ETFとは?投資信託や株式との違いを理解して投資にチャレンジしよう

ETF(イー・ティー・エフ)とは、株式と同じように証券取引所で売買される上場投資信託です。この記事では、ETFの概要、ETF投資のメリットとデメリット、ETFの種類、一般的な投資信託との違い、投資する際の注意点について解説します。少額から分散投資ができ、投資初心者でもはじめやすいため、ぜひ検討してみてください。

ETFとは?投資信託や株式との違いを理解して投資にチャレンジしよう

ETFとは

ETFとは

ETFとは「Exchange Traded Fund(上場投資信託)」の頭文字をとった用語で、証券取引所に上場している投資信託のことです。投資信託は、運用会社が証券会社や銀行等を通して投資家から集めたお金を株式等に投資し、運用する金融商品です。専門家が選定した株式や債券、REIT(不動産投資信託)等の詰め合わせ商品と考えるとわかりやすいでしょう。

くわしくは後述しますが、一般的な投資信託が証券会社や銀行、郵便局等さまざまなところで取り扱われているのに対し、ETFの取り扱いは、証券会社のみです。ETFには一般的な投信信託とは異なる点が数多くあります(以下、投資信託と記載した場合は、一般的な投資信託を指します)

分散投資でリスクが抑えられる

ETFは、日経平均株価(日経225)や東証株価指数(TOPIX)等、特定の指数に連動する形で運用されています。例えば、日経平均株価に連動するETFを購入したなら、国内株式市場の主要225銘柄に分散投資したのと同じ効果があります。株式市場全体や数多くの特定銘柄の株価に連動しているため、短期間で大きな値動きは期待できません。

ETFは、リターンは比較的低いものの、低リスクなので購入しやすいことが特徴です。個別銘柄を購入するよりもリスクを抑えられます。

個別銘柄を225も購入しようとすると莫大な金額がかかりますが、ETFでは数百円から購入することが可能です。さまざまな指数に連動した商品に少額から分散投資がおこなえるのは、ETFの大きなメリットです。

信託報酬が低い

投資信託もETFも投資家が保有している間は、管理・運用のための経費=信託報酬を証券会社に対して支払う必要があります。信託報酬は、保有額に対してあらかじめ決められた信託報酬率(年率)を掛けて算出され、信託財産の中から毎日引かれます。信託報酬が高ければ投資家の利益は低くなりますし、反対に信託報酬が低ければ投資家の利益が高くなります。

信託報酬率の一例をみてみると、投資信託(インデックスファンド)は約0.15%〜0.41%ですが、ETFは約0.07%〜0.09%です。

ETFの信託報酬率は低く設定されており、信託報酬率が低い理由は、支払い先が少ないためです。投資信託では販売会社への信託報酬支払いが必要ですが、ETFの取引には、販売会社が介在していないため、販売会社に報酬を支払う必要がありません。その分、投資信託よりもETFの方が信託報酬率が低くなります。信託報酬率が低いということは、ETFの方が運用コストがかからないということになります。

ただし近年は、投資信託でも信託報酬率を低くする試みがあり、ETFと変わらない商品も出てきています(極端な例では、信託報酬率ゼロ%の投資信託も存在します)。購入を考えている方は信託報酬率もよく調べておきましょう。

日中の値動きを把握できる

ETFの市場価格は、投資対象の指数に連動してリアルタイムに動きます。一方、投資信託の基準価額は1日に1回発表されるのみです。ETFでは、日中の値動きを把握できるという特徴があります。

自由なタイミングで売買ができる

ETFは、証券取引所が開いている時間であれば、株式同様、リアルタイムで市場価格がわかり、好きなタイミングで取引することが可能です。投資信託のように市場が閉じてからでないと基準価額がわからないことに比べると、売買タイミングの自由度は高いです。

指値・成行注文ができたり、信用取引ができたりする点も投資信託とは異なります。取引のルールは基本的に株式と同じです。そのため、株式投資を経験したことがある方であれば、ETFの取引も特に難しいことはありません。

ETFの種類

ETFの種類

ETFの市場価格は、一般的には日経平均株価(日経225)や東証株価指数(TOPIX)等の指数に連動しています。どのような種類があるか、主なETFを確認してみましょう。

株価指数連動型

株価指数連動型は、日経225やTOPIX、米国のS&P500等の株式指数に連動するETFです。日本にいながら、NYダウ平均や上海50指数等、海外の相場に連動するETFを購入することも可能です。

ETFには、「レバレッジ型(ブル型)」という投資対象指数の前日比変動率に一定の倍数を乗じて運用をする商品や、「インバース型(ベア型)」という投資対象指数の前日比に対して一定の負の倍数を乗じて運用する商品もあります。

債券指数連動型

債券指数連動型は、国や企業の発行する債券市場に連動するETFです。一般的な債券は満期がありますが、債券指数連動型ETFでは満期がないので、長期的に保有することが可能になります。株価指数連動型よりも値動きが少ないので、リスクを抑えた運用が可能になります。

REIT(不動産投資信託)

REIT(リート)ETFは、投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、不動産から得られる家賃や売却益を投資家に分配する金融商品です。REIT ETFは、複数のREIT銘柄を運用対象にしています。

コモディティ(商品先物)

貴金属(金・プラチナ等)、エネルギー(ガソリン・原油等)、穀物(小麦・大豆等)等の商品先物(コモディティ)に投資するETFです。コモディティETFの市場価格は、商品先物価格に連動します。

