住宅ローンを組める年齢は何歳まで?借入期間の目安と負担の減らし方

住宅ローン審査では、収入面だけでなく年齢面も重要な審査項目になります。基本的に完済時の年齢が若いほど審査に有利です。本記事では住宅ローンの年齢制限や借入期間の目安、負担の減らし方などについて解説します。自身の年齢やライフプランを考慮して住宅ローンを組みましょう。

住宅ローンを組める年齢は何歳まで?借入期間の目安と負担の減らし方

住宅ローンには年齢の制限がある!

住宅ローンには年齢の制限がある!

住宅ローンに関する年齢制限には「申し込み時の年齢」と「完済時の年齢」があります。それぞれの制限年齢や住宅ローンの借入期間の目安を解説します。

申し込みは20歳〜70歳が一般的

住宅ローンの申し込みができる年齢は20歳~70歳が一般的です。ただし、この年齢制限は住宅ローンを取り扱っている各金融機関が設定できるため絶対的な基準ではありません。
また、申し込みができる年齢の範囲内であっても、借入期間や完済時の年齢によってはローン申請が断られる可能性があります。たとえば、70歳の方が35年ローンを組むと、完済時の年齢は105歳になってしまうため、金融機関としては承認することは難しいでしょう。

75歳〜80歳までに完済する

住宅ローンの審査においては、申し込み時の年齢とは別に完済時の年齢もポイントになります。むしろ、申し込み時点での年齢より「完済時に何歳になっているか」という点が重要視されます。

完済時の年齢の上限は、75歳~80歳に設定されているのが一般的です。したがって70歳で住宅ローンを組む場合、5年~10年程度で全額返済できるようなローンを組むことになるので、借入可能金額も少なくなりがちです。
年金のほかに不動産等の収入があれば余裕資金が生まれますが、退職後の収入が年金のみの生活になるのであれば、退職前に完済できるような住宅ローンを組むのが無難でしょう。

住宅ローンの借入期間の目安

申し込み年齢や完済時年齢と併せて重要なのが、住宅ローンの借入期間の上限です。中には借入期間が50年という住宅ローンもありますが、基本的には住宅ローンの借入期間は、35年を最長として設定されている場合が多いです。したがって、たとえ申し込み年齢の下限である20歳の時点で住宅ローンを組んでも、80歳になるまで60年間かけてローンを返済していくということは難しいでしょう。
一方、完済時の年齢が75歳~80歳を超えるようであれば、35年以下の年数で住宅ローンを組むことになります。35年ローンを組むためには、申し込み時の年齢が45歳以下であることが必要です。

なお、35年ローンを組んだとしても、必ず35年かけて完済しなければならないわけではありません。月々の返済額とは別に、ボーナスや退職金などを「繰り上げ返済」に充てれば、当初の設定よりも短い期間で完済できるでしょう。

親子リレーローンは完済時の子供の年齢で考える

また、金融機関によっては、親子間で住宅ローンの債務を引き継ぎできる「親子リレーローン」というプランがあります。このプランを利用すれば、たとえば35年ローンの内、最初の20年間は親が、後半の15年間は子供が返済を担当するといったことが可能です。親子リレーローンの完済時年齢は子供側の年齢で計算されるので、親の完済時年齢が75歳~80歳を超えたとしても、35年ローンを組めます。なお、親子リレーローンは親子間だけでなく、「祖父母-孫間」や「親-子供の配偶者間」などでも利用可能です。

住宅ローンの審査のポイント

住宅ローンの審査のポイント

住宅ローンの審査においては年齢面、特に完済時の年齢が大きなポイントになります。実際、国土交通省の資料「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によれば、金融機関の98.9%が完済時年齢を住宅ローンの審査項目にしていると回答しています。
これは「担保評価」(97.6%)や「年収」(95.0%)、「勤続年数」(94.5%)といった経済面での評価を抜いてトップの数字です。

すなわち、金融機関は住宅ローンの申請者の返済能力を評価する上で、収入面と同等以上の比重で年齢面を重視しているということです。これは審査項目の第2位が年齢と相関性の高い「健康状態」(98.5%)であることからも見受けられます。

