以下は16万円、2,500万円を超えた場合は控除されず、基礎控除は0円となります。

給与所得控除

給与所得控除は、会社員やアルバイトなどの給与所得者に対して適用される控除です。会社員でも給与を得るために、洋服や靴、散髪や美容代など、さまざまな出費がかかります。しかし、個人が使う経費を集計して申告するのは手間がかかります。

その負担をなくすため、給与等の収入金額に応じて定められた方法で算出した金額を控除することとしました。税制改正後は、これまでの上限額を見直し、以前より一律10万円引き下げました。基礎控除で10万円の引き上げがあるため、実質以前と変わらないのではと思われるかもしれません。

ところが、税制改正により年収850万円を超える場合は給与所得控除の上限額が195万円と引き下げられ、以前の1,000万円超で220万円だった頃と比べて負担増となっています。ただし、23歳未満の子供や特別障害者を扶養している世帯は負担増とならないよう調整されています。

公的年金等控除

公的年金等の雑所得に対しても所得控除が定められています。ここでも、税制改正により一律10万円引き下げられていますが、基礎控除の10万円引き上げと相殺すれば実質変わりがないように思えます。しかし、給与所得控除と同様、高所得層にとっては税負担が大きくなりました。以前と比べて、控除の上限額が設定されたこと、また、年金以外の所得と合わせて1,000万円を超える場合は、控除額が以前と比べて10~20万円減額されるため、課税対象額がその分増えることにより所得税も負担増となっています。

所得税の計算方法

所得税の計算方法

それでは所得税がどのようにして計算されるのか、所得税算定の仕組みを解説します。

給与所得額

給与所得控除一覧

給与等の収入金額給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)

給与所得額は、収入金額から必要経費を差し引いた金額のことです。収入金額とは、給与の額面金額のことで、税金などを引かれたあとの手取り金額とは異なります。つまり、基本給や残業手当などの諸手当を合計したもので、源泉徴収されていない金額です。ただし、非課税の通勤手当は含みません。表の収入に該当する給与所得控除額を算出して給与収入から差し引きます。
式に表すと以下のとおりです。

■給与所得額の計算方法

給与収入-給与所得控除=給与所得額

ただし、本人が特別障害者もしくは特別障害者で生計を一にする配偶者か扶養親族がいる、23歳未満の扶養親族がいる、あるいは、給与と年金の収入が10万円を超える場合は、さらに所得金額調整控除を差し引いたものが給与所得額となります。

■所得金額調整控除がある場合

給与収入-給与所得控除-所得金額調整控除=給与所得額

課税所得金額

課税所得金額とは、給与所得額から各種の所得控除を差し引いたものを指します。所得控除は、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寡婦・寡夫控除、配偶者控除、扶養控除など15種類があります。式に表すと以下のとおりです。

■課税所得金額の計算方法

給与所得額-基礎控除-それぞれの状況に応じた各種控除=課税所得金額

つまり、課税所得金額は、個々のそれぞれの事情による控除を差し引いた後の、最終的に所得税を求める際の基準となる金額です。

控除額を差し引く

令和3年分所得税の税額表

課税所得金額税率  控除額  
1,000円から
1,949,000円
5%0円
1,950,000円から
3,299,000円
10%97,500円
3,300,000円から
6,949,000円
20%427,500円
6,950,000円から
8,999,000円
23%636,000円
9,000,000円から
17,999,000円
33%1,536,000円
18,000,000円から
39,999,000円
40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

上記の課税所得金額を算出したら、国税庁が定めた所得税の税額表に従って所得税を計算します。令和3年分の所得税の算出方法は以下のとおりです。

■所得税額の計算方法

課税所得金額×税率-控除=所得税額

また、配当所得や住宅ローンがある人、ふるさと納税等の寄付をした人は、上で計算した所得税額から、さらに税額控除として一定の金額が差し引かれます。

個人事業主やフリーランスの場合は自分で所得税を納税する

個人事業主やフリーランスの場合は自分で所得税を納税する

会社員なら年末調整で、その年に納めなければならない所得税を正しく計算して会社が税金を納めてくれます。しかし、個人事業主やフリーランスは自分で収入や経費を帳簿にまとめて確定申告をして納税しなければなりません。

また、受け取った報酬から既に源泉徴収されている場合は、確定申告することで正しい所得税額が計算され、納め過ぎた税金が還付される可能性もあります。また、給与所得者でも2カ所以上から給与を得ている場合や、年間の収入が2,000万円を超えている人など、所定の要件に当てはまる人は確定申告が必要です。

納税方法

納税方法

納税方法詳細
e-TaxスマホやPCからインターネットバンキングで納付
クレジットカード専用Web画面から納付
QRコードQRコードを印刷してコンビニで納付(30万円以下)
現金金融機関または税務署の窓口で納付書を添えて納付
振替納税所轄税務署または金融機関で振替納付の設定後納付

所得税を現金で納める場合は、所轄の税務署または金融機関、コンビニで納付できます。また、預貯金口座からの振替納付、e-Taxからインターネットバンキングで電子納税、Webでクレジットカード納付も可能です。

まとめ

所得税の税率は一定ではなく、収入が多いほど税率が高くなる累進課税が適用されています。所得税が決まる仕組みを理解すれば、パートナーが扶養から抜けてパート勤務する場合や子供が扶養から外れる場合など、さまざまなケースで試算ができ今後の心づもりもできるでしょう。節税のためにはどうするのが得策か検討してみることをおすすめします。

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