ETFと投資信託の違い

ETFと投資信託の違い

ETFについてある程度は理解できたものの、投資信託との明確な違いがよくわからない、という方もいるでしょう。どちらも投資家から集めた資金を専門家が運用する点は共通しています。それでは異なる点は何でしょうか? 投資信託とETFとの違いを表で確認しましょう。

ETFと投資信託の比較表

比較項目 ETF 投資信託
購入場所 証券会社の窓口やホームページ 証券会社・銀行・郵便局等の窓口やホームページ
購入価格 リアルタイムで変動 基準価額
最低投資金額の目安 数百円~ 数百円~
運用コスト 売買手数料、信託報酬 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額

ETFも投資信託の一種ではありますが、取引(購入)価格は、ETFがリアルタイムで変動するのに対して、投資信託は1日1回基準価額が算出され、発表されるだけです。約定するのは翌営業日となり、次の日まで値がどうなっているかはわからないため、自分の好きな価格で購入できません。反対にETFの市場価格はリアルタイムで確認でき、自分の好きなタイミングで購入できるという利点があります。

ただしETFは証券取引所の取引時間内にしか購入できません(それ以外の時間帯でも予約注文は可能です)。一方、投資信託は原則、いつでも購入できます。

とはいえ、どちらの商品にも取引にはそれぞれ注意点があります。どちらが自身の資産運用に適しているかを検討したうえで、ETFか投資信託かを選択するとよいでしょう。

ETFと株式投資の違い

ETFと株式投資の違い

ETFと株式投資の主な違いは、投資対象が異なることです。ETFが、日経平均株価等の特定指数に連動する形で運用されるのに対し、株式投資では個別の上場銘柄の値動き次第です。さらにETFは株式だけでなく、債券や商品先物、貴金属等、さまざまなものの価格を対象にしています。

ETFは投資単価が安く、幅広い銘柄に対してまとめて投資できます。株式投資では、例えば日経225の全銘柄に100株ずつでも投資するとなると、膨大な金額が必要です。

ETFと株式投資の比較表

比較項目 ETF 株式投資
購入場所 証券会社の窓口やホームページ 証券会社の窓口やホームページ
購入価格 リアルタイムで変動 リアルタイムで変動
最低投資金額の目安 数百円~ 数百円~
運用コスト 売買手数料、信託報酬 売買手数料

ETFと株式の購入場所は証券会社のみと同じですが、最低投資金額は株式投資の方が高額です。ETFでは信託報酬がかかるので、運用コストが高くなります。これらを加味すると、ETFは少額から投資ができて、リスクが低いという利点があります。
反対に株式投資は、最低投資金額が高額なので、はじめる際のハードルが高くなっています。個別銘柄に対して投資するので、リスクも高くなりますが、その分リターンも大きくなるのがメリットです。信託報酬がなく、所持しているだけではコストがかかりません。運用コストは売買手数料がかかるだけです。

ETFの注意点

ETFの注意点

手軽にはじめられる分散投資として魅力的なETFですが、よい点ばかりではありません。

価格の乖離リスクがある

ETFは、対象となる指数の値動きと、ETFの単位口数当りの時価である基準価額の値動きが連動するように、管理会社によって運用されています。しかし、決算期直前の利回りの変動による分配金の増減や、指数の構成銘柄の配当落ち等が原因で、指数と基準価額とにズレが生じる恐れがあります。すなわち、ETFは指数と連動しているはずが、指数から乖離することもある、ということです。

ETFが株式と投資信託の二面性をもっていることによる価格の乖離もあります。ETF(上場している株式として)の市場価格は、日中取引されている間、変動し続けます。しかし、ETF(投資信託として)の価値である基準価額は1日1回取引終了後にしか決定されません。

その結果、市場価格が基準価額よりも高くなったり、低くなったりします。売買するタイミングを間違えると、本来得られたはずの利益を失うことになります。

分配金が自動的に再投資されない

分配金とは、投資信託やETFの運用で得られた利益から還元されるお金のことです。商品や運用会社によりますが、一般的には決算時に支払われます。

分配金は短期的な利益になるものの、支払われた分だけ運用資産が減少するため、必ずしもよいものとはいえません。

投資信託では分配金を受け取るか、再投資(受け取らずそのまま運用)するかを選べるようになっていますが、ETFでは分配金の再投資を選ぶことはできません。分配金を再投資したければ、手動でETFを再度買い付ける必要があります。売買手数料がかかるほか、株式の購入同様に最低の売買単位があり、再購入するまでは現金でもっていないといけないというデメリットがあります。

まとめ

ETFは、証券取引所に上場している投資信託のことです。少額から分散投資できるETF投資は、値動きがわかりやすいことや、証券口座があれば手軽に売買できることから、投資初心者でも参入しやすいことが特徴です。

一方でETFの注意点もあるので、さまざまな投資手段を比較検討してみてください。ETFが気になった方は、ぜひ、投資をはじめてみてください。

ご留意事項
  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は執筆時点のものです。また、本稿は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性について執筆者及び三菱UFJ信託銀行が保証するものではありません。
  • 本稿に掲載の情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等について、三菱UFJ信託銀行は一切責任を負いません。
  • 本稿に掲載の情報に関するご質問には執筆者及び三菱UFJ信託銀行はお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

RANKING

この記事もおすすめ