賢く選ぶ投資の種類一覧!初心者が投資を始める時のポイントを解説

投資には、株式投資や債券投資、不動産投資などの種類があります。今回は、主な投資をリスクやリターンごとに一覧表にしました。初心者が投資を始める時に押さえておきたいポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

賢く選ぶ投資の種類一覧!初心者が投資を始める時のポイントを解説

投資におけるリスクとリターンの関係性

投資におけるリスクとリターンの関係性

投資におけるリスクとは、価格の振れ幅のことです。投資対象のリスクが高いと、より多くのリターン(収益)が期待できる反面、大きな損失が発生する可能性も高まります。
リスクとリターンは比例関係にあるため、リスクが低く高いリターンが期待できる投資は、基本的に存在しません。

投資対象には、株式や債券、不動産などさまざまな種類があり、それぞれリスクとリターンが異なります。リスクとリターンごとに投資対象を分けると、以下の通りとなります。

投資の例
ローリスク・ローリターン ・債券
・貯蓄型の生命保険
ミドルリスク・ミドルリターン ・投資信託
・外貨預金
・不動産投資
・ETF(上場投資信託)
・REIT(不動産投資信託)
ハイリスク・ハイリターン ・株式投資
・FX(外国為替取引)
・先物取引・オプション取引

自分自身にあった投資方法を選ぶ時は、それぞれのリスクとリターンを理解することが大切です。

リスクの低い投資2選(ローリスク・ローリターン)

リスクの低い投資2選(ローリスク・ローリターン)

ローリスク・ローリターンの投資は、損失が発生するリスクが低い代わりに、高い収益はあまり期待できません。主な投資対象としては「債券」と「貯蓄型の生命保険」が挙げられます。それぞれの特徴をみていきましょう。

債券(国債・社債)

債券とは、国や地方自治体、企業などが投資家からお金を借りて、資金を調達する際に発行する有価証券のことです。

債券に投資をすると、保有しているあいだ定期的な利息を受け取ることができます。また、債券が満期を迎えると、額面金額(債券の券面に記載される金額)を返還してもらうことが可能です。

債券は元本保証ではありませんが「安全資産」ともいわれており、株式に比べて価格の変動が少ないという特徴があります。
特に、国が発行する「国債」の場合、国が破綻しない限り定期的に利息を受け取れるだけでなく、将来的に額面金額が返ってくるため、リスクが低いといえます。
個人の投資家向けに発行される個人向け国債であれば、1万円程度から投資ができるため初心者向けの投資でもあります。

貯蓄型の生命保険

貯蓄型の生命保険とは、死亡や所定の高度障害状態に備えながら、将来に向けた貯蓄もできる商品のことです。終身保険や個人年金保険、養老保険などがあります。

商品の概要
終身保険 ・一生涯にわたって万が一に備えられる商品
・途中で解約をすると経過期間に応じた解約返戻金を受け取れる
個人年金保険 ・保険料を支払うと、契約時に決めた年齢になった時に一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れる商品
・年金を受け取る前に被保険者(保険の対象となる人)が亡くなった場合は、遺族に死亡給付金が支払われる
養老保険 ・保険期間が満了するまでのあいだに亡くなった時だけでなく、満期まで生存した時も保険金が支払われる商品
・死亡・高度障害保険金と満期保険金は基本的に同額

貯蓄型の生命保険であれば「万が一の備え」と「将来に向けた資産形成」を1つの保険契約で行うことができます。

また、貯蓄型の生命保険に加入して支払った保険料は「生命保険料控除」の対象です。年末調整や確定申告で生命保険料控除を申請すると、1年間で支払った保険料に応じた一定金額が所得から控除されます。

生命保険料控除により、所得税や住民税の課税の対象になる所得が減ると、税負担を軽減することが可能です。

中程度のリスクの投資5選(ミドルリスク・ミドルリターン)

中程度のリスクの投資5選(ミドルリスク・ミドルリターン)

ミドルリスク・ミドルリターンの投資は、中程度のリスクがあるものの、ある程度のリターンも期待できます。「投資信託」「外貨預金」「不動産投資」「ETF(上場投資信託)」「REIT(不動産投資信託)」が代表的です。

投資信託

投資信託とは、多くの投資家から集められた資金を、運用のプロが株式や債券などに投資する仕組みの金融商品のことです。投資先から得られた利益は、投資家の出資金額に応じて分配金として還元されます。

