投資信託の『騰落率』を徹底解説!見極めるべき運用実績とは

投資信託を選ぶ際に、言葉の意味が分からず、苦労した経験を持つ方は、多いのではないでしょうか。この記事では、騰落率や利回りなど、投資信託の運用実績を知る上で理解しておきたい用語について解説していきます。投資信託を選ぶ際や投資の勉強をする上で参考にしてみてください。

投資信託の『騰落率』を徹底解説!見極めるべき運用実績とは

騰落率とは?

騰落率とは、過去の一定期間での価格の変化を指します。投資信託の年間の騰落率は、以下の式で計算できます。

分配金込み年間騰落率(%)=(年末の基準価額-年初の基準価額+分配金)÷ 期初の基準価額 × 100
※基準価額とは投資信託の値段を指します

具体的な数字を当てはめてみましょう。基準価額が1万円、分配金が0円の投資信託が、設定から1年間で1万1,000円に値上がりした場合、1年間の騰落率は10%です。計算式は、(11,000-10,000+0) ÷ 10,000 × 100 = 10%となります。

月報などで掲載されている騰落率は、分配金実績がある場合、分配金(税引前)を再投資したものとして計算されています。

投資信託の運用における騰落率の考え方

投資信託の運用における騰落率の考え方

投資信託の収益を確認したい場合は、騰落率をチェックしましょう。ただし騰落率は、期間の取り方によって変化します。可能であれば、1年以上の長い期間の騰落率を参考にしてください。期間が短いと突発的な値動きの影響を受けやすく、実力を判断できません。また、複数の投資信託を比較する場合は、騰落率の集計期間を揃えましょう。

投資信託の運用実績で重要なその他の用語

投資信託の運用実績で重要なその他の用語

投資信託を購入する際に、多くの方が悩むポイントは、3つあります。
・将来期待できる利益の金額を知りたい
・投資対象が似た複数の投資信託があり、選択できない
・日々の基準価額変動が予想できず、怖い

これらの悩みは、騰落率をみるだけでもある程度解消できます。しかし、その他の指標なども参考にすると、投資信託をより理解できるようになるでしょう。

平均利回り

まず利回りとは、投資金額に対する収益の割合です。平均利回りは、利回りを投資期間で割った年利回りを指します。収益は、買い値と売り値の差額から生じる損益(キャピタルゲイン)と、分配金の利益(インカムゲイン)の合計です。想定利回りが3%の投資信託に100万円投資した場合、1年後に期待できる利益は3万円です。

平均利回り(%)=(損益+分配金)÷運用年数÷投資元本×100

平均利回りは年間の損益を指し、騰落率はある期間の値段の振れ幅を指します。将来の利益をシミレーションする際や、積立投資の収益を計算する際には、利回りで表されます。

収益分配金

収益分配金とは、投資信託の収益の一部を、投資家に還元するお金を指します。1年や半年ごとなどの決算時に支払われるのが一般的です。収益分配金の原資は、投資信託の資産です。そのため、収益分配金を支払うと基準価額は下落します。

分配金には、普通分配金と特別分配金(元本払戻金)があります。普通分配金は運用により生じた収益から支払われていますが、特別分配金は投資した元本の一部払戻しです。このため、分配金すべてが利益とは限りません。
受け取った分配金が普通分配金なのか特別分配金なのかは、取引報告書などで確認することができます。

トータルリターン

トータルリターンとは、投資信託の購入時点から、現在までの投資期間全体における損益を指します。受取り分配金だけでなく、販売手数料なども加味されています。利回りが割合(%)であるのに対して、トータルリターンは金額(円)で表示されます。

投資信託はトータルリターンで比べると、実際の損益を把握できます。分配金がある投資信託と、分配金のない投資信託とを比較する場合、基準価額だけでは正しい比較をすることができません。トータルリターンで比較すれば、分配金を含めた実際の損益を比較することができます。

利率

利率とは、預金額や債券の額面金額に対する1年当たりの利息の割合のことです。預金や債券のような利息が支払われる金融商品のみに用いられます。一般的に、投資信託では使用しません。

ベンチマーク

投資信託のベンチマークとは、運用の目標となる指数を指します。投資信託の運用成績は、日経平均株価指数やS&P500指数のような、市場全体の平均を示す指数と比較しましょう。

レーティング

レーティングとは、評価会社が独自の基準で投資信託の良し悪しを評価した数値です。モーニングスター社が算出している「モーニングスターレーティング」が有名でしょう。中立的な機関によって運用されているため、複数の投資信託を同じ基準で比較できます。

標準偏差

標準偏差は、リターンの変動幅を指します。リスクとも呼ばれています。投資信託の値動きの大きさを把握したい場合は、標準偏差をみてみましょう。目標利回りが高くなると、標準偏差も大きくなる傾向があります。

シャープレシオ

シャープレシオとは、リスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターン(リスクゼロでも得られる、国債などのリターンを上回る超過収益)を指します。投資効率が高いほど、値は高くなります。シャープレシオは投資対象が同じような投資信託の投資効率の良し悪しを比較する際に使われます。

まとめ

騰落率とは、過去の一定期間での基準価額の変化を指します。騰落率によって一定期間内における、投資信託の損益が分かります。投資信託に関する用語は、日常的に馴染みがなく、慣れるまで難しく感じる方がいるかもしれません。しかし用語の使い方を知ると、投資に関する疑問や不安を解決する手助けになります。騰落率だけでなく、今回ご紹介したその他の用語も、投資信託を選ぶ際の参考にしてみてください。

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