したがって、仮に年収などの経済能力やローン金額が同じ2人でも、年齢が大きく異なれば、住宅ローンの審査が通る可能性にも差が出ることになるでしょう。

【参考】国土交通省 住宅局「令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(PDF)」詳細はこちら

【年齢別】住宅ローンを組む時の注意点

【年齢別】住宅ローンを組む時の注意点

住宅ローンの審査において年齢面が考慮されるということは、自分の年齢に応じて住宅ローンの組み方を考えなくてはならないでしょう。そこで、年齢別に住宅ローンを組む際の注意点を解説します。

20代の場合

20代という若さは、長期の住宅ローンを組む上で強みです。一方、20代の方は働き始めてから間もないため、収入が低くなりがちなのがネックと考えられます。というのも、住宅ローンの借入可能額を計算するにあたって、多くの金融機関は年間の返済額が年収の25%~30%以下になるように基準を置いているからです。

したがって、年齢面での要件はクリアしていても年収が低ければ、希望する金額の融資が受けられないかもしれません。もし、申請者単独の収入だと希望額で住宅ローンを組むのが難しい場合は、親に援助してもらって頭金を多く払ったり、夫婦でペアローンを組んだりすることも検討の余地があります。

30代の場合

30代は年齢面でもまだ十分に若く、経済的に安定する頃でもあるため、住宅ローンを組むのに適した時期といえるでしょう。たとえば65歳定年ならば、30歳で35年ローンを組んでも定年退職までにローンを完済できるため、退職金を丸々老後資金に充てられます。収入の増加などに応じて繰り上げ返済も活用するとよいでしょう。

とはいえ、30代という時期は支出や貯蓄の必要性が増す年代です。たとえば子供がいる場合は、育児費用や教育資金が必要になってくるでしょう。また、これはどの年齢層にも共通することですが、購入した家の維持や修繕にもお金が必要です。したがって、現状の生活に困っていないとしても、こうした将来の支出まで見越した上で住宅ローンを組むのが重要です。

40代の場合

40代は収入面でいえば、30代の頃よりもさらに高い年収をもらっていると考えられます。これまで貯蓄をしっかりしてきたならば、資金計画に余裕ができ、借入金額を増やすこともできるでしょう。
ただし、40代は長期のローン返済に不安が出始める頃でもあります。たとえば45歳で住宅ローンを組むと、35年ローンを完済する頃には80歳になっています。金融機関によっては、完済時年齢の上限に引っかかることもあるかもしれません。

また、40代は子供の高校・大学の学費など大きな支出が出やすい年代でもあります。親も高齢化してくるため、介護費用や仕送りなどが必要になることも懸念されます。
このように、40代は家族状況によって支出が大きく左右される年代なので、さまざまなライフプランも考慮に入れつつ住宅ローンの計画を立てることが重要です。

50歳以上で借りても大丈夫?

50歳以上になると、完済時年齢の問題から長期ローンを組むことが難しくなってきます。住宅ローンを組む際は、まとまった自己資金を用意して比較的短い返済期間を設定することになるでしょう。

しかし、返済期間を短くすると、どうしても月々の負担は大きくなってしまいます。退職金などによるまとまった返済も期待できますが、基本的には定年後の生活資金として残しておくことが賢明でしょう。
特に高齢になると医療費の負担が大きくなることも予想されるので、余裕を持った返済計画を立てたいところです。

50歳以上の方にとって大切なのは、老後の生活に余裕を残せるように住宅ローンを組むことです。老後の生活の収入と支出を入念に計算した上で返済計画を立てるようにしましょう。

【種類別】住宅ローンを組む時の注意点

【種類別】住宅ローンを組む時の注意点

住宅ローンを組む際には、年齢面だけでなく、住宅ローンの種類に応じた注意が必要です。続いては、種類別の住宅ローンの注意点を解説します。

公的融資

住宅ローンには、民間の金融機関からの融資以外にも公的融資を利用するという手段もあります。公的融資の代表例は、財形貯蓄をしている人を対象にした「財形融資」や、自治体が行う「自治体融資」などです。

財形融資は企業の福利厚生の一環としての制度となっているため、勤務先によっては利用できません。これは自治体融資の場合も同様で、融資制度を設けていない自治体も多くあります。実施している自治体でも借入条件や金利、受付期間などはさまざまなので、必ず詳細を確認するようにしましょう。