投資信託の魅力は、少額から投資ができる点です。商品によっては、1,000円や1万円程度の資金で投資することができるため、まとまった資金を運用することに抵抗がある人でも始めやすいでしょう。

また、資金の運用先である株式や債券などを選ぶのは、運用のプロです。投資した資産の管理も専門機関に任せることができるため、経験が浅く商品選びに慣れていない人や本業が忙しい人にも向いています。

投資信託は、ミドルリスク・ミドルリターンといわれることも多い商品です。ただし、実際は資金の投資対象により、投資対象が株式である投資信託のなかには、ハイリスク・ハイリターンのものもあります。

外貨預金

外貨預金とは、ドルやユーロなど日本円以外の通貨で行う預金のことです。日本よりも金利が高い国の通貨に換えて預金をすることで、高い利息収入が期待できます。

また、お金を預けた時よりも口座から引き出す時の方が円安であると、為替差益を得ることが可能です。

例えば、1ドルが130円の時に13万円を預ける場合、預金口座の残高は1,000ドルです。1ドルが150円の円安になったタイミングで引き出した場合、日本円に換算した時の価値は15万円となり、2万円の利益を得られます。

一方で、お金を引き出す時、預けた時よりも円高になっていると、為替差損が発生する可能性があります。外貨預金をする際は、金融機関の担当者の説明をよく聞き、為替リスクがあることを理解することが大切です。

不動産投資

不動産投資とは、アパートやマンション、戸建て住宅などを購入して行う投資です。投資した物件を、第三者に貸し出すと賃料収入を得られます。

「物件の周辺にスーパーや病院、公園などがあり利便性が高い」「これから人口の増加が予測されるエリアにある」などに当てはまる物件は、入居者が見つかりやすい傾向にあるため、安定した賃貸収入を得やすいといわれています。
また、将来的に物件の価値が上昇したタイミングで売却をして利益を狙うことも可能です。

ただし、投資する物件を取得する際には多額の自己資金が必要です。加えて、物件選びに失敗すると損失が発生する可能性があります。

ETF(上場投資信託)

ETFとは、上場投資信託のことです。投資信託の一種であり、証券取引所に上場しているという特徴があります。

通常の投資信託は1日ごとに価格が決まり、取り引きができる回数も1日1回です。一方、ETFは株式と同様に価格が常に変動しているため、値動きや相場の動きを見ながら売り買いができます。

ETFであれば、1万円程度の金額から取引可能です。少額からリアルタイムで売り買いを楽しみたい人は、ETFに投資をするのも方法です。

REIT(不動産投資信託)

REITは、投資家から集めた資金で商業施設やオフィスビル、マンションなどの不動産を運用し利益を狙う投資商品です。投資先の不動産から得られた家賃収入や売却益などは、投資家に分配されます。

REITの魅力は、少ない金額で不動産に投資できることです。不動産投資を始める場合、多額の資金が必要になりやすいですが、REITであれば数万〜数十万円程度で始められます。
不動産投資に興味があるものの、多額の資金を投じることに抵抗がある人は、REITを検討するのもよいでしょう。

リスクの高い投資(ハイリスク・ハイリターン)

リスクの高い投資(ハイリスク・ハイリターン)

ハイリスク・ハイリターンの投資は、高いリターンが期待できる一方で、損失が発生するリスクも高まります。「株式投資」「FX(外国為替証拠金取引)」「先物取引・オプション」は、ハイリスク・ハイリターンの投資といわれています。

株式投資

株式投資とは、企業が資金調達をする時に発行する株式に投資をして、利益を狙う投資方法のことです。企業が成長した時や株式市場が好調な時に、株価が上昇したタイミングで株式を売却すると、多額の利益を得られる可能性があります。

また、株式を保有している間、企業が得た利益の一部を配当金として還元してもらえることもあります。配当金が支払われるタイミングは企業によって異なりますが、中間決算と期末決算の年2回が一般的です。

日本国内の企業によっては、株式に投資をした人に向けて株主優待というサービスを実施しています。株主優待の内容は、自社商品の詰め合わせや飲食店の割引券、カタログギフトなどさまざまです。

一方で、企業の業績悪化や不祥事の発覚、株式市場の低迷などで株価が下がると、大きな損失が生じるかもしれません。企業が経営破綻すると、株価が0円となって投資金額が回収できなくなることもあるため、株式投資はリスクが高いといわれています。

FX(外国為替証拠金取引)

FX(外国為替証拠金取引)とは、ドルやユーロなどの外貨を売買して差益を得る投資手法のことです。通貨の価値の変動を予想して、取り引きを行います。

FXの特徴は「レバレッジ」を利用して、手持ち資金を超えた金額の取り引きができることです。レバレッジの仕組みをうまく利用すれば、少ない資金で多額のリターンを狙うことが可能です。

ただし、レバレッジを利用して大きな金額の取り引きをすると、大きな損失が発生する可能性もあります。通貨の値動きは予測が難しく乱高下することもあるため、FXは投資よりも投機に近いといえるでしょう。

先物取引・オプション取引

先物取引やオプション取引では、価格が決まっていない将来の商品を取り引きする方法のことです。

●先物取引:株式や債券などの商品を、事前に決めた期日と価格での購入・売却を約束する取引方法
●オプション取引:あらかじめ決められた価格で期日・価格で資産を購入・売却できる権利(オプション)取引する方法

先物取引では、将来的に取り引きをする約束をするため、決められた期日になると決められた価格で必ず商品を購入、または売却しなければなりません。

一方で、オプション取引はオプション料を支払って取り引きをする権利を購入します。決められた期日に商品の価格が見通しと異なっていた場合は、権利を放棄することが可能です。

先物取引とオプション取引は、商品の価格が見通しに沿って動くと、高いリターンを得られる可能性があります。しかし、見通しが外れると大きな損失が発生することもあるため、商品や相場の先を読む力がある玄人向けの投資といえるでしょう。

金融商品の投資で活用したい制度

金融商品の投資で活用したい制度

金融商品に投資をする時は、NISAやiDeCoを活用するのがおすすめです。ここでは、NISAやiDeCoの概要を解説します。

NISA

NISAとは、毎年一定金額までの新規投資で得られた利益に税金がかからなくなる制度のことです。投資信託や株式などの資産運用で得られた利益には、通常20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で保有する金融商品であれば非課税となります。

例えば、投資信託を購入した2年後に売却し、2万円の利益を得たとしましょう。通常の証券口座であれば4,063円の税金が徴収されるため、手元に残る利益は約1.6万円です。一方でNISAの場合は利益に税金がかからないため、2万円のすべてが手元に残ります。

NISAには、株式や投資信託など幅広い金融商品に投資ができる「一般NISA」と、長期にわたる積立・分散投資を支援する「つみたてNISA」といった種類があります。

また、2024年1月からは新しいNISAが始まる予定です。新しいNISAでは、一般NISAは成長投資枠、つみたてNISAはつみたて投資枠へと役割が引き継がれます。また、1年間で投資できる金額が増え、非課税で運用できる期間は無期限に延長されます。

NISAの年間投資枠や非課税保有期間などは、以下をご覧ください。

金融商品の投資で活用したい制度

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、掛金を支払って投資信託や保険商品などで運用して、年金を準備できる年金制度のことです。積み立てた資産は、60歳以降に老齢給付金として受け取ることができます。

iDeCoでは、掛金の運用中に発生した分配金や利息などに税金がかかりません。また、掛金の全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税の負担を軽減する効果が期待できます。

さらには、老齢給付金をまとめて受け取る時は「退職所得控除」分割で受け取る時は「公的年金等控除」の対象になります。
老齢給付金は、所得税や住民税の課税対象ですが、退職所得控除や公的年金等控除が受けられることで税負担を軽減することが可能です。

初心者が投資を始める時のポイント

初心者が投資を始める時のポイント

初心者が投資を始める時は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

●自分自身のリスク許容度にあった投資を選ぶ
●投資の目的を明確にする
●余剰資金で投資をする
●分散投資を意識する
●長期・積立投資をする
●手数料も意識して投資先を選ぶ

1つずつ解説していきます。

自分のリスク許容度にあった投資を選ぶ

投資する商品を選ぶ際は、自分自身がどれだけの損失が発生しても受け入れられるのかを表す度合い(リスク許容度)を考えることが大切です。

リスク許容度を考えずに投資先を選んでしまうと、受け入れられないほどの損失が発生した時、精神的に耐えられなくなってしまうかもしれません。投資対象を手放して多額の損失を確定してしまうと、投資は失敗に終わってしまうでしょう。

リスク許容度は、年齢や家族構成、年収、保有資産などさまざまな要素で異なります。金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家にも相談し、自分自身のリスク許容度を考えてみましょう。