民間融資

民間融資は銀行や信用金庫、保険会社、農協などが提供する住宅ローンです。金利やサービスは金融機関よって異なるので、希望に合う住宅ローンを探してみましょう。
ただし、民間融資を受けるためには、その金融機関の審査を受けなくてはいけません。審査項目は年齢や収入、職業、過去の信用情報など多岐に渡ります。審査が通りやすいように自己資金を多めに用意する、現実的な返済計画を立てるなどの事前準備を怠らないことが重要です。

フラット35

フラット35とは、民間の金融機関を介して住宅金融支援機構が融資する住宅ローンです。固定金利のみに対応しており、保証料が不要なのが特長です。金利やサービスの具体的な内容は提供する金融機関によって異なります。

フラット35は、一般的に民間融資よりも審査が緩く、自営業者やフリーランスなどでも利用しやすいというメリットがあります。
一方で、固定金利による金利の高さがデメリットです。住宅の種類や返済期間に応じて金利を抑えられることもあるので、複数の金融機関のサービスを比較検討してみましょう。

固定金利タイプ

ここからは住宅ローンにおける金利タイプの違いに触れます。固定金利は金融市場が変化しても、契約当初に設定された金利が変わらない借入方式です。元利均等払いにすれば返済額が一定で返済計画を立てやすいのがメリットです。

デメリットは、一般的に変動金利と比べて金利が高いことです。また、借り入れ当初に比べて市場金利が低下しても、固定金利はその恩恵を受けられません。借入金額が高額な住宅ローンでは、たとえ1%以下の金利差でも実際の支払額は大きく変わるので、この点は注意が必要です。

変動金利タイプ

固定金利とは対照的に、変動金利では、市場状況の変化に応じて返済期間中も金利が変わる可能性があります。現状の変動金利は歴史的にもかなり低い水準であるため、変動金利の方が返済額を抑制できるでしょう。

とはいえ、経済情勢が不安定な昨今では、変動金利がいつまで低い水準で保たれるか定かではありません。変動金利でも「5年間は返済額を固定する(5年ルール)」「金利を変更する場合も今までの1.25倍以下に抑える(125%ルール)」などの救済措置はありますが、今後急激な金利上昇が継続的に生じた場合は、返済計画が崩れてしまう恐れもあります。

固定金利期間選択タイプ

固定金利期間選択タイプは、一定期間後に固定金利を変動金利へ切り替えられるのが特長です。たとえば最初の10年間は固定金利を利用し、その後は変動金利で支払いをすることが可能です。さらに、一定期間後に新たに固定金利を設定することも可能です。

このタイプの場合、固定金利とはいっても利率は変動金利並みの水準なので、純粋な固定金利タイプより返済額を抑えられるのがメリットです。また、固定金利期間中は返済額が変動しないため計画的に返済できます。

他方で、一定期間後に変動金利へ切り替える際には、5年ルールや125%ルールが適用されないため、場合によっては純粋な変動金利以上に金利上昇のリスクに晒されます。

住宅ローンの負担を減らすには?

住宅ローンの負担を減らすには?

住宅ローンを組む際は年齢やライフプランに合わせて無理のない返済計画を立てることが重要です。では、住宅ローンの負担を減らすには、どのような対策をすればよいのでしょうか。

第一に考えられるのは、まとまった頭金を用意することです。頭金が多ければ、金融機関からの借入金額を低く抑えられるため、月々の返済額を抑えつつ返済期間を短くすることも可能です。借入金額が低ければ、住宅ローンの審査を通りやすくなるでしょう。

また、資金に余裕のあるうちに繰り上げ返済を行うのもひとつの手です。ただし、手元の資金を減らしすぎて、急な出費を要するときに困らないように気をつけましょう。ほかにも、親子リレーローンやペアローンなどを利用し、家族間などで負担を分け合うことも効果的です。

いずれにしても、返済計画は、自分だけでなく家族のライフプランなども大きく影響してくるため、住宅ローンを組む際には家族間で十分に話し合うことが大切です。

まとめ

住宅ローンを組む際には、借入時の年齢よりも完済時の年齢が重要になります。自分のライフプランだけではなく家族のライフプランも十分考慮しつつ、人生のイベントや突発的な出費もあることを見越して返済計画を立てるようにしましょう。

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