投資の目的を明確にする

投資を始める時は「なぜ投資をするのか」を明確にすることが大切です。目標を決めることで、目標金額や運用期間を設定しやすくなります。

日本証券業協会の調査によると、金融商品を保有する主な目的は以下の通りです。

●将来・老後の生活資金:68.6%
●将来の不測の事態への備え:37.8%
●子供や孫の教育資金:27.9%
●耐久消費税やレジャー費用の捻出:24.7%
●住宅の取得や結婚などライフイベント費用の捻出:8.8%

【参考】日本証券業協会「2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)」 詳しくはこちら
※アンケートは複数回答可

調査結果をみると、将来や老後の生活資金を確保するために金融商品を保有している人が最も多いことが分かります。
投資を始める理由は人それぞれです。まずは、投資する目的を明確にし、目標金額や運用に充てられる期間を決めることで、投資する商品や投資金額を決めやすくなるでしょう。

積極的な投資は余剰資金で行う

「生活に必要なお金」や「不足の事態に備えるためのお金」で、リスクのある投資を始めるのはおすすめできません。投資先の価格が下落して損失が発生した時に、生活が苦しくなったり、病気やケガなどの事態に対処できなくなったりする恐れがあるためです。

また、マイホームや車の購入資金、子供の進学資金などをリスクの高い投資で準備しようとすると、いざ資金が必要になった時に損失が発生しており資金不足となりかねません。
ある程度のリスクをともなう投資をするのであれば、当面は使う予定のない「余剰資金」で始めるのがよいでしょう。
余剰資金で投資をしていれば、投資先の価格が大幅に下がったとしても、日常生活や不足の事態に対する備えに影響は生じません。

分散投資を意識する

分散投資とは「資産・銘柄」「地域」「時間」を分散させる投資方法のことです。

内容
資産・銘柄の分散 「株式と債券」「不動産と株式」のように、値動きが異なる資産に分散して投資をすること
地域の分散 「日本株と米国株」「先進国と新興国」のように、異なる地域の投資対象に分散投資をすること
時間の分散 商品を毎月決まったタイミングで同じ金額分を購入すること

分散投資をしていれば、特定の投資対象の価格が下がったとしても、ほかの投資先の価格が維持・上昇していれば、保有資産全体の減少を防げます。そのため、分散投資をすると投資のリスクを軽減する効果が期待できます。

分散投資をする時に活用したいのが「投資信託」です。投資信託であれば、1,000円や1万円といった少ない投資額から手軽に投資できます。

また、投資した資金はほかの投資家のものとまとめられて、商品の運用方針にしたがって国内外の株式や債券などに投資されるため、少ない金額で分散投資ができます。

長期・積立投資にする

長期投資とは、商品を長期間保有する投資方法のことです。積立投資は、毎月などの決まったタイミングで、一定の金額を投資し続ける方法を指します。

長期投資の主なメリットは、複利効果が働きやすくなることです。複利効果は、運用益を再投資することで、利益がさらに利益を生んで資産が膨らむ効果をいいます。

積立投資では、商品の価格や市場の相場にかかわらず、一定の金額を継続的に投資していきます。まとまった金額を一括で投資すると、価格が最も高い時に商品を購入してしまう「高値づかみ」をして損をする恐れがありますが、積立投資ではその心配がありません。

また、積立投資であれば大きな資金は不要であるため、少ない元出でも始めやすいといえます。長期投資と積立投資を意識することで、リスクヘッジしたうえで大きなリターンが期待できるでしょう。

手数料に注意する

投資をする際には、手数料がかかります。例えば、株式投資では、銘柄の売却する時や購入する時に取引手数料がかかるのが一般的です。

投資信託を購入する時は、販売手数料がかかることがあります。また、投資信託を保有している間は、信託報酬という手数料を支払い続けなければなりません。
投資先から利益を得られたとしても、手数料の分だけ手元に残る金額は少なくなるでしょう。投資先を選ぶ時は、手数料も踏まえて期待できるリターンを考えることが大切です。

まとめ

投資の種類によって、リスクとリターンは異なります。例えば、債券投資はローリスク・ローリターン、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン、株式投資はハイリスク・ハイリターンといわれています。

投資を始める際は、自分自身がどれくらいの損失までなら受け入れられるのかを考えたうえで、リスクがその範囲内である投資先を選ぶことが大切です。また、ある程度のリスクをともなう投資をするのであれば、余剰資金の範囲内で行いましょう